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【刑事裁判】現住建造物等放火事件の裁判員裁判

2019-11-30

現住建造物放火事件の裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇現住建造物等放火事件◇

大学生のAさん(22歳)は、三重県津市に住む女子大生と交際していますが、先日、この交際相手の妊娠が発覚しました。
Aさんは、彼女と結婚しようと、津市内にある彼女の両親を訪ねましたが、結婚どころか交際すら許してもらうことができず追い返されてしまいました。
その後、彼女と連絡が取れなくなったAさんは、彼女の両親を恨むようになってしまいました。
そしてついに、津市の彼女の実家を放火してしまったのです。
さいわい両親は外出しており怪我人は出ませんでしたが、後日、Aさんは現住建造物等放火罪で、三重県警に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

◇放火の罪◇

刑法では放火の罪がいくつか定められています。
一番厳しい罰則が定められている「現住建造物等放火罪」をはじめ「非現住建造物等放火罪」や「建造物等以外放火罪」更には「失火」についての規定がなされていますが、本日のコラムでは「現住建造物等放火罪」について解説します。

◇現住建造物等放火罪◇

刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し、又は現に人がいる建造物(中略)を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

現住建造物等放火罪でいう「現に人が住居に使用」とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用している建物を意味します。
放火当時に、建物内に人が現存する必要はなく、必ずしも特定の人が居住している必要もありませんので、夜間や、休日だけ人が起臥寝食に利用しているような建物であっても「現に人が住居に使用」と言える可能性があります。
次に「現に人がいる」についてですが、これは犯人以外の人が現在することで、その場所に現在する権利の有無は問題となりません。極端な例ですと、空き家にホームレスが住み着いている場合でも、その空き家に放火すれば現住建造物等放火罪が適用される可能性があるのです。

◇現住建造物等放火罪は裁判員裁判の対象事件◇

~裁判員裁判~

裁判員裁判とは、平成21年に導入された刑事裁判の制度です。それまでの刑事裁判は、被告人(犯人)を起訴した検察官と、被告人(犯人)を弁護する弁護人が、それぞれの意見を主張しあって、その意見を聞いた裁判官が刑事処分(判決)を言い渡すものでした。しかし裁判員裁判は、有権者から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加し、裁判官と共に被告人(犯人)の刑事処分(判決)を審査します。
それまでは、被告人(犯人)や被害者等の事件当事者を除くと、法律家(裁判官や検察官、弁護士)しか参加しなかった刑事裁判に、専門的な法律知識を有しない一般人が参加するようになったことで、偏った判断がされず、国民目線で刑事裁判が行われるようになりました。

~裁判員裁判の対象事件~

全ての刑事裁判が、裁判員裁判の対象になるわけではありません。
裁判員裁判の対象となる事件については、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律によって定められており、この法律の第2条第1項によると、裁判員裁判の対象事件は

(1)死刑又は無期の懲役若しくは禁錮にあたる罪にかかる事件
(2)法定合議事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪にかかる事件

です。

法廷合議事件とは、強盗罪等を除く、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪にかかる事件のように、裁判所の合議体で取り扱わなければならない事件です。
裁判員裁判の対象事件の例としては、殺人罪や傷害致死罪、強盗殺人罪や強盗致死罪、強制性交等致死傷罪や通貨偽造・同行使、危険運転致死罪などで、現住建造物等放火罪も対象となります。

これまで多くの裁判員裁判が行われていますが、刑事裁判全体の数に比べると、その数はごく一部に限られます。
裁判員裁判の刑事弁護活動は、通常の刑事裁判とは違い、法律的な専門知識だけでなく、刑事事件に特化した能力と経験が必要となってきますので、現住建造物等放火罪などの裁判員裁判の対象事件に関する弁護活動については、刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、裁判員裁判の経験豊富な弁護士が所属する刑事弁護専門の法律事務所です。
現住建造物等放火罪のような裁判員裁判の対象事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約や、費用のご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

ご家族が三重県桑名警察署に逮捕されたら 

2019-11-28

ご家族が三重県桑名警察署に逮捕された場合の、刑事事件専門弁護士の初回接見サービスについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇ご家族の逮捕◇

桑名市の建設現場で働いているAさんは、仕事終わりに職場の同僚と一緒に飲みに行きました。
居酒屋で飲んでいた際に、隣のテーブルの大学生の団体客がうるさかったことに腹を立てたAさんは、静かにするように注意したのですが、大学生の一人がAさんに言い返してきたことから、Aさんは、この大学生の顔面を、ビール瓶で殴りました。
同僚にすぐに制止されたのでそれ以上の暴行には及びませんでしたが、大学生はAさんの暴行によって額を裂傷する傷害を負ってしまいました。
そして、その後Aさんは通報で駆け付けた三重県桑名警察署の警察官に、傷害罪逮捕されてしまいました。
同僚からAさんの逮捕を聞かされた家族は、刑事事件専門弁護士の初回接見サービスを利用することにしました。(フィクションです。)

◇傷害罪について◇

暴行などにより人の身体を「傷害」した場合、傷害罪が成立します。
ここで言う「傷害」とは、人の生理的機能の侵害を指すと考えられています。
つまり、殴る蹴るといった行為により受けた外傷のみならず、様々な心身の不調が「傷害」に当たると判断される可能性があるということです。
裁判例では、睡眠薬により長時間の意識障害を生じたケースや、性器を接触させて性病に罹患させたケースで傷害罪の成立を認めたものがあります。
そのため、「傷害」を招く行為についても、典型的な暴行に限定されるわけではありません。

傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
刑法上、懲役刑の下限は1か月、罰金刑の下限は1万円です。
そのため、裁判において傷害罪で有罪となった場合、刑の選択の幅はかなり広くなることが予想されます。
とはいえ、刑の軽重というのは傷害の程度に大きく左右されるので、全治までどの程度掛かるかで一応の予測を立てることができます。
もし刑の見込みを知りたいとお考えなら、一度お近くの弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に刑事事件の豊富な経験があれば、妥当な範囲の予測を立てたうえで的確な弁護活動の方針を示すことができるでしょう。

◇初回接見サービス◇

逮捕等によって身体拘束を受けている方と、家族など弁護士以外の者が行う面会を一般面会といい、弁護士が行う面会を弁護士接見といいます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門弁護士の初回接見という有料のサービスを行っています。
このサービスは、既に別の弁護士と接見を行っていたり、別の弁護士に依頼したりしている場合にもご利用いただけます。
初回接見サービスは、被疑者・被告人本人、家族など周囲の者、そして弁護士のいずれにとっても重要な意味があります。

まず、被疑者・被告人は、弁護士から事件の流れや捜査への対処法などを聞くことができます。
多くの方にとって刑事事件というのは馴染みのないものでしょうから、初回接見により安心感を得ることができます。
次に、周囲の者は、弁護士を通して被疑者・被告人と自由に言葉を交わすことができます。
一般面会では立会人の警察官などが話を遮ることもあるので、あらゆることを話せるというのは初回接見の大きなメリットです。
最後に、弁護士は、初回接見で聞いた話に基づき弁護活動の方針を立てることができます。
刑事事件は起こりうることを予測して緻密なスケジュールを立てることが求められるので、弁護士にとってもその出発点となる初回接見はやはり不可欠です。
以上のように初回接見は非常に有益であるため、逮捕の知らせを受けたら一分一秒でも早く弁護士にご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスでは、三重県桑名警察署をはじめとした三重県内の警察署に刑事事件専門弁護士を派遣することが可能です。
ご家族、ご友人が、三重県内の警察署に逮捕された方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士による初回接見サービスをご利用ください。
初回接見サービスのご予約や、費用のご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

凶器準備集合罪で逮捕

2019-11-18

凶器準備集合罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、津市内を中心として活動している旧車会のメンバーです。
最近、Aさんの所属している旧車会と、地元の暴走族グループとの間で些細な諍いが絶えず、2日前には、旧車会のメンバーが、暴走族グループに集団暴行を受ける事件が発生しました。
そして、この集団暴行事件に報復するために、Aさん等旧車会のメンバーは、凶器となる木刀や、金属バット、ゴルフクラブ等を所持して河川敷に集合したのです。
しかし事前にこの情報を得ていた三重県警によって、Aさん等は凶器準備集合罪で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

◇凶器準備集合罪◇

刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集)

二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

上記のように刑法には「凶器準備集合罪」が規定されています。
この法律が施行された昭和30年代は、日本各地で暴力団による抗争事件が頻発していました。そのような社会情勢の中で、凶器を用いて行われる集団暴力犯罪を未然に防止することを目的に施行されたのが「凶器準備集合罪」です。
ですから、この法律は、個人の生命、身体、財産の安全を第一次的な保護法益としていますが、公共的な社会生活の平穏も二次的な法益とされています。

~共同して害を加える目的~

この法律が成立するには「二人以上の者の共同加害目的」つまり、 他人の生命、身体又は財産に対し 共同して害を加える目的で集合した ことが必至となります。
ここでいう「共同して害を加える目的」とは、必ずしも集合前にこのような目的を有する必要はなく、集合後にその目的が生じた場合でもよいとされています。
またこの目的に、積極的な加害意思までは必要とされておらず、もし相手が攻撃してきた時に応戦しようという受動的な加害意思でも足りるとされています。

~「凶器」とは~

この法律でいう「凶器」とは、性質上の凶器だけでなく、用法上の凶器も含まれます。
性質上の凶器とは、けん銃などの銃砲刀剣類等のように、その器具本来の性質上、人を殺傷する用に供されるために作られたものです。
用法上の凶器とは、性質上の凶器ではないが、使い方によっては、人を殺傷する用に供することのできるものを意味します。
バットやゴルフクラブ等が代表的な用法上の凶器に該当しますが、この法律で、用法上の凶器に該当するかどうかは、その物の大きさ、数量、形状、性質、用途、準備した集団の人数、その目的等から総合的に判断されますが、今回の事件の場合、金属バット、ゴルフクラブについては「凶器」に該当するでしょう。

◇首謀者には加罰規定が◇

凶器準備集合罪の首謀者には加罰規定があります。
そのことは、刑法第208条の3 第2項に明記されており、ここに「前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、3年以下の懲役に処する。」とあります。
凶器準備集合罪の法定刑には、罰金の処罰規定があるために、有罪でも略式起訴による罰金刑の可能性がありますが、首謀者には罰金刑の規定がないため、略式起訴はなく、起訴されると公開の刑事裁判によって刑事罰が言い渡されることとなります。

津市の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が凶器準備集合罪で警察に逮捕されてしまった方は、三重県内の刑事事件に関する法律相談を無料で承っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
三重県内の刑事事件に関するご相談、三重県内の警察署の逮捕された方の初回接見サービスのご利用については、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)でお気軽にお電話ください。

あおり運転で傷害罪が適用された男に実刑判決

2019-11-06

傷害罪で実刑判決が言い渡された、名阪国道で起こったあおり運転によるひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

今年6月、三重県亀山市の名阪国道で、大型トラックを運転していた男性被告人は、前方を走行する乗用車に幅寄せした上、乗用車にトラックを接触させて、運転手に軽傷を負わせて逃げたとして、傷害罪と道路交通法違反の罪に問われていました。
この事件の裁判で、津地方裁判所は、男性被告人に懲役1年8カ月の実刑判決を言い渡しました。
(本日配信の三重テレビ放送を参考にしています。)

社会問題となっている「あおり運転」に対して傷害罪が適用されて、実刑判決が言い渡された実際の事件です。
当初、警察は、危険運転致傷罪の疑いで男性被告人を逮捕していましたが、津地方検察庁「トラックを凶器とした暴行と認められる」と判断し、あおり運転による接触事故を、故意的な暴行行為と判断して、傷害罪で起訴したようです。
警察は、あおり運転の取締りを強化しており、悪質なあおり運転に対しては道路交通法だけでなく、あらゆる法令を適用して厳罰化が図られている最中の判決ですので、今後の同様の事件に大きく影響する判決ではないでしょうか。

◇道路交通法違反◇

① 車間距離を必要以上に詰める行為(車間距離所持義務違反)

道路交通法第26条で、運転手には、急ブレーキ等の不測の事態にも対応できるだけの十分な車間距離をとって車を走行させることが義務付けられています。
これに違反して、車間距離を十分に開けずに車両を走行させると、車間距離所持義務違反となります。
罰則規定は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

② 隣の車線に車を幅寄せする行為(進路変更禁止違反)

道路交通法第26条の2で、車線変更の方法等について規定されています。
この規定に違反して、危険な車線変更や進路変更をした場合は、進路変更禁止違反となり、その罰則は、5万円以下の罰金です。

③ 急ブレーキをかける行為(急ブレーキ禁止違反)

道路交通法第24条で、走行中の急ブレーキや、急な減速が禁止されています。これに違反して、急ブレーキや急な減速をした場合、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。。

このように、あおり運転は、上記したような道路交通法違反が適用されることとなります。

◇道路交通法違反以外の適用例◇

~暴行罪・傷害罪~

あおり運転が社会問題化されて、警察庁は、全国の警察に対して、道路交通法違反だけでなくあらゆる法令を適用して、あおり運転の取締りを強化するよう指示しました。
そんな中、あおり運転が刑事事件化された際に適用される可能性が最も高いのが「暴行罪」です。
暴行罪は、刑法第208条に定められた犯罪で、その法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
こういった暴行行為の結果、相手に傷害を負わせた場合は傷害罪の適用を受けます。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~危険運転致死傷罪~

あおり運転が社会問題化される原因となった「東名高速道夫婦死亡事故」は、危険運転致死傷罪が適用され、第一審では有罪判決(懲役18年)が言い渡されています。※被告人の控訴中
危険運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条に規定されている犯罪です。
通常の交通(人身)事故は、過失運転致死傷罪が適用されますが、故意の危険運転によって交通事故を起こし、被害者を死傷させた場合は罰則規定の厳しい危険運転致死傷罪が適用されることとなります。
危険運転致死傷罪の法定刑は、被害者が死亡した場合「1年以上の有期懲役」で、被害者が傷害の場合「15年以下の懲役」です。

~殺人罪~

昨年7月に大阪府堺市で起こった、あおり運転による交通死亡事故には「殺人罪」が適用されています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。

~強要罪~

最近では、今年の夏ごろに世間を騒がせた常磐自動車道におけるあおり運転事件が、みなさんの記憶に新しいのではないでしょうか。
この事件では、走行中の車の前で急停車した車の運転手が「強要罪」で逮捕されています。
強要罪とは、刑法第223条に規定された犯罪です。
その内容は「 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する」ことで、法定刑は「3年以下の懲役」です。

三重県亀山市の刑事事件でお困りの方、名阪国道におけるあおり運転事件でお困りの方は、三重県内の刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

夫婦喧嘩が刑事事件に!処分保留で釈放

2019-11-04

夫婦喧嘩が刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、三重県度会郡玉城町に同い年の妻と住んでいますが、夫婦関係は非常に悪く、1年ほど前から夫婦喧嘩が絶えません。
これまで何度か、大声で夫婦口論していたことから、近所の人が110番通報して、警察官が自宅に臨場する騒ぎを何度か起こしているぐらいです。
先日も、些細なことから妻と口喧嘩をしたAさんは、思わず妻の体を突き飛ばしてしまいました。
そして転倒した妻は、机の角に頭を打ちつけ、後頭部から出血するケガを負いました。
翌日、妻が診察を受けた病院から警察に事件が報告され、Aさんは、傷害罪で警察に逮捕されてしまいましたが、妻はAさんの刑事罰を望んでいませんでした。
そしてAさんは逮捕後に10日間の勾留を受けましたが、その後に、処分保留釈放されました。
(フィクションです。)

◇夫婦喧嘩でも刑事事件に発展◇

かつては民事不介入を理由に、警察が家庭内のトラブルに介入することはありませんでしたが、平成13年にDV防止法が施行されてからは、家庭内のトラブルであっても積極的に警察が介入するようになり、最近ではAさんのように逮捕されるケースも珍しくありません。
警察等の捜査当局は、たとえ被害者に被害申告の意思がなくても、再発の防止や、更なる重要事件へ発展する可能性があることを考慮して、被害者を保護したり、加害者を逮捕しているようです。

◇暴行・傷害事件◇

配偶者に対する暴力(DV・ドメスティックバイオレンス)については、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)で規制されている部分もありますが、この法律は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的にしており、暴行、傷害の行為そのものを取り締まったり、暴行、傷害した行為者に刑事罰を科すことを目的にしているものではありません。
そのため、家庭内暴力事件は、刑事手続き上「暴行罪(刑法第208条)」が適用され、それによって相手が怪我をすれば「傷害罪(刑法第204条)」が適用されます。
※行為態様によっては、暴力行為等処罰に関する法律違反や、逮捕、監禁罪など別の法律が適用される場合もありますので、不安のある方は刑事事件に強い弁護士に相談してください。

~暴行罪(刑法第208条)~

人を暴行すれば「暴行罪」の適用を受けます。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
躾(しつけ)のつもりでも、刑事事件化されて暴行罪の適用を受けた場合は、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることとなり、前科が付いてしまいます。

~傷害罪(刑法第204条)~

暴行によって相手に傷害を負わせてしまえば「傷害罪」の適用を受けます。
「怪我をさせるつもりはなかった。」と言いましても、故意的な暴行行為がある場合は傷害罪に抵触する可能性が非常に高いでしょう。
なお、傷害罪の法定刑は「15年以下の罰金又は50万円以下の罰金」ですので、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることとなり、前科が付いてしまいます。

◇処分保留とは◇

警察等の捜査機関から事件(被疑者)の送致を受けた検察官は、起訴するかどうかを判断します。

~起訴~
起訴された場合は、公開される裁判(公判)で刑事処分が決定する場合と、罰金を支払えば裁判は行われずに、全ての刑事手続きが終了する略式起訴(罰金)の場合があります。

~不起訴~
検察官が起訴しないことを「不起訴」といいます。
不起訴の理由は様々ですが、不起訴は、刑事罰が科せられないことを意味しますので前科は付きません。

~「処分保留」とは?~
被疑者が、勾留によって身体拘束を受けている場合、その勾留期間は10日~20日と法律で決まっています。
そして検察官は、この勾留の満期時に起訴するか否かを決定しなければなりません。
しかし、様々な事情(主に起訴するだけの証拠が揃っていない)があって検察官が勾留の期間内に、起訴するかどうかの決定ができない場合に「処分保留」となって、勾留されていた被疑者は釈放されます。
「処分保留」となった場合は、その後も引き続き捜査が継続されて、新たな証拠が出てきた場合には、起訴されることもありますが、既に被疑者が釈放されていることもあり、捜査を尽くしても、新たな証拠が出てくる可能性は低く、最終的には不起訴処分になるケースがほとんどのようです。

三重県度会郡玉城町の刑事事件や、家庭内の暴力事件でお困りの方は、三重県内の刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、警察に逮捕された方の早期釈放を実現する事務所です。

介護疲れから妻を殺害~殺人罪?同意殺人罪?

2019-10-25

介護疲れから殺害に及んだ夫に問われた殺人罪について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

伊賀市に住むAさんは、4、5年ほど前から「老年期精神病」と診断された妻を自分一人の力で介護していました。
Aさんは、それまで妻を施設に預けるなどしていたのですが、妻の言動が激しく、周囲の入所者に迷惑がかかるなどとの理由で施設に預けることができなくなったのです。
そんなある日、Aさんは自宅で転倒し、腕の骨を折る骨折の怪我を負ってしまいました。ケガをしたことで悲観的になったAさんは、「この状態では妻を介護することはできない。」「いっそのこと死んでしまおう。」と考え、まず妻を殺してから自分も自殺することを思いつきました。
Aさんは自宅に置いてあった延長コードを妻の首に巻いて締め付け、妻を殺害しました。
その後、Aさんは近くの高所の橋げたに足をかけ飛び降り自殺しようとしましたが、通行人に見つかって制止されました。
そしてAさんは、110番通報によって駆け付けた警察官に自殺しようとするに至った事情を聴かれるうち、妻を殺害したことが発覚し、殺人罪で逮捕されてしまいました。
Aさんは逮捕後接見した弁護士に「妻が死にたいと言っていたので殺した。」などと話しています。
(フィクションです)

◇殺人の罪◇

殺人の罪については刑法199条で殺人罪、刑法201条で殺人予備罪、刑法202条で自殺関与罪、同意殺人罪が規定されています。

刑法199条
 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法201条
 第199条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

刑法202条
 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人の嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

◇自殺関与罪、同意殺人罪◇

刑法202条の「~自殺させ」までが自殺関与罪、それ以降が同意殺人罪に関する規定です。
同意殺人罪は、嘱託殺人(罪)、承諾殺人(罪)とも呼ばれています。

自殺は本来不可罰とされています。
しかし、自分の命をどうするのかは他人の手に委ねられるべきものではなく、自分自身で決めるものです。
また、命の断絶について他人の手に委ねることをよしとする世の中としてしまうと、他に生きる選択肢があるにもかかわらず、容易に死を選択してしまう世の中になってしまうとも限りません。
そこで、他人の命を絶つことはやはり違法とし、処罰することとしているのです。

「教唆した自殺させる」とは、自殺の意思のない者に自殺を決意させて、自殺を遂行させることをいいます。
「幇助して自殺させる」とは、既に自殺の決意のある者の自殺行為に援助を与え、自殺を遂行させることをいいます。

「嘱託を受け」とは、被害者から積極的に殺害を依頼されること、「承諾を得て」とは、被害者から殺害されることについての同意を得ること、をいいます。
嘱託・承諾があったといえるためには、

①被害者自身が行ったものであること
②事理弁別能力(ある物事の実態やその考えられる結果などについて理解でき、自ら有効な意思表示ができる能力で、責任能力とは意味を異にします。)のある被害者の自由かつ真実の意思に出たものであること
③被害者の殺害に着手する前になされたものであること

が必要です。

この点、本事例では、妻はすでに「老年期精神病」に罹患していたというのですから、妻が殺害されることについて、妻の自由かつ真実の意思があったかに疑問符が残ります(上記②の点)。
また、被害者が「死にたいなど」と言って死を受け入れる覚悟はできていたとしても、死を受け入れることと他者から殺害されることに同意することは次元の異なる話ではないでしょうか?

◇介護疲れからの殺害では執行猶予付き判決も望める◇

上記のとおり、殺人罪の刑が非常に重たく、裁判で有罪とされれば実刑が原則です。
ところが、介護疲れからの殺人であれば、執行猶予付き判決を受けることも多くあります。
裁判所は、被告人に酌量すべき情状がある場合は殺人罪の刑を減軽することができます(殺人罪の懲役刑(5年以上の懲役)を減軽したときは、5年以上の懲役が10年以下2年6月以上の懲役となります)。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
伊賀市の刑事事件・少年事件でお悩みの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間年中無休で、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。

未成年者誘拐罪での勾留を回避

2019-09-19

未成年者誘拐罪での勾留を回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇◆事件◆◇

会社員Aさんは、3年前に離婚した元妻との間に4歳の息子がいますが、親権は元妻にあり、離婚後は、元妻が実家で養育しています。
Aさんは、離婚後、何度か元妻の実家に行き、息子に会おうとしましたが、義父母がそれを了承せずに、Aさんは離婚後、一度も息子に会っていません。
どうしても息子の成長を見たいAさんは、昨日、息子が通っている幼稚園に行き、幼稚園の先生に「元妻に頼まれて迎えに来た。」と嘘を吐いて息子を幼稚園から連れ去りました。
Aさんは、夕方までに息子を元妻の実家に送り届けるつもりで、息子とレストランで食事をした後に、デパートに行きました。
そしてデパートで買い物をして駐車場に戻ったところ、元妻からの通報を受けてAさん等の行方を捜していた三重県鈴鹿警察署の捜査員に発見され、Aさんは未成年者誘拐罪で現行犯逮捕されました。
逮捕後、Aさんに選任された刑事弁護人は、同居するAさんの両親が監視監督することを約束してAさんの勾留を阻止するのに成功しました。
(フィクションです。)

Aさんは自分の子供と一緒に、食事や買い物をしただけで、その後は親権を持つ元妻のもとに連れて行く予定でした。
それならば罪にあたらないのではないかと考えられる方もいるのではないでしょうか。
しかし、実子であっても親権を持たない親が、親権のある親元から子供を連れ去る行為は未成年者略取罪誘拐罪にあたる可能性が大です。

◇未成年者略取及び誘拐罪~刑法第224条~◇

未成年者を略取及び誘拐すると、未成年者略取罪誘拐罪となります。
この犯罪は、未成年者を本来の生活環境から離脱させて、自己又は第三者の実力支配下に移すことで成立する、自由に対する罪の一種です。
その手段として暴行や脅迫が用いられた場合は「略取」となり、欺罔や誘惑が用いられた場合は「誘拐」となります。
誘拐の手段とされる欺罔行為は、被拐取者に直接加えられる必要はなく、被拐取者が未成年である場合は、その保護者や監督者に対するものであってもよいとされています。
今回の事件でAさんは、幼稚園の先生に対して「元妻に頼まれて迎えに来た。」と嘘を吐いているので、その場合も未成年者誘拐罪が成立するということです。
未成年者誘拐罪で起訴された場合は、3月以上7年以下の懲役が科せられます。

◇勾留の却下◇

~勾留~

警察に逮捕されると、逮捕から48時間は逮捕に付随する行為として留置が認められています。
そして警察は逮捕から48時間以内に検察庁に送致しなければなりません。
更に送致を受けた検察官は24時間以内に釈放するか、裁判官に勾留を請求しなければならないのです。
裁判官が勾留を決定すれば勾留が決定した日から10日~20日間は身体拘束を受けることになります。

~勾留の回避~

事前に弁護士を選任することによって勾留を回避することが可能になります。

①検察官が勾留請求をしない
検察官は、送致までに作成された書類と、被疑者を取調べた結果によって勾留請求するか否かを決定します。
それらの書類は主に「勾留の必要性がある」といった内容になっています。
弁護士が、警察等の捜査機関が知り得ない情報を書類にして「勾留の必要性はない」ことを訴えれば検察官が勾留請求をしないことがあります。

②裁判官が勾留請求を却下する
検察官の勾留請求を阻止できなかった場合でも、次は、勾留を決定する立場にある裁判官に対して勾留の回避を働きかけることができます。
主に勾留は、釈放すれば刑事手続き上の支障が生じる場合(証拠隠滅や逃走のおそれがある場合)に決定されますが、そのような虞がないことを訴えることで、裁判官が、検察官の勾留請求を却下することがあります。

③勾留決定に対する異議申し立て(準抗告
一度、裁判官が勾留を決定した場合でも、この決定に対して異議を申し立てることができます。
これを準抗告といいます。
勾留は一人の裁判官の判断によって決定しますが、その決定に対して準抗告した場合は、最初に勾留を決定した裁判官以外の3人の裁判官によって審議されます。
先入観のない複数の裁判官が、捜査側(警察官や検察官)の作成した書類と、弁護側の作成した書類を見比べて、勾留の必要があるか否かを改めて判断するのが準抗告です。
準抗告が認容されると、最初に決定した勾留はその効力を失います。

三重県鈴鹿市で、未成年者誘拐事件で逮捕された方の勾留を阻止したい方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律にご相談ください。
フリーダイヤル0120-631-881で24時間365日、初回接見、無料法律相談のご予約を承っておりますのでお気軽にか電話ください。

暴行事件が検察庁に送致

2019-08-30

暴行事件が検察庁に送致された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、三重県鈴鹿市のスーパーの駐車場において、車の駐車方法を巡ってガ警備員とトラブルになりました。
警備員の言葉使いが気に食わなかったAさんは、この警備員に対して胸倉を掴んだり、身体を押す等の暴行を働きました。
後日、警備員が三重県鈴鹿警察署に「暴行」の被害届を提出したらしく、Aさんは警察署に呼び出されて取調べを受けました。
Aさんは暴行の事実を認めており反省しているので、警察署の取調べが終われば刑事手続きは終了すると思っていましたが、取調べを担当した警察官から「事件を検察庁に送致するので、後日、検察官から呼び出しがある。」と言われたのです。
Aさんは、その後の刑事処分が不安で三重県の刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

◇暴行罪~刑法第208条~◇

Aさんの行為は、刑法第208条に定められている「暴行罪」に当たります。
法律的に、暴行罪とは「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかった」ときに成立する犯罪です。
この法律でいう「暴行」とは、人の身体に不法な有形力を行使することで、殴る、蹴る、掴む、身体を押すといった、人の身体に対する直接的な行為だけでなく、足元に石を投げたり、室内で刃物を振り回したり、耳元で太鼓を叩いたりする行為であっても「暴行罪」が成立する可能性があります。
また、最近では「あおり運転」が社会問題となっていますが、車を運転中に、自車を走行する車に急接近したり、急ブレーキをかけて後方を走行する車を、自車に追突させようとする行為についても「暴行罪」が適用される可能性があります。

~暴行罪の量刑~

暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
暴行罪の法定刑は、刑法の中でも、比較的軽い法定刑となっており、条件を満たせば微罪処分の可能性もあります。
微罪処分を望むのであれば、検察庁に事件が送致されるまでに被害者と示談するなどして、被害者の宥恕を得る必要があるでしょう。
Aさんのように、警察から検察庁に事件が送致された場合は、検察官が正式に起訴か、又は略式起訴による罰金刑にするのか、若しくは不起訴処分にするのかを決定します。
偶発的な暴行事件ですと、初犯であれば、示談がなくても不起訴処分となる可能性がないわけではありませんが、被害者との示談があれば不起訴処分は確実なものとなるでしょう。

◇送致(書類送検)◇

Aさんのように暴行事件を起こして、不拘束で警察の取調べを受けると、取調べ等の警察捜査が終了すれば検察庁に事件が送致されます。
この手続きを書類送致若しくは書類送検といいます。
送致される検察庁は、三重県内に、津地方検察庁をはじめとして、同地方検察庁の支部が5カ所、その他、区検察庁が9カ所あります。
鈴鹿市の暴行事件の場合ですと、鈴鹿区検察庁に送致されるでしょう。

◇三重県内の検察庁◇

津地方検察庁、津区検察庁、鈴鹿区検察庁・・・三重県津市中央3番12号 津法務総合庁舎
津地方検察庁松阪支部、松阪区検察庁・・・三重県松阪市中央町36番地2
津地方検察庁伊賀支部、伊賀区検察庁、桑名区検察庁・・・三重県伊賀市上野丸之内169番地
津地方検察庁四日市支部、伊勢区検察庁・・・三重県四日市市三栄町4番21号 四日市法務合同庁舎
津地方検察庁伊勢支部、伊勢区検察庁・・・三重県伊勢市岡本1丁目1番13号 伊勢合同法務庁舎
津地方検察庁熊野支部、熊野区検察庁、尾鷲区検察庁・・・三重県熊野市井戸町673番地の7 熊野法務合同庁舎

鈴鹿市内暴行事件を起こしてしまった方、自身の刑事事件が検察庁に送致されてしまった方は、三重県内の刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
三重県内の刑事事件に関する無料法律相談についてはフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

傷害事件の刑事責任能力を争う

2019-08-26

傷害事件の刑事責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、会社の上司と四日市市内の居酒屋にお酒を飲みに行き、そこで泥酔してしまいました。
そのためAさんは、事件当時の記憶がほとんどありませんが、居酒屋内で泥酔したAさんは、居酒屋のトイレ内に寝込んでしまい、介抱しようとした店員に対して、掴みかかり殴りつける等の暴行をはたらいてしまったのです。そして店員はAさんの暴行によって、全治2週間の傷害を負ったようです。
Aさんは、通報で駆け付けた三重県四日市警察署の警察官によって逮捕され、現在は留置場に入っています。
(フィクションです。)
お酒を飲んで記憶をなくした経験のある方もいるかと思いますが、その様な状態に陥った際に、何らかの犯罪を犯してしまうと、刑事任能力が問題になります。
本日は、刑事責任能力について解説いたします。

◇責任能力◇

刑事責任能力については、刑法第39条に明記されています。
その内容は
①心神喪失者の行為は、罰しない。(刑法第39条1項)
責任能力が認められず、犯罪を犯した場合でも刑事罰が科せられることはありません。
②心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。(刑法第39条2項)
有罪が確定して言い渡される量刑において、その症状が考慮されて減軽されることとなります。
です。

心神喪失とは、「精神の障害により行為の是非や善悪を判断する能力がない状態」をいいます。
それに対して心神耗弱とは、「精神の障害により行為の是非や善悪を判断する能力が著しく減退した状態」です。
そして、精神の障害の典型例としては、統合失調症やそううつ病、知的障害、アルコールや薬物の影響等が挙げられます。

今回のAさんの行為は、店員に暴行し傷害を負わせているので、傷害罪が成立することは間違いありません。
しかし犯行時、Aさんは、記憶を失うほどお酒に泥酔していますので、その状態が「心神喪失」や「心神耗弱」であると判断されれば、傷害罪の刑責を免れる可能性があります。

◇責任能力の判断方法について◇

一般に責任能力があるかどうかは、犯行当時の精神障害の状態、犯行前後の行動、犯行の動機、態様などを総合的に考慮して判断されます。
そして本件のように飲酒しての犯行であればどの程度酔っているかが重要な要素になると考えられています。

酩酊の程度については、一般的な酩酊状態である「単純酩酊」と、それを超える程度の「異常酩酊」の状態があるとされます。
そして異常酩酊の中にも、激しく興奮して記憶が断片的になる「複雑酩酊」と、意識障害があり幻覚妄想などによって理解不能な言動が出てくる「病的酩酊」の二つの状態があります。
これはあくまで判断の目安に過ぎず、それぞれの境界は明確ではありません。
しかし、一般的には、単純酩酊であれば完全な責任能力が認められる、すなわち刑法第39条のいう「心神喪失」や「心神耗弱」には当たらないとされる可能性が高いです。
そして、複雑酩酊の場合は心神耗弱状態、病的酩酊の場合には心神喪失と認められる可能性が高いと言われています。
では、飲酒の際の暴行を覚えていなければ直ちに異常酩酊であると認められるかというとそうではなく、様々な事情が総合的に判断されます。
したがって、それまでの行為に至るまでの理由や犯行後の行動に何か異常であると認めらる事情がなければ、「単純酩酊」状態であるとされ、責任能力は認められると思われます。
 
今回の事件ですと、逮捕直後にAさんのアルコール検知を行った際の数値や、事件前にAさんがどの程度のお酒を飲んでいたのか、またAさんの飲酒量や酒癖、さらには、事件に至るまでの状態等を、徹底的に捜査されて責任能力が判断されるでしょう。

アルコールを口にした上で刑事事件を起こしてしまう方は少なくありません。
その様な方のほとんどは、警察等の取調べ時に、アルコールによる影響で「記憶が曖昧です。」「覚えていません。」と供述するようですが、なかなか警察等の捜査当局にこの供述は受け入れられず、否認事件と捉えられてしまいがちです。
お酒を飲んだうえで刑事事件を起こしてしまった方は、刑事責任能力を争えるかどうかを、専門家を交えて検証し、捜査に臨むことによって、必要以上の不利益を回避することができるでしょう。

お酒を飲んで暴行、傷害事件を起こしてしまった方、ご家族、ご友人が三重県四日市警察署逮捕されてしまっている方は、三重県内で起こった刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談、初回接見サービスをフリーダイヤル0120-631-881(24時間対応)で受け付けておりますのでお気軽にお電話ください。

傷害事件の流れを解説

2019-08-02

◇事件◇

桑名郡木曽岬町で廃品回収業を営んでいるAさんは、仕事中にトラックを運転していた際に、前方を走行する車の男性運転手とトラブルになりました。
最初は口論だったのですが、相手の男性があまりにも横暴な態度であることに腹を立てたAさんは、思わず男性の顔面を拳骨で一発殴りつけてしまったのです。
Aさんは、男性にケガをさせるつもりはありませんでしたが、男性は、Aさんの暴行によって、鼻から出血していました。
男性から「警察を呼ぶから待っとけ。」と言われたAさんは、このままだと逮捕されてしまうかもしれないと不安で、その場から車で逃げてしまったのです。
Aさんは今後のことが不安で、刑事事件に強いと評判の弁護士に傷害事件の流れを相談しました。(フィクションです。)

◇傷害罪◇

人に暴行をして、相手に傷害を負わせると「傷害罪(刑法第204条)」が成立します。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、傷害罪で有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることになります。
傷害罪で刑事罰を受けた場合、それは前科として経歴が残ってしまいますが、傷害罪で警察の捜査を受けたとしても、検察庁に送致されなかったり(不送致)、起訴されなかった(不起訴処分)場合は、前科になりません。

◇傷害事件の流れ◇

被害者が、被害届や告訴等によって警察に被害を届け出ると、警察が捜査を開始します。
事件を認知した警察は、まず被害者から被害状況を聴取したり、事件現場周辺の監視カメラや防犯カメラを精査したり、目撃者を探して目撃状況を聴取したりして事件を裏付けると共に、犯人の割り出すための捜査を行うでしょう。
そして警察の捜査によって、Aさんが犯人だと割り出されると、警察はAさんを逮捕するかどうかを判断します。
警察は、罪証隠滅や逃亡のおそれだけでなく、前科前歴の有無、生活環境(仕事や家族の関係)、素行等を総合的に判断して、Aさんを逮捕するかどうかを決定するのです。

~逮捕されなかった場合~

逮捕の必要がないと判断された場合、Aさんは、警察署に呼び出されて、警察官の取調べを受けることになります。
取調べでは、犯行に至った経緯や、犯行の情況等を聴取されるだけでなく、事件と全く関係ないと思われる身上関係まで聴取されて、その内容を調書に記載されます。
また警察は、取調べだけでなく、事件を起こした場所に警察官を案内(引き当たり捜査)したり、犯行状況を再現(再現見分)したりする捜査も行います。
そして、警察官による一連の捜査を終えると、警察官が作成した司法書類が検察庁に送致(書類送検)されるのです。
送致を受けた検察官は、警察官が作成した司法書類を確認して、Aさんの取調べを行い、一連の捜査を終了します。

~逮捕された場合~

逮捕の必要があると判断されると、警察は裁判官にAさんの逮捕状を請求し、裁判官の発付した逮捕状をもとにAさんは逮捕されてしまいます。
警察に逮捕されてしまうと、まず警察署に連行されます。これを「引致」といい、引致後はまず警察官から弁解を聴取され、弁解録取書という司法書類にその内容が記載されます。
その後、警察官による取調べが行われ、逮捕から48時間以内に釈放されなければ検察官に送致されます。
検察官に送致されると、送致から24時間以内に、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。そして裁判官は勾留する必要があるかどうかを判断します。
裁判官が勾留を決定すれば、引き続き10日~20日間は勾留状に記載されている勾留場所において身体拘束を受け、警察官や検察官による、取調べ等の捜査を受けることになります。
検察官が勾留を請求しなかったり、裁判官が勾留を決定しなかった場合は釈放されてます。
そして勾留期間が満了するまでに、一連の捜査が終了するのです。

一連の捜査が終了すれば、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。
起訴されなかった場合は、不起訴処分となって傷害事件の刑事手続きが終了します。
また略式起訴による罰金刑が決定した場合でも、罰金を納付すれば刑事手続きは終了するのですが、起訴された場合は、その後刑事裁判で刑事罰が確定することとなります。

桑名郡木曽岬町傷害事件でお困りの方、三重県内で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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