三重県紀宝警察署の嘱託殺人事件

嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

三重県南牟婁郡に住む無職のAさんは、長年連れ添った奥さんが数年前にガンを発症し、それ以来、自宅において奥さんの介護していますが、最近、ほとんど身体を動かすことができなくなった奥さんは「死にたい。」とよく口にしています。
Aさんは、そんな奥さんの姿を見るのが非常に辛く、精神的にもまいっていました。
そんな中、奥さんから「私を殺して楽にしてください。お願いします。」と泣きながら懇願されたAさんは、奥さんの首をネクタイで絞めて殺害してしまったのです。
そしてAさん自身も、自殺を図りましたが、死にきることができなかったので、三重県紀宝警察署に自首することにしました。
(フィクションです)

◇三重県紀宝警察署◇

【所在地】〒519-5701 三重県南牟婁郡紀宝町鵜殿1709番地2
【電話番号】0735-33-0110

三重県紀宝警察署は、三重県の最南端を管轄する警察署で、その管轄は南牟婁郡の2町(御浜町、紀宝町)と、熊野市紀和町です。
三重県紀宝警察署の管内人口は約2万人で、先日紹介した三重県熊野警察署と同じく、三重県の中では最も小規模な警察署の一つで、平成30年度の刑法犯犯罪発生件数はわずか59件と非常に少なく、年間の検挙件数は約10人です。
(三重県警察のホームページを参考)

◇同意殺人◇

Aさんの事件のように、被殺者(奥さん)から殺害を依頼されて、その依頼に基づいて実際に被殺者を殺害したら同意殺人罪となります。

刑法第202条(同意殺人)
(中略)又はその人の嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺害した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

同意殺人とは、本人の意思に反しない死の惹起に関与する行為を処罰するものです。
同意殺人は、嘱託殺罪人と承諾殺人罪に分かれます。

~嘱託殺人~

嘱託殺人とは、被殺者から行為者に対して自らの殺害を依頼して、その依頼に基づいて行為者が被殺者を殺害する事です。
当然、被殺者の自らの殺害依頼は、被殺者の真意に基づき、かつ明示的なものでなければならず、これらが欠けての殺害行為は、刑法第199条の殺人罪が成立します。
嘱託殺人罪は、被殺者による、自身に対する殺人教唆に基づく殺人罪とみることができます。

~承諾殺人~

承諾殺人は、行為者が被殺者に殺害を申し出て、行為者が被殺者の承諾を得て殺害する行為です。
承諾殺人罪は、被殺者による被殺者本人に対する殺人幇助に基づく殺人罪とみることができます。
ちなみに被殺者の承諾は、殺害行為の前になされていなければなりませんが、それは必ずしも明示的である必要はなく、黙示的でもよいとされています。

同意殺人罪は、人の命を奪うという意味で、刑法第199条に定められている殺人罪と同じですが、殺人行為自体に被殺者の同意があることから、法定刑は殺人罪に比べると軽くなっています。(殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と非常に重い。)

◇同意殺人罪の量刑◇

上記したように、人の生命を奪うという結果の重大性から、非常に厳しい刑事罰が予想される事件ではありますが、殺害に至るまでの事情が考慮されて、情状が認められた場合は、執行猶予付きの判決も十分に考えられます。
少しでも軽い刑事罰を望むのであれば、警察の取調べを受ける前に、こういった刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

三重県紀宝警察署の刑事事件でお悩みの方、ご家族、ご友人が同意殺人罪で警察に逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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