鈴鹿市の放火事件①

鈴鹿市の放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、仕事のストレスを解消する目的で、誰も住んでいない近所の空き家に放火しました。
空き家は全焼しましたが、近隣に燃え移ることなく、負傷者も出ませんでした。
しかし、犯行の様子を近所の人に目撃されていたらしく、後日、Aさんは非現住建造物等放火罪で、三重県鈴鹿警察署逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

先日、京都府内にある京都アニメーションのスタジオが放火され、スタジオ内にいた34名の方が死亡する放火事件が発生し、連日、新聞やテレビのニュース等で大きく報じられています。
これほど多くの犠牲者が出ている放火事件は珍しく、平成以降では最大規模だと報じられています。
そこで本日は、三重県の刑事事件を専門に扱っている刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が、放火事件について解説します。

◇「放火」とは◇

放火とは、故意的に目的物に点火もしくは、媒介物に点火することで目的物(建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑、その他の物)を焼損するだけでなく、何らかが原因で出火した際に、容易に消火する機会がありながら消火することなく延焼させることです。
ちなみに不注意による失火(過失)で火災が起きた場合は、失火の罪に問われる可能性があり放火とは異なります。
放火の罪は、焼損する物や、焼損する物の状況、周囲の状況によって適用法令が異なりますので、これから各法律について解説します。

◇現住建造物等放火◇

現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑に放火した際に適用される法律です。
この法律は刑法第108条に定められており、人の生命、身体及び財産に対して重大な損害が生じることから、その法定刑は「死刑または無期若しくは5年以上の有期懲役」と非常に厳しいものです。
現住建造物等放火罪は、抽象的危険犯であるため、客体を焼損すれば成立し、公共の危険を現実に発生させる必要はありません。
また、積極的な放火行為だけでなく、容易に消化できる機会がありながら、消火作業を怠り延焼させたときなど不作為による場合も現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。

◇非現住建造物等放火罪◇

非現住建造物等放火とは、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑に放火し、焼損することです。
ちなみに「現に人が住居に使用せず」「現に人がいない」とは、犯人以外の者を意味するので、犯人が独り暮らししている住居に放火した場合は非現住建造物等放火罪となります。この法律は刑法第109条に定められており、放火されて焼損した建造物等が他人所有の場合と、自己所有の場合によって法定刑等が異なります。

他人所有の非現住建造物等放火罪の場合

他人所有の非現住建造物等放火罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
現住建造物等放火罪ほど厳しいものではありませんが、初犯であっても実刑判決の可能性がある厳しいものです。
他人所有の非現住建造物等放火罪は、現住建造物等放火罪と同様に抽象的危険犯であるために、公共の危険が発生する必要はなく、未遂犯も処罰の対象となります。

自己所有の非現住建造物等放火罪の場合

自己所有の非現住建造物等を放火した場合、公共の危険が生じた場合にのみ刑事罰の対象となります。
その場合の法定刑は「6月以上7年以下の懲役」です。自己所有の非現住建造物等放火罪のような法律を具体的危険犯といい、未遂の処罰規定はありません。

本日は、現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪について解説しました。
次回は、その他の放火に関する法律等について解説します。
三重県内の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が放火事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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