薬物所持で逮捕

薬物所持逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県津市の交番に、落とした財布を取りに来たAさんは、大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは、乾燥大麻が入った袋を財布に入れており、落とし物として届けられた財布の持ち主を確認しようと警察官が財布の中身を調べたところ、乾燥大麻が見つかったため、持ち主のAさんを逮捕したということです。
Aさんは、逮捕されるまで大麻を財布に入れていたこと自体を失念していました。
(フィクションです。)

薬物の所持

覚せい剤、大麻、麻薬、危険ドラッグなど薬物事件の大半を占めるのは、使用や単純所持の事案です。
薬物所持の罪における所持とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるもの」であり(最大判昭30・12・21)、「必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは必要ではなく、その存在を認識してこれを管理し得る状態にあるをもって足り」(最判昭31・5・25)、「人が物を保管する意思をもって、その物に対し実力支配関係を実現する行為をすれば、それによって物の所持は開始される。そして一旦所持が開始されれば爾後所持が存続するためには、その所持人が常にその物を所持しているということを意識している必要はないのであって、苟くもその人とその物との間にこれを保管する実力支配関係が持続されていることを客観的に表明するに足るその人の容態さえあれば所持はなお存続する」(最大判昭24・5・18)とされています。

所持には、様々な種類に分けられます。
自ら直接物に対する実力支配関係を有していることを「直接所持」といい、物を把持・携帯するなどの形態で物を身体的に直接支配している場合、自己が支配・管理している住居や事務所などの場所に置くことにより直接支配している場合、コインロッカーに入れてそのカギを所持する場合などが該当します。
また、知人などに者の保管・管理を任せている場合の所持を「間接所持」といいます。

このような「所持」の概念を前提とすれば、薬物を紛失・遺棄した場合であって、物に対する実力支配関係が中断されているケースではどうなるのでしょうか。

Aさんは、大麻が入っている財布を落とし、警察に逮捕されるまで、大麻を財布に入れていたことを忘れていました。
判例に基づく「所持」の概念の理解によれば、薬物の存在を認識してこれを管理し得る状態であれば「所持」と言えるのですが、Aさんが警察に逮捕されるまで、Aさんは一定期間薬物の存在を認識しておらず、これを管理できる状態でなかったとなれば、所持罪は成立しないことになります。
ただ、それは少なくともAさんが財布を落としてから警察に逮捕されるまでの間についてのみであって、それ以前の、Aさんが大麻を財布に入れていることを認識しており、大麻を管理できる状態にあった期間については所持罪が成立するものと考えられますので、置き忘れた薬物所持の事案について何ら罪が成立しないとは限りません。

しかしながら、Aさんが財布を落としてからかなりの間財布が放置されており、第三者が大麻を財布に忍ばせたという可能性が否定できないという場合には、罪の成立を争う余地があるでしょう。

薬物の単純所持であっても、その法定刑は決して軽くはありません。
ご家族が薬物所持逮捕された場合には、早期に薬物事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

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