少年審判と保護処分

1 少年審判で下され得る処分

少年審判で、裁判官が下すことのできる処分のうち、主なものは

  1. 不処分
  2. 保護観察
  3. 少年院送致
  4. 逆送

の4種類です。

そのほかに中間的な処分である⑤試験観察というものもあります。また少年院以外の、児童自立支援施設、児童養護施設といった施設に送致される場合もあります。

 

2 不処分

不処分とは、少年審判は開始されたものの、処分をしないというものです。審判が開始される点で審判不開始とは異なります。裁判官や調査官が処分を不要と考えていたとしても、審判廷の厳粛な雰囲気を味わってもらうために、あえて審判を開始した上で不処分決定をする場合もあります。

不処分という判断がされた場合は、不処分になったという前歴は残りますが、不処分の審判を受けた後は、何か別の手続が進行することはありません。

 

3 保護観察

(1)保護観察とは

保護観察とは、身体を拘束される処分ではありませんが、社会の中での生活を継続しながら一定期間、保護司という人の指導監督の下で、ボランティアや読書感想文などの課題を行いながら少年の改善更生を図る処分です。保護観察は他の処分と比較して、社会内での生活が継続できる点で特徴があります。

 

(2)保護観察の種類

保護観察には、さまざまな種類があります。

  1. 一般保護観察・・・通常の保護観察で、通常1年程度と言われています。
  2. 短期保護観察・・・非行性の進度がそれほど深くない、保護環境が整っているなど一定の条件をクリアする場合に付される場合があります比較的軽微なもので、6か月程度と言われています。
  3. 交通保護観察・・・少年の非行事実が交通事件である場合に選択されます。
    保護司も、交通法規に精通した人が選ばれ、交通ルールに関する処遇が行われます。期間としては6か月程度とされています。
  4. 交通短期保護観察・・・交通事件を起こした少年のうち、一般非行性の進度がなく、対人関係に問題がないなどといった少年に選択されます。期間は3か月程度とされています。

 

4 少年院

(1)少年院とは

少年院とは、成人の刑務所に対応するもので、少年の身柄を拘束する施設です。他の処分と異なり少年の事由を拘束してしまう処分になるので、保護処分のうち最も重い処分になります。

ただ、刑務所と異なり、少年の教育を目的としていますから、どちらかというと学校に近い側面があります。

 

(2)少年院の種類

少年院には、全部で4種類あります。

  1. 第1種・・・通常の少年が送られる場所です
  2. 第2種・・・犯罪傾向の進んだ概ね16歳以上の少年が送られます
  3. 第3種・・・心身に著しい障害がある少年が送られます
  4. 第4種・・・少年院で刑の執行を受ける者が送られます

 

(3)期間

少年院に収容する期間は、審判の際の処遇勧告でおおよその目安が決められます。成人の裁判と異なり、懲役〇年ときっちり期間が決められているわけでありません。

通常、少年院に収容する期間は1年程度と言われていますが、短い場合には4ヵ月、長い場合には2年を超すとされています。少年院で更生が進んだ場合には期間中であっても仮に退院が認められる場合もあります。

 

5 逆送

少年が少年審判を受けられる年齢出なかった場合、または成人と同様の刑事処分を受けることが相当と判断された場合には、検察官の下に事件が送られる場合があります。これを検察官に手続きが逆戻りすることから「逆送」といわれます。逆送がされると、成人と同じ留置施設に入れられたり、公開の法廷で裁判がなされたりすることにより、少年のプライバシーが害されるおそれがあるので、少年にとっての弊害が大きくなります。したがって、逆送が見込まれる事案においては、なるべく早期に逆送を避けるための活動をしていく必要がある。

なお、原則として逆走すべき事件というものは法律で決まっておりますので、「故意に被害者を死亡させてしまった事件」や「18歳以上のときに、死刑、無期又は短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯した事件」は特に注意が必要です。

 

6 試験観察

裁判官がどのような処分にするべきか決めかねた場合、一定の期間を定め、定期的に家庭裁判所調査官と面談を重ねながら、最終的に裁判官が処分を決するに必要な情報を得るというものです。

あくまで、中間的な処分ですので、最終的には保護観察等何らかの処分がされることとなります。最終処分で良い結果を得るためには、試験観察中の活動の成果を裁判官や調査官にアピールしていくことも重要になります。

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