身代わり出頭は犯人隠避

身代わり出頭は犯人隠避

身代わり出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県桑名市に住む主婦のA子は、大学生の息子(21歳)と夫の3人で暮らしていました。
あるとき、息子が家の車に乗って友人とドライブに行きたいと行って出かけていきました。
A子が家事をしていると、慌てた様子の息子が帰ってきました。
A子が話を聞くと息子は、友人をおろした後、自宅に向けて運転中に、他の車との接触事故を起こし、逃げてきてしまったそうです。
すでに大手企業への内定が決まっている息子が逮捕されたりしてはいけないと考えたA子は、三重県桑名警察署に自身が事故を起こしたということで、出頭しました。
しかし、取調べでのA子の供述が腑に落ちないと感じた警察官が問い詰めたところ、実はA子の息子が事故を起こしたことが発覚しました。
(※この事例はフィクションです)

身代わり出頭

誰かの犯行を自分の犯行だと言って出頭することを身代わり出頭といいます。
一般的には、交通違反や今回の事例のような交通事故の場面がイメージしやすいかと思われます。
このような身代わり出頭は刑法上に規定されている犯人隠避罪となってしまう可能性があります。

犯人隠避罪

身代わり出頭のように何らかの罪や法律違反に該当するような行為を行った者の代わりに自らが行ったと警察署に出頭するなど犯人を助けるような行為をしてしまうと、刑法第103条に規定されている犯人隠避罪が成立する可能性があります。

第103条 
「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」

犯人隠避罪の客体は、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」又は「拘禁中に逃亡した者」です。
「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」における「罰金以上の刑に当たる罪」というのは、法定刑に罰金以上の刑を含む罪を指します。
今回の事例でいえば、被害者が傷害を負っているかによってA子の息子の罰条は変わりますが、傷害を負っていなかったとしても報告義務違反(道路交通法)となります。
報告義務違反は「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」の罰則が規定されておりますので、罰金以上の刑に当たる罪となります。
そして、犯人隠避罪における「隠避」とは、「蔵匿」以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為をいいます。
「蔵匿」とは、官憲による発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を提供することですので、「隠避」には、逃走のために資金を調達することや、身代わり犯人を立てるなどの他にも、逃走者に捜査の形勢を知らせて逃避の便宜を与えるなどの場合も「隠避」に含まれます。
本罪の成立には、客体である被隠避者が罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であること、または拘禁中逃走した者であることを認識し、かつ、これを隠避することを認識すること(故意)が必要となります。
今回の事例のA子は、息子が交通事故を起こしているにもかかわらず、警察への報告義務を果たしていないことを知ってその代わりに警察署に出頭していますので、犯人隠避罪に問われることになるでしょう。

親族の特例

犯人隠避罪には、刑法第105条親族の犯罪に関する特例があります。
隠避する対象が親族であった場合、その親族の利益のために犯人隠避罪を犯したときは、その刑を免除することができると規定しています。
免除することが「できる」という規定ですので、裁判官の判断で免除される可能性がありますが、必ず免除されるというわけではありません。
そのため、親族のために犯人隠避をしてしまったが、特例が適用されるか知りたいという場合には、刑事事件に強い弁護士に相談した方がよいでしょう。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が初回無料での対応となる法律相談、逮捕されている方の下へ弁護士を派遣する初回接見を行っています。
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