犯人蔵匿事件で共犯(共謀共同正犯)を疑われている

犯人蔵匿事件で共犯(共謀共同正犯)を疑われている

犯人蔵匿事件共犯共謀共同正犯)を疑われている場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県三重郡菰野町に住むAさんは、Bさんから「三重県四日市西警察署の警察官に強盗罪の容疑で逮捕された。警察に連行されているときに隙を見て何とか逃げてきたが、他に頼る人もいないので助けてほしい」と言われました。
このBさんからの依頼を受け、Aさんは、Bさんを自宅にかくまいました。
その際、Aさんは、Bさんから対価として現金50万円を受け取っています。
その後、Bさんは捜索していた三重県四日市西警察署の警察官により逮捕されましたが、同じくAさんも犯人蔵匿罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは犯人蔵匿罪の容疑に加え、強盗罪への関与について厳しい追及を受けています。
(2020年11月6日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【犯人蔵匿罪とは】

刑法103条は犯人蔵匿罪について以下のように規定しています。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(刑法103条)。

犯人蔵匿罪は犯人の発見・身柄の拘束を妨げることを禁止しています。
刑法は犯人蔵匿罪を規定することにより、警察・検察による犯罪の捜査、刑事裁判、刑の執行など国の刑事司法作用が阻害されることを防いでいるといえます。

【犯人蔵匿罪の各要件】

以下では、犯人蔵匿罪の各要件を検討します。

上述の通り、犯人蔵匿罪は①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」又は拘禁中に逃走した者を②「蔵匿」し、又は隠避させた者に成立します。
刑事事件例ではAさんは①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」を②「蔵匿」した者に該当することと思われるので、これらの要件について詳しく見ていきます。

まず、犯人蔵匿罪の「罰金以上の刑に当たる罪」とは、刑法の条文に定められた刑(法定刑)に罰金以上の刑が含まれている罪をいいます。
刑事事件例のBさんが犯した罪は強盗罪(刑法236条)ですが、刑法236罪は「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と規定しています。
そして、懲役刑は自由刑として、罰金刑のような財産刑より重い刑であると考えられています。
よって、Bさんが犯した罪は、犯人蔵匿罪の「罰金以上の刑に当たる罪」に該当すると考えられます。

また、犯人蔵匿罪が成立するためには、客観的に罰金以上の刑に当たる罪の被疑者(容疑者)として捜査の対象となっていればよいと考えられています。
刑事事件例のBさんは三重県四日市西警察署の警察官により強盗罪の容疑で逮捕されており、強盗事件の捜査の対象となっているといえます。
よって、Bさんは犯人蔵匿罪の「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」といえると考えられます。

さらに、犯人蔵匿罪が成立するためには、Bさんの犯した犯罪が客観的に罰金以上の刑に当たる罪であれば、AさんはBさんが犯した罪名を認識しているか、又はBさんが漠然と重大犯罪を犯した者であるという認識していればよいと考えられています。
Aさんは、Bさんが強盗罪を犯した者であると認識しています。
ここに、Aさんに犯人蔵匿罪の故意(犯罪に対する認識・認容)があったといえると考えられます。

最後に、犯人蔵匿罪の②「蔵匿」とは、場所を提供してかくまうことをいいます。
刑事事件例では、AさんはBさんを、自宅にかくまっています。
よって、Aさんの行為は、犯人蔵匿罪の「蔵匿」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには犯人蔵匿罪が成立すると考えられます。

【犯人蔵匿罪と共犯】

犯人蔵匿事件は、その犯罪の性質上、刑事事件例のBさんのような(犯人蔵匿事件とは罰の刑事事件の)犯人と何らかの関係があったのではないかと疑われる可能性がある刑事事件であるといえます。
例えば、三重県四日市西警察署の警察官から、実はBさんと強盗事件について共犯(共謀共同正犯)関係にあったからこそ、Bさんをかくまったのではないかと疑われてしまう可能性もあります。

仮に、AさんとBさんに強盗罪の共謀(謀議)が認められ、さらにAさんがBさんから強盗事件の分け前(経済的利益)を受け取っているといった事情があった場合、Aさんに強盗罪を自らの犯罪として犯す意思(正犯意思)もあったと認められてしまうおそれもあります。
この場合、Aさんに強盗罪の共犯(共犯共謀共同正犯)が成立すると扱われてしまいます。

刑事事件例では、AさんはBさんをかくまう対価として現金50万円を受け取っています。
Aさんとしては、このお金が強盗事件の分け前(経済的利益)ではなく、自分はBさんの強盗事件には関与していないと主張していく必要があります。

このような主張には刑事事件や法律(刑法・刑事訴訟法など)に関する専門的な知識を持つ刑事弁護士による助言をもとになすことで、誤った表現や自白となってしまう発言を回避することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
三重県の犯人蔵匿事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

 

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