保釈で釈放を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
特殊詐欺に関与したとして、三重県尾鷲警察署は県外に住むAさん(22歳)を逮捕しました。
Aさんは、その後10日間の勾留に付され、いつ釈放になるのか気が気でなりません。
Aさんの両親は、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
特殊詐欺事件における身体拘束
特殊詐欺事件では、逮捕後に勾留される可能性は非常に高いです。
勾留は、逮捕後引き続き比較的長期間の身体拘束の必要があるときに、被疑者の身柄を拘束する裁判とその執行のことをいいます。
この勾留には、起訴される前の「被疑者勾留」と起訴された後の「被告人勾留」とがあります。
被疑者勾留は、先に逮捕されていなければならないこと、検察官の請求によること、保釈が認められないこと、勾留期間が原則10日間(延長が認められれば最大で20日間)という点で、被告人勾留とは異なります。
勾留の要件は、①勾留の理由があること、及び、②勾留の必要性があること、の2つです。
①勾留の理由とは、(a)被疑者・被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ、(b)住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、の少なくとも1つに該当することです。
特殊詐欺事件は、組織的に行われることが多く、釈放すれば、組織の人間と口裏を合わせたり、証拠を隠したりする可能性が考えられるため、罪証隠滅のおそれが認められる傾向にあります。
②勾留の必要性についてですが、これは、勾留の理由はあるけれども、勾留によって得られる利益と、勾留によって被疑者・被告人が被る不利益とを比べたとき、不利益がより大きい場合には、勾留の必要性に欠けるとして、勾留請求を却下することとされています。
以上の要件を満たす場合に、被疑者・被告人は勾留されることになります。
保釈について
特殊詐欺事件では、勾留される可能性が高く、捜査段階で釈放されることはそう多くはありません。
しかしながら、起訴された後であれば、保釈を利用して釈放される可能性はあります。
保釈は、保釈保証金の納付を条件として、被告人の身柄を解放する決定とその執行のことをいいます。
保釈には、①必要的保釈、②任意的保釈、③義務的保釈の3種類があります。
①必要的保釈
裁判所は、保釈の請求があったときは、次の場合を除いては、保釈を許可しなければなりません。
(a)被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
(b)被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣言を受けたことがあるとき。
(c)被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
(d)被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(e)被告人が、被害者その他事件の審理に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(f)被告人の氏名又は住居が分からないとき。
特殊詐欺事件では、窃盗罪や詐欺罪で起訴されることが多く、これらの罪の法定刑は(a)に該当しますし、(d)も該当すると判断される可能性があります。
そのような場合でも、②の任意的保釈により保釈が認められることがあります。
②任意的保釈
保釈の請求が上の(a)~(f)に該当し、必要的保釈が許されないときであっても、適当と認めるときには、裁判所は職権で保釈を許すことができます。
任意的保釈が認められるためには、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれがないこと、そして、身体拘束が続くことによって被告人が被り得る健康上、経済上、社会生活上の不利益や公判に向けた準備が十分にできないことを客観的証拠に基づいて主張し、裁判所に認めてもらわなければなりません。
③義務的保釈
勾留による拘禁が不当に長くなったとき、裁判所は、保釈請求権者からの請求、または職権によって、決定で勾留を取消し、または保釈を許可しなければなりません。
捜査段階での身柄解放が困難な特殊詐欺事件であっても、起訴後であれば保釈により釈放される可能性は十分あります。
身体拘束による不利益を最小限に抑えるためにも、起訴後すぐに保釈請求をし、早期に釈放となるよう動くことが重要です。
そのような活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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