痴漢

1 痴漢とはどのような行為をいうか

どのような場合に痴漢にあたるかについて、一般的に、公共の場所又は公共の乗り物において、女性の身体を触る場合をさすと考えられます。

そして、刑法に「痴漢罪」という罪はありません。世間的に痴漢と呼ばれている行為については、各都道府県に規定されている迷惑防止条例に違反することになります。例えば三重県の迷惑防止条例には「粗野、乱暴又は卑わいな行為の禁止(第2条)」という規定があり、これに違反した者については「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(第15条1項1号)」という罰則が規定されています。

この後に詳しく書きますが、痴漢と一口に言っても迷惑防止条例違反になる場合だけでなく、強制わいせつ罪というより重い罰則が定められた犯罪に当たる可能性もあります。

以下では「痴漢」と書く場合には、基本的に迷惑防止条例違反に当たる行為を言うものとして、説明させていただきます。

 

2 痴漢についてよくあるご質問

Q 痴漢をした場合どのような処分になりますか

A 行為の悪質性にもよりますが、一般的には初犯で前科がない場合には、示談できれば不起訴になる可能性が高いです。一方、前科前歴がある場合、起訴される可能性が高くなります。ただ、起訴されたとしても、前科がなく、事実を認めている場合には罰金を払えば手続きを終了させられる略式手続で終わる可能性が高いです。しかし、罰金が続くと、正式な裁判を受けることとなり、実刑判決の可能性もあります。

このように、痴漢の場合に前科がつくことを避けるためには、早期に示談を結ぶことが重要になります。具体的には検察官が起訴を決定するまでに、被害者と示談することが必要です。

 

Q 痴漢の示談交渉において弁護士をつけるメリットはありますか

A 以下のようなメリットが考えられます。

痴漢は通常面識のない相手に対して行われるため、相手の連絡先を知っていることはまずありません。加害者や加害者の家族の方が警察に相手の連絡先を教えてくださいと言っても、加害者への恐怖心や処罰感情から教えてくれることは少ないです。

もし、連絡先を知ることができても被害者が会ってくれない、または示談交渉で揉めてしまうことがほとんどいっても過言ではありません。また、過大な請求をされる危険性もあります。

一方、弁護士にご依頼いただけますと、弁護士限りで被害者の連絡先等を教えてもらえる可能性があり、弁護士が間に入ることで、被害者の処罰感情が緩和され被害者とスムーズに交渉が進む可能性があります。これにより、双方の意向を組んだ妥当な金額での示談解決が可能となり、示談が締結できますと不起訴処分に大きく近づきます。

仮に起訴されたとしても、弁護士を通じて示談を試みているという事情からも有利な処分(例えば、略式起訴・執行猶予)を導く可能性が高まります。

 

Q 痴漢は被害者が告訴しなければ起訴されることはないのですか

A いいえ。

迷惑防止条例違反は親告罪ではないので、告訴されなければ起訴されないわけではありません。しかしながら、先述のように被害者と示談が成立すれば不起訴になる可能性が高いので、弁護士を通じての被害者対応は重要になります。

 

Q 公共の場所とはどのような場所をいいますか

A 「公共の場所」とは、不特定又は多数人が自由に出入りすることができる場所を指すと考えられています。典型例としては電車の中、駅のホーム、ショッピングモールの中が挙げられます。たとえ人が通っていなくても、屋外の路上も「公共の場所」にあたります。

 

Q 痴漢をして強制わいせつ罪にあたる場合もありますか

A はい、成立する場合があります。

痴漢行為それ自体が、人が抵抗できなくなるような暴行であると評価される場合には、強制わいせつ罪に該当します。しかしこの線引きは難しく、一義的で明確な基準があるわけではありません。

捜査機関の言うとおりに事実を認めてしまうと、本来迷惑防止条例違反に当たる行為をしていたにもかかわらず、強制わいせつ罪で処罰される危険もあります。強制わいせつ罪には罰金刑がないので、起訴された場合に略式起訴とはなりません。特に自分の言い分と捜査機関の疑っている行為が異なる場合には特に注意が必要です。

弁護士にご相談いただければ、強制わいせつに当たるかどうかや、取調べ対応をどのようにしていくかアドバイスをさせていただきます。

 

Q 公務員の場合に注意することはありますか

A 職場に痴漢が発覚することで懲戒を受ける可能性が高いと思われます。

職場に発覚する理由としては、逮捕された際に報道されてしまうこと、逮捕され長期の身体拘束を受け、無断欠勤が続くことから勤務先に発覚することなどが考えられます。

 

~痴漢事件における弁護活動~

1 捜査段階における弁護活動

  1. 取調対応
    弁護士が接見に行かせてもらい、虚偽の自白調書やニュアンスが違った調書が作成されないようアドバイスします。特に捜査機関の考える事件のストーリーと被疑者の考える事件のストーリーが食い違う場合には重要な活動になってきます。
  2. 被害者対応
    早期に示談交渉に着手して、不起訴処分など有利な結果を導けるように活動します。
  3. 早期の身柄開放
    逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、裁判官や検察官に身体解放を訴えていきます。身体拘束期間が短くなることで
  4. 無罪に向けた立証活動
    否認事件では、独自に事実調査を行うとともに、不起訴に向けて検察官に働きかけを行います。

 

2 公判段階における弁護活動

①情状弁護活動

少しでも有利な処分(執行猶予)がでるように活動します。具体的には、被害者への謝罪や犯行の態様が軽微であること、今後の監督体制などを裁判官にアピールしていきます。

 

②再犯防止策の構築

依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポートします(捜査段階から行うこともあります)。これは公判でも有利な事情として考慮される可能性があります。これらの成果を、裁判では証拠として提出し、裁判官に再犯防止をアピールしていきます。

⇒性犯罪を起こした方は、自分のした行為を恥じ、深い後悔をされている方がほとんどです。にもかかわらず、犯行を常習的に行ってしまう場合があります。繰り返し性犯罪で捕まった場合、反省や更生がされていないとして、重い処分がなされる可能性が高まります。しかし、そのような常習者のなかにも、犯罪行為を辞めたいと思いながら、自らをコントロールできずに繰り返してしまう方がいます。このような場合には医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みるように促します。

 

③無罪に向けた弁護活動

否認事件では、冤罪を防止すべく被害者の方に記憶違いがないかの検証・弾劾活動及び弁護側独自で有利な証拠を収集・提出できるよう活動します。具体的に目撃証言の獲得、弁護側での現場検証・犯行再現などが考えられます。

 

【参考条文】

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(三重県)

第2条2項
何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

第1号
人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること。

第15条1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第1号 第2条第2項又は第3項の規定に違反した者

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