国選と私選弁護士の違い

1 国選弁護士制度

かつて,被疑者国選制度とは,一定の重大犯罪(法定刑が死刑または無期懲役または長期3年以上の有期又は禁錮が定められているもの)につき,勾留請求がされた後から、被疑者が希望する場合に弁護士が国のお金で付けられる制度でした。

しかし,事件の重さに関わらず、身体を拘束されている被疑者には弁護士が重要な役割を果たすため,現在,罪の重さにかかわらず,勾留がつけられたすべての事件が被疑者国選の対象事件となっています。反対に言えば、逮捕はされたが勾留はついていない時点、そもそも身体拘束されていない事件では国選弁護人はつきません。

 

2 被告人国選弁護制度

逮捕等、身体拘束がなされないまま起訴され、裁判になった事件についてはそれまで弁護人がついていなかったとしても国選弁護人を付けることができます。刑事訴訟法36条では「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。

但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない」と定めています。

法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件、公判前整理手続若しくは期日間整理手続に付された事件又は即決裁判手続による事件については,必要的弁護事件(弁護士がいなければ裁判できない事件)といって,私選弁護人が選任されている場合を除き、裁判所が国選弁護人を選任します。

 

3 実際の運営

実際の運営としては,法テラスという組織と契約した弁護士を国選弁護人の候補として国に挙げ,国がその候補を指名する形となります。

なので,被疑者やその家族が,国選弁護士を自由に選ぶことはできず、就いてもらえる先生はランダムに選ばれるのです。経験が多い弁護士を希望するといった、条件を付けることもできません。

また,国選弁護士の変更を自由に許してしまうと,被疑者の意に叶った弁護士を,国費で選任することを認めてしまうため,国選弁護士の解任や辞任は原則として認められないように運営されています。

 

4 私選弁護士(私選弁護人)について

私選弁護士とは,国ではなく,私人が雇う弁護士ということになります。実際に法律事務所に相談に行ったりして、自分で契約し、自分でお金を払って付ける弁護士のことを私選弁護人といいます。

 

5 国選弁護士と私選弁護士のメリットとデメリット

以下では国選弁護人と私選弁護人のメリット・デメリットの比較を行います。大まかにいえば、国選弁護人のメリットは反対に私選弁護人のデメリットとなり、国選弁護人のデメリットは反対に私選弁護人のメリットになる裏表の関係になります。

 

(1)国選弁護士のメリット

原則,費用がかかりません(例外的にかかる場合もあります)。費用が掛からないことで、その分の費用を示談金に回したりすることも可能です。

 

(2)国選弁護士のデメリット

  1. 弁護士を選べません
    刑事弁護に詳しくない弁護士や,やる気のない弁護士,相性の悪い弁護士に当たる可能性があります(もちろん,刑事事件に明るく,やる気があり,相性のいい弁護士に当たる可能性もあります)。やる気の有無は、保釈等の請求を積極的に行ってくれない、本人が接見を希望しているのになかなか接見に行ってくれないということにつながったりもします。
  2. 在宅事件や,逮捕段階ではつけられない
    先述のように、国選弁護人がつく時期や事件には一定の制限があります。したがって、身柄拘束されていなくても,被疑事実について争いがあってアドバイスを受けたいのに弁護士がついていない,示談しておく必要があっても,国選弁護士がつかないので,必要な時に弁護士がいない、逮捕されてすぐに弁護士がついてほしいのに勾留までは会いに行ってもらえないなどの問題が生じることがあります。
  3. 被疑者・被告人の家族への報告について
    国選弁護はあくまで国から選任されているので,被疑者・被告人の家族が依頼者というわけではありません。
    なので,被疑者・被告人に対し,進捗状況を報告する必要はなく,家族が被疑者や被告人の現状を知りたがっても,選任された国選弁護士の対応次第ということになってしまいます。

 

(1)私選弁護士のデメリット

費用がかかります(事件の内容や各事務所により異なります)。

 

(2)私選弁護士のメリット

  1. 弁護士を選べます
    国選と違い,私選弁護士は依頼者が自由に選任できます。なので,自分で信頼できる弁護士を選任することができるのが私選弁護士のメリットとなります。
  2. どの段階からでもつけられます
    身体拘束されていなくても,起訴されていなくても,いつでも弁護士をつけることができます。ですので、警察介入前に示談して,刑事事件化を阻止すること、検察官が起訴する前に示談をして前科がつくことを避けること、弁護士の活動により不当な事実認定を回避できる可能性を上げることができます。
  3. こまめに報告を受けられます
    私選弁護士の場合,依頼者との関係で事件について適宜報告を受けることができます。
    ただし,依頼者と被疑者・被告人が異なる場合,刑事弁護活動のため,依頼者であっても守秘義務の関係で報告できない内容が出てくることがあります。

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