Archive for the ‘暴力事件’ Category
名誉毀損罪と侮辱罪
名誉毀損罪と侮辱罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
インターネットの掲示板に、「地元のアイドルとして活躍しているYは、整形をしている。中学の卒アルの写真と比べたらバレバレ。」と書き込み、Yの卒業写真とみられる写真を一緒に投稿したり、「中学時代は男をとっかえひっかえしてた。清純系とかウソ。」などといった内容の書き込みが多数寄せられていることに対して、Yさんは所属事務所に相談した上で、三重県津南警察署に被害届を出しました。
後日、同警察署は、この事件の被疑者としてAさんに話が聞きたいと出頭を要請しました。
Aさんは、どう対応すべきか困っています。
(フィクションです)
他人を誹謗中傷するような内容をインターネットの掲示板やSNSに書き込んだ場合、名誉毀損罪または侮辱罪が成立する可能性があります。
以下、各犯罪について、そして両者の違いについて解説します。
名誉毀損罪
第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
◇客体◇
名誉毀損罪の客体は、「人の名誉」です。
「人」には、自然人の他に、法人、法人格のない団体も含まれます。
「名誉」とは、人に対する社会一般の評価を意味します。
本罪における「名誉」には、人の倫理的価値、政治的・学問的・芸術的能力、容貌、健康、身分、家柄など、およそ社会において価値があるとされるものが含まれますが、人の経済的な支払能力や支払意思に対する社会的評価は含まれません。
◇行為◇
名誉毀損罪の行為は、「公然と事実を適示し」て「人の名誉を毀損」することです。
「公然」とは、不特定または多数人が認識しうる状態のことをいいます。
不特定については、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいい、公道の通行人や公開の広場におけ聴衆などがこれに当たります。
多数人とは、数字によって何人以上と限定することはできませんが、単に数名では足りず、相当の員数である必要があります。
また、名誉侵害表現の相手方が特定少数の場合であっても、伝播して不特定多数の者が認識しうる可能性を含む場合にも公然性が認められます。
指摘される「事実」は、人の社会的評価を害するにたりる事実でなければなりません。
この「事実」は、真実か否か、公知か否か、過去のものが否かは問いません。
「適示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるにたりる事実を告げることをいいます。
事実を適示する方法に制限はなく、口頭、文書、写真などであっても構いません。
「名誉を毀損」するとは、人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を作ることをいい、現実に社会的地位が傷つけられたことまで必要とされません。
◇故意◇
本罪の故意は、公然と事実を適示して人の名誉を毀損することの認識・認容です。
◇違法性の特則◇
刑法第230条の2において、公共の利害に関する場合の特則規定があり、一定の場合に違法性が阻却されます。
侮辱罪
刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
◇客体◇
侮辱罪の客体は、名誉毀損罪のそれと同じく「人の名誉」です。
◇行為◇
侮辱罪の行為は、「公然と人を侮辱する」ことです。
「侮辱する」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することをいいます。
名誉毀損罪とは異なり、具体的事実を適示することなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断、批判を表現することで足ります。
具体的事実を適示した場合は、名誉毀損罪が成立することになります。
◇故意◇
事実を適示することなく、公然と人を侮辱することの認識・認容です。
以上の様に、名誉毀損罪と侮辱罪は、具体的事実の適示の有無によって区別され、択一関係にあるため、同一人に対する同一行為の場合、名誉毀損罪が成立する場合には侮辱罪は成立しません。
上記ケースの場合、誰でも閲覧可能なインターネットの掲示板に、Yさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みをしています。
ここで問題となるのが、書き込みの内容が「具体的な事実を示し」ているか否かです。
「中学時代は男をとっかえひっかえしてた。清純系とかウソ。」という書き込みについては、具体的な事実ではなく抽象的な評価を示して、Yさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みであるので、これについては侮辱罪にとどまるでしょう。
しかし、整形をしていると指摘し、中学校時代の個人写真も一緒に投稿している場合、具体的な事実を示して、Yさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みをしていると考えられ、名誉毀損罪が成立するでしょう。
名誉毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、侮辱罪は拘留又は科料と、その刑罰においても異なります。
しかし、いずれの罪も、被害者らによる告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪であるため、事件を穏便に解決するためには、被害者との示談を成立させることが重要です。
インターネットで他人を誹謗中傷し、名誉毀損罪・侮辱罪に問われており、対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
傷害事件で逮捕されたら
傷害事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県鳥羽市の路上で、口論になった相手に対して殴る蹴るの暴行を加え、怪我を負わしたとして、会社員のAさんは三重県鳥羽警察署に現行犯逮捕されました。
Aさんは当時酒に酔っていたようで、事件についてあまり覚えていません。
ただ、会社に事件のことが知られてしまうとクビになってしまうかもしれないと心配しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、何とかすぐに釈放されないかと不安でなりません。
(フィクションです。)
傷害事件で逮捕された後の流れ
傷害事件を起こし、警察に逮捕された場合、被疑者の身柄は警察署に移されます。
警察署では、事件についての取調べが行われます。
警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者を釈放するか、それとも、証拠物や関係書類と一緒に被疑者の身柄を検察庁に送ります。
逮捕後に引き続いて被疑者の身柄を拘束しながら捜査をする必要がないと考える場合には、警察は被疑者を釈放します。
傷害事件では、犯行態様、被害者の被害の程度や、被疑者と被害者との関係性、被疑者が容疑を認めているかいないかによって、逮捕後に釈放となるケースもあります。
一方、警察が検察庁に送致した場合、検察官は、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、それとも、被疑者に対して勾留を請求するかを判断します。
検察官は、警察から送られてきた証拠物や関係書類、被疑者の取調べを行った上で、被疑者の身柄を拘束したまま捜査をする必要があるかどうかを検討します。
検察官が、勾留を請求した場合には、被疑者の身柄は、裁判所に移ります。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官は、被害者と面談を行い、被疑者を勾留すべきかどうかの判断を行います。
勾留すべきではない場合には、検察官の勾留請求を却下し、被疑者を釈放します。
勾留すべきとの判断を下した場合には、被疑者は、検察官が勾留請求をした日から原則10日間拘束されることになります。
勾留は、延長することができるので、10日間の勾留の後に最大で更に10日間の身体拘束となる可能性もあります。
被疑者の身柄を拘束している場合、検察官は、その勾留期限の間に、被疑者を起訴するか、それとも不起訴で事件を処理するかを決めます。
検察官が、不起訴の決定をすると、事件は終了し、被疑者が身柄拘束されている場合には、即時釈放となります。
一方、検察官が起訴すると、被疑者は被告人となり、勾留も起訴後の勾留にかわります。
起訴後の勾留期間は、2カ月で、以降1カ月ごとの更新が認められています。
会社に事件を知られたくない
刑事事件を起こし、逮捕されたときに、本人やその家族が心配することの1つに、会社に事件が知られてしまうのではないか、ということがあります。
会社に事件が知られてしまうと、最悪の場合、懲戒解雇となってしまうおそれがあるからです。
被疑者の収入を頼りに生活をしている場合には、被疑者が長期間勾留されることにより、被疑者本人だけでなく、その家族も、大きな不利益を受けることになってしまいます。
ですので、会社に事件が知られる前に、被疑者の身柄を解放することが、被疑者やその家族にとってとても重要なポイントとなります。
上で述べたように、裁判官が勾留を決定するまでには、警察や検察官、裁判官それぞれが被疑者の身体拘束についての判断する段階があります。
その段階で、被疑者を拘束する必要がないと判断されれば、被疑者の身柄は解放されることになります。
具体的には、逮捕されてから検察官に送致されるまでの間に、警察に被疑者を釈放するよう働きかける、検察に送致された場合には、検察官に対して意見書や面談を行うことにより、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠に基づいて主張し、勾留請求をしないように働きかけます。
検察官が勾留請求をした場合には、勾留の判断をする裁判官に対して、当該被疑者については勾留の要件を満たしていない旨を主張し、勾留の決定をしないよう働きかけます。
このような働きかけにより、被疑者が勾留されずに釈放される可能性を高めることができます。
また、裁判官が勾留の決定をした場合であっても、その決定に対して不服申立を行うことにより、勾留を決定した裁判が取消され、被疑者が釈放となる可能性もあります。
逮捕から勾留の決定までの期間は短いため、勾留を回避するためには、迅速に動かなければなりません。
会社に事件のことが知られるのではと心配されておられるのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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責任能力を争う刑事弁護士
責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県志摩市で、同居する親族を殺害しようとしたとして、三重県志摩警察署は、Aさんを殺人未遂の容疑で逮捕しました。
Aさんは、精神障害を患っており、事件当時もその影響が大きかったのではないかとAさんの家族は考えています。
Aさんの家族は、事件について刑事事件専門弁護士に相談し、責任能力について質問することにしました。
(フィクションです。)
犯罪の成立
犯罪は、その行為を行った場合には刑罰が科されるべきものだと言えるでしょう。
もう少し細かく言えば、犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」です。
つまり、犯罪というのは、人の行為であって、①構成要件に該当する、②違法で、③責任がある、という3つの要件をすべて備えたもの、となります。
①構成要件該当性
刑法をはじめとするある一定の法律には、「〇〇した者は、△△年以下の懲役又は□□万円以下の罰金に処する。」といった条文が規定されています。
この「〇〇した」のように、法律により犯罪として決められた行為の類型を、構成要件といいます。
殺人罪であれば、「人を殺した」行為が構成要件です。
この構成要件を満たす場合を構成要件該当性といい、犯罪の成立を肯定するためには必要となります。
②違法性
ある行為が、構成要件に該当する場合であっても、それが違法でなければ犯罪は成立しません。
通常、犯罪として法律に規定された行為は、その行為を禁止するために犯罪として規定されていることから、本来は違法であることが想定されています。
しかしながら、ある一定の事情が存在する場合には、違法性がなく、犯罪は成立しない、ということになるのです。
違法性を失わせる特段の事情を「違法性阻却事由」といい、正当行為、正当防衛、緊急避難などがあります。
③有責性
構成要件に該当する行為を行い、その行為は違法である場合であっても、それを行ったことについて責任が認められないのであれば、犯罪の成立を肯定することはできません。
責任は、行為者に対する非難可能性であって、非難することができなければ刑罰を科すことはできない、との考えが基礎にあります。
責任があるかどうかの判断は、「責任能力」、「故意又は過失」、そして、「適法行為の期待可能性」で判断されます。
今回は、上の事例でも問題になっている責任能力について考えてみましょう。
責任能力
犯罪だとされる行為を行ったことについての責任が認められるには、行為者において、責任があるとすることができる能力、つまり、責任能力がなければなりません。
責任能力とは、「事物の是非善悪を弁別し、それに従って行動する能力」のことをいいます。
刑法は、39条で心神喪失・心身耗弱、41条で刑事未成年について規定しています。
第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
第41条 14歳に満たない者の行為は、罰しない。
心神喪失とは、精神の障害により、行為の違法性を弁識し(弁識能力)、その弁識に従って行動を抑制する能力(制御能力)を欠く状態をいいます。
弁識能力又は制御能力いずれかが欠けている場合が心神喪失となり、この場合は、責任能力が欠ける(責任無能力)ため責任が阻却されます。
心身耗弱とは、精神の障害により、弁識能力又は制御能力が欠如するまでには至っていないものの著しく限定されている状態をいいます。
心身耗弱の場合には、責任能力は認められるものの、著しく限定されているため(限定責任能力)、責任減少を認めて刑の必要的減軽が適用されます。
心神喪失・心身耗弱の判断については、病歴、犯行当時の病状、犯行前の生活態度、犯行の動機や態様、犯行後の行動、犯行以後の病状などを総合的に考察して行われます。
責任能力は、あくまでも法律上の概念であり、法律判断であるため、専門家の鑑定を行い、例えその鑑定で心神喪失や心身耗弱の状況にあるとされても、最終的に心神喪失・心身耗弱の判断を行うのは裁判官です。
弁護士は、被疑者・被告人に精神障害が認められ、その精神障害の症状が犯行に影響を与えたこと、そして、被害者・被告人を法的に非難できるかどうか、という点に重点を置き、責任能力がないこと、あるいは限定的であることを客観的証拠に基づいて立証し、責任能力を争います。
刑事事件において、責任能力が争われるケースは少なくありません。
しかし、責任能力がない、あるいは限定的であることを立証することは容易ではありません。
責任能力に疑問のある場合には、できる限り早期に刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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少年事件で観護措置回避
少年事件で観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県度会郡玉城町に住むAさん(15歳)は、友人Bさんと共謀して、知人のVさんに対して暴行を加え、財布を盗ったとして、三重県伊勢警察署に逮捕されました。
Aさんは逮捕後に、勾留が決定しましたが、高校受験を控えていることから、早く釈放されることを希望しています。
Aさんの両親は、家庭裁判所に送致された後も観護措置により身体拘束が続く可能性について警察から聞き、なんとか回避できないかと困っています。
(フィクションです。)
観護措置について
捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致することになっています。
事件を受けた家庭裁判所は、調査、審判を経て、少年に対する処分を決定します。
家庭裁判所は、事件が係属している間いつでも、観護措置をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護とがありますが、実務上、在宅観護はほとんど行われておらず、観護措置という場合には、収容観護を指すものとなっています。
観護措置の要件は、「審判を行うため必要があるとき」と少年法に規定されています。
一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。
①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。
④観護措置の必要性については、具体的に次の事由がある場合に認められるとされています。
(ア)調査、審判および決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
観護措置は、法律上、2週間で、特に継続の必要があるときに1回に限り更新が認められるとなっています。
しかし、実務上は、ほとんごの事件で更新がなされており、通常、観護措置の期間は4週間となっています。
観護措置を回避するために
観護措置は、家庭裁判所に事件が係属している間、いつでもとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとるのが通常となっています。
そのため、捜査段階で少年の身柄が拘束されている場合には、弁護士は、捜査機関から家庭裁判所に送致される日を確認し、送致される日に付添人として観護措置を回避するよう裁判官に働きかける必要があります。
家庭裁判所に事件が送致されると、裁判官は送られてきた記録に目を通し、少年と面談を行い、観護措置の決定が告知されます。
裁判官は、捜査機関から送られてきた記録(法律記録)には目を通していますが、付添人である弁護士は、記録に表れていないと思われる少年に有利な事情や少年の反省状況、被害弁償の進捗状況、保護者の監督状況、通学・就労できないことによって少年が被る不利益などの観護措置の弊害について裁判官に説明し、裁判官に対して観護措置をとらないように働きかけます。
裁判官と少年とが面談する前に、観護措置に関する意見書の提出や裁判官との面談を行い、裁判官に観護措置をとる必要がないことを認めてもらうよう活動します。
捜査段階で身体拘束されていない場合でも、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断したときは、観護措置がとれらることもあります。
そのような事態を回避するためにも、家庭裁判所に事件が送致されたタイミングで、観護措置に関する意見書を提出し、観護措置がとられることのないよう働きかけることも重要です。
観護措置が決定した場合には、異議申立てや観護措置取消の職権発動を促す申立の方法で、観護措置の決定を争うことができます。
観護措置の期間は4週間と長く、その間は学校や職場に行くことはできないため、退学や解雇といった不利益が生じることも否定できません。
そのような不利益によって、かえって少年の更生を妨げることにもなりかねず、不必要・不当な観護措置がとられることのないよう適切に対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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少年事件で身柄解放
少年事件で身柄解放に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県四日市北警察署は、三重県四日市市に住むAくん(18歳)を傷害の容疑で逮捕しました。
Aくんは、交際相手の女性に暴行を加え、怪我を負わせたとの容疑がかけられており、被害女性からの相談を受けたことで事件が発覚しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの父親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
Aくんは学生でもあるので、早期の身柄解放を望んでいます。
(フィクションです。)
少年事件における身体拘束
被疑者が20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)であっても、その身柄を確保した上で捜査が行われることはあります。
以下、少年事件における身体拘束について、捜査段階と家庭裁判所送致後の2段階に分けて説明します。
1.捜査段階
捜査段階では、通常の刑事事件と同じように、刑事訴訟法の適用を受けるため、少年であっても逮捕・勾留されることがあります。
但し、14歳未満の者については刑事責任が問われませんので、逮捕されることはありません。
勾留の要件も、成人の場合と変わりありませんが、少年を勾留請求したり、勾留する場合は、通常の勾留の要件に加えて、「やむを得ない場合」でなければならないとされています。
勾留決定に際して、接見禁止決定が付されることがありますが、少年の場合、保護者については、その対象から外れることが一般的です。
少年の場合、通常の勾留に代えて、「勾留に代わる観護措置」がとられることがあります。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されますが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求から10日であり、延長できないこと、そして、勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された事件が家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされることが、勾留と異なります。
2.家庭裁判所送致後
捜査が終了し、事件が家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が観護措置をとり、少年が少年鑑別所に収容されることがあります。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判のために、少年の身柄を少年鑑別所に送り、心身の鑑別などを行う処分です。
捜査段階で逮捕・勾留されている場合、家庭裁判所送致日に裁判官による審問手続を経て、その日に観護措置の決定がされます。
観護措置の期間は、法律上は原則として2週間とされていますが、実務上は1回更新されて4週間となるのが通常です。
心身が発展段階にある少年は、身体拘束による精神的・肉体的負担は成人と比べて大きいですし、身体拘束された結果、退学や解雇となれば、少年の将来に大きく影響する可能性も否定できません。
長期の身体拘束による不利益は大きく、不当不要な身体拘束を回避すべく、弁護士は早期の身柄解放を目指した活動を行います。
勾留阻止に向けた活動
勾留が決定する前の段階においては、弁護士は、検察官との面談や意見書の提出などの方法により、検察官が勾留請求をしないように働きかけます。
その際、弁護士は、勾留の要件を満たしていないことを指摘することに加えて、少年を勾留する場合の要件である「やむを得ない場合」には該当しないことを、具体的な事情を指摘しつつ主張します。
検察官が勾留請求をした場合には、速やかに勾留担当の裁判官と面談したり意見書を提出するなどして勾留請求却下を求めます。
勾留が決定した場合には、通常の刑事事件と同様に、勾留に対する準抗告、勾留取消請求や勾留の執行停止の申立てなどを行い、釈放を目指します。
観護措置回避に向けた活動
事件が家庭裁判所に送致される時期を見計らい、付添人選任届の提出とともに、観護措置をとる必要がない旨の意見書の提出を行い、裁判官との面談を申し入れる等し、観護措置をとらないよう裁判官に働きかけます。
観護措置が決定された場合には、不服申立の手段として、観護措置の取消し又は異議申し立てがあります。
観護措置決定の取り消し申立ては、家庭裁判所に対して観護措置の取消しの職権発動を促す申立であるのに対して、観護措置決定に対する異議申立ては、法律によって認められている不服申立権です。
以上のような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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動物虐待で器物損壊
動物虐待で器物損壊となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県度会郡南伊勢町に住むAさんは、最近、何らかの小動物が敷地内に侵入し、花壇を荒らしたり、糞をする被害に遭っていました。
Aさんは、野良猫による仕業だと思い、敷地内に罠を仕掛け、罠にかかった野良猫を痛めつけて二度とこないようにしてやろうと考えました。
Aさんは、罠にかかった猫を棒で何度も叩き、猫にひどい怪我を負わせました。
後日、三重県伊勢警察署の警察官がAさん宅に訪れ、近所の飼い猫が虐待された事件について話が聞きたいと言い、Aさんが野良猫だと思っていた猫が実は飼い猫だったことが分かりました。
Aさんは、警察沙汰になるとは思っておらず、今後どうなるのか不安です。
(フィクションです。)
動物虐待で器物損壊に問われる場合
器物損壊罪は、
刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
と規定されています。
■客体■
器物損壊罪の客体は、「前3条に規定するもののほか、他人の物」です。
「前3条に規定するもの」とは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊・同致死傷罪の客体となる物以外のすべての物で、動産、不動産を広く含みます。
動産には、動植物も含まれますが、「他人の物」、つまり、人が所有する動植物でなければなりません。
■行為■
器物損壊罪の実行行為は、「損壊」と「傷害」です。
「損壊」は、物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
例えば、食器に放尿する行為や、学校の校庭に杭を打ち込み授業その他の支障を生じさせる行為は、「損壊」に当たるとされています。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がしたりするなどして、その効用を害する一切の行為を含みます。
■故意■
器物損壊罪は故意犯であるため、罪を犯す意思がなければ罪は成立しません。
器物損壊罪の故意は、他人の物を損壊・傷害することの認識・認容です。
「この動物を傷つけてやるんだ!」と確信的な故意がある場合だけでなく、「この動物を傷つけることになるかもしれないけど、ま、いいや。」といった未必的な故意を有していた場合も、故意が認められます。
そして、「他人の物」であることの認識・認容がない場合にも故意は存在しないことになります。
動物虐待のケースで言えば、虐待の対象となる動物が誰かのペットであると知りつつ虐待行為に及んだのであれば、器物損壊の故意が認められますが、誰のペットでもない野良だと思っていたのであれば、器物損壊の故意を欠くことになります。
上のケースでは、Aさんの行為は客観的には器物損壊罪に該当する行為を行っているのですが、近所の飼い猫を野良猫と誤信しており、他人の所有する動物との認識を欠いているため、器物損壊罪の故意を欠くことになり、器物損壊罪は成立しません。
ただ、Aさんは、愛護動物である猫という認識を有していたため、動物愛護法違反に問われることにはなり、Aさんの行為が何らの罪にも問われないわけではありません。
刑事事件として立件されると、刑事手続に基づいて事件が処理されます。
事件を起こしたとされる者は、被疑者として取調べを受けたり、被告人として法廷で審理されたりします。
刑事事件へと発展してしまうと、「そんな大事になるとは思ってもいなかった…。」とその後の流れや最終的な処分について何も分からず不安になられる方がほとんどではないでしょうか。
そんな時は、まず刑事事件専門の弁護士に事件についてご相談ください。
弁護士に、ご自身の抱えている不安や悩みを相談し、適切なアドバイスを受けることで、事件解決の糸口が見つかることもありますし、抱えていた不安や悩みが大いに和らぎます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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殺人罪で逮捕
殺人罪で逮捕
殺人罪で逮捕された場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県四日市市に住むAは、高齢になる母の介護をしていました。
しかし、母は認知症も患っており、Aは介護を続けていくことは、すでに限界だと感じていました。
そこで、Aは母を殺してしまい、三重県四日市警察署に自首しました。
すでに成人し、家を出ていたAの息子は、なんとかAの実刑判決を避けることができないかと、刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです。)
~殺人罪~
刑法第199条
「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」
殺人罪のような、重い罰則が規定されている重大犯罪こそ刑事事件に強い私選弁護人を選任すべきです。
なぜなら、殺人罪のような重大事件の場合、身体拘束を受ける可能性が高く、身体拘束を受けた場合、精神的に大きな負担がかかってしまうからです。
人の命を奪う殺人罪を犯してしまったというだけでも、大きな精神的負担となるのに、さらに身体拘束によって負担がかかってしまうと、取調べや裁判で正常な判断、言動ができなくなってしまう可能性があります。
こういった事態を防ぐためにも、刑事事件に強い私選弁護人を選任し、本人の負担を少しでも軽減するようにしましょう。
刑事事件に強い私選弁護人は、保釈を含め身体解放に向けた活動も行っていきますし、もしも身体解放が叶わなかったとしても、こまめな接見(面会)を行うことなどで本人の精神的負担を少しでも軽減していきます。
また、刑事事件に強い私選弁護人を選任すれば、ご家族も不安なことをいつでも相談することができますし、接見に行った弁護人から本人の様子を聞くこともできますので、事件に対する不安が少しでも和らぐでしょう。
~殺人罪でも執行猶予判決の可能性はある~
殺人罪であっても、最終的な判決において、執行猶予判決を獲得できる可能性があります。
刑の全部の執行猶予は刑法第25条に規定されています。
刑の全部の執行猶予は、
「前に禁錮以上の刑に処せられたことのない者」若しくは、
「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又は免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者」が
「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡し」を受けたときに、
「情状により裁判確定の日から1年以上5年以下の期間その刑の執行を猶予される」
というものです。
殺人罪には「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」が規定されていますので、一見すると執行猶予判決を受けるのは、不可能にみえます。
しかし、刑の減軽があれば「3年以下の懲役」の言渡しとなる可能性があります。
刑の減軽がなされた場合、懲役刑はその長期と短期が半分になります。
有期懲役は1月以上20年以下ですので、殺人罪で刑の減軽がなされた場合、「2年6月以上10年以下の懲役」となる可能性があるのです。
今回のAについて、自首が成立する可能性は高いですし、さらに、自首等の法律上の減軽と、情状酌量による減軽は両立しますので、さらなる刑の減軽の可能性もあります。
殺人罪の弁護活動において、刑事事件に強い私選弁護人はあらゆる可能性を模索しながら事件に挑んでいきます。
また、殺人罪で起訴されてしまうと、裁判員裁判となってしまいます。
裁判員裁判では、通常の裁判とは違い、法律のプロではない一般人が参加することから、弁護人には裁判員に向けた分かりやすい主張も必要となってきますので、刑事事件に強い私選弁護人を選任するようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ならば、殺人罪などの重い刑罰が規定されている重大な刑事事件、裁判員裁判対象事件にも対応しておりますので、まずは通話料無料のフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
傷害罪でご家族逮捕されたら
傷害罪でご家族逮捕されたら
傷害罪でご家族が逮捕された場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県亀山市に住む会社員のAは、妻と子どもの3人で暮らしていました。
Aの妻は隣人とゴミ出しのことや騒音でたびたびトラブルがありました。
あるとき、ゴミの集積場でAの妻と隣人は口論となり、Aの妻が隣人を突き飛ばして転ばし、隣人は腕の骨を折る重傷を負いました。
その後駆け付けた三重県亀山警察署の警察官によってAの妻は逮捕されることになってしまいました。
妻の逮捕を聞いたAは、すぐに事情を知りたいと三重県亀山警察署に「面会をしたい。」と伝えましたが、「捜査中で明後日まで面会できない。」と言われてしまいました。
そこでAは、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に電話し、初回接見サービスを利用することにしました。
(この事例はフィクションです。)
傷害罪
刑法第204条
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
一般面会は逮捕後すぐにはできない
今回の事例のようにご家族が逮捕されてしまった場合、残されたご家族は一刻も早く面会したいと考えるかと思います。
しかし、逮捕されてから勾留が決定するまでの最大72時間については、手続きに時間制限があることもあって、一般の方が面会できることはほとんどありません。
今回の事例でもAが言われているように、数日後の勾留決定の後の面会となってしまいます。
しかし、弁護士であればこの72時間のうちであっても接見することが可能です。
特に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスでは、お電話でお手続きいただき、最短即日に弁護士を派遣することが可能です。
そして、この初回接見サービスでは、ご依頼いただいた方の伝言をお届けすることができます。
刑事事件は、ほとんどの方が初めての経験となりますので、逮捕されている方は非常に不安を感じておられます。
そんなときに、ご家族等が派遣してくれた弁護士から励ましの伝言などをもらうことができれば、励みになることは間違いないでしょう。
もちろん、弁護士からも事件の見通しや取調べに対するアドバイスもお伝えしますので、ご家族が逮捕されたと聞いたらできるだけ早く初回接見サービスをご利用ください。
傷害罪の弁護活動
初回接見サービスの後、弁護活動のご依頼をいただけば、弁護士はすぐに身体解放に向けて活動していくことができます。
逮捕されてしまった場合、その後に勾留が決定されるかどうかで引き続き身体拘束を受けるのか、釈放されるのか変わってきます。
そのため、逮捕された直後に依頼を受けた弁護士は勾留を阻止するために活動していきます。
逮捕されてしまったケースにおいて、絶対に勾留が決定するというわけではありません。
勾留は検察官が請求し、裁判官が決定することになります。
そのため、弁護士は検察官、裁判官に対して働きかけを行うことで、勾留が決定しないように活動していくことになります。
勾留されてしまった場合や、勾留が決定されている状態から依頼を受けたという場合であっても、勾留決定に対する不服申し立てである「準抗告」や「勾留取消請求」などで、早期の身柄解放を実現できるように活動を行っていきます。
刑事事件では対応が早いほどできることがたくさんあります。
傷害罪で逮捕された方や取り調べを受けておられる方、またそのご家族の方はお早めに刑事事件に強い弁護士、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回無料相談のご予約はフリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
児童虐待事件の幇助犯
児童虐待事件の幇助犯
児童虐待事件の幇助犯について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県いなべ市に住むA子は、一人で5歳の娘を育てるシングルマザーでした。
あるときから、A子は男性Bと交際するようになり、3人で同棲するようになりました。
BはA子の連れ子が気に入らず、たびたび暴力をふるうようになっていきました。
A子は娘への暴力に対して注意や制止をすればBを怒らせ、かえって事態を悪化させてしまってしまうのではないかと考え、暴力をふるうのを見て見ぬふりをしていました。
ある日、A子の娘の怪我を見て不審に思った幼稚園の先生が児童相談所に通報し、児童相談所職員が家を訪ねたことにより、職員が三重県いなべ警察署に通報したため、A子とBは傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)
傷害罪
第204条
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
~共犯~
共犯として、二人以上で共同して犯罪となる行為を実行した場合、二人とも罪に問われる可能性があります。
今回のA子も共犯として傷害罪の容疑で逮捕されてしまっています。
一般には共犯と呼ばれますが、法律上は正犯と同じ罪となる共同正犯や、犯罪をそそのかしたという教唆犯、犯罪を助けたという幇助犯など犯罪に関わったとして処罰される可能性にはさまざまなものがあります。
今回のA子が共犯となるのか、なるとすればどのような共犯となるのか検討してみましょう。
~見て見ぬふりも犯罪?~
今回のA子は直接娘に暴行を行っていませんが、Bの共犯といえるのでしょうか。
A子は娘に対するBの暴行を見てみぬふりをしていただけで、なにか積極的な行為(作為)にでていたわけではありません。
そのため、傷害罪の共同正犯や教唆犯にはならないと考えられます。
しかし、幇助犯については、例えば犯罪に使用する道具を準備するなど積極的な援助行為が該当しうるのはもちろん、正犯の行為を防止しないという消極的な行為が該当することもあるのです。
似た事実関係の過去の実際の裁判例でも、子どもを助けなければならない義務のある母親が、同棲相手の子どもに対する暴行を監視や制止という手段を用いて防止できるのにしなかったことから、そのことによって父親の犯罪の成立を容易にしたと判断され、母親に対する幇助犯の成立を認めたものが見られます(札幌高裁H12.3.16)。
同様の考え方を用いると、今回の事例でもA子が傷害行為の実行を助けたとして、傷害罪の幇助犯が成立する可能性があります。
しかし、例えばA子に傷害行為を止める手立てがなかったということが証明できる事情があれば、傷害罪の幇助犯は成立しないと主張していくことも可能です。
どういった事情がこうした主張のための材料となるかは、専門知識と実際の事件の状況や事情を突き合わせながら検討していかなければなりません。
また、幇助犯は従犯と呼ばれ、法律的に従犯の刑を減軽する、とされています。(刑法第62条、第63条)
そのため、事実に争いがある場合でもない場合でも、児童虐待事件の容疑をかけられたら刑事事件に精通している弁護士に相談しましょう。
児童虐待などの傷害事件で弁護士に相談してみたい、専門家の話を聞いてみたいという方は、刑事事件に熟達した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に、ぜひご相談下さい。
ご家族が逮捕されてしまったという方は刑事事件に強い弁護士を逮捕されている方の下へ派遣する初回接見をご利用ください。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
アルコールハラスメントで強要罪
アルコールハラスメントで強要罪
アルコールハラスメントが強要罪となってしまう場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社経営をしているAは、自身の会社の新入社員歓迎会で三重県津市にある居酒屋で会社の人たちと飲んでいました。
そこで、新入社員の一人がお酒をほとんど飲んでいないことから、お酒を勧めました。
新入社員はお酒を断りましたが、Aは「俺の酒が飲めないやつはうちの会社にはいらいない」と言い出しました。
新入社員は、仕方なくお酒を飲みましたが、後日飲酒を強要されたことから、三重県津南警察署に被害届を提出しました。
Aは三重県津南警察署から呼び出しを受け、弁護士に相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです。)
アルコールハラスメント(アルハラ)
宴会等の場でお酒が入ってしまうと気が緩んでしまいこれくらい大丈夫だろうと「俺の酒が飲めないのか」「社会人なら当然」などと言って立場の弱い人に対してお酒を飲ませようとしてしまうことがあります。
しかしこれらの行為はアルコールハラスメントとよばれ、相手を不快にさせてしまうだけでなく「強要罪」となってしまう可能性があります。
なお、相手が急性アルコール中毒などとなってしまえば、傷害罪となってしまう可能性もあるので、注意が必要です。
強要罪
強要罪は刑法第223条に規定されています。
第223条
第1項「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。」
第2項「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。」
第3項「前2項の罪の未遂は、罰する。」
今回の事例でAは、相手に対して暴行は行っていませんので、脅迫があったかどうかが問題となります。
脅迫といえば人を脅すような態度や言動と思いがちですが、ここで言う脅迫とは相手が断れないと知って何かをするようにいうことも含まれる可能性があります。
つまり会社経営者であるAから新入社員に対して「飲めなければ解雇」ともとれる発言をしていますので、強要罪における脅迫であると判断される可能性はあるでしょう。
強要罪の弁護活動
今回の事例のAのように、警察から呼び出しを受けたという場合には、無料法律相談を利用するようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談では、警察へ出頭した際の取調べに対するアドバイスや事件の見通しについてお伝えすることができます。
今後の対処や対応を検討していくうえで、事件の見通しを知ることは非常に重要となります。
刑事事件に強い弁護士の見解を聞くことで、さまざまな可能性を検討することができますし、自身がこれからどのように行動していくのか、という指針にもなります。
そして、弁護活動をご依頼いただくことになれば、出頭に同行することもできますし、被害者との示談交渉を行っていくこともできます。
強要罪の弁護活動において、被害者と示談を締結することは重要で、被害者に許してもらい、示談を締結することができれば、不起訴処分を獲得することができるかもしれません。
お酒はコミュニケーションを円滑に進めるための良い手段だという考え方もありますが、だれもがそのように考えるとは限りません。
アルコールハラスメントで訴えられそうな方、強要罪で逮捕されている方がおりましたら刑事事件に強い弁護士、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631―881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。