傷害行為が正当防衛になるのか

傷害行為が正当防衛になるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇傷害事件◇

中古車販売店で働いているAさんは、仕事終わりに販売店の店長の家に招かれ、二人で酒を飲んでいました。
そこで酒に酔った店長から勤務態度を注意されたことに腹を立てたAさんは、店長に反抗する態度をとってしまいました。
するとAさんは、急に店長から胸倉を掴まれて壁に身体を叩きつけられたのです。
恐怖を感じたAさんは思わず、テーブルの上にあったコップで、店長の頭を殴りつけてしまいました。
この行為で、店長が頭部を裂傷し出血する傷害を負ったので、Aさんは救急車を呼んで病院まで付き添いました。
店長を診察した医師が三重県亀山警察署に通報したことから、Aさんは傷害罪で警察の取調べを受けています。
Aさんは、自分の行為が「正当防衛」に当たるのではないかと考えています。
(フィクションです)

◇傷害罪◇

傷害罪とは、刑法第204条に定められている法律で、暴行等によって人の身体に傷害を負わせることで成立します。
今回の事件でAさんは、被害者である店長の頭部をコップで殴打しているので、暴行行為が認められますが、相手を傷害させる方法は、必ずしも暴行行為だけに限られません。
無形的な方法や、不作為による傷害もあり得るのです。
性行為の相手に対して、故意的に性病を感染させたり、人を恐怖に陥れて精神障害を引き起こしたりする行為であっても傷害罪が適用されることがあります。

~傷害罪の量刑~

傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すれば、行為の悪質性や、被害者の傷害の程度、加害者の反省、更生の見込みなどによって、法定刑内の刑事罰が科せられることになりますが、暴行の程度が軽く、被害者が軽傷である軽微な傷害事件の場合は、略式起訴によって罰金刑になることが大半です。
ただ再犯であったり、反省の情が認められない場合は、そのような軽微な傷害事件であっても起訴されて、正式裁判で刑事罰が決定することもあります。

~傷害事件の減軽~

傷害事件を起こしてしまって刑事罰の減軽を望むのであれば、被害者との示談を最優先することをお勧めします。
被害者に謝罪し、怪我の治療費や慰謝料を支払うなどの賠償をして示談していれば、刑事罰の減軽が望めます。

◇正当防衛◇

正当防衛とは

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為

のことで、刑法第36条に明記されているとおり、正当防衛が認められると違法性が阻却されて、犯罪は成立せず、刑事罰が科せられることはありません。

今回の事件で、確かにAさんは、酒に酔った店長から、急に胸倉を掴まれて壁に身体を叩きつけられる暴行を受けています。
これは、正当防衛でいうところの「急迫不正の侵害」に該当するでしょう。
ただ、店長の頭をコップで殴りつける行為が「やむを得ずにした行為」に該当するかどうかは、当時の状況や、店長とAさんの対格差、普段からの人間関係などに左右されるでしょう。

◇過剰防衛◇

正当防衛を規定した刑法第36条の2項に過剰防衛が規定されています。

過剰防衛は、防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除するといった内容で、正当防衛の要件を満たしていることを前提にして、防衛行為が行き過ぎた場合に適用されます。

◇傷害事件の正当防衛に強い弁護士◇

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、これまで数多くの傷害事件を扱い、正当防衛を主張してきた実績があります。
自身の起こした傷害事件で不安のある方、傷害事件で正当防衛を主張したい方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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