三重県亀山市の背任事件

三重県亀山市の背任事件

三重県亀山市背任事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県亀山市内にある鋼材加工販売会社(V会社)に勤めるAさんは、原材料の受注・代金の振込みを管理する仕事をしていました。
ある日、V会社が、Aさんの親族が務める会社との間で原材料の売買契約を締結した際、通常の代金が約150万円であるところ、代金約300万円での契約を締結し、現金約300万円をAさんの親族が務める会社へ振り込ませました。
V会社はこの行為を問題視し、V会社が三重県亀山警察署の警察官に被害届を提出しました。
その後、Aさんは三重県亀山警察署の警察官により背任罪の容疑で逮捕されました。
(2020年10月15日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【背任罪とは】

刑法247条は、財産犯罪のひとつとして背任罪を規定しています。

刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

背任罪の要件を分けて考えると、背任罪は、「他人のためにその事務を処理する者」(主体)が、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」(目的)で、「任務に背く行為をし」(行為)、「本人に財産上の損害を加えた」(結果)ときに成立する犯罪といえることになります。

以下では、背任罪の各要件を検討していきます。

【背任罪の各要件】

まず、背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者」です。
「他人固有の事務について、事務処理の委託を受けた者」とも言い換えることができます。
事務処理の委託の原因は、法令や契約、慣習などが考えられるでしょう。

刑事事件例では、V会社の従業員であるAさんは、顧客からの受注・納品・代金の入金を管理する仕事に従事していました。
この顧客からの注文を管理する仕事は、V会社から処理の委託を受けた事務であると考えられます。
よって、Aさんは背任罪の主体である「他人のためにその事務を処理する者」に該当すると考えられます。

次に、背任罪の成立に必要な目的は、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」です。
刑事事件例では、Aさんの親族が代表を務める会社の口座に現金約300万円が振り込まれています。
この客観的事情から「第三者の利益を図」る目的があったと推認されるでしょう。
よって、Aさんには「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」があったと考えられます。

また、背任罪の要件である行為は、「任務に背く行為」です。
この意義については、誠実義務に違反して財産を侵害する行為であると考えられています。
すなわち、背任罪の「任務に背く行為」とは信頼関係を破壊する行為であればよいので、売買、消費貸借、債務負担行為のような法律行為のみならず、秘密の漏洩のような事実行為も含まれると考えられています。

刑事事件例では、Aさんの親族が務める会社との間で原材料の売買契約を締結した際、通常の代金が150万円であるところ、代金約300万円での契約を締結し、現金約300万円をAさんの親族が務める会社へ振り込ませました。
このAさんの行為は、誠実義務に違反して財産を侵害する行為であり、背任罪の「任務に背く行為」に該当します。

さらに、ここに背任罪の結果である「本人に財産上の損害に加えた」結果が生じていると考えられます。
「本人」とは刑事事件例でいうV会社のことを指します。
Aさんの行為によってV会社には財産上の損害が発生していることから、この部分にも当てはまることになるでしょう。

なお、このAさんの行為はAさんの親族である第三者の利益を図った行為です。
また、契約の名義人はV会社であり、また反対債権はV会社に帰属しているため、Aさんの名義(法律的効果が帰属すること)又は計算(経済的利益が帰属すること)で処分したわけではありません。
そのため、自己の利益を図ったり、自己の名義・計算で行ったりした場合とは違い、業務上横領罪ではなく、背任罪が成立すると考えられます。

【背任罪と刑事弁護活動】

刑事事件例では、V会社が三重県亀山警察署の警察官に被害届を提出したことが、本件背任事件についての捜査の端緒となっています。

背任事件のような被害届や告訴が提出されている事件では、被害者の方と示談締結の有無が重要となります。
被害者の方との示談締結ができれば、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる余地が生じると考えられます。

そこで、弁護士としては、背任事件の被害者の方、本件でいえばV会社の担当者の方と連絡を取り、速やかに示談交渉を開始することができると考えられます。
そのためには、背任事件が発覚してからすぐに活動を開始することが求められますから、背任事件にお困りの際はお早めに弁護士に相談・依頼されることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
三重県亀山市背任事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

 

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