同意があっても未成年者誘拐罪になってしまう
未成年者誘拐罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県伊勢市に住む会社員のAは、SNSを通じて知り合った女子大学生(18歳)とやりとりをするようになっていました。
その女子大生は実家で暮らしており、両親との関係が悪化したことで家を出ようかと悩んでいることを聞きました。
あるとき、女子大生はついに両親とケンカしたようで、あてもなく家を飛び出してしまいました。
そこで、事情を聴いたAは、その女子大生を自宅でかくまうことにし、数日共に過ごしていました。
しかし、女子大生の家族が捜索願を出したことで、三重県伊勢警察署が捜査を開始することになってしまいました。
捜査の結果、Aの家に女子大生がいることが発覚し、Aは自宅を訪れた三重県伊勢警察署の警察官に未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aの逮捕を聞いたAの両親は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
弁護士によると、Aは、女子大生が望んでいたことなのに、なぜ誘拐した罪に問われているのか疑問のようです。
(この事例はフィクションです。)
未成年者誘拐罪
未成年者誘拐罪は、刑法第224条に規定されており、文字通り、未成年者を誘拐した者について成立します。
「誘拐」とは、対象者をだましたり誘惑したりして、従来の生活環境から離れさせ、自分の支配下に置くことを言います。
この際に、だましたり誘惑したりするのではなく、暴行や脅迫を手段として連れ去った場合には、「誘拐」ではなく「略取」と呼ばれる犯罪となります。
未成年者誘拐罪で起訴されて有罪が確定すると、「3月以上7年以下の懲役」が科されることになります。
罰金刑が規定されていない重い罪となっていますので、未成年者誘拐罪を疑われてしまった場合は、刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。
なお、未成年者誘拐罪の未成年者とは、20歳未満の者です。
児童買春、児童ポルノ法の児童や各都道府県で規定されている青少年健全育成条例の青少年にあたる18歳未満と混同してしまわないように注意しましょう。
同意があっても未成年者誘拐罪に
さて、今回の事例のAは、18歳の女子大生を誘拐したという、未成年者誘拐罪の容疑をかけられ逮捕されています。
しかし、Aも不思議に思っているように、被害者である女子大生は家出して、自らの意思でAのもとに居る状態でした。
このように未成年者の同意がある場合でも、未成年者誘拐罪は成立しうるのでしょうか。
未成年者誘拐罪は、未成年者本人に同意があったとしても成立する可能性があります。
未成年者誘拐罪で保護されているもの(保護法益)についてみてみるとその理由もあきらかになってきます。
一般に、未成年者誘拐罪は、未成年者の自由だけではなく、保護者の監護権、すなわち、保護者が未成年者のそばで世話をする権利も守っているとされています。
未成年者を保護者の許可なく連れ出すことは、この監護権を侵害することになってしまうのです。
そのため、たとえ未成年者本人の同意があり、望んでいたとしても未成年者誘拐罪となってしまう可能性があるのです。
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