麻薬及び向精神薬

1 「麻薬及び向精神薬」とは何か。

どのような薬物が「麻薬・向精神薬」に当たるかどうかについては、法律に定義の定めがあります。

【麻薬及び向精神薬取締法2条】

この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一  麻薬 別表第一に掲げる物をいう。

六  向精神薬 別表第三に掲げる物をいう。

このような定め方をされており、実際には法律の最後に別表という形で様々な薬物が指定されています。具体的に「麻薬・向精神薬」にあたり法律で規制がされている薬物としては、ヘロイン、コカイン、THC、LSD、MDMAなどがあります。

 

2 麻薬・向精神薬取締法違反の刑罰

  1. ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)に関する罪
    製剤・小分け・譲渡・譲り受け・交付・所持→10年以下の懲役
    営利の目的の製剤・小分け・譲渡・譲り受け・交付・所持→1年以上の懲役及び500万円以下の罰金
    輸入・輸出・製造→1年以上の懲役
    営利目的の輸入・輸出・製造→無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金
  2. ヘロイン以外の麻薬
    製剤・小分け・譲渡・譲り受け・交付・所持→7年以下の懲役
    営利の目的の製剤・小分け・譲渡・譲り受け・交付・所持→1年以上10年以下の懲役又は1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
    輸入・輸出・製造→1年以上の懲役10年以下
    営利目的の輸入・輸出・製造→1年以上の懲役に処し、又は情状により1年以上の懲役及び500万円以下の罰金
  3. 向精神薬
    輸入・輸出・製造・製剤・小分け→5年以下の懲役
    営利の目的で輸入・輸出・製造・製剤・小分け→7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金
    譲渡・譲り渡す目的で所持→3年以下の懲役
    営利の目的で譲渡・譲り渡し目的で所持→5年以下の懲役に処し、又は情状により5年以下の懲役及び100万円以下の罰金

ヘロインの営利目的の輸入等については、無期懲役の刑が定められているので裁判員裁判対象事件となります。裁判員裁判では通常の裁判と手続きも異なりますので、線藻的知識が必要になってきます。裁判員裁判の手続きについてはこちらをご覧下さい。

 

~麻薬及び向精神薬取締法違反の弁護活動~

①身体解放活動

逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。

麻薬及び向精神薬取締法違反事件の場合、再犯防止のための活動が有利な判決を得るために重要でありそのためには公判の段階で治療施設を見つけ、監督体制を整備して、それをアピールしていくことが必要です。そのためには早期に身体解放することが重要になります。

 

②取調対応

麻薬及び向精神薬取締法違反事件では、しばしば営利目的の有無や、薬物を大麻であると認識していたかが争いになる場合があります。量が多い場合には、捜査機関も営利目的を疑ってくることが通常です。また大麻の認識についても、警察が大麻と認識していなかったという言い分を信じてくれることはほとんどないのが現状です。誤った調書にサインしてしまうと、刑罰が重くなる、無実にも拘らず処罰されるといった不利益が生じてしまうおそれがあります。

また、事実を認めている事件でも、販売ルートを正直に話すなど、取調べに適切に対応することで身体解放が早期に認められる場合もあります。このように、取調対応が非常に重要になってきます。

身柄事件であれば弁護士が接見することで、身体拘束のない在宅の事件であっても、弁護士と取調べ前に打合せすることで、取調べの際の注意点や、誤った調書にはサインしてはいけない等のアドバイスを受けることができます。このように弁護士をつけることで、取調べに対し適切に対応することが可能になります。

 

③公判で執行猶予判決を狙う弁護活動

麻薬及び向精神薬取締法違反の事件で初犯の事件の場合、再発防止策を講じることで執行猶予になる可能性はあります。執行猶予判決を獲得するためには、被告人が刑務所に入らなくても、再び大麻を使用しない・近づかないことを適切に主張する必要があります。

執行猶予判決の獲得へ向け、被疑者本人の真摯な反省や薬物依存症への治療、家族などの監督環境を整える等して、社会の中で更生するべきであることを説得的に主張していきます。実刑判決を避け、執行猶予を獲得したい場合には、すぐに弁護士へご相談ください。

 

④否認事件での弁護活動

ヘロイン等の所持や譲渡の事件では、たとえば中身を知らされず運ばされた場合のように、違法な物とは知らずに行った行為で検挙されることが考えられます。

麻薬及び向精神薬の所持・譲渡も、故意にやった犯罪ですから、中身が麻薬及び向精神薬であることを認識していることが必要です。一般に麻薬及び向精神薬を所持、輸入していた場合に、麻薬及び向精神薬とは認識していなかったという弁解は警察に聴きいれられることは難しく、逮捕される蓋然性が高いです。しかし、弁護人が麻薬及び向精神薬でないという認識だったことを示す、証拠や証言を収集することで、認識がなかったと争って無罪を目指すことは可能です。現に麻薬及び向精神薬であるとの認識がなかったことが、裁判所に認められ無罪となったケースもあります。

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