刑事裁判と判決の確定

刑事裁判と判決の確定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇刑事裁判で有罪判決◇

津地方裁判所で、過失運転致傷罪の罪で有罪判決を受けたAさん。
言い渡された刑は、懲役1年執行猶予3年でした。
Aさんは、この判決がいつ確定して、確定したらどのような効果が生じるのか、公判後に弁護人に質問しました。
(フィクションです)

◇刑事裁判について◇

「裁判」というのは、裁判所または裁判官の意思表示的な訴訟行為のことです。
この裁判は、様々な観点によって次のように分類することができます。

(1)裁判の形式による分類

①判決
裁判所による裁判を「判決」といい、原則として口頭弁論に基づいてなされます。
判決に対する不服申立ての方法は、「控訴」と「上告」です。

②決定、命令
裁判所による裁判を「決定」といい、裁判官による裁判を「命令」といいます。
判決とは異なり、口頭弁論に基づいて行う必要はありません。
「決定」に対する不服申立ての方法は「抗告」、「命令」に対する不服申立ての方法は「準抗告」です。

(2)裁判の内容による分類

①実体裁判
申立ての理由の有無について判断をする裁判を「実体裁判」といいます。
刑事訴訟においては、公訴の理由の有無について判断をする裁判のことを指します。
つまり、有罪判決や無罪判決が実体裁判に当たります。

②形式裁判
「形式裁判」というのは、申立ての有効・無効についてい判断をする裁判のことです。
つまり、手続上の要件が存在しないために不適法だという判断を示すものです。
刑事訴訟法は、形式裁判を「管轄違い」、「免訴」、「公訴棄却」の3つに分けて規定しています。

被告事件について、犯罪の証明があったときは、判決で刑を言い渡すか、もしくは刑の免除をしなければなりません。
有罪判決を言い渡すをするには、「罪となるべき事実」、「証拠の標目」、そして「法令の適用」を示さなければなりません。
「罪となるべき事実」とは、犯罪の構成要件に該当する具体的事実、責任の存在、構成要件の修正形式に当たる事実、処罰条件の存在、共謀共同正犯における「共謀」等をいいます。
「証拠の標目」は、その証拠の同一性を示す標題・種目のことです。
この証拠の標目は、罪となるべき事実について必要となります。
「法令の適用」とは、主文の刑が導き出される法令上の根拠を明らかにし、また未決通算など主文において付随的な処分が言い渡されているときは、その法令上の根拠を明らかにすることをいいます。

また、裁判所は、事実の認定および法令の適用とともに、刑の量定を行わなければなりません。
法定刑から刑種を選択し、加重減軽を行い処断刑を導き出したら、情状などを考慮した上で宣告刑を決めます。
さらに、執行猶予や保護観察を付すか否かも決めます。

一方、被告事件が罪とならないときや被告事件についての犯罪の証明がないときには、裁判所は無罪判決を言い渡さなければなりません。

◇判決の確定について◇

裁判長が公判廷において裁判(判決)を宣告したことをもって、裁判は外部的に成立することになります。
判決を宣告したことをもって直ちに判決が「確定」したとは言えません。
裁判が通常の不服申立方法によって争うことができなくなる状態を「裁判の確定」といいます。
具体的には、上訴期間を過ぎたとき、上訴を放棄・取り下げたとき、上訴棄却の裁判が確定したときに裁判が確定します。
裁判が外部的に成立すると、その裁判を行った裁判所自身に対する拘束力が生じますが、その裁判は不服申立ての結果により覆る可能性もあります。
しかし、裁判が一度確定してしまうと、通常の不服申立方法によっては争うことができなくなります。

無罪または有罪判決がひとたび確定すれば、再び同じ事件で実体審理を受けることはできません。
この原則を「一事不再理効」といいます。

◇刑事裁判に強い弁護士◇

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