控訴したい

1 控訴とは

未確定の裁判に対し、上級裁判所の審判による是正を求める不服申立てを上訴といいます。そして上訴のうち、第1審(1回目の裁判)の判決に不服があり、高等裁判所に不服を申し立てるものを控訴といいます。このように不服を申し立てる権利が保障されているのは、裁判も人間が裁くものである以上、誤りが入るおそれがあり、それを発見し是正する機会が与えられる必要があるので、このような制度が置かれているのです。

そして、控訴審は、「事後審」と言われます。事後審とは,裁判を新しくやり直すのではなく,第1審判決が妥当かどうかを見直しする裁判のことをいいます。ですから,第1審の判決の内容が控訴審の第一歩となります。そこで下された判決が不当であると主張するためには,第1審判決書に現れた事実認定の合理性や訴訟手続に違法はないか、法令解釈ないし適用に誤りはないかなどを検討していくこととなります。

控訴審で第一審を覆すには高いハードルがあります。控訴審ではまた1から証拠調べをやり直すわけではなく、あくまで第1審の後の事情に限って審理が制限される場合もあります。

実際のところ、控訴される例も多くありませんし、控訴された事例のうちでも第1審判決が破棄された事例は多くありません。破棄された事例の理由としては、「第1審後に示談等が成立した場合」「過去の量刑傾向に比して明らかに量刑が重い」等があります。

 

2 控訴までの手続き

控訴の提起期間は14日で、判決の宣告があった日から進行します。控訴提起期間は、裁判が告知された日から進行しますが、初日は算入しません(刑事訴訟法358条、55条1項)。期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、これを期間に算入しません(55条3項)。一般的には、「判決の翌日から14日目の夜の12時」が提起期間の終わりと考えられます。この期間の間に、控訴申立書を提出することが控訴への第一歩になります。申立書には詳しい控訴の理由等は書かなくてもいい点で次に挙げる「控訴趣意書」とは異なります。

控訴申立書を提出した後、控訴審裁判所から「控訴趣意書」という書面を提出する期限を控訴申立人に通知されますので、その期限内に、控訴趣意書を控訴審裁判所に提出します。控訴趣旨書では、控訴申立書とは異なり控訴の詳細な理由を書きます。控訴趣意書は、この書面が控訴の結果を左右するといってもいいほど、控訴の結果に対し重要な意味を持ちます。控訴審は基本的に、書面での判断が中心になるので、この書面で控訴審の裁判官によい心証を与える必要があります。

 

Q 第1審でついていた先生と異なる先生を控訴審でつけることはできますか

A 第1審の先生との契約にもよりますが、原則として変更は可能です。

例えば、時間制限の厳しい控訴申立てだけ行ってもらってから、内容が重要な控訴趣意書から別の先生についてもらうということもできます。第1審の先生の弁護活動に不満がある場合、また別の弁護士の話も聞きたいと思った場合には弊所の弁護士にご相談ください。

 

3 控訴の要件

384条には、「控訴の申立は、第377条乃至第382条及び前条に規定する事由があることを理由とするときに限り、これをすることができる。」と規定されています。控訴の理由としては、絶対的控訴事由(これがあれば控訴を認めなければならない事由)と、相対的控訴事由(これがあれば控訴を認めることができる事由)があります。実務では、事実誤認(第1審の裁判所がした事実認定には誤りがある)や、量刑不当(第1審の判決は、不当に重すぎるものだ)といった控訴理由が多いように思われます。判決にこのような不満がある場合には控訴を検討するといいかもしれません。

 

4 控訴した場合の量刑

検察官が控訴しない限り,第1審よりも重くなることはありません。これは、被告人が第1審よりも不利益な結果になることをおそれて控訴権の行使を差し控えることのないように、被告人の控訴権の行使を保障したものです(「不利益変更禁止の原則」といいます)。

 

5 控訴審の裁判の種類

控訴審判決は大きく控訴棄却判決と原判決破棄判決に分かれます。

控訴棄却判決とは、第1審の判決がそのまま維持される判決です。

破棄判決とは、第1審の判決が誤っていたとしてこれを破棄する判決です。破棄判決は、事件を1審裁判所に差し戻す破棄差戻し判決と、控訴審裁判所が自ら判決主文を言い渡す破棄自判判決に分かれます。訴訟記録や取調べた証拠により、直ちに判決が可能である場合には、原判決を破棄して控訴審で判決する場合があります。控訴審は、原審の判断に間違いがないかを検討する事後審的性格を持つものですから、控訴審自らが自判するのは例外的場合に限られるのが本来です。しかし、実際には審理を長引かせないようにするという理由から、破棄された場合に自ら判決を下す例は多いとされています。

 

Q 第1審で保釈されましたが、実刑判決が言い渡されました。再度保釈請求できますか?

できます。

但し、再保釈が許され場合には、第1審判決宣告前よりも高額の保釈保証金が定められることが多いです(2割~5割増程度)。また、保釈が必要な事情として単に身辺整理というだけでは認められない可能性もあるので、具体的な事情を主張する必要があります。

 

6 控訴審における弁護士の役割

① 控訴趣意書の作成

控訴審は、第1審の事後審です。基本的には、第1審の裁判を後から検討して、問題がなかったかどうかという判断をします。

控訴趣意書は、一審判決を読み込み、その論理の弱点を見つけ出し、控訴審の裁判官に対し説得的な論述をしなければなりません。先に述べたように、控訴趣旨書がそのまま控訴審の結果を左右するといえますので、弁護士の力量が最も重要なところです。

 

② 新たな証拠の収集・提出

控訴審は、第1審判決に誤りがなかったかを第1審判決時の事情を基礎として審理するものです。したがって、原則としては、第1審裁判所において取調べられた証拠に現れている事実を前提としなければなりません。もっとも、事実誤認や量刑不当を理由とする場合には、やむを得ない事由によって第1審の弁論終結前に取調べ請求することが出来なかった証拠については、証拠調べがなされることとなっています。また、第1審で取り調べや取調べ請求がされていない証拠であっても、第1審判決の当否を判断するために必要であれば、裁判所の裁量により取調べることが可能です。

さらに、量刑に有利に働く情状事実については、第1審判決後に生じた事情であっても裁判所の裁量により取調べることが可能です。たとえば第1審終結後に示談が成立した、再就職が決まった等の事情が挙げられます。

 

③ 保釈に向けての活動

逮捕・勾留されてしまった被告人の場合、控訴審でも身柄拘束が継続することがほとんどであるため、事案に応じて、釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。

また第1審では保釈が認めらていなくても、証拠調べが第1審で終わったこと、示談が成立していること、監督体制が整ったことを主張することで、控訴審では保釈が認められることもあります。

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