重過失致死事件で書類送検された
重過失致死事件で書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
三重県多気郡大台町に住むAさんは、息子であるVさん(2歳)を自宅駐車場に停めた車の中に置き忘れ、約10時間放置し、熱中症により死亡させました。
その後、Aさんは、三重県大台警察署の警察官により、重過失致死罪の容疑で取調べを受けました。
重過失致死事件発生当時、Aさんは、仕事が忙しかったあまり、Vさんを車内に置き忘れたことに気が付かなかったといいます。
その後、Aさんは重過失致死罪の容疑で書類送検されました。
(2021年1月19日に共同通信に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【重過失致死罪とは】
刑法211条2項は、重過失致死罪を規定しています。
この刑法211条2項の重過失致死罪は、刑法211条1項の業務上過失致死傷罪の規定を一部引用しています。
刑法211条1項
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
刑法211条2項
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
すなわち、重大な過失により人を死傷させた者には重過失致死罪が成立し、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科されることになります。
刑法211条2項の重過失致死罪の「重過失」とは、注意義務を著しく怠って死亡結果を発生させることをいいます。
具体的には、重過失致死罪の「重過失」とは、容易に死亡結果の発生を予見することができ、かつ容易に死亡結果の発生を回避し得るのに、その注意義務(結果予見義務・結果回避義務)を怠って死亡結果を発生させた場合をいいます。
刑事事件例においては、AさんはVさん(2歳)を自宅駐車場に停めた車の中に置き忘れ、約10時間放置し、熱中署により死亡させています。
ここで、2歳の子ども(Vさん)を約10時間に車の中に放置した場合、熱中症等により死亡が発生するおそれがあることは、容易に予見できたと考えられます。
また、Vさんを車から連れ出せば容易に死亡結果の発生を回避し得たと考えられます。
それにも関わらず、Aさんはこれらの注意を怠ってVさんを死亡させています。
よって、Aさんには重過失致死罪の「重過失」があり、この重過失によってVさんを「死傷させた」といえると考えられ、Aさんには重過失致死罪が成立すると判断されたのでしょう。
【重過失致死事件と書類送検】
刑事事件例では、Aさんは三重県大台警察署の警察官により重過失致死罪の容疑で取調べを受けました。
その後、Aさんは重過失致死罪の容疑で書類送検されました。
書類送検とは、刑事訴訟法における用語では「送致」といいます。
刑事訴訟法246条
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
書類送検(送致)とは、事件自体を検察官に引き継ぐことをいいます。
具体的には、書類送検(送致)により事件の記録や証拠品が検察官に引き継がれることになります。
そして、事件を引き継いだ検察官は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況」(刑事訴訟法248条)などを考慮して起訴するかどうかを決定します。
この際、被疑者の方を検察庁まで呼び出し、事件の経緯などの取調べを受けることになります。
刑事事件例でも同様に、重過失致死事件の書類送検(送致)がなされた後、Aさんは検察官による呼出し・取調べを受けることになります。
取調べでは、重過失致死事件を起こした経緯、重過失致死事件を起こした当時の心情、今後の更生についてなど様々な事柄が聞かれる可能性があります。
刑事弁護士としては、法律の専門的な見地と様々な刑事事件を取り扱った豊富な経験をもとに、このような重過失致死事件に関する取調べに対してどのように対応すればよいか助言することができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
重過失致死事件で書類送検された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。