あおり運転で傷害罪が適用された男に実刑判決

傷害罪で実刑判決が言い渡された、名阪国道で起こったあおり運転によるひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

今年6月、三重県亀山市の名阪国道で、大型トラックを運転していた男性被告人は、前方を走行する乗用車に幅寄せした上、乗用車にトラックを接触させて、運転手に軽傷を負わせて逃げたとして、傷害罪と道路交通法違反の罪に問われていました。
この事件の裁判で、津地方裁判所は、男性被告人に懲役1年8カ月の実刑判決を言い渡しました。
(本日配信の三重テレビ放送を参考にしています。)

社会問題となっている「あおり運転」に対して傷害罪が適用されて、実刑判決が言い渡された実際の事件です。
当初、警察は、危険運転致傷罪の疑いで男性被告人を逮捕していましたが、津地方検察庁「トラックを凶器とした暴行と認められる」と判断し、あおり運転による接触事故を、故意的な暴行行為と判断して、傷害罪で起訴したようです。
警察は、あおり運転の取締りを強化しており、悪質なあおり運転に対しては道路交通法だけでなく、あらゆる法令を適用して厳罰化が図られている最中の判決ですので、今後の同様の事件に大きく影響する判決ではないでしょうか。

◇道路交通法違反◇

① 車間距離を必要以上に詰める行為(車間距離所持義務違反)

道路交通法第26条で、運転手には、急ブレーキ等の不測の事態にも対応できるだけの十分な車間距離をとって車を走行させることが義務付けられています。
これに違反して、車間距離を十分に開けずに車両を走行させると、車間距離所持義務違反となります。
罰則規定は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

② 隣の車線に車を幅寄せする行為(進路変更禁止違反)

道路交通法第26条の2で、車線変更の方法等について規定されています。
この規定に違反して、危険な車線変更や進路変更をした場合は、進路変更禁止違反となり、その罰則は、5万円以下の罰金です。

③ 急ブレーキをかける行為(急ブレーキ禁止違反)

道路交通法第24条で、走行中の急ブレーキや、急な減速が禁止されています。これに違反して、急ブレーキや急な減速をした場合、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。。

このように、あおり運転は、上記したような道路交通法違反が適用されることとなります。

◇道路交通法違反以外の適用例◇

~暴行罪・傷害罪~

あおり運転が社会問題化されて、警察庁は、全国の警察に対して、道路交通法違反だけでなくあらゆる法令を適用して、あおり運転の取締りを強化するよう指示しました。
そんな中、あおり運転が刑事事件化された際に適用される可能性が最も高いのが「暴行罪」です。
暴行罪は、刑法第208条に定められた犯罪で、その法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
こういった暴行行為の結果、相手に傷害を負わせた場合は傷害罪の適用を受けます。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~危険運転致死傷罪~

あおり運転が社会問題化される原因となった「東名高速道夫婦死亡事故」は、危険運転致死傷罪が適用され、第一審では有罪判決(懲役18年)が言い渡されています。※被告人の控訴中
危険運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条に規定されている犯罪です。
通常の交通(人身)事故は、過失運転致死傷罪が適用されますが、故意の危険運転によって交通事故を起こし、被害者を死傷させた場合は罰則規定の厳しい危険運転致死傷罪が適用されることとなります。
危険運転致死傷罪の法定刑は、被害者が死亡した場合「1年以上の有期懲役」で、被害者が傷害の場合「15年以下の懲役」です。

~殺人罪~

昨年7月に大阪府堺市で起こった、あおり運転による交通死亡事故には「殺人罪」が適用されています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。

~強要罪~

最近では、今年の夏ごろに世間を騒がせた常磐自動車道におけるあおり運転事件が、みなさんの記憶に新しいのではないでしょうか。
この事件では、走行中の車の前で急停車した車の運転手が「強要罪」で逮捕されています。
強要罪とは、刑法第223条に規定された犯罪です。
その内容は「 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する」ことで、法定刑は「3年以下の懲役」です。

三重県亀山市の刑事事件でお困りの方、名阪国道におけるあおり運転事件でお困りの方は、三重県内の刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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