金商法違反(無登録営業)の逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
三重県四日市市に住むAさんは、無登録で、三重県内の投資会社の名をかたり、高配当をうたった架空の金融商品で現金を集めました。
しかし、現金をAさんに渡したうちの1人が、配当が滞ったことをきっかけにAさんの話を疑問に思い、三重県内の弁護士に相談したようです。
この弁護士が、Aさんを刑事告発したことから警察が捜査を開始し、その結果、Aさんは無登録で金融商品取引業をしていることが発覚してしまい、Aさんは、金商法違反(無登録営業)の容疑で、警察に逮捕されてしまいました。。
(フィクションです。)
◇金商法違反(無登録営業)◇
金融商品取引法(金商法)では、金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができないと定められています(金商法29条)。
そもそも金融商品取引業とは、有価証券やデリバディブの販売や勧誘、投資運用や顧客資産の管理といった行為を業として行うことを指します。
こういった金融商品取引業に関し、無登録で金融取引を行った場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はその両方が科せられます(金商法197条の2第1項第10の4号)。
Aさんは無登録で金融商品の売買を行っているわけですから、行為は金商法違反(無登録営業)となる可能性が高いです。
なお、Aさんは投資会社の名前をかたって架空の金融商品で現金を集めていることから、金商法違反だけでなく、刑法の詐欺罪にも当たる可能性があります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、こちらも重い法定刑が定められています(刑法246条)。
前述のとおり、金商法違反(無登録営業)は決して軽い罪ではありません。
こうした金商法違反事件は、今回の事例のように配当が滞るなどしたことをきっかけに警察に無登録営業が発覚し、刑事事件化することも多いです。
そして、関係者が多いことなどから、逮捕されて身体拘束をされたうえで捜査されることも珍しくはありません。
さらに、金商法の無登録営業の罪は、無登録で金融商品を販売した場合に直ちに成立するものであり、被害者も存在せず、いわゆる「形式犯」に当たります。
金商法違反(無登録営業)のような形式犯で逮捕され、刑事事件化した場合、警察は、形式犯での逮捕を足掛かりに、より重い罪名の犯罪で再逮捕することを企図していることが考えられます。
例えば、さきほど挙げたような詐欺罪で再逮捕等をして捜査の手を広げる可能性もあるでしょう。
◇弁護士に相談◇
こうしたことから、無登録営業の金商法違反事件では、捜査が長期化することも考えられ、そうした長期戦に自分だけで臨むのは、被疑者本人にとっても、その周囲の方にとっても非常に負担の大きいことであるといえます。
こういった時こそ、刑事事件のプロフェッショナルである弁護士を頼りましょう。
金商法違反(無登録営業)事件の依頼を受けた弁護士は、Aさんに取調べ対応の助言をするとともに、実質的に被害を受けた出資者に連絡を取り、損失を填補する交渉をするといった活動を行うことになるでしょう。
弁護士は、逮捕状に記載された被疑事実だけでなく、取調べの様子などから、事件全体を見て警察の意図を予測し、それに応じた適切な対応します。
難しい事件だからこそ、捜査の早い段階で弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無登録営業による金商法違反などの刑事事件にお困りの方のご相談も受け付けております。
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