1 飲酒運転とは
飲酒運転は文字通り飲酒をして自動車やバイクを運転した場合に成立する犯罪です。なお、自転車の場合、酒酔い運転の罰則はありますが、酒気帯び運転にはありません。
飲酒運転は道路交通法上に規定があるのですが、道路交通法上の用語では「飲酒運転」という用語では「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分かれます。この区別については後に詳述します。
2 飲酒運転による刑罰
飲酒運転による罰則は、先に述べた「酒酔い運転」なのか「酒気帯び運転」なのかによって異なります。酒酔い運転の罰則が「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、酒気帯び運転の罰則が、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
そして、ここで注意が必要なのは、飲酒運転は反則金制度(反則金というお金を納めることによって刑事処分を回避できる制度)の対象外であるので、起訴猶予とならない限り最初から刑事処分を受けることになる点です。
3 酒酔い運転とは
アルコールの保有量に関わらず、飲酒して自動車などの車両等を運転した中で「アルコールの影響で正常な運転ができない状態」の場合、処罰の対象となります (道路交通法117条の2第1号)。アルコールの摂取量も考慮要素にはなりますが、正常な運転ができているかどうかが問題となります。アルコールの摂取量や、呼気検査によるアルコールの量も考慮はされますが、あくまで「アルコールの影響により正常な運転ができないかどうか」によって、酒酔い運転に当たるかが判断されます。
正常な運転ができているかどうかについては、直線の上をまっすぐ歩けるか、正常な受け答えができているか、視覚や運動機能が正常など客観的な指標によって検査されます。
4 酒気帯び運転とは
酒して自動車などの車両等を運転した中で、身体のアルコール保有量が、血液1mlにつき0.3mg又は、呼気1リットルにつき0.15mg以上である場合、処罰の対象となります(道路交通法117条の2の2第3号)。これは呼気検査のみによって罰則を受けるか判断されるので、例えばお酒に強い人でまったく正常な状態であっても、基準値を超えるアルコールが検出されれば酒気帯び運転によって刑事処分を受けます。
酒酔い運転と異なり、軽車両を除外する規定があるため、自転車を運転している場合には罪となりません。
5 飲酒運転に関しよくあるご質問
Q 酒気帯び運転の基準である「呼気1リットルにつき、アルコール保有量が0.15mg」は、どのくらい飲酒すれば引っかかるものですか。
A 個人差があるので、飲酒をした場合には運転をしてはいけません。
一般には日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本で酒気帯び運転になる基準値を満たすと言われていますが、アルコールの肝臓での分解の速さには個人差があり、同じ量のアルコールを飲んだとしても、人によってアルコール保有量に差があります。よって、飲酒した場合には、そんなに飲んでないから、時間が経ってだいぶ酔いがさめてきたからという理由で安易に運転をしてはいけません。
Q 飲酒運転をして人身事故を起こした場合にはどうなりますか
A 飲酒運転についての刑罰に加え、〔人身事故・死亡事故〕のページで説明しているように、危険運転致傷や過失運転致傷といった重い刑罰が予定されています。また飲酒による事故の発覚を恐れて、その場から逃走すれば〔ひき逃げ・当て逃げ〕のページで説明するように、報告義務違反や救護義務違反が成立し、さらに刑罰が重くなってしまいます。
Q 飲酒運転の際の同乗者、車両提供者にも罰則は課されますか
A 道路交通法違反となり刑事罰が課される場合があります。
【道路交通法65条】 1 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。 2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。 4 何人も、車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。 |
道路交通法65条では2項で車両を提供する者が、4項で運転を要求、依頼する者、同乗した者が処罰されると定めています。このように飲酒運転の際の同乗者、車両提供者についても刑罰が定められているので、決して飲酒した者に車両を提供したり、飲酒した者の運転する車には同乗してはなりません。
~飲酒運転の場合の弁護活動~
①示談活動
飲酒運転により事故が発生した場合には、被害者がいる犯罪であるため被害者の方との示談がポイントとなります。
示談交渉については、弁護士が間に入ることで有利には働くことがあります。個人の方を相手にする場合であっても、弁護士限りで個人情報を教えてもらえる場合もありますし、仮に連絡先を知っていたとしても、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉を行うのは困難であり、示談ができたとしても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。
②取調対応
飲酒運転事件では、運転者のみならず同乗者や車両提供者も処罰されます。しかしこれらの者が処罰されるのは運転者が飲酒していたと認識している場合です。このような認識がなければ故意がないということになります。
一般の方であれば、以上のような法的な判断について、どのような場合に危険の認識があったと認められるか十分に理解することは困難であるといえます。そして十分に理解しないまま、捜査機関の言うように作成された調書にサインしてしまえば、自分がした行為より重い罪を認めてしまっていたなど、その後の刑事手続きで不利に扱われるおそれがあります。また身体をお拘束された状態での取調べでは、早く外に出たいと考え、自分の主張とは異なる内容の調書にサインしてしまう危険もあります。
身柄事件であれば弁護士が接見することで、身体拘束のない在宅の事件であっても、弁護士と取調べ前に打合せすることで、取調べの際の注意点や、誤った調書にはサインしてはいけない等のアドバイスを受けることができます。このように弁護士をつけることで、取調べに対し適切に対応することが可能になります。
③事件全体の見通しをもって弁護活動を進める
飲酒運転に至った経緯や動機、飲酒したものの種類や量、飲酒してからの経過時間、その他の事情を精査し全体像を確認した上、適切な弁護方針をご案内いたします。逮捕直後から、飲酒運転に強い弁護士が弁護を引き受けることで、取調べへの対応も含めて一貫した弁護活動を行うことができます。
④身柄解放活動
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
⑤公判での弁護活動
事実を認めている事件であれば、監督体制の確立、車を処分するなど再犯を防止するための環境調整等を行い、被告人にとって有利な事情を主張し罰金刑や、執行猶予判決などの有利な処分を獲得することを目指します。飲酒運転を繰り返してしまっている場合には、自分の意思に反して飲酒運転を行っている場合もあるので、必要であれば専門クリニックでの矯正プログラムの検討を行うとともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポート致します。
否認事件であれば、独自に事実調査を行うとともに、証拠の収集・作成などを行い裁判において無罪や被告人の言い分通りの判決になるような弁護活動を行います。
津や四日市など飲酒運転で三重県の警察に検挙されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、三重県内の様々な交通犯罪について、刑事事件・少年事件に専門特化した弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が三重県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。