淫行条例・児童福祉法違反

【児童福祉法】

34条1項
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

6号
児童に淫行をさせる行為

60条1項(罰則)
第34条第1項第6号の規定に違反した者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

【青少年保護育成条例(三重県)】

(いん行又はわいせつな行為等の禁止)

第23条 何人も、青少年に対し、いん行(青少年を威迫し、欺き、又は困惑させる等不当な手段を用いて行う性交又は性交類似行為及び青少年を単に自己の性欲を満足させるための対象として行う性交又は性交類似行為をいう。次条において同じ。)又はわいせつな行為(いたずらに性欲を興奮させ、若しくは刺激し、又は性的な言動により性的羞恥心を害し、若しくは嫌悪の情を催させる行為をいう。次条において同じ。)をしてはならない。

2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又はこれを見せてはならない。

(罰則)
第40条 第23条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は 100万円以下の罰金に処する。

7 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。

(1) 第11条第4項、第17条の2第3項若しくは第4項、第19条第2項、第19条の2第1項又は第23条第2項の規定に違反した者

 

1 はじめに

児童福祉法違反・青少年保護育成条例違反が処罰対象とするのは、18歳未満の者との性行為である。ただその認識や行為態様によって罰則が異なってくるので、このページの内容に加え、児童買春のページも含めてご確認ください。

 

2 児童福祉法について

(1)児童福祉法はどのような法律か

児童福祉法は、児童の健全な育成を目的に、児童に行わせてはならない行為等を定めています。

 

(2)定義について

  1. 児童
    「児童」とは、満18歳に満たない者をいいます。
  2. 淫行
    「淫行」とは、簡単にいうと、性交や性交類似行為をいうものと理解されています。挿入行為のみならず、被害児童の性器を触った場合、自己の性器を口淫させた場合にも淫行にあたります。

 

(3)「淫行させた」とはどのような意味か

18歳未満の者との間に「淫行」がある場合、児童福祉法違反になるか育成条例違反になるかの境界は淫行「させた」と評価されるかどうかにある。

淫行「させる」とは、事実上の影響力(例えば、教師と生徒)などを利用して、児童にわいせつな行為を行わせた場合を指すと考えられます。仮に事実上の影響力にとどまらず、暴行または脅迫を加えていれば強制性交等罪や強制わいせつ罪が成立します。

 

3 青少年保護育成条例について

(1)青少年保護育成条例とはどのような法律か

青少年の健全な育成を図るために、青少年を保護する目的で、青少年の逸脱行動を禁止し,また青少年にとっての有害な環境を浄化するために制定されている地方公共団体の条例の総称をいいます。

各地方公共団体において処罰対象や罰則が異なる場合があるので、条例違反になるかという点、処分見込みについて不明な点があれば弁護士に相談してみてください。

 

(2)「淫行」とはどのような意味か

「淫行」の意味については、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうもの」と解されています。典型的には、SNSで知り合った18歳未満の児童と、1回限りの関係で性交するような場合が挙げられます。

一方で性行為の中でも内容を限定して解釈しているので、青少年とのあらゆる性的行為が処罰の対象となるわけではありません。例えば有名な例として、相手と結婚を考えるような真剣交際であれば「淫行」に当たらないと解した例があります。

 

~児童福祉法違反・青少年保護育成条例違反の弁護活動~

1 捜査段階における弁護活動

①取調対応

弁護士が接見に赴き、嘘の自白調書やニュアンスが違った調書が作成されないようアドバイスします。児童福祉法違反・青少年保護育成条例違反の罪については年齢の認識や行為内容、「淫行させた」と評価できるか等が争点となることが多く、適切なアドバイスを受けることで、同罪の成立を争うことが可能になります。

 

②示談交渉

早期に示談交渉に着手するとともに、不起訴処分など有利な結果を導けるよう活動します。親告罪ではなく告訴がないとしても罪に問うことができる犯罪とはいえ、被害者がいる犯罪ですので示談をすることでより有利な処分結果を狙うことが可能になります。

 

③身柄解放活動

逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。

 

④否認の場合の弁護活動

否認事件では、独自に事実調査を行うとともに、意見書を作成するなどして不起訴に向けて検察官に働きかけを行います。

 

2 公判段階における弁護活動

①有利な判決を目指した公判活動

少しでも有利な処分(執行猶予)がでるように活動します。公判段階でも示談、監督者の確保、被告人の反省を訴えていくこと等が具体的な活動になります。

そして有利に働く事情として、再犯防止策の策定、すなわち今後の再犯防止策をしっかりと講じているかが重要になります。児童福祉法違反・青少年保護育成条例違反のような性犯罪の場合、自分の欲求をコントロールできずに犯行に至ってしまうケースが一般的に多いです。そのため自分の力だけで再犯を防止できない場合があります。そのような場合には家族を含めた協力や、専門機関を受診したりプログラムに参加したりといった周囲の協力が重要になります。そして、そのような策を講じていることを証拠として裁判で提出することで、有利な情状として評価してもらえる可能性があります。

 

②無罪判決を目指した弁護活動

否認事件では、冤罪を防止すべく被害者の方に記憶違いがないかの検証・弾劾活動及び弁護側独自で有利な証拠を収集・提出できるよう活動します。

津や四日市など三重県の淫行条例・児童福祉法違反事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、三重県内の様々な性犯罪について、刑事事件・少年事件に専門特化した弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が三重県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。

 

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