Archive for the ‘暴力事件’ Category

介護疲れから妻を殺害~殺人罪?同意殺人罪?

2019-10-25

介護疲れから殺害に及んだ夫に問われた殺人罪について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

伊賀市に住むAさんは、4、5年ほど前から「老年期精神病」と診断された妻を自分一人の力で介護していました。
Aさんは、それまで妻を施設に預けるなどしていたのですが、妻の言動が激しく、周囲の入所者に迷惑がかかるなどとの理由で施設に預けることができなくなったのです。
そんなある日、Aさんは自宅で転倒し、腕の骨を折る骨折の怪我を負ってしまいました。ケガをしたことで悲観的になったAさんは、「この状態では妻を介護することはできない。」「いっそのこと死んでしまおう。」と考え、まず妻を殺してから自分も自殺することを思いつきました。
Aさんは自宅に置いてあった延長コードを妻の首に巻いて締め付け、妻を殺害しました。
その後、Aさんは近くの高所の橋げたに足をかけ飛び降り自殺しようとしましたが、通行人に見つかって制止されました。
そしてAさんは、110番通報によって駆け付けた警察官に自殺しようとするに至った事情を聴かれるうち、妻を殺害したことが発覚し、殺人罪で逮捕されてしまいました。
Aさんは逮捕後接見した弁護士に「妻が死にたいと言っていたので殺した。」などと話しています。
(フィクションです)

◇殺人の罪◇

殺人の罪については刑法199条で殺人罪、刑法201条で殺人予備罪、刑法202条で自殺関与罪、同意殺人罪が規定されています。

刑法199条
 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法201条
 第199条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

刑法202条
 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人の嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

◇自殺関与罪、同意殺人罪◇

刑法202条の「~自殺させ」までが自殺関与罪、それ以降が同意殺人罪に関する規定です。
同意殺人罪は、嘱託殺人(罪)、承諾殺人(罪)とも呼ばれています。

自殺は本来不可罰とされています。
しかし、自分の命をどうするのかは他人の手に委ねられるべきものではなく、自分自身で決めるものです。
また、命の断絶について他人の手に委ねることをよしとする世の中としてしまうと、他に生きる選択肢があるにもかかわらず、容易に死を選択してしまう世の中になってしまうとも限りません。
そこで、他人の命を絶つことはやはり違法とし、処罰することとしているのです。

「教唆した自殺させる」とは、自殺の意思のない者に自殺を決意させて、自殺を遂行させることをいいます。
「幇助して自殺させる」とは、既に自殺の決意のある者の自殺行為に援助を与え、自殺を遂行させることをいいます。

「嘱託を受け」とは、被害者から積極的に殺害を依頼されること、「承諾を得て」とは、被害者から殺害されることについての同意を得ること、をいいます。
嘱託・承諾があったといえるためには、

①被害者自身が行ったものであること
②事理弁別能力(ある物事の実態やその考えられる結果などについて理解でき、自ら有効な意思表示ができる能力で、責任能力とは意味を異にします。)のある被害者の自由かつ真実の意思に出たものであること
③被害者の殺害に着手する前になされたものであること

が必要です。

この点、本事例では、妻はすでに「老年期精神病」に罹患していたというのですから、妻が殺害されることについて、妻の自由かつ真実の意思があったかに疑問符が残ります(上記②の点)。
また、被害者が「死にたいなど」と言って死を受け入れる覚悟はできていたとしても、死を受け入れることと他者から殺害されることに同意することは次元の異なる話ではないでしょうか?

◇介護疲れからの殺害では執行猶予付き判決も望める◇

上記のとおり、殺人罪の刑が非常に重たく、裁判で有罪とされれば実刑が原則です。
ところが、介護疲れからの殺人であれば、執行猶予付き判決を受けることも多くあります。
裁判所は、被告人に酌量すべき情状がある場合は殺人罪の刑を減軽することができます(殺人罪の懲役刑(5年以上の懲役)を減軽したときは、5年以上の懲役が10年以下2年6月以上の懲役となります)。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
伊賀市の刑事事件・少年事件でお悩みの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間年中無休で、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。

暴行事件が検察庁に送致

2019-08-30

暴行事件が検察庁に送致された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、三重県鈴鹿市のスーパーの駐車場において、車の駐車方法を巡ってガ警備員とトラブルになりました。
警備員の言葉使いが気に食わなかったAさんは、この警備員に対して胸倉を掴んだり、身体を押す等の暴行を働きました。
後日、警備員が三重県鈴鹿警察署に「暴行」の被害届を提出したらしく、Aさんは警察署に呼び出されて取調べを受けました。
Aさんは暴行の事実を認めており反省しているので、警察署の取調べが終われば刑事手続きは終了すると思っていましたが、取調べを担当した警察官から「事件を検察庁に送致するので、後日、検察官から呼び出しがある。」と言われたのです。
Aさんは、その後の刑事処分が不安で三重県の刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

◇暴行罪~刑法第208条~◇

Aさんの行為は、刑法第208条に定められている「暴行罪」に当たります。
法律的に、暴行罪とは「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかった」ときに成立する犯罪です。
この法律でいう「暴行」とは、人の身体に不法な有形力を行使することで、殴る、蹴る、掴む、身体を押すといった、人の身体に対する直接的な行為だけでなく、足元に石を投げたり、室内で刃物を振り回したり、耳元で太鼓を叩いたりする行為であっても「暴行罪」が成立する可能性があります。
また、最近では「あおり運転」が社会問題となっていますが、車を運転中に、自車を走行する車に急接近したり、急ブレーキをかけて後方を走行する車を、自車に追突させようとする行為についても「暴行罪」が適用される可能性があります。

~暴行罪の量刑~

暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
暴行罪の法定刑は、刑法の中でも、比較的軽い法定刑となっており、条件を満たせば微罪処分の可能性もあります。
微罪処分を望むのであれば、検察庁に事件が送致されるまでに被害者と示談するなどして、被害者の宥恕を得る必要があるでしょう。
Aさんのように、警察から検察庁に事件が送致された場合は、検察官が正式に起訴か、又は略式起訴による罰金刑にするのか、若しくは不起訴処分にするのかを決定します。
偶発的な暴行事件ですと、初犯であれば、示談がなくても不起訴処分となる可能性がないわけではありませんが、被害者との示談があれば不起訴処分は確実なものとなるでしょう。

◇送致(書類送検)◇

Aさんのように暴行事件を起こして、不拘束で警察の取調べを受けると、取調べ等の警察捜査が終了すれば検察庁に事件が送致されます。
この手続きを書類送致若しくは書類送検といいます。
送致される検察庁は、三重県内に、津地方検察庁をはじめとして、同地方検察庁の支部が5カ所、その他、区検察庁が9カ所あります。
鈴鹿市の暴行事件の場合ですと、鈴鹿区検察庁に送致されるでしょう。

◇三重県内の検察庁◇

津地方検察庁、津区検察庁、鈴鹿区検察庁・・・三重県津市中央3番12号 津法務総合庁舎
津地方検察庁松阪支部、松阪区検察庁・・・三重県松阪市中央町36番地2
津地方検察庁伊賀支部、伊賀区検察庁、桑名区検察庁・・・三重県伊賀市上野丸之内169番地
津地方検察庁四日市支部、伊勢区検察庁・・・三重県四日市市三栄町4番21号 四日市法務合同庁舎
津地方検察庁伊勢支部、伊勢区検察庁・・・三重県伊勢市岡本1丁目1番13号 伊勢合同法務庁舎
津地方検察庁熊野支部、熊野区検察庁、尾鷲区検察庁・・・三重県熊野市井戸町673番地の7 熊野法務合同庁舎

鈴鹿市内暴行事件を起こしてしまった方、自身の刑事事件が検察庁に送致されてしまった方は、三重県内の刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
三重県内の刑事事件に関する無料法律相談についてはフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

傷害事件の刑事責任能力を争う

2019-08-26

傷害事件の刑事責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、会社の上司と四日市市内の居酒屋にお酒を飲みに行き、そこで泥酔してしまいました。
そのためAさんは、事件当時の記憶がほとんどありませんが、居酒屋内で泥酔したAさんは、居酒屋のトイレ内に寝込んでしまい、介抱しようとした店員に対して、掴みかかり殴りつける等の暴行をはたらいてしまったのです。そして店員はAさんの暴行によって、全治2週間の傷害を負ったようです。
Aさんは、通報で駆け付けた三重県四日市警察署の警察官によって逮捕され、現在は留置場に入っています。
(フィクションです。)
お酒を飲んで記憶をなくした経験のある方もいるかと思いますが、その様な状態に陥った際に、何らかの犯罪を犯してしまうと、刑事任能力が問題になります。
本日は、刑事責任能力について解説いたします。

◇責任能力◇

刑事責任能力については、刑法第39条に明記されています。
その内容は
①心神喪失者の行為は、罰しない。(刑法第39条1項)
責任能力が認められず、犯罪を犯した場合でも刑事罰が科せられることはありません。
②心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。(刑法第39条2項)
有罪が確定して言い渡される量刑において、その症状が考慮されて減軽されることとなります。
です。

心神喪失とは、「精神の障害により行為の是非や善悪を判断する能力がない状態」をいいます。
それに対して心神耗弱とは、「精神の障害により行為の是非や善悪を判断する能力が著しく減退した状態」です。
そして、精神の障害の典型例としては、統合失調症やそううつ病、知的障害、アルコールや薬物の影響等が挙げられます。

今回のAさんの行為は、店員に暴行し傷害を負わせているので、傷害罪が成立することは間違いありません。
しかし犯行時、Aさんは、記憶を失うほどお酒に泥酔していますので、その状態が「心神喪失」や「心神耗弱」であると判断されれば、傷害罪の刑責を免れる可能性があります。

◇責任能力の判断方法について◇

一般に責任能力があるかどうかは、犯行当時の精神障害の状態、犯行前後の行動、犯行の動機、態様などを総合的に考慮して判断されます。
そして本件のように飲酒しての犯行であればどの程度酔っているかが重要な要素になると考えられています。

酩酊の程度については、一般的な酩酊状態である「単純酩酊」と、それを超える程度の「異常酩酊」の状態があるとされます。
そして異常酩酊の中にも、激しく興奮して記憶が断片的になる「複雑酩酊」と、意識障害があり幻覚妄想などによって理解不能な言動が出てくる「病的酩酊」の二つの状態があります。
これはあくまで判断の目安に過ぎず、それぞれの境界は明確ではありません。
しかし、一般的には、単純酩酊であれば完全な責任能力が認められる、すなわち刑法第39条のいう「心神喪失」や「心神耗弱」には当たらないとされる可能性が高いです。
そして、複雑酩酊の場合は心神耗弱状態、病的酩酊の場合には心神喪失と認められる可能性が高いと言われています。
では、飲酒の際の暴行を覚えていなければ直ちに異常酩酊であると認められるかというとそうではなく、様々な事情が総合的に判断されます。
したがって、それまでの行為に至るまでの理由や犯行後の行動に何か異常であると認めらる事情がなければ、「単純酩酊」状態であるとされ、責任能力は認められると思われます。
 
今回の事件ですと、逮捕直後にAさんのアルコール検知を行った際の数値や、事件前にAさんがどの程度のお酒を飲んでいたのか、またAさんの飲酒量や酒癖、さらには、事件に至るまでの状態等を、徹底的に捜査されて責任能力が判断されるでしょう。

アルコールを口にした上で刑事事件を起こしてしまう方は少なくありません。
その様な方のほとんどは、警察等の取調べ時に、アルコールによる影響で「記憶が曖昧です。」「覚えていません。」と供述するようですが、なかなか警察等の捜査当局にこの供述は受け入れられず、否認事件と捉えられてしまいがちです。
お酒を飲んだうえで刑事事件を起こしてしまった方は、刑事責任能力を争えるかどうかを、専門家を交えて検証し、捜査に臨むことによって、必要以上の不利益を回避することができるでしょう。

お酒を飲んで暴行、傷害事件を起こしてしまった方、ご家族、ご友人が三重県四日市警察署逮捕されてしまっている方は、三重県内で起こった刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談、初回接見サービスをフリーダイヤル0120-631-881(24時間対応)で受け付けておりますのでお気軽にお電話ください。

傷害事件の流れを解説

2019-08-02

◇事件◇

桑名郡木曽岬町で廃品回収業を営んでいるAさんは、仕事中にトラックを運転していた際に、前方を走行する車の男性運転手とトラブルになりました。
最初は口論だったのですが、相手の男性があまりにも横暴な態度であることに腹を立てたAさんは、思わず男性の顔面を拳骨で一発殴りつけてしまったのです。
Aさんは、男性にケガをさせるつもりはありませんでしたが、男性は、Aさんの暴行によって、鼻から出血していました。
男性から「警察を呼ぶから待っとけ。」と言われたAさんは、このままだと逮捕されてしまうかもしれないと不安で、その場から車で逃げてしまったのです。
Aさんは今後のことが不安で、刑事事件に強いと評判の弁護士に傷害事件の流れを相談しました。(フィクションです。)

◇傷害罪◇

人に暴行をして、相手に傷害を負わせると「傷害罪(刑法第204条)」が成立します。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、傷害罪で有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることになります。
傷害罪で刑事罰を受けた場合、それは前科として経歴が残ってしまいますが、傷害罪で警察の捜査を受けたとしても、検察庁に送致されなかったり(不送致)、起訴されなかった(不起訴処分)場合は、前科になりません。

◇傷害事件の流れ◇

被害者が、被害届や告訴等によって警察に被害を届け出ると、警察が捜査を開始します。
事件を認知した警察は、まず被害者から被害状況を聴取したり、事件現場周辺の監視カメラや防犯カメラを精査したり、目撃者を探して目撃状況を聴取したりして事件を裏付けると共に、犯人の割り出すための捜査を行うでしょう。
そして警察の捜査によって、Aさんが犯人だと割り出されると、警察はAさんを逮捕するかどうかを判断します。
警察は、罪証隠滅や逃亡のおそれだけでなく、前科前歴の有無、生活環境(仕事や家族の関係)、素行等を総合的に判断して、Aさんを逮捕するかどうかを決定するのです。

~逮捕されなかった場合~

逮捕の必要がないと判断された場合、Aさんは、警察署に呼び出されて、警察官の取調べを受けることになります。
取調べでは、犯行に至った経緯や、犯行の情況等を聴取されるだけでなく、事件と全く関係ないと思われる身上関係まで聴取されて、その内容を調書に記載されます。
また警察は、取調べだけでなく、事件を起こした場所に警察官を案内(引き当たり捜査)したり、犯行状況を再現(再現見分)したりする捜査も行います。
そして、警察官による一連の捜査を終えると、警察官が作成した司法書類が検察庁に送致(書類送検)されるのです。
送致を受けた検察官は、警察官が作成した司法書類を確認して、Aさんの取調べを行い、一連の捜査を終了します。

~逮捕された場合~

逮捕の必要があると判断されると、警察は裁判官にAさんの逮捕状を請求し、裁判官の発付した逮捕状をもとにAさんは逮捕されてしまいます。
警察に逮捕されてしまうと、まず警察署に連行されます。これを「引致」といい、引致後はまず警察官から弁解を聴取され、弁解録取書という司法書類にその内容が記載されます。
その後、警察官による取調べが行われ、逮捕から48時間以内に釈放されなければ検察官に送致されます。
検察官に送致されると、送致から24時間以内に、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。そして裁判官は勾留する必要があるかどうかを判断します。
裁判官が勾留を決定すれば、引き続き10日~20日間は勾留状に記載されている勾留場所において身体拘束を受け、警察官や検察官による、取調べ等の捜査を受けることになります。
検察官が勾留を請求しなかったり、裁判官が勾留を決定しなかった場合は釈放されてます。
そして勾留期間が満了するまでに、一連の捜査が終了するのです。

一連の捜査が終了すれば、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。
起訴されなかった場合は、不起訴処分となって傷害事件の刑事手続きが終了します。
また略式起訴による罰金刑が決定した場合でも、罰金を納付すれば刑事手続きは終了するのですが、起訴された場合は、その後刑事裁判で刑事罰が確定することとなります。

桑名郡木曽岬町傷害事件でお困りの方、三重県内で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料

鈴鹿市の放火事件①

2019-07-23

鈴鹿市の放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、仕事のストレスを解消する目的で、誰も住んでいない近所の空き家に放火しました。
空き家は全焼しましたが、近隣に燃え移ることなく、負傷者も出ませんでした。
しかし、犯行の様子を近所の人に目撃されていたらしく、後日、Aさんは非現住建造物等放火罪で、三重県鈴鹿警察署逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

先日、京都府内にある京都アニメーションのスタジオが放火され、スタジオ内にいた34名の方が死亡する放火事件が発生し、連日、新聞やテレビのニュース等で大きく報じられています。
これほど多くの犠牲者が出ている放火事件は珍しく、平成以降では最大規模だと報じられています。
そこで本日は、三重県の刑事事件を専門に扱っている刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が、放火事件について解説します。

◇「放火」とは◇

放火とは、故意的に目的物に点火もしくは、媒介物に点火することで目的物(建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑、その他の物)を焼損するだけでなく、何らかが原因で出火した際に、容易に消火する機会がありながら消火することなく延焼させることです。
ちなみに不注意による失火(過失)で火災が起きた場合は、失火の罪に問われる可能性があり放火とは異なります。
放火の罪は、焼損する物や、焼損する物の状況、周囲の状況によって適用法令が異なりますので、これから各法律について解説します。

◇現住建造物等放火◇

現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑に放火した際に適用される法律です。
この法律は刑法第108条に定められており、人の生命、身体及び財産に対して重大な損害が生じることから、その法定刑は「死刑または無期若しくは5年以上の有期懲役」と非常に厳しいものです。
現住建造物等放火罪は、抽象的危険犯であるため、客体を焼損すれば成立し、公共の危険を現実に発生させる必要はありません。
また、積極的な放火行為だけでなく、容易に消化できる機会がありながら、消火作業を怠り延焼させたときなど不作為による場合も現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。

◇非現住建造物等放火罪◇

非現住建造物等放火とは、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑に放火し、焼損することです。
ちなみに「現に人が住居に使用せず」「現に人がいない」とは、犯人以外の者を意味するので、犯人が独り暮らししている住居に放火した場合は非現住建造物等放火罪となります。この法律は刑法第109条に定められており、放火されて焼損した建造物等が他人所有の場合と、自己所有の場合によって法定刑等が異なります。

他人所有の非現住建造物等放火罪の場合

他人所有の非現住建造物等放火罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
現住建造物等放火罪ほど厳しいものではありませんが、初犯であっても実刑判決の可能性がある厳しいものです。
他人所有の非現住建造物等放火罪は、現住建造物等放火罪と同様に抽象的危険犯であるために、公共の危険が発生する必要はなく、未遂犯も処罰の対象となります。

自己所有の非現住建造物等放火罪の場合

自己所有の非現住建造物等を放火した場合、公共の危険が生じた場合にのみ刑事罰の対象となります。
その場合の法定刑は「6月以上7年以下の懲役」です。自己所有の非現住建造物等放火罪のような法律を具体的危険犯といい、未遂の処罰規定はありません。

本日は、現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪について解説しました。
次回は、その他の放火に関する法律等について解説します。
三重県内の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が放火事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料

三重県伊賀警察署の動物虐待事件

2019-07-07

動物の虐待事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、三重県伊賀市内の駐車場に住み着いている野良猫に対してボーガンを発射し、猫を虐待していました。
矢が刺さった猫を見つけた人が、SNSに写真を投稿し、この写真が拡散されたことから三重県伊賀警察署が、動物を虐待した容疑で捜査に乗り出しようで、先日、Aさんの自宅を警察官が訪ねてきました。
Aさんは、玄関先で警察官から、事件のことを追及され、「全く身に覚えのないことです。」と嘘を吐いたので、警察官はそのまま帰って行きましたが、その二日後に、自宅を捜索されたAさんは、ボーガンを押収されてしまい、警察署まで任意同行されました。
そこで取調べを受けたAさんは、犯行を自供したようです。
(フィクションです。)

◇三重県伊賀警察署◇

【所在地】〒518-0823 三重県伊賀市四十九町1929-1
【電話番号】0595-21-0110

三重県伊賀警察署は、旧青山町を除く伊賀市を管轄する警察署で、管内は四方を山岳に囲まれた盆地となっており、管内人口は約8万2千人です。
管内を、関西地区と中京地区を結んでいる主要道路である名阪国道が通っており、その交通量は相当なものです。
三重県警察のホームページによりますと、三重県伊賀警察署管内の、平成30年度の刑法犯犯罪発生件数は479件となっており、検挙件数は108人です。
(三重県警察のホームページを参考)

◇動物愛護法違反◇

動物愛護法とは「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。
この法律は主に、動物の虐待を防止したり、動物の飼い主やペット業者に責任や義務を課すための法律です。
動物愛護法の対象となる動物は、犬、猫、牛、馬等の哺乳類だけでなく、鳥類や爬虫類で、犬や猫などの一部の動物においては、特定人物の占有下にあるか問われない、つまり俗に言う「野良犬、野良猫」でも対象となります。
そして、この動物愛護法の第44条第2項で、動物に対する虐待を禁止しています。
これに違反して動物を虐待すれば「100万円以下の罰金」が科せられるおそれがあるので注意しなければなりません。
ちなみに、野良猫に向けてボーガンの矢を発射する行為自体が、虐待行為に当たるので、実際に発射した矢が、猫に命中するか否かは違反が成立するかどうかに関係ないとされています。

◇器物損壊罪◇

虐待した動物が他人の所有物だった場合は、刑法第261条に規定されている器物損壊罪が適用されるでしょう。
器物損壊罪とは、他人の物を損壊する事を禁止する法律で、罰則規定は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
損壊とは、物そのものの形を変更又は滅失させる場合だけでなく、その物の効用を害する一切の行為が損壊に当たるとされています。
人が植えた植物を引き抜いたり、飲食店の食器に放尿する行為、人が飼っている動物を故意的に死傷させる行為も器物損壊罪に当たるとされています。

~親告罪~

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪は、被害者をはじめとした告訴権者による告訴がなければ、検察官は起訴をすることができません。
また告訴は、一度取り下げると、同じ犯罪事実で再度告訴することができません。
そのため器物損壊罪のような親告罪で逮捕された場合は、検察官が起訴するか否かを決定するまでに、被害者が告訴を取り下げれば、絶対に起訴を免れることができます。
器物損壊罪等の親告罪の弁護活動は、スピードが命です。
器物損壊罪等の親告罪で警察の捜査を受けている方、ご家族が警察に逮捕された方は、一刻も早く、弁護士に被害者との示談交渉を依頼してください。

三重県伊賀警察署の刑事事件でお悩みの方、動物を虐待した容疑で警察の取調べを受けている方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料

三重県紀宝警察署の嘱託殺人事件

2019-07-05

嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

三重県南牟婁郡に住む無職のAさんは、長年連れ添った奥さんが数年前にガンを発症し、それ以来、自宅において奥さんの介護していますが、最近、ほとんど身体を動かすことができなくなった奥さんは「死にたい。」とよく口にしています。
Aさんは、そんな奥さんの姿を見るのが非常に辛く、精神的にもまいっていました。
そんな中、奥さんから「私を殺して楽にしてください。お願いします。」と泣きながら懇願されたAさんは、奥さんの首をネクタイで絞めて殺害してしまったのです。
そしてAさん自身も、自殺を図りましたが、死にきることができなかったので、三重県紀宝警察署に自首することにしました。
(フィクションです)

◇三重県紀宝警察署◇

【所在地】〒519-5701 三重県南牟婁郡紀宝町鵜殿1709番地2
【電話番号】0735-33-0110

三重県紀宝警察署は、三重県の最南端を管轄する警察署で、その管轄は南牟婁郡の2町(御浜町、紀宝町)と、熊野市紀和町です。
三重県紀宝警察署の管内人口は約2万人で、先日紹介した三重県熊野警察署と同じく、三重県の中では最も小規模な警察署の一つで、平成30年度の刑法犯犯罪発生件数はわずか59件と非常に少なく、年間の検挙件数は約10人です。
(三重県警察のホームページを参考)

◇同意殺人◇

Aさんの事件のように、被殺者(奥さん)から殺害を依頼されて、その依頼に基づいて実際に被殺者を殺害したら同意殺人罪となります。

刑法第202条(同意殺人)
(中略)又はその人の嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺害した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

同意殺人とは、本人の意思に反しない死の惹起に関与する行為を処罰するものです。
同意殺人は、嘱託殺罪人と承諾殺人罪に分かれます。

~嘱託殺人~

嘱託殺人とは、被殺者から行為者に対して自らの殺害を依頼して、その依頼に基づいて行為者が被殺者を殺害する事です。
当然、被殺者の自らの殺害依頼は、被殺者の真意に基づき、かつ明示的なものでなければならず、これらが欠けての殺害行為は、刑法第199条の殺人罪が成立します。
嘱託殺人罪は、被殺者による、自身に対する殺人教唆に基づく殺人罪とみることができます。

~承諾殺人~

承諾殺人は、行為者が被殺者に殺害を申し出て、行為者が被殺者の承諾を得て殺害する行為です。
承諾殺人罪は、被殺者による被殺者本人に対する殺人幇助に基づく殺人罪とみることができます。
ちなみに被殺者の承諾は、殺害行為の前になされていなければなりませんが、それは必ずしも明示的である必要はなく、黙示的でもよいとされています。

同意殺人罪は、人の命を奪うという意味で、刑法第199条に定められている殺人罪と同じですが、殺人行為自体に被殺者の同意があることから、法定刑は殺人罪に比べると軽くなっています。(殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と非常に重い。)

◇同意殺人罪の量刑◇

上記したように、人の生命を奪うという結果の重大性から、非常に厳しい刑事罰が予想される事件ではありますが、殺害に至るまでの事情が考慮されて、情状が認められた場合は、執行猶予付きの判決も十分に考えられます。
少しでも軽い刑事罰を望むのであれば、警察の取調べを受ける前に、こういった刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

三重県紀宝警察署の刑事事件でお悩みの方、ご家族、ご友人が同意殺人罪で警察に逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料

三重県尾鷲警察署で正当防衛を主張

2019-07-01

正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

三重県尾鷲市の食品加工会社に勤務するAさんは、同じ工場で勤務する同僚と仲が悪く、些細なトラブルが絶えません。
先日も、この同僚に作業態度を注意されたAさんは、同僚と口論になった挙句、取っ組み合いの喧嘩をしてしまいました。
Aさんは先に同僚から胸倉を掴まれたので、同僚の身体を突き飛ばし、その後殴り合いの喧嘩に発展したのですが、Aさんの暴行によって、同僚は前歯を折る重傷を負ってしまいました。
喧嘩の翌日に、同僚が三重県尾鷲警察署に被害届を提出したことからAさんは、傷害の容疑で取調べを受けています。
(フィクションです)

◇三重県尾鷲警察署◇

【所在地】〒519-3652 三重県尾鷲市古戸町1-50
【電話番号】0597-25-0110

三重県尾鷲警察署は、尾鷲市北牟婁郡紀北町を管轄する警察署で、その管内人口は、約3万4千人です。
三重県尾鷲警察署の管内治安は比較的平穏で、平成30年度の刑法犯犯罪発生件数は112件と非常に少ないながらも、検挙件数は40人を超えています。
(三重県警察のホームページを参考)

◇傷害罪◇

暴行によって相手に傷害を負わせると「傷害罪」となります。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円の罰金に処する。

◇正当防衛◇

今回の事件で、最初に胸倉を掴まれるという暴行を受けたAさんは「正当防衛」を主張しています。

刑法第36条(正当防衛)
1 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむをやむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

上記のように、刑法では正当防衛と、過剰防衛について規定しています。
刑法の条文にも明記されているように、正当防衛は
①急迫不正の侵害に対して
②自己又は他人の権利を守るために
③やむを得ず行った防衛行為
でなければなりません。

~急迫不正の侵害~
急迫」とは、法益の侵害が現に存在しているか、又は直前に迫っていることを意味します。
不正」とは、違法であればよく、有責である必要までは要しないとされています。つまり、刑事責任能力のない、精神病者や触法少年による侵害行為に対しても、正当防衛は成立します。
侵害」とは、生命、身体に危険を生じさせる違法な行為を意味し、故意と過失、作為と不作為とを問いませんが、積極的な侵害行為でなければならないとされています。

~やむを得ずに行った防衛行為~

防衛行為は、自己又は他人の権利を守るために必要最小限度でなければなりません。
ここでいう「必要最小限度」とは、防衛行為にかかるもので、防衛行為によって生じた結果までは最小限度である必要はありません。
なお、この防衛行為が相当な範囲を超えた場合は、過剰防衛として、刑の任意的な減軽、免除の対象となります。

◇事件を検討◇

Aさんの行為に、正当防衛が成立するかどうかを検討します。
同僚から胸倉を掴まれたことについては、正当防衛でいうところの「急迫不正の侵害」に該当するでしょう。その「急迫不正の侵害」から逃れるために同僚の身体を突き飛ばすまでであれば「正当防衛」が認められるかもしれませんが、その後の暴行行為に関しては、正当防衛が成立するのは難しいでしょう。
ただ今回の事件は、Aさんが同僚に対して一方的に暴行をはたらいているわけではありませんので、Aさん自身が、暴行や傷害の被害者になることはあり得るでしょう。
この様に、お互いが被疑者であり、被害者であるような暴行、傷害事件を相被疑事件といいます。

三重県尾鷲警察署の刑事事件でお困りの方、傷害事件で正当防衛を主張したい方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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【三重県津南警察署】執行猶予中の暴行事件

2019-06-21

執行猶予中の暴行事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、2年前に、酔払って通行人と喧嘩をしてしまい、傷害罪で「懲役1年執行猶予3年」が確定しています。
執行猶予中なので、Aさんはお酒を控えていましたが、先日、会社の懇親会でお酒を飲んでしまったAさんは、久しぶりにお酒を飲んだこともあり、酔払ってしまいました。
そして会社の同僚と口論になってしまい、同僚に対して、首を絞める暴行を加えてしまいました。
その場は、周りにいた人達が制止して収まったのですが、後日、この同僚が暴行罪三重県津南警察署に被害届を出したようです。
Aさんは、自分が執行猶予中であるため、早急に同僚と示談してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

◇三重県津南警察署◇

【所在地】〒514-1101 三重県津市久居明神町2501-1
【電話番号】059-254-0110

三重県津南警察署は、津市の南部を管轄する警察署ですが、津市の北部を管轄する三重県津警察署とは違い、小規模な警察署です。
平成30年度の刑法犯認知件数は700件未満と少なく、三重県津南警察署では、詐欺事件の被害防止の取り組みに力を入れているようです。
(三重県警察のホームページを参考)

◇暴行罪◇

刑法第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留又は科料に処する。(刑法抜粋)

~暴行とは?~
暴行罪でいう「暴行」とは、人に対する、物理的な力の不法な行使を意味するとされています。
殴る、蹴る等の直接的な有形力の行使は当然のこと、人に向かって物を投げたり、唾を吐きかけたりする行為も暴行に当たります。
あおり運転等が社会問題となっている最近では、走行中の車の前方で急ブレーキをかけたり、後方から急接近する行為も「暴行」とされる場合があります。

~「拘留」又は「科料」って?~
「拘留」とは、1日以上30日未満、刑事施設に拘置される刑罰です(刑法16条)。
刑事施設から出られないということで、懲役や禁錮と同様に自由を奪われる自由刑の一種になりますが、現在ではほとんど言い渡されていません。
「科料」とは、1,000円以上10,000円未満の支払いを言い渡される刑罰です。(刑法17条)。

◇執行猶予◇

執行猶予とは、刑法第25条に定められています。
この条文によると「5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことのない者」が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた時」は、情状によって裁判の確定日から1年以上5年以下の期間で、刑の執行を猶予できる旨が明記されています。
法律的には罰金刑の執行を猶予する事もできますが、そもそも執行猶予の制度は、刑務所に服役するよりも、社会において被告人を更生させる事を目的とした制度であるため、罰金刑に対する執行が猶予された裁判例はほとんどありません。
この条文だけを見ると、執行猶予中の者は、5年以内に禁錮以上刑に処せられたことのない者には該当しないので、執行猶予中の執行猶予は事実上あり得ないと考えられます。
しかし、刑法第25条第2項には、前に禁錮以上の刑に処せられて、その執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言い渡しを受け情状に特に酌量すべきものがある時は同様に執行を猶予できると明記されているので、条件を満たせば執行猶予中の執行猶予があり得るという事になります。

◇確実なのは被害者と示談して不起訴を目指す◇

今回、Aさんが起こした事件は暴行事件です。
今回の暴行事件の処分が、不起訴であれば確実に執行猶予が取り消される事はありませんが、起訴されてしまえば、Aさんの前科、前歴の状況によっては執行猶予が取り消される可能性があるので注意しなければなりません。
ただ暴行事件のような被害者がいる事件の場合は、早期に弁護士を選任して、被害者と示談すると共に、被害届が取下げられる等の宥恕措置があれば、不起訴処分も十分に見込む事ができるので、Aさんは、執行猶予が取り消されずに、刑務所の服役を免れる可能性が生まれます。
上記したように、法律上は、執行猶予中の犯行であっても、再度執行猶予を得る事は可能ですが、その条件は非常に厳しいもので、滅多にあるものではありません。

三重県津市内の暴行事件でお困りの方、執行猶予中の暴行事件でお困りの方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。
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三重県鈴鹿警察署の外国人犯罪

2019-06-17

外国人犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

鈴鹿市に住む外国人のAさんは、仕事を終えて車で帰宅していたところ、パトロール中の三重県鈴鹿警察署のパトカーに停止を求められました。
最初は何か交通違反をしたのかと思って、警察官の指示に従って素直に停車したAさんでしたが、警察官から「職務質問です。危ない物を積んでいないか車内を確認させてください。」と言われました。
Aさんは、仕事で疲れて早く帰宅したかったにも関わらず、その様な理由で停止させられたことに対して無性に腹が立ち、この警察官を地面に押し倒してしまったのです。
Aさんは、公務執行妨害罪の容疑で、その場で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

◇三重県鈴鹿警察署◇

【所在地】〒510-0237 三重県鈴鹿市江島町3446番地
【電話番号】059-380-0110

三重県鈴鹿警察署は、鈴鹿市を管轄する警察署です。
三重県鈴鹿警察署が管轄する鈴鹿市には、F1レースの国際大会の会場として有名な鈴鹿サーキットがあります。
三重県警察のホームページによりますと、近年は外国人の居住人口が増加傾向あるようです。
三重県鈴鹿警察署は、三重県警察の中でも大規模な警察署で、近年は犯罪発生件数が減少傾向にあるものの、平成30年度の刑法犯認知件数は1500件を超えており、その中でも凶悪犯罪が8件も発生しています。
(三重県警察のホームページを参考)

◇公務執行妨害罪◇

刑法第95条1(公務執行妨害罪)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処する

~公務員とは~
ある程度、精神的、知能的な公務に従事する者で、用務員等で雑役に従事する者は公務員法上の公務員であっても公務執行妨害罪の「公務員」には当たらない場合もあります。
なお、違法駐車車両の取締りに従事している駐車監視員は「みなす公務員」としての身分があり、公務執行妨害罪の「公務員」となります。
当然、警察官も公務執行妨害罪の「公務員」です。

~職務とは~
公務執行妨害罪は、公務員の業務、つまり「公務」を保護法益としています。
この公務は適法なものではなければなりません。
警察官の職務質問や、職務質問にともなう車内検索も、警察官による公務に当たりますが、仮に、職務質問が違法なものであった場合は、それを阻止するために警察官に暴行したとしても公務執行妨害罪が成立しない場合があります。
Aさんの刑事弁護を担当する弁護士であれば、まず警察官の職務質問や車内検索が適法なものであったかを検討することになるでしょう。

~暴行とは~
暴行罪(刑法第208条)でいう暴行よりも広い意味に理解されており、必ずしも直接的な有形力の行使には限られず、間接的なものであっても、公務執行妨害罪の「暴行」に当たる可能性があります。

~脅迫とは~
公務執行妨害罪の「脅迫」は、最広義のものであって、恐怖心を起こさせる目的で他人に害悪を加える旨を通知することの全てをいい、その害悪の内容、性質、通知の方法のいかんを問いませんし、相手が現実に畏怖する必要もありません。

◇外国人による刑事事件◇

外国人の方が、日本国内で犯罪を犯し警察に逮捕された場合、日本人と同じように刑事手続きが進められる事になりますが、日本人に比べると言葉や文化の違いによって実質的な不利益の他に強制退去といった手続き上の不利益も大きいでしょう。

~言葉の壁~
日本語が通じなければ、通訳を介して取調べが行われますが、自身の主張が書類になっているかに不安を感じてしまう外国人の方は少なくありません。

~文化の違い~
また生活習慣の違いも大きな壁となるでしょう。
もし逮捕、勾留された場合は、警察署の留置場等に日本人と同じように収容されることになります。
留置場での生活は、宗教上の理由等が、ある程度考慮されると言われていますが、日本との生活習慣の違いが精神的なストレスになることは間違いありません。

~強制退去~
日本で刑事事件を起こしてしまった外国人の方が一番心配されているのが強制退去についてです。
実際に、日本で生活する外国人が刑事事件を起こした場合、処分が決定し、その刑を終えた時点で日本から強制退去される可能性があります。
入管法によると、有罪判決が強制退去に結び付くのは、1年を超える実刑判決とされていますが、薬物事件や、窃盗罪、詐欺罪等の財産犯事件を起こした外国人の場合、その方の在留資格によっては、執行猶予付の判決であっても判決の確定と共に強制退去になる事があります。

三重県鈴鹿市において外国人のご家族、ご友人が逮捕されてしまった方、公務執行妨害罪でお困りの方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談や初回接見サービスのご予約を専用フリーダイヤル0120-631-881(24時間)で受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

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