三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕されたら
三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
三重県伊勢市に住むAさんは、同じく三重県伊勢市内にあるV建設会社の工事現場の敷地内で、V建設会社が管理する電線約50メートル(約2万円相当)を切断して盗み取りました。
V建設会社からの被害届を受けた三重県伊勢警察署の警察官はAさんを窃盗罪の容疑で逮捕しました。
三重県伊勢警察署の警察官によると、三重県伊勢市内では同様の手段による電線の盗難が5件発生しており、三重県伊勢警察署の警察官はAさんに余罪があるとみてAさんを厳しく追及する姿勢を見せています。
窃盗罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、三重県伊勢市にも対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月29日に佐賀新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【窃盗罪とは】
「他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪が成立すると10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
窃盗罪における「窃取」とは、他人が事実上支配(占有)する財物を、その事実上の支配(占有)者の意思に反して自己の事実上の支配(占有)に移転させる行為をいいます。
刑事事件例では、AさんはV建設会社が事実上支配(占有)する電線を、事実上の支配(占有)者たるV建設会社の意思に反して、Aさんの事実上の支配(占有)に移転させています。
よって、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪と余罪(詐欺罪・窃盗罪)】
ところで、刑事事件例においては、Aさんは窃盗した電線を中古品買取業者などに買い取ってもらい、その売買代金を領得した可能性が考えられます。
その際、例えばAさんが、電線が盗品であることを隠し、中古品買取業者を騙して電線を買い取らせたというような状況も考えられます。
とすると、Aさんには新たに(余罪として)詐欺罪が成立すると考えられますが、Aさんには窃盗罪のみならず、それに関連する詐欺罪は成立するのでしょうか。
なお、ここでは余罪とは、現に逮捕されている罪以外の犯罪を意味します。
結論から言えば、窃盗罪とは別個に新たに犯罪が成立すると考えられます。
その理由は、端的に言えば、窃盗罪では処罰しきれていない違法性があるからです。
このことをより詳細に検討するには、先に成立する窃盗罪と新たに成立するように思われる詐欺罪はいかなる関係を持つことになるのか、窃盗罪で処罰しきれていない違法性とは何か(反対に窃盗罪で処罰しきれている違法性とは何か)を考える必要があります。
まず、窃盗罪は、一旦犯罪が成立すると以後違法な状態が継続すると考えられています。
これは、例えば窃盗した財物を保持し続ければ違法状態は継続することを想起すれば、「一旦窃盗罪が成立すると以後違法な状態が継続する」と理解できると思います。
そして、窃盗行為に引き続き犯された犯罪行為が、窃盗罪の成立により予定される違法状態の範囲内といえる場合、新たな犯罪行為は既に窃盗罪の成立により評価されていると考えられます(なぜなら、上述のように、窃盗罪は、一旦犯罪が成立すると以後違法な状態が継続することを前提に刑を定めているからです)。
例えば、窃盗行為により領得した財物を損壊する行為は、窃盗罪の成立後も継続する違法状態の範囲内にあると考えられています。
そのため、窃盗行為により領得した財物を損壊しても、器物損壊罪(刑法261条)は成立することなく、窃盗罪のみが成立することになります。
一方、窃盗罪に引き続き犯された犯罪行為が、窃盗罪の成立により予定されている違法状態の範囲外にある場合、換言すれば新たに法益(刑法を定めることにより守られる利益)を侵害する行為であるといえる場合、新たな犯罪行為は窃盗罪の成立により評価されているとは考えられないことになります。
そのため、窃盗罪とは別個に新たに犯罪が成立することになります。
刑事事件例において、Aさんが、電線が盗品であることを隠し、中古品買取業者を騙して電線を買い取らせたというような場合、新たに中古品買取業者の財産(売買代金)が詐取されることになります。
ここに新たな法益の侵害があると考えられ、この法益侵害は窃盗罪では評価され尽くしていないものであるといえます。
よって、Aさんには窃盗罪とは別個に、詐欺罪が成立すると考えられます。
また、刑事事件例において、三重県伊勢市内では同様の手段による電線の盗難が5件発生しています。
Aさんが上記窃盗事件を起こしていた場合、Aさんにはそれぞれの窃盗事件に応じて窃盗罪(余罪)が成立すると考えられます。
以上のようにAさんには詐欺罪や窃盗罪などの余罪が成立する可能性があります。
刑事弁護士としては、三重県伊勢警察署の警察官による厳しい余罪取調べへの対応について専門的な観点から助言したり、窃盗事件(余罪となる窃盗事件も含む)や詐欺事件の被害者との示談を進めたりすることができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。