器物損壊事件で示談した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、三重県津市の繁華街で酔って、路上に置かれた被害店舗の看板を蹴って壊したところ、店員の通報で駆け付けた三重県津警察署の警察官に器物損壊の容疑で現行犯逮捕されました。
翌日、Aさんは家族が身元引受人となり釈放されましたが、暴行、公務執行妨害の前歴2件があるため、今回はどのような処分となるのか気が気でなりません。
Aさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
器物損壊罪について
器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物を損壊又は傷害させた場合に成立する罪です。
「公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物」には、動産、不動産を広く含みます。
「損壊」とは、物の物理的な損壊のみならず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
判例では、食器に放尿する行為、鯛や海老が描かれた掛け軸に不吉と墨書きする行為、家屋を建設するために地ならしした敷地を掘り起こして畑地とする行為、施設の堀に赤色スプレーで落書きする行為も「損壊」に当たるとしています。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がすなどしてその効用に害する一切の行為を指します。
器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪というのは、被害者などの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪のことです。
刑法上の親告罪は、器物損壊罪の他にも、未成年者略取誘拐罪、名誉毀損罪、侮辱罪、過失傷害罪などがあります。
器物損壊事件で示談した場合
器物損壊罪は粗暴犯の一種ですので、Aさんは2件の同種前歴をもっていることになります。
そのため、少なくとも罰金刑となる可能性はあると言えるでしょう。
しかしながら、器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との間で示談を成立させ告訴を取消してもらえれば、同種の前歴があったとしても不起訴となります。
器物損壊事件で不起訴となるには、被害者との示談が重要なポイントとなります。
ただ、示談は、加害者が被害者に対して金銭の支払いをする一方で、被害者が告訴を行わない、あるいは、告訴を取り下げるとする当事者間の約束ですので、決まったルールがあるわけではありません。
また、被害者は加害者に対して嫌悪感や恐怖心を抱いており、加害者との接触を望まない場合も少なくありません。
そのため、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的となっています。
弁護士限りであれば話し合いを承諾してくれる被害者も多いですし、法律の専門家である弁護士を介して交渉を行ることにより、加害者にとって到底受け入れることができない合意内容となったり、法外な示談金となることを避けることが期待できます。
無事に告訴が取下げられれば、起訴されることはありません。
器物損壊事件で被疑事実を争わない場合には、早期に弁護士に相談し、被害者との示談交渉に着手するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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