泥酔者に対する準強制わいせつ罪

泥酔者に対する準強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

三重県名張市に住む会社員のAさんは、近鉄電車を利用して大阪市内の会社に通勤しています。
先日、仕事終わりに会社の同僚と大阪市内で飲酒して、最終電車に乗って家路につきましたが、電車に乗ってすぐに眠り込んでしまいました。
そしてしばらくして目を覚ますと隣に若い女性が座っていました。
女性は酔払って眠っており、Aさんの方にもたれかかってきたのですが、その状態がしばらく続くとAさんはムラムラしてしまい、女性の身体を引き寄せて胸を触りました。
それでも女性が目を覚まさないことをいいことに、更にAさんは、女性にキスをしたのですが結局、終点の名張駅まで女性が目を覚ますことはありませんでした。
しかし、電車内の犯行を目撃していた乗客が駅員に通報したことから、Aさんは名張駅で駅員に声をかけられ、その後、通報で駆け付けた三重県名張警察署の警察官によって、準強制わいせつ罪で逮捕されました。
(フィクションです。)

◇準強制わいせつ罪◇

準強制わいせつ罪は、刑法第178条1項に規定されている法律で、その内容は、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をすることです。

準強制わいせつ罪でいうところの「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断力を失っている状態をいい、催眠や泥酔、精神耗弱、麻酔等の状態にあることを意味します。
また「抗拒不能」とは、上記した心神喪失以外の理由で心理的・物理的に反抗の不能な状態にあることです。
最近では、整体マッサージ店において、整体師の施術を受けている患者が、その最中に、整体師から、施術とは関係なく不必要に身体中を触られた事件で、準強制わいせつ罪が適用された事件がありますが、この事件は、被害者である患者が、心理的に反抗が不能な状態にあったと認められたと考えられます。
また準強制わいせつ罪でいう「わいせつな行為」とは、刑法第176条に規定されている強制わいせつ罪でいうところの「わいせつな行為」と同じで、性欲の刺激を目的とする行為であって、他人の羞恥の感情を抱かせる行為を意味します。

~事件を検討~
今回の事件の被害女性のように、泥酔して熟睡している状態は、準強制わいせつ罪でいうところの「心神喪失」といえるでしょう。
また当然、Aさんの被害女性に対する行為についても、わいせつな行為といえるでしょうから、Aさんの行為に対して準強制わいせつ罪が適用されると考えて間違いないでしょう。

◇準強制わいせつ罪で逮捕されると◇

準強制わいせつ罪で逮捕されると、逮捕から48時間は警察署の留置場に収容されて、連日、警察官による取調べを受けることとなります。
そして48時間以内に検察庁に送致されて、勾留の必要が認められると、10日~20日間は引続き身体拘束を受け、警察官や検察官の取り調べを受けることになります。
そして勾留の最終日に起訴されるかどうかが決定するのですが、起訴された場合は、裁判で判決が言い渡されるまで身体拘束が続きます。

◇釈放されるの?◇

準強制わいせつ罪で警察に逮捕されたとしても、弁護士の活動によって釈放を早めることができます。
起訴前であっても、勾留決定を阻止したり、すでに決定した勾留に対する異議申し立てによって身体拘束から解放できる可能性があります。
また起訴された場合は、起訴直後から保釈を請求することができ、裁判官が保釈を認めた場合は、保釈金を納付することによって、裁判中であっても釈放することができます。

◇準強制わいせつ罪の弁護活動◇

準強制わいせつ罪の法定刑は、強制わいせつ罪と同じく「6月以上10年以下の懲役」です。
各都道府県の迷惑防止条例違反となる痴漢の法定刑が「6月以下の懲役若しくは50年以下の罰金」であるのに比べると非常に厳しいことが分かると思います。
起訴された場合は、初犯であっても犯行形態が悪質であったり、被害者感情が強かったりすれば実刑判決が言い渡される可能性があるので注意しなければなりません。
逆に、被害者との示談が成立している場合は、不起訴であったり、執行猶予付きの判決によって服役を免れれる可能性があり、犯行を認めている場合の、主な刑事弁護活動は被害者と示談締結に向けた活動となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、電車内の準強制わいせつ事件のような刑事事件の弁護活動を専門にしている法律事務所です。
三重県名張市の刑事事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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