1 クレプトマニア・窃盗症とは何か
クレプトマニア(窃盗症)とは、常習的な万引き・窃盗行為を主症状とする精神障害のことです。クレプトマニアの特徴は、個人的に用いるためではなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返されることにあります。基準等が示されている場合もありますが、極めて専門的な判断になるので、まず精神科医等、専門家の診断を受けるようにしてください。
2 クレプトマニアのポイント
- クレプトマニアの見方として、犯罪か疾病かの二者択一ではなく、基本的には疾病であり同時に犯罪でもある。
- 合併精神障害としては、摂食障害(とくに過食症)、アルコール乱用・依存症、薬物乱用・依存症、気分障害、不安障害(とくに強迫性障害)、人格障害などが多い。とくに、摂食障害はクレプトマニアを併発合併しやすい。
- 単なる性癖と異なり、本人自身の苦痛がある。
- 再犯予防という観点からは、処罰の効果は少なく(時には逆効果)、治療が必要である。入院治療期間は6か月が標準で3か月は短い。
- 行動制御能力が著しく減退しているとまでは言えず、結果的には責任能力があると判断されることが多い。但し、重篤な精神症状と密接に関連した窃盗行為の場合には、心神耗弱や心神喪失を主張する実益はある。
3 クレプトマニアによる事件の弁護活動
①再犯防止の支援
上記で説明したように、クレプトマニアの方が万引きを繰り返してしまう背景には、合併しうる摂食障害等の影響があります。したがって、この病気の治療を行っていかなければ、また再犯を繰り返してしまうおそれが高いのです。すなわち、刑務所での矯正教育では、再犯を防止するために適当ではないといえます。
したがって弁護活動においては、治療の必要性や、疾病が犯行に与えた影響を訴え、より有利な判決を導くことを目指していきます。また裁判に向けた活動としては、再犯防止のために自助グループのミーティングに参加する、入院して集中的な治療を行うといった活動が考えられ、その成果についても、証人尋問や証拠を提出することで、裁判において訴えていきます。
②身柄解放活動
万引きについても、複数回繰り返していれば実刑判決が見込まれるため、逮捕され身体拘束を受けるリスクが高くなります。そして身体拘束を受けたままでは、通院等の治療を十分に受けることはできません。そこで、証拠隠滅や逃亡するおそれがないことを裁判所や検察官に対し訴えていくことで、早期の身体拘束からの解放を目指していきます。
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