【恐喝罪(249条)】 (1項) (2項) |
1 恐喝罪とはどのような犯罪か
恐喝罪は、人を恐喝して、財物を交付させた場合や、財産上の利益を得た場合に成立する犯罪です。似た犯罪で恐喝罪よりも法定刑が重いものとして強盗罪がありますが、恐喝罪と強盗罪を分けるのは、暴行・脅迫の程度です。
恐喝とは、脅迫または暴行を手段として、その反抗を抑圧するにたりない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付を要求することをいいます。つまり、暴行・脅迫を行ったが、それが強盗罪の成立に必要な「被害者の反抗を抑圧する程度」に至らなかった場合に恐喝罪が成立するのです。
2 恐喝罪でよくあるご質問
Q 債務者がお金を返さないので、債権者が恐喝行為をしてお金を取りたてる場合にも恐喝罪が成立しますか?
A 態様にもよりますが恐喝罪が成立する可能性があります。
お金を取り立てる正当な権限があるのだから、罪に問われないのではないかと思うかもしれません。しかし、権限があるからといっても取り立てに暴行や脅迫を使っていいということにはなりません。
この点について、判例の中に「他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であり、かつ、その方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪が成立する」としたものがあります。通常、暴行や脅迫の伴う恐喝行為を行ってお金を取りたてることは、社会通念上一般に認容される程度を逸脱していることが多いと考えられますので、恐喝罪が成立することが多いと考えられます。
なお、過剰な取立ては「貸金業法」違反として、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金(又はこれを併科)の刑に処せられる可能性があります(貸金業法47条1項3号、21条1項)。
~恐喝罪における弁護活動~
①示談交渉
恐喝罪は、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります(但し、チェーンストア等、店舗によっては本社の指示により示談には応じないという態度をとるところもあります。その場合には、示談の経緯を主張することとなります)。被害弁償だけではなく、被害者が許してもよい(「宥恕(ゆうじょ)」と言います)ということになれば、一層有利な結果を導くことが可能でなります。
示談交渉については、弁護士が間に入ることで有利には働くことがあります。例えば店舗によっては被害者とは直接交渉しないが、弁護士限りであれば交渉に応じてもらえる場合もあります。また、個人の方を相手にする場合であっても、弁護士限りで個人情報を教えてもらえる場合もありますし、仮に連絡先を知っていたとしても、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉を行うのは困難であり、示談ができたとしても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。
②取調対応
恐喝罪においては、強盗罪との区別など法的に難解な点が存在します。したがって取調べに臨むにあたって、専門家である弁護士のアドバイスを受けることで、適切に取調べに対応することができます。
身柄事件であれば弁護士が接見することで、身体拘束のない在宅の事件であっても、弁護士と取調べ前に打合せすることで、取調べの際の注意点や、誤った調書にはサインしてはいけない等のアドバイスを受けることができます。このように弁護士をつけることで、取調べに対し適切に対応することが可能になります。
③身柄解放活動
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
④否認の場合の弁護活動
否認事件では、独自に事実調査を行うとともに、意見書を作成するなどして不起訴に向けて検察官に働きかけを行います。
津や四日市など三重県の恐喝事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、三重県内の財産犯罪や経済事件について、刑事事件・少年事件に専門特化した弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が三重県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。