特殊詐欺事件の受け子が逮捕

受け子が逮捕された特殊詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、2カ月ほど前にアルバイトを辞めてお金に困っていました。そんな中、地元の先輩から「いいバイトがある。」といって紹介されたのが特殊詐欺事件の受け子のバイトでした。
先輩から詳しく教えてもらっていませんが、桑名市内のアパートの一室でレターパックを受け取り、その中に入っている現金を指定された口座に入金するという仕事の内容から、Aさんは、自分が何らかの特殊詐欺事件に関わっていることは分かっていました。
しかし生活苦であったこともあり、Aさんは先輩から紹介されたアルバイトを続けていました。
その結果、アルバイトを始めて1カ月ほどして、Aさんは三重県桑名警察署詐欺罪で逮捕されてしまったのです。
(フィクションです。)

◇詐欺罪◇

詐欺罪は、他人を欺いて財産を交付させた場合に成立する犯罪です。
相手方の正常な判断能力を害する点に特徴があり、積極的に嘘をつくなどした場合のみならず、告げるべきことを告げなかった場合(不作為)でも成立する可能性があります。

振り込め詐欺に代表されるように、特殊詐欺事件は、多くの人間が事件に関与し、それぞれに役割分担がなされて、部分的に事件に関与しているケースがよく見られます。
詐欺罪が成立するには、①欺く行為、②相手方の錯誤、③錯誤に基づく財産の交付、④財産の移転という構成要件が必要となりますが、全てが一人によって成し遂げられるのではなく、それぞれに役割が分担されている場合でも詐欺罪は成立し得ます。
事件すべてに関わっていなくても、その内の一部に関与していれば、共犯として認められると、詐欺事件全体の刑責を負うことになるのです。
Aさんの場合も、レターパックを受け取り、中の現金を特定の口座に入金していたに過ぎません。
ですが、こうした行為が詐欺の一環として行われていたのであれば、詐欺事件全体についても責任があるものとして扱われます。
そして、Aさんが振り込め詐欺だと気づいていた以上、詐欺の故意も認められ、詐欺罪は成立すると考えられます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、役割の軽重を問わず罰金刑になる余地はありません。
ですので、ひとたび詐欺罪で有罪となれば、その刑は厳しいものになることが見込まれるでしょう。

◇弁護士の見解◇

何年も前から「振り込め詐欺」等の特殊詐欺事件は社会問題となっており、警察等の捜査当局は取り締まりに力を入れています。
しかし、警察に逮捕されるのは、受け子や出し子といった犯人グループの末端がほとんどで、組織の壊滅にまで捜査が及ぶケースは非常に少ないです。
その様な背景から裁判所は特殊詐欺事件の関係被疑者、被告人に対して厳しい判断を下す傾向にあります。
特殊詐欺事件の受け子で逮捕された場合、よほどの事情がない限り、勾留は免れないと考えて間違いないでしょう。
それだけでなく、事件関係者との通謀を避けるために接見禁止となる可能性も非常に高いです。
また、勾留期間中には余罪に対する捜査が行われるので、特殊詐欺事件で逮捕された場合は、勾留が20日間まで延長される可能性が非常に高いでしょう。
Aさんの場合ですと、さらにその後も、余罪の特殊詐欺事件で再逮捕される可能性が十分に考えられます。
また勾留中の捜査結果次第にはなりますが、余罪事件も含めて起訴される可能性も十分に考えられ、その場合は実刑判決が言い渡されるおそれがあります。

◇刑事弁護活動◇

特殊詐欺事件の弁護活動は、被害者との示談が重要となります。
ただ、特殊詐欺事件は通常、被害者の人数、被害金額が共に大きいのが特徴です。
また、被害者の処罰感情も強いため、限られた時間の中で、特殊詐欺事件の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースがほとんどです。
また、特殊詐欺事件の被害者は犯人に連絡先を教えたり、交渉、面会したりすることは拒否するでしょう。
そのため、特殊詐欺事件の被害者との示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきなのです。
実刑判決が科せられる可能性が非常に高い特殊詐欺事件であっても、無罪や執行猶予判決を獲得するケースもあります。
先ほど述べたように、「道具屋」や「受け子」、「出し子」などの末端関与者など様々な役割がありますし、その役割に応じて適切な弁護活動が必要となります。
特殊詐欺事件の犯人グループは、ピラミッド型に組織化していることもあり、その上層部のことを末端関与者が知らず、さらに、事件の内容も知らされず、知らない間に振り込め詐欺に関与している場合もあり、そのような受け子の犯意を否定し、無罪判決が言い渡されたケースもあります。

桑名市特殊詐欺事件でお困りの方、ご家族、ご友人が特殊詐欺事件で逮捕された方は、三重県の刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律にご相談ください。
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