飼い犬の無登録で略式起訴された、三重県松坂市の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事例
三重県松坂市在住の自営業Aさんは、飼い犬の登録を自治体に申請していなかったとして、狂犬病予防法違反で略式起訴されてしまいました。
起訴状によると、昨年飼い始めた雑種犬6匹について、所有者としての登録をしなかったなどとしている。
(フィクションです。)
~飼い犬の無登録~
今回、上記事例のAさんが問われている「狂犬病予防法」とは、狂犬病の予防および発生時の処置について定めた法律のことをいいます。
この法律の中には、登録についても定めがあります(同4条)。
新しく犬の飼主になる場合には、飼主は犬が家に来た日から30日以内に、(生後90日以内の子犬の場合は、生後90日を経過してから30日以内に) 最寄の市区町村長に犬の登録を申請しなければなりません。
原簿に登録されると、犬鑑札を交付され、鑑札はその犬につけておくことが、義務づけられており、この登録義務を怠ってしまうと「20万円以下の罰金」に処せられてしまいます。
そのため、上記事例のAさんは、この登録義務を怠ったとして、起訴されることとなってしまったようです。
~略式起訴・略式手続とは~
検察官が略式手続を請求することを「略式起訴」と呼びます。
略式手続とは、文字通り、通常の裁判に比べて手続が簡略化された裁判手続です。
略式手続では、検察官の請求により、簡易裁判所が、公開の法廷における正式裁判によらずに、100万円以下の罰金または科料を課す手続きのことです。
略式手続は、検察官の捜査の結果の書面を元に裁判所が罰金・科料の金額を法定刑の範囲内で決めて、いつ・どこまでに納めるように指定されます。
罰金・科料を納付すれば釈放され、刑事手続きが終わります。
略式手続のメリットは、被疑者が裁判所に行く必要がなく、負担が軽減されるということです。
略式手続にはメリットもありますが、どんな事件でも略式手続にできるというわけではありません。
略式手続にするには、簡易裁判所管轄の事件であることや100万円以下の罰金・科料に相当する事件であること、略式手続によることについて被疑者に異議がないことなどの要件があります。
そのため、略式手続がとられるのは、軽微な事案で被疑者が犯罪事実を認めている場合に限られます。
飼い犬の無登録による略式起訴にお困りの場合は、略式手続の事件を数多く扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。