置き引きで不起訴を目指す

置き引き事件で不起訴を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県名張市にあるコンビニに立ち寄り、コンビニ内のトイレを利用したAさんは、トイレの個室内に誰かの置き忘れた財布を発見しました。
Aさんは、その財布を持ったままコンビニを後にし、現場を離れてから財布の中身を確認したところ、現金約3万円、免許証、キャッシュカード1点、クレジットカード1点が入っていたため、現金のみを抜き、他を財布ごと草むらに投げ捨てました。
後日、三重県名張警察署の警察官がAさん宅を訪れ、事件のことで話が聞きたいと言われました。
Aさんは容疑を認めており、警察署で取調べを受けた後に、帰宅しました。
(フィクションです。)

置き引きで問われる罪は?

置き引き」とは、一般的に、置いてある他人の物を持ち去る行為のことをいいます。
お店のトイレや電車などで誰かがカバンや財布などを置き忘れてしまったものを勝手に持ち去ってしまうのが典型例です。
置き引き行為は、被害者(持ち去られた物の所有者)の占有が認定できるかどうかで窃盗罪又は遺失物横領罪となります。

窃盗罪は、「他人の財物を窃取する」罪です。
ここで言う「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」のことを意味します。
窃盗罪における「占有」は、人が物を実力的に支配する関係のことを指し、物を握持することがその典型例ですが、それ以外にも、物に対する「事実上の支配」があれば、刑法で保護する必要が高く、窃盗における「占有」が認められます。
刑法で保護される必要がある「事実上の支配」とは、物を客観的に支配している場合はもちろんのこと、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含みます。
そして、物を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態であるか否かについては、支配の事実や占有の意思という2つの要素から判断されます。
支配の事実については、持ち主が物を置き忘れてから気が付くまでの時間的、場所的接近性などが重要な要素となります。
また、占有の意思については、持ち主が物の存在していた場所をどの程度認識していたかなどについて検討されます。

通常、バッグや財布を置き忘れたようなケースでは、持ち主がすぐに気が付くことが多く、当該バッグや財布は、「他人の占有する財物」と言え、窃盗となることが多いです。
しかし、物に持ち主の占有が認められるか否かが微妙なケースでは、窃盗ではなく占有離脱物横領罪が成立する余地があるでしょう。

置き引き事件で不起訴を目指す場合

置き引きは、窃盗事犯の中でも比較的軽微な部類に属するため、被害額が少なく、被害が既に回復されており、再犯のおそれもない場合には、微罪処分となることがあります。
しかし、被害額がある程度大きく、被害回復ができていない場合には、事件は警察から検察に送られ、検察官が最終的な処分を決定します。
上記事例では、被害額から言って、検察に送致されるものと考えられます。
ですので、検察官が最終的な処分を決定するときに、不起訴処分となるよう被害の回復と再犯防止措置を講じておくことが必要です。
置き引きは財産犯であるため、被害の回復、つまり、被害者への被害弁償を行うことが重要です。
通常、被害者への被害弁償や示談交渉は、弁護士を介して行います。
捜査機関は、加害者が被害者に供述の変更を求めるなどの罪証隠滅を行うおそれがあると認め被害者の連絡先を加害者に教えることはあまりありませんし、被害者も加害者に対してよい感情はありませんので、自分の連絡先を教えたがらないことがあります。
ですが、被害者も盗まれた物の弁償を希望することがほとんどであり、弁護士を介して被害弁償や示談交渉を申し込んだ場合には、話し合いに応じてもらえることが多いです。
無論、処罰感情が高い方は、被害弁償を受けないと話し合いも断る方もいらっしゃいますので、一概に全ての被害者の方が話し合いに応じられるとは限りません。
弁護士は、被害者の方の気持ちを考慮しつつ、被害弁償や示談に応じることのメリット・デメリットを丁寧に説明し、粘り強く話し合いを続け、当事者双方が納得することができる内容となるよう尽力します。

検察官が終局処分を下すまでに、被害弁償や示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性を高めることができます。
ですので、早期に弁護士に相談し、被害の回復に努めることが重要です。

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