強制わいせつ幇助で逮捕

強制わいせつ幇助逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県北方警察署は、大学生のAくん(20歳)を強制わいせつ幇助の容疑で逮捕しました。
Aくんは、知人のBさんが女性にわいせつな行為をすると知りながら、女性に知人宅に来るように呼び出したと疑われています。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、事件について詳しいことを教えられず、どのように対応すべきか分からず途方に暮れています。
(フィクションです。)

強制わいせつ幇助

まずは、強制わいせつ罪がどのような場合に成立する犯罪であるのかについて説明します。

■強制わいせつ罪■

刑法第176条 
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、
①13歳以上の者に対し、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、
あるいは、
②13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした場合
に成立する犯罪です。

13歳以上の者に対するわいせつな行為は、「暴行・脅迫」を手段として行われていることが要件となります。
これら「暴行・脅迫」の程度については、相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが、反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要とされます。
判例は、暴行自体がわいせつな行為である場合には、端的に性的自由を侵害するものであり、強制わいせつが成立するとしています。(大判大正7・8・20)

「わいせつな行為」とは、性的な意味を有し、本人の性的羞恥心の対象となるような行為のことを指します。
例えば、陰部、乳房、尻や太もも等に触れる行為、全裸の写真をとる行為、キスする行為などはその人の意思に反して行われる場合には、「わいせつな行為」に当たります。

更に、強制わいせつ罪が成立するには、罪を犯す意思(「故意」)がなければなりません。
強制わいせつ罪における故意は、「13歳未満の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする」こと、あるいは、「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をする」ことの認識・認容です。
強制わいせつ罪の故意に関して問題となるのが、相手方の年齢の錯誤です。
13歳未満の者を13歳以上であると誤信して、暴行・脅迫を用いずにわいせつな行為をした場合、故意はなく強制わいせつ罪は成立しません。
なお、判例はかつて、強制わいせつ罪の成立には、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図」が必要であり、もっぱら被害者に報復し、または侮辱し虐待する目的で被害者を裸にして写真撮影をしても、強制わいせつ罪は成立しないとしていました。(最判昭和45・1・29)
しかし、平成29年の最高裁判所の判決は、「わいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ない。」とし、性的意図を強制わいせつ罪の構成要件としてとらえるべきではなく、社会通念上当該行為がわいせつな行為に当たるかどうかを具体的事情から判断するにあたっての一要素として位置づけられるようになりました。

次に、強制わいせつ幇助の罪について説明します。

■幇助■

幇助は、正犯に物的または精神的な援助・支援を与えることにより、その実行行為の遂行を容易にすることです。
幇助犯が成立するためには、①正犯を幇助すること、②それに基づいて正犯が実行行為を行うこと、そして、③幇助の意思、が必要です。
幇助の意思については、幇助者の認識として、正犯が行う特定の犯罪について、ある程度概括的に認識、認容し、かつ、その実行を自分の行為によって容易にさせることを認識していれば幇助犯は成立するとされます。

幇助犯の法定刑は、正犯の刑を減軽した刑となります。

強制わいせつ幇助で逮捕されたら

強制わいせつ幇助逮捕された場合、共犯事件であることから、罪証隠滅のおそれがあると認められ易く、逮捕後に勾留となる可能性は高いでしょう。
勾留されると、検察官が勾留を請求した日から原則10日、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
共犯事件では、勾留と同時に接見禁止が決定することがあります。
接見禁止となれば、弁護士以外との面会を行うことができなくなります。

事件の終局処分、つまり、起訴するかどうかの判断は検察官が行います。
起訴するとした場合には、強制わいせつ罪の法定刑は懲役刑のみですので、略式手続をとることはできず、公判請求されることになります。
公判請求されれば、被告人は公開の法廷で審理を受けることになります。
一方、検察官が起訴しないとする処分(不起訴処分)をする場合には、事件はそこで終了となります。
犯罪が成立しない場合や犯罪を立証するための証拠が十分でない場合だけでなく、犯罪を立証するだけの証拠がそろっている場合であっても様々な事情を考慮して起訴しないとすることもあります。
その事情には、被害者との間で示談が成立しているかどうか、ということが含まれています。
つまり、被害者との間で示談が成立しており、被害届や告訴が取り下げられている場合には、検察官は不起訴処分で事件を処理する可能性は高いです。
強制わいせつ罪は親告罪ではないため、示談が成立し告訴が取り下げられた場合であっても、検察官は起訴することは可能です。
しかしながら、被害者との示談が成立しているのにあえて起訴するということはあまりありません。
そのため、容疑を認める場合であれば、早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を締結させることが、早期事件解決、早期釈放を実現させる上で最も重要だと言えるでしょう。

容疑を否認する場合には、自己に不利な供述がとられないよう、冷静に取調べに応じる必要があります。

強制わいせつは決して軽微な犯罪とは言えず、厳しい処分となる可能性もあります。
そのため、強制わいせつ幇助事件で逮捕された場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、取調べ対応についての的確なアドバイスをもらい、被害者との示談締結に向けて動いてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ事件、強制わいせつ幇助事件で逮捕されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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