前科をつけたくない

1 前科とは

前科とは、過去に有罪判決を受けたことを指します。有罪判決であれば、懲役刑の実刑判決にとどまらず、執行猶予付き判決や罰金刑の判決も前科に含まれます。なお、少年のころに受けた保護観察処分や少年院送致は、前科に含まれません。

これに対し、前歴という言葉もあります。前歴とは、裁判まではいかなかったが、警察に捜査をされ、犯罪の嫌疑が認められた事件を指します。具体的には検察庁の起訴猶予処分や、警察での微罪処分です。

 

2 前科がつくことによる不利益

前科が付くと、まず警察・検察庁の記録に残ります。これ自体は直ちに不利益を生じさせるものではありませんが、また別の罪を犯してしまった場合にはより重い刑に処せられることが予想されます。

また、弁護士や医師、一級建築士といった国家資格が剥奪される場合があります。資格が剥奪されるかについては、ご自分の資格の資格要件をよく確認する必要があります。前科があれば資格が直ちに剥奪される資格もあれば、罰金刑より重い前科(懲役や禁錮)の場合に限って資格が剥奪になる資格もあります。

 

3 略式起訴や即決裁判でも前科はつくのか

略式起訴では罰金刑に、即決裁判では執行猶予付き判決となります。しかし、既に述べた通り、罰金刑であっても執行猶予付き判決でもいずれも前科になります。ただし先述したように、罰金刑では剥奪を免れる資格もあるので、資格と事件の内容によっては略式起訴を狙いに行く弁護活動も考えられます。

 

4 前科を避けるためには

一定の軽微な事件では、事件の捜査がはじまっても示談をしたり、被害を弁償したりした場合に、検察官に事件が送られない場合があります(微罪処分)。この場合には前科がつくことはありません。

しかし一旦事件が検察官に送られた場合には、前科を避けるためには不起訴処分を狙うほかありません。事件の処分について、裁判をする起訴にするか、不起訴にするかの判断は検察官が最終的に行います。

検察官が不起訴とする場合には、例えば、下記のようないくつかの理由があります。

  1. 起訴猶予→疑いはあるが、今回に限り罪に問わないという処分
  2. 嫌疑不十分→そもそも犯罪の疑いがない
  3. 罪とならず→行った行為がなんらの犯罪行為に当たらない場合
  4. 親告罪の告訴の欠如→告訴がなければ罪に問えない罪で、告訴がない場合
  5. 時効の完成→公訴時効が経過している場合(罪によって期間が異なるので確認が必要)
  6. 心神喪失→責任能力が欠如し、起訴できない場合

 

5.不起訴を目指す方法

不起訴を目指すためには、上に挙げたような事実を起訴するかを判断する検察官に主張していく必要があります。

器物損壊罪などの親告罪(告訴が必要な罪)の場合には、被害者と示談をし、告訴を取り下げてもらえば、それだけで不起訴処分となります。そのため、これらの犯罪では被害者との示談が重要です。この示談は起訴されてからでは遅いので、早期に弁護士をつけるなどして、検察官が起訴をする前に行うことが必要です。

これに対し、親告罪ではない犯罪では、検察官は告訴がなくても起訴することが可能です。しかし、被害者が望んでいない場合にまで起訴する必要性は高くありませんから、被害者の方と示談をすることができれば、不起訴になる可能性は高まります。加えて、再び罪を犯さないように対策をして(カウンセリングに通う等)、これを検察官にアピールすることができれば、一層不起訴処分の可能性が高まります。

また否認している事件では、取調対応をしっかりとして嫌疑不十分による不起訴を狙う場合もあります。どのようなことをすれば不起訴の可能性が高まるのかは、弁護士にご相談ください。

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