事後強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇万引きが強盗罪に発展した事件◇
三重県鈴鹿市のドラッグストアで商品を万引きしたAさんは、目撃した警備員から腕を掴まれてました。
Aさんは、とっさに自分の腕を振り回したところ、警備員を引きずり軽傷を負わせてしまいました。
通報を受けて駆け付けた三重県鈴鹿警察署の警察官は、Aさんを強盗致傷の容疑で逮捕しました。
Aさんは、取調べに対して、「腕を掴まれてパニックになった。」と話しています。
Aさんには前科前歴がなく、日ごろから真面目であったため、強盗致傷での逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、非常に驚いています。
(フィクションです。)
◇万引き事件で強盗!?~事後強盗とは~◇
店員に見つからないように、代金を支払わず商品を無断で持ち去る行為は、「万引き」と呼ばれます。
一般的に、万引きは「窃盗罪」に該当します。
しかし、店員や警備員に万引きを目撃され、万引き犯を確保しようとする際に、その店員や警備員に対して暴行を働いて逃げようとした場合には、窃盗罪ではなく事後強盗罪に問われることがあります。
事後強盗罪とは
事後強盗は、「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をした」場合に成立する罪です。
◇犯行の主体◇
事後強盗の主体は、「窃盗」です。
窃盗とは、窃盗の実行に着手した者をいいます。
窃盗の実行に着手していれよばく、既遂に達している必要はありません。
◇犯行の対象◇
事後強盗の客体に特に制限はありません。
必ずしも窃盗の被害者本人に加えられる必要はなく、逮捕しようとする警察官、追いかけてくる目撃者に対して暴行・脅迫を加えることも事後強盗の対象となります。
◇行為◇
窃盗の現場もしくは窃盗の機会に、暴行・脅迫がなされることが必要です。
つまり、窃盗と暴行・脅迫との間に、場所的接着性、時間的接着性、関連性が必要となるのです。
場所的接着性については、暴行・脅迫のなされた場所が、窃盗の犯行現場またはこれに接着した場所であることが求められます。
時間的接着性については、暴行・脅迫をした時点が、少なくとも窃盗に着手した以降であって、遅くとも窃盗の犯行終了後間もないことが必要です。
また、場所的、時間的に離れている場合でも、被害者に追跡され続けているような場合であれば、暴行・脅迫をしたことと、当該窃盗の事実との間に関連性があると言えます。
暴行・脅迫の程度については、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることが必要です。
◇目的◇
以上の行為を、次のいずれかの目的をもって行ったことが必要となります。
①財物を取り返されることを防ぐ目的
②逮捕を免れる目的
③罪跡を隠滅する目的
目的は内心の問題であるので、その特定に当たっては、客観的な行動に即して判断することになります。
このような目的をもって万引き犯が暴力をふるった場合には、事後強盗罪が成立し、その犯人が相手方を怪我させてしまった場合には、強盗致傷罪に問われることになります。
強盗致傷は、その法定刑が無期または6年以上の有期懲役と、かなり重い罪が科せられる可能性があります。
◇Aさんの場合◇
Aさんは、「腕を掴まれてパニックになった。」と警備員に暴力を振るった理由について話しています。
逮捕を免れるためなどといった目的ではなかったと判断されれば、事後強盗罪は成立しませんので、捜査機関による取調べには適切に対応する必要があります。
また、万引きをしたドラッグストアや、怪我をした警備員への謝罪・被害弁償を行い、示談を成立させることができれば、最終的な処分にも大きく影響することになります。
このような弁護活動は、刑事事件・少年事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
◇刑事事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が事後強盗事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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