「わざと怪我をさせたわけではない!」
「わざと壊したわけではない!」
新聞やテレビのニュースなどで報じられる、逮捕された方の供述によくこのような内容があります。
これを聞いた時「わざとなら犯罪にならないの?」と疑問を感じる方もいるのではないでしょうか?
わざとかどうかは、刑事事件に関する法律的には、故意があるかどうかという問題になり、このことは、有罪か無罪かを判断する刑事裁判の場でも、よく争点になります。
そこで本日は、刑事事件における「故意」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
故意とは
世の中で「犯罪」と呼ばれている違法行為については、その犯罪が構成するための要件が定められています。
そして、その構成要件には「主観的構成要件」と「客観的構成要件」に分類され、主観的構成要件は「故意」か「過失」の何れかです。
逆から言うと、故意も過失もない行為は犯罪となり得ないのです。
ちなみに客観的構成要件には「行為」「主体」「客体」そして「結果」と「因果関係」です。
そして「故意」とは、犯罪事実を認識・認容することをで、その故意が認められるには、原則として行為者が犯罪事実全体を認識・認容する必要があります。
また故意によって行われる犯罪を故意犯といい、過失犯を罰する規定のない犯罪行為については基本的に故意犯です。
結果的加重犯
傷害罪のような、結果的加重犯については、基本となる犯罪事実に対する認識、認容があれば、重い結果に対する認識、認容までは必要とされません。
人を殴って怪我をさせたような「傷害罪」を例に説明すると、行為者(殴った人)は、人を殴るという暴行行為に対する故意が認められさえすれば、殴った人に怪我を負わせるという傷害の故意までは必要とされないということです。
ちなみに人を殴るという暴行の故意もない場合、つまり何かを取ろうと手を上げたところ、その手が、横にいた人の顔にぶつかってしまったような場合です。
この場合は、暴行の故意もないので、当然、暴行罪も成立しませんし、例え相手が怪我をしたとしても、過失傷害罪が成立するにとどまります。
確定的でなくても故意は認められる
刑事事件における故意は確定的なものまでは求められていません。
犯罪の実現を積極的に望んでいるわけではないが、不確定な、未必的の故意であっても、故意は認定されます。
殺人事件を例に、どういうことなのか説明します。
殺人罪が成立するには、当然、殺人の故意、つまり「殺意」、行為者が相手を殺してしまう意思が必要です。
殺人の故意は、「こんなことをすれば相手が死んでしまうかもしれないが、相手が死んでもかまわない。」「たとえ死んだとしても仕方ない。」といった、不確定なものであっても認められます。
故意がなければ無罪に…
故意が認められるかどうかによって、刑事責任を負うかどうか、つまり有罪か無罪かが決まります。
結果として違法行為をしてしまった事と、故意的に犯罪を犯した事は全く別の話ですので、刑事事件に巻き込まれた方で「わざとではないのに・・・」という方は、是非一度、弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、三重県内でこういった刑事事件に巻き込まれた方からのご相談を初回無料で承っております。