いなべ市の交通事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
三重県でタクシードライバーをしているAさんは、休日を利用して家族でドライブに出かけました。
その道中である、三重県いなべ市の国道421号線を走行中に、Aさんは無意識のうちにアクセルを踏み込んでしまい、50キロ制限のところ40キロオーバーの約90キロ/h
で走行してしまい、速度取締りをしていた警察官に停止を求められました。
Aさんは、違反切符を切られてしまうとタクシードライバーの仕事ができなくなると思い、この警察官の停止命令を無視して逃走を図りました。
しかし約1キロ逃走した先にあった信号で停止したところ、追跡してきた三重県いなべ警察署の警察官によって、道路交通法違反(速度超過)の現行犯で逮捕されてしまったのです。
(フィクションです)
◇三重県いなべ警察署◇
【所在地】〒511-0206 三重県いなべ市員弁町宇野320-1
【電話番号】0594-84-0110
三重県いなべ警察署は、いなべ市と員弁郡東員町を管轄する警察署で、鈴鹿山脈と養老山脈に面しており、管内人口が7万人以下と小規模な警察署です。
管内には、非常に交通量が多いことで有名な国道一号線と東名高速道路、伊勢湾岸自動車道がはしっていることから犯罪発生件数だけでなく、交通事故も多く発生しています。
三重県警のホームページによりますと、平成30年度の刑法犯検挙人数は50人以下、交通事故発生件数は100件以下と非常に少ない数字のようですが、管内をはしる国道421、365、306号線では重点的に速度違反の取締りを行っているようです。
(三重県警察のホームページを参考)
◇事件を検討◇
~道路交通法(速度超過)違反~
日本の道路(高速道路を含む)には制限速度が設けられています。
標識によって最高速度を制限している道路(指定最高速度)もあれば、法定によって最高速度を定めている道路(法定最高速度)もあります。
何れにしても制限速度を超えて走行すれば、道路交通法の速度超過違反となりますが、一般道なら30キロ未満、高速道なら40キロ未満の速度超過であれば、基本的に交通反則通告制度(青切符)によって処理され、刑事手続きに発展することはありません。
しかし、交通反則通告制度の手続きを拒否した場合(反則金納付書の受領拒否等)や、違反を否認した場合などは、刑事手続きに移行します。
また上記以上の速度超過については、交通反則通告制度の適用を受けないために、即座に刑事手続きがとられてしまいます。
たかが交通違反と考えて、警察官の停止命令を無視して逃走したり、超過速度が大きかった場合などは、その場で現行犯逮捕されることがあるので注意しなければなりません。
~法定速度~
法定速度は、一般道と高速道路によって異なります。
(1)一般道
50CC原付を除く自動車・・・60キロメートル/h
50CC原付・・・30キロメートル/h
緊急自動車・・・80キロメートル/h
(2)高速道路
大型貨物・特殊自動車、トレーラー以外の自動車・・・100キロメートル/h
大型貨物・特殊自動車、トレーラー・・・80キロメートル/h
緊急自動車・・・100キロメートル/h
~速度超過の刑事罰~
速度超過で起訴されて有罪が確定した場合の法定刑は「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」ですが、速度超過の故意が認められず、過失が認定された場合は「3月以下の懲役または10万円以下の罰金」に軽減されます。
~速度超過の刑事手続き~
≪逮捕される?≫
速度超過は基本的に交通反則通行制度の適用を受けるので、よほど悪質でない限りは逮捕される可能性は低いでしょう。
しかし上記したように、違反を認知した警察官の停止命令を無視して逃走したり、80キロ以上にも及ぶ過度の速度超過の場合は、その場で現行犯逮捕される可能性があります。
≪逮捕されたら?≫
速度超過で逮捕されたとしても、48時間以内に釈放される場合がほとんどです。
ただ、氏名等が不詳の場合や、共犯者がいる場合などで、逃走や、証拠を隠滅するおそれがある場合などは勾留されることもあります。
≪前科になるの?≫
交通反則通行制度が適用されて、反則金を期日までに納付した場合は、交通違反歴にはなりますが、前科にはなりません。
しかし、交通反則通行制度から刑事手続きに移行した場合や、過度の速度超過によって交通反則通告制度が適用されなかった場合は、略式起訴されて罰金刑が確定した場合でも前科となります。