三重県鳥羽警察署に自首を検討

自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、志摩市にある観光ホテルでアルバイトをしています。
先日、ベッドメイキングで客室に入った際に、お客さんのカバンが室内に置きっ放しになっていたので、Aさんは、このカバンの中から財布を盗んでしまいました。
盗んだ財布から現金だけを抜き取り、財布は、ホテルの近くにある川に投棄して証拠隠滅したのですが、その日の夜に、お客さんが被害に気付き110番通報したようで、三重県鳥羽警察署の警察官がホテルを訪ねてきました。
まだ警察はAさんが犯人だと割り出せていないようですが、発覚するのも時間の問題だと諦めたAさんは、警察に自首することを考えています。
(フィクションです)

◇三重県鳥羽警察署◇

【所在地】〒517-0042 三重県鳥羽市松尾町74-4
【電話番号】0599-25-0110

三重県鳥羽警察署は、鳥羽市志摩市の2市を管轄する警察署で、その管内人口は、約7万人です。
鳥羽市と志摩市は共に観光都市として栄えており、比較的治安は平穏で、平成30年度の刑法犯認知件数は350件、検挙人数は約50人です。
(三重県警察のホームページを参考)

◇Aさんの行為◇

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

客室にあったカバンの中から客の財布を盗むAさんの行為は窃盗罪に該当するでしょう。
現金を抜いた財布を川に投棄した行為は、器物損壊行為に当たりますが、今回は投棄したのは窃盗によって得た被害品ですので、不可罰的事後行為となって、新たな罪(器物損壊罪)に問われることはないでしょう。

◇自首◇

自らの犯罪行為を捜査機関に申告すれば「自首」となることは広く知られていますが、この様な行為の全てが自首として認められるわけではありません。

刑法第42条(自首)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減刑することができる

この条文のとおり、自首が成立すると、裁判官の裁量により刑が減刑されることがあります。これを、任意的減刑といいます。
この様な、任意減軽の規定を設けている主な理由は
①犯人の悔い改めによる非難の減少
②犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にして訴訟手続きの円滑な運用に寄与
です。
そもそも自首とは、犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対して自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求めた者を意味します。
犯罪事実が発覚していても、犯人が発覚していなければ自首は成立しますが、単に所在不明であった場合には自首は成立しません。

◇「自首」と「出頭」は違う◇

「出頭」とは、犯罪事実や容疑者がすでに発覚している状態で、犯人自ら警察に出向くことをいい、法律的な手続きが存在するわけではありませんし、自首のような減軽措置が定められているわけでもありません。
ただし、出頭することで反省があるとして情状面で考慮される結果、刑が軽くなる可能性はありえます。

◇自首が成立するには◇

①捜査機関に発覚前の事件を申告すること
自首が成立するのは
・犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合
・すでに犯罪事実が発覚していても犯人が割り出されていない場合
です。
②自己の犯罪事実を告げること
捜査機関の自己の処分に委ねることを意味します。
このことから、申告の内容が犯行の一部を殊更に隠すものであったり、自己の責任を否定するものであったりするときは、自首とはいえません。
③自発的に行われること
捜査機関の取調べを受けて自白することは自首にはなりません。
ただし、ある犯罪について取調べをされている際に、捜査機関に発覚していない他の犯罪事実を申告することは自首に当たります。
④捜査機関に対する申告であること
ここでの捜査機関というのは、検察官や司法警察員を意味します。
自主の方法は、口頭でも書面などによる場合でも構いませんし、直ちに捜査機関の支配下に入る状況にある時は、電話による自首も有効であると考えられています。

自首を検討しておられる方は、刑事事件に強い弁護士に事前に相談することをお勧めします。
せっかく警察署に自ら出頭しても、状況によっては自首と認められない場合もあるので注意しなければなりませんし、絶対的に逮捕を免れるとも限りません。
三重県鳥羽警察署への自首を検討しておられる方は、警察署に出頭する前に刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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