覚せい剤

1 覚せい剤の法律規制

(1)覚せい剤の定義

【覚せい剤取締法2条1項】

この法律で「覚せい剤」とは、左に掲げる物をいう。

一  フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類

二  前号に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であって政令で指定するもの

三  前二号に掲げる物のいずれかを含有する物

覚せい剤については上記のように覚せい剤取締法という法令で定義されています。覚せい剤かどうかは、その薬物が法律・政令で決められた構造を有しているかどうかで決められます。構造というのは、H2Oのような形で薬物を表現した時に、決められたパターンが存在するかどうかということです。

 

(2)覚せい剤原料

覚せい剤取締法では、覚せい剤その者だけではなく、覚せい剤の原料となるようなものの所持も禁止しています。ここでは省略していますが、原料についても法令等で定義されています。

 

(3)覚せい剤の依存性

覚せい剤を使用すると、脳内で、脳を興奮させる物質が過剰に分泌され、脳が興奮状態になり、快楽を感じることができると言われています。これが覚せい剤の依存症の原因にもなるのです。

一度覚せい剤を使用すると、一度味わった快楽が忘れられず、再び手を出してしまうということが非常によくあります。覚せい剤取締法違反者に再犯が多いのもこのためであり、再犯防止策の実施も重要になってきます。

 

2 覚せい剤取締法違反の刑罰

覚せい剤取締法は、典型的なものとして以下のような刑罰を定めています。

  1. 覚せい剤を所持・譲渡・譲り受けた場合
    →41条の2第1項により10年以下の懲役
  2. 覚せい剤を、営利の目的で所持・譲渡・譲り受けた場合
    →41条の2第2項により、1年以上の懲役または1年以上の懲役及び500万円以下の罰金
  3. 覚せい剤を輸入・輸出・製造した場合
    →41条1項により1年以上の懲役
  4. 覚せい剤を営利の目的で輸入・輸出・製造した場合
    →41条2項により、無期若しくは3年以上の懲役、又は無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金
  5. 覚せい剤を使用した者
    →41条の3第1項1号により10年以下の懲役
  6. 覚せい剤原料の所持
    →41条の4第1項3号により7年以下の懲役

ポイントとしては「営利目的」がつくと刑罰が重くなるということです。特に所持量が多い場合には「営利目的」が疑われるケースが多く。争いになるケースが多く見られます。そのようなケースではでは以下で述べるように、取調対応が重要になってきます。

なお④の営利目的の輸入等については無期懲役が刑で定められているので裁判員裁判対象事件になります。裁判員裁判対象事件の弁護活動については、対象ページで詳しく解説させていただいています。

 

3 覚せい剤取締法違反事件のよくあるご質問

Q 覚せい剤取締法違反においては量刑上どのような事情が考慮されますか。

A 使用罪については、使用量、使用回数、使用期間、使用方法等が重視され、依存性、親和性の程度を判断することになります。親和性は聞きなれない言葉かもしれませんが、覚せい剤との結びつきの強さを意味する言葉です。

所持罪については、最も重要な要素は所持の量となります。1回の使用量が0.02グラム程度のため、1グラム所持していたとしても、相当回数使用できる量ということになります。また、所持の量が多ければ、今度は営利目的があるのではないかと疑われることとなります。

 

Q 覚せい剤取締法違反事件では身柄解放が難しいと聞きましたが本当ですか。

A 必ずしもそうとはいえません。

覚せい剤事犯だからといって、特別身体解放が困難というわけではありません。覚せい剤事件では、組織的背景があることが多いこと再犯者が多いという事情がるので、保釈等の身体解放が認められにくいという事情があります。しかし、適切な取調対応や監督環境を整備して身体解放活動を行えば、保釈等の身体解放は十分に認められます。

 

Q 覚せい剤の再犯の場合、もう一度執行猶予判決を獲得することは難しいですか。

A 法律上、前の刑の執行終了から5年以上経過すれば(全部)執行猶予を付すことができますが(刑法25条1項2号)、実際には、それほど短期間で執行猶予付判決をえることは困難です。

しかし、薬物事案では治療が重要となるため、刑務所の中でなく外部も医療機関への入院や通院やカウンセリングが必要となる場合があります。そのため、いきなり刑の全部を実刑にするのではなく、刑の一部の執行を猶予とすることができる制度が導入されました。治療へ通うことへの制約や、監督委体制の整備を行えば一部の執行猶予が認められるケースもあります。

 

Q 尿検査など捜査の過程で違法があった場合、弁護士はどのような活動を行いますか。

A 行き過ぎた職務質問や捜索があった場合には、違法捜査があったとして押収された覚せい剤や尿の鑑定書などの証拠能力を排除(これらの証拠を証拠として使えないようにすること)してもらうよう裁判所に働きかけることが考えられます。実際に、捜査に違法が認められ、その際に収集された証拠の証拠能力が排除されたことで無罪となった事例あります。

 

Q 薬物から離脱するのに有効な方策はありますか。

A 薬物事犯においては、薬物の依存症となっている方が多く、治療やカウンセリングにつなげ、薬物を止められる環境を作ることが大切です。

医療機関によっては、薬物依存対策治療を専門に行っているところもあり、専門のカウンセラーの方もおられるため、このような機関との連携が必要となります。

一方、本人が治療やカウンセリングを望んでいなくても、家族が被疑者・被告人の薬物使用に悩んでいるような場合、DARCなどの自助グループに関連した薬物事件の家族会などがあります。また、各地の保健所が薬物離脱について相談に乗ってくれます。

 

~覚せい剤取締法違反事件の弁護活動~

①身体解放活動

逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。

覚せい剤事件の場合、再犯防止のための活動が有利な判決を得るために重要でありそのためには公判の段階で治療施設を見つけ、監督体制を整備して、それをアピールしていくことが必要です。そのためには早期に身体解放することが重要になります。

 

②取調対応

覚せい剤取締法違反事件では、しばしば営利目的の有無が争いになる場合があります。

特に量が多い場合には、捜査機関も営利目的を疑ってくることが通常で、誤った調書にサインしてしまうと、目的がないにも拘らず営利目的が認定され刑罰が重くなることが考えられます。また、認めている事件でも取調べに適切に対応することで身体解放が早期に認められる場合もあります。このように、取調対応が非常に重要になってきます。

身柄事件であれば弁護士が接見することで、身体拘束のない在宅の事件であっても、弁護士と取調べ前に打合せすることで、取調べの際の注意点や、誤った調書にはサインしてはいけない等のアドバイスを受けることができます。このように弁護士をつけることで、取調べに対し適切に対応することが可能になります。

 

③公判で執行猶予判決を狙う弁護活動

覚せい剤取締法違反の事件で初犯の事件の場合、再発防止策を講じることで執行猶予になる可能性はあります。執行猶予判決を獲得するためには、被告人が外の世界にいても、再び覚せい剤を使用しない・近づかないことを適切に主張する必要があります。

執行猶予判決の獲得へ向け、被疑者本人の真摯な反省や薬物依存症への治療、家族などの監督環境を整える等して、社会の中で更生するべきであることを説得的に主張していきます。実刑判決を避け、執行猶予を獲得したい場合には、すぐに弁護士へご相談ください。

 

④否認事件での弁護活動

覚せい剤の所持や譲り渡し等の事件では、たとえば中身を知らされず運ばされた場合のように、違法な物とは知らずに行った行為で検挙されることが考えられます。

覚せい剤の所持・譲渡も、故意にやった犯罪ですから、中身が覚せい剤であることを認識していることが必要です。一般に覚せい剤を所持、輸入していた場合に、覚せい剤とは認識していなかったという弁解は警察に聴きいれられることは難しく、逮捕される蓋然性が高いです。しかし、弁護人が覚せい剤でないという認識だったことを示す、証拠や証言を収集することで、認識がなかったと争って無罪を目指すことは可能です。現に覚せい剤であるとの認識がなかったことが、裁判所に認められ無罪となったケースもあります。

津や四日市など三重県の覚せい剤取締法違反事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、覚せい剤など三重県内の様々な薬物犯罪について、刑事事件・少年事件のみに専門特化した弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が三重県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。

 

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