【少年事件】線路に置石をして逮捕

線路に置石をして逮捕された少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇15歳の息子が置石で逮捕された◇

三重県名張市の公立中学校に通うA君(15歳)の父親のもとに、三重県名張警察署の警察官から電話がかかってきました。
その内容は「三重県名張市内を走る私鉄電車の線路に置石のいたずらをしたA君を逮捕した。」というものでした。
A君は置石をしたところを警察官に目撃されて、その場で逮捕されたようです。
(フィクションです)

◇線路に置石をするとどのような犯罪が成立するか◇

往来危険罪(刑法第125条1項)が成立する可能性があります。
往来危険罪は、鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせる犯罪です。
「往来の危険」とは、汽車、電車の脱線、汽車、電車の転覆、衝突、破壊など、その往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態をいいます。
したがって、上記の実害が生じたことは必要なく、具体的状況から判断して実害が発生するおそれのある状態が生じれば既遂に達します。
置き石は「その他の方法」の典型例ということができるでしょう。
通常、使用中の鉄道のレールに置き石をすれば、その時点で往来危険罪は既遂に達し、石が列車通過前に除去され、あるいは列車により石が弾き飛ばされ、何らの実害も生じなかったとしても、未遂に留まることはありません。
法定刑は2年以上の懲役(20年以下)となっており、かなり重い犯罪ということができます。

◇少年法の適用◇

A君は15歳の少年ですから、少年法の適用があります。
少年法による手続は、原則として刑罰を科すことを目的とするものではなく、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分及び少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています(少年法第1条)。
そのため、原則として各犯罪が定める刑罰(たとえば往来危険罪なら2年以上の懲役)は科されません。

◇保護処分◇

保護処分は、家庭裁判所の審判により言い渡されます。
保護処分の種類には

①少年院送致
②保護観察処分
③児童自立支援施設または児童養護施設送致

があります。

少年院送致は、少年院への収容により身体拘束を伴い、特別な場合以外は外出できません。
短くて4カ月以内、平均で1年程収容されることになります。
児童自立支援施設に収容された場合は、原則として少年の居室に鍵をかけることはできませんが、少年が頻繁に逃亡を繰り返すなどの事情が認められる場合には、鍵付きの部屋に入れられることもあります。

児童自立支援施設送致が言い渡される少年は、非行性が比較的進んでおらず、どちらかといえば、少年の素質よりも、家庭環境に問題があるケースが多いです。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせてその自立を支援することを目的としており、特に非行少年を対象としているわけではありませんので、ケースのA君に児童養護施設送致が言い渡される可能性はかなり低いと思われます。

保護観察処分の場合、社会に戻ることができますが、成人するまで保護観察所の保護司の指導を受けて更生に取り組むことになります。

◇事件解決を弁護士に依頼◇

ケースにおいては、起こした犯罪がかなり重い犯罪であることから、少年院送致もありえます。
少年院に送致されると、しばらく社会に戻ることができず、学業にも影響が生じます。
少年院においても教育は行われますが、その水準がこれまで通っていた学校と同等とは限りません。
ですので、社会内で更生を目指す保護観察処分を是非とも獲得したいところです。
保護観察処分を目指すに当たっては、社会に戻ったAくんに改善更正が期待でき、再び非行を繰り返す心配がないことを、家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。
そのためには、A君の周囲を取り巻く環境(保護者との関係、交友関係など)を調整し、さらにA君自身において内省を深め、心から反省する必要があります。
審判決定がなされるまでどのように行動すべきか、綿密に弁護士と検討しましょう。

◇少年事件に強い弁護士◇

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件においては成年における刑事手続きと異なり、特殊かつ複雑な手続きが予定されており、法律の専門家に意見を求めることには大きな意義があります。
お子様が往来危険罪の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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