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他人のペットを傷つけると何罪?

2021-09-14

他人のペットを傷つけると何罪?

他人のペットを傷つけると何罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

三重県桑名市に住んでいるAさんは、隣人であるVさんがペットとして飼っている犬が、AさんがVさん宅前を通りかかるたびに吠えかかってくることに苛立っていました。
そして、ある日、Aさんは我慢の限界を超えてしまい、ついにVさん宅の犬を蹴飛ばして怪我を負わせてしまいました。
ペットの犬が怪我をしていることに気がついたVさんは、防犯カメラの映像などからAさんが暴行を加えて怪我をさせたことを知り、三重県桑名警察署に被害を届け出ました。
被害届を受理した三重県桑名警察署は、Aさんを逮捕
Aさん逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、突然の知らせに驚き、ひとまず弁護士に詳しい話を聞いてきてもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・他人のペットを傷つけると何罪?

今回のAさんは、Vさんのペットである犬に暴行し、怪我を負わせてしまっています。
このケースのように、他人のペットである動物を傷つけたときに成立する可能性のある犯罪としては、まずは刑法の器物損壊罪が挙げられます。

刑法第261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「前3条に規定するもの」とは、文書や建造物等のことで、それ以外のものが器物損壊罪の対象(客体)となります。
生きている動物を「物」と扱うことに違和感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、法律的には動物も「物」として扱われるため、他人にペットとして飼われている動物も器物損壊罪の客体=「他人の物」となります。
器物損壊罪の「他人の物を」「傷害」するという言葉からも、他人が飼っているペットが器物損壊罪の対象として想定されていることが分かります。
なお、「傷害」とは書かれているものの、他人のペットを殺してしまったような場合でも、器物損壊罪の「傷害」に当てはまり、器物損壊罪が成立することにも注意が必要です。

今回の事例では、AさんはVさんの飼っているペットの犬=器物損壊罪でいう「他人の物」に暴行を加え、怪我をさせている=「傷害」しているため、器物損壊罪が成立すると考えられます。

・自分のペットを傷つけたら何罪?

先ほど確認したように、器物損壊罪はあくまで「他人の物」を傷つけた時に成立する犯罪です。
ということは、ペットを傷つけた際、それが他人のペットでなかった場合、自分のペットを傷つけてしまった場合には器物損壊罪とならないのでしょうか。
刑法には、以下のような規定があります。

刑法第262条
自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、前3条の例による。

この条文によると、自分の飼っているペットであっても、差押えを受けていたり、物権を負担していたり、賃貸したりしてているときは、器物損壊罪の対象となることがわかります。
このような場合には、たとえ自分のペットであっても傷つければ器物損壊罪の成立が問題となります。

・器物損壊罪以外の犯罪も成立する?

加えて注意しなければならないのは、ペットを傷つけることによって、器物損壊罪以外の犯罪も成立の可能性があるということです。
ある特定の種の動物を傷つけた場合には、動物愛護法違反が成立する可能性が出てくるためです。

動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)は、主としてペット販売や取引を行う事業者に対して規制を加える法律です。
しかし、一般の飼い主やさらには飼い主でない人もこの法律による取締りを受けることがあります。

動物愛護法第44条第1項
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。

動物愛護法における「愛護動物」とは、牛、馬、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるとその他人が飼育している動物のうち哺乳類、鳥類、爬虫類に属するものを指します。
刑法に対して動物愛護法の処罰規定は特別法に当たりますので、愛護動物をみだりに殺傷したといえる場合には器物損壊罪ではなく動物愛護法違反が適用されます。
そして、動物愛護法では、動物の種類によっては器物損壊罪のように他人の物か自分の物か区別されていないため、他人のペットでも自分のペットでも、「愛護動物」に当たる動物を傷つければ動物愛護法違反となる可能性が出てきます。

今回のAさんは、Vさんのペットである犬=「愛護動物」を傷つけていますから、動物愛護法違反となると考えられます。
動物愛護法違反は、器物損壊罪と異なり親告罪ではないため、告訴がなくとも起訴される可能性があり、さらにその刑罰も重い物となっています。
迅速に刑事事件に対応できる弁護士に相談することが求められるでしょう。

「人を傷つけるわけではないから」と考える方もいるかもしれませんが、ペットを傷つけることも非常に重い犯罪です。
そういったことをしないよう気をつけることはもちろんですが、もしも当事者となってしまったら、弁護士に相談して対応を練っていくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、弁護士の初回接見サービスや初回無料法律相談を受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

器物損壊事件で示談

2021-08-31

器物損壊事件で示談した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、三重県津市の繁華街で酔って、路上に置かれた被害店舗の看板を蹴って壊したところ、店員の通報で駆け付けた三重県津警察署の警察官に器物損壊の容疑で現行犯逮捕されました。
翌日、Aさんは家族が身元引受人となり釈放されましたが、暴行、公務執行妨害の前歴2件があるため、今回はどのような処分となるのか気が気でなりません。
Aさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

器物損壊罪について

器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物を損壊又は傷害させた場合に成立する罪です。
「公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物」には、動産、不動産を広く含みます。
「損壊」とは、物の物理的な損壊のみならず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
判例では、食器に放尿する行為、鯛や海老が描かれた掛け軸に不吉と墨書きする行為、家屋を建設するために地ならしした敷地を掘り起こして畑地とする行為、施設の堀に赤色スプレーで落書きする行為も「損壊」に当たるとしています。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がすなどしてその効用に害する一切の行為を指します。

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪というのは、被害者などの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪のことです。
刑法上の親告罪は、器物損壊罪の他にも、未成年者略取誘拐罪、名誉毀損罪、侮辱罪、過失傷害罪などがあります。

器物損壊事件で示談した場合

器物損壊罪は粗暴犯の一種ですので、Aさんは2件の同種前歴をもっていることになります。
そのため、少なくとも罰金刑となる可能性はあると言えるでしょう。
しかしながら、器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との間で示談を成立させ告訴を取消してもらえれば、同種の前歴があったとしても不起訴となります。

器物損壊事件で不起訴となるには、被害者との示談が重要なポイントとなります。
ただ、示談は、加害者が被害者に対して金銭の支払いをする一方で、被害者が告訴を行わない、あるいは、告訴を取り下げるとする当事者間の約束ですので、決まったルールがあるわけではありません。
また、被害者は加害者に対して嫌悪感や恐怖心を抱いており、加害者との接触を望まない場合も少なくありません。
そのため、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的となっています。
弁護士限りであれば話し合いを承諾してくれる被害者も多いですし、法律の専門家である弁護士を介して交渉を行ることにより、加害者にとって到底受け入れることができない合意内容となったり、法外な示談金となることを避けることが期待できます。

無事に告訴が取下げられれば、起訴されることはありません。
器物損壊事件で被疑事実を争わない場合には、早期に弁護士に相談し、被害者との示談交渉に着手するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
器物損壊事件を起こし対応にお困りであれば、まずはお気軽にお電話ください。

少年事件で試験観察

2021-08-20

少年事件試験観察となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県伊勢警察署は、傷害事件の被疑者としてAくん(17歳)ら少年4名を逮捕しました。
Aくんには、同種の前歴があり、Aくんの両親は、今回の事件で少年院送致となるのではないかと心配しています。
Aくんの両親は、すぐに対応してくれる少年事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」と呼びます。)が、罪を犯したと疑われる場合には、捜査機関が少年の被疑事件として捜査を開始し、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと認められるときや、犯罪の嫌疑は認められないけれども家庭裁判所の審理に付すべき事情があると思料するときは、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、調査官による調査を行った上で、審判を行い、少年に対して処分を言い渡します。
審判で言い渡される処分には、①不処分、②保護処分、③都道府県知事又は児童相談所長送致、④検察官送致、⑤試験観察があります。

試験観察とは

家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に付することができます。
この決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、終局決定前の段階で必要がある場合に行われる中間決定です。
試験観察には、相当の期間、調査官の観察に付することによって、調査官の調査を補強・修正し、要保護性の判断をより一層的確にするという機能と、終局決定をいったん留保することで心理的強制効果を利用して教育的措置を行い、その効果を高めるという教育的処遇の機能とが期待されます。

試験観察の要件は、「保護処分を決定するため必要があると認めるとき」であることで、より細かく言えば、①保護処分に付する蓋然性があること、②直ちに保護処分に付することができないか、相当でない事情があること、③調査官の観察活動の結果により適切な終局決定ができる見込みがあること、④相当の期間内に観察目的を達成する見込みがあること、の4要素を満たす必要があるとされています。

試験観察の方法は、事案の内容や少年の抱える問題によって異なりますが、基本的には、調査官が、少年や保護者を定期的に家庭裁判所に呼び出し面接を行い、その中で教育的措置を行ったり、ボランティア活動へ参加させたりします。
試験観察には、在宅試験観察と補導委託試験観察とがあります。
在宅試験観察は、審判で試験観察決定が言い渡されると、その日に自宅に戻ることができます。
基本的には自宅で過ごし、定期的に家庭裁判所に出頭することになります。
補導委託試験観察は、民間の有志家に少年の補導を委託し、民間の社会資源の長所を生かした教育的な働きかけを行いながら、少年の行動等を観察しようとするものです。

このように、試験観察は、終局処分である保護処分を決めかねる場合にとられるもので、試験観察期間中に、少年の要保護性が解消したと認められる場合には、最終的に不処分が言い渡されることもありますし、少年院送致の可能性が高い事案であっても、保護観察となることもあります。
少年院送致が見込まれる場合には、まずは審判で試験観察となることを目指し、試験観察期間中に環境調整に力を入れ、最終的に審判で保護観察処分となるよう働きかけることが重要です。
そのような活動は、少年事件に精通する弁護士にお任せください。
少年事件は、成人の刑事事件と異なる点も多いため、少年事件については少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

児童虐待と刑事責任

2021-08-13

児童虐待刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

三重県多気郡多気町に住むAさんは、3歳になる娘と交際相手のBさんと一緒に暮らしていました。
Bさんは、娘が言う事を聞かないときには、手を挙げることもありましたが、Bさんは「しつけだから。」と言い、AさんはBさんに対して特に注意をすることはありませんでした。
ある日、娘が通う保育園で、保育士が娘の腕にあざのようなものがあるのを見つけ、娘に聞いたところ、「悪いことしたらBさんに叩かれた。」と答えたため、保育園は虐待を疑い、児童相談所に通告しました。
通告を受けた児童相談所は、Aさんの娘の身体に複数のあざが見つかっており、Bさんによる虐待が疑われるとし、娘の一時保護の必要性をAさんに説明しました。
後日、Bさんは、三重県松阪警察署から虐待の件で取り調べを受けることになり、Aさんは今後のことが不安になっています。
(フィクションです)

児童虐待が刑事事件へと発展する場合

法律上の児童虐待

児童虐待」の定義については、児童虐待防止法において、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)がその監護する児童(18歳未満の者)に対してなう行為とされており、当該行為に当たるものとしては、身体的虐待、性的虐待、放任虐待、心理的虐待の4種類に分けられています。

①身体的虐待
「児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。」が身体的虐待です。
殴る、蹴る、叩くといった行為はもちろんのこと、異物を飲ませる、戸外に締め出すなどの行為も身体的虐待に当たります。

②性的虐待
性的虐待とは、「児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。」です。
これには、性交をすること、性器を触る・触らせる・見る・見せること、性交を見せることや児童ポルノの被写体にすることなどが含まれます。

③放任虐待
「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」であり、これに該当するか否かは、子供の年齢、放置時間の長短、時間帯等、様々な要因が検討されます。

④心理的虐待
心理的虐待とは、「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。第十六条において同じ。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」です。

児童虐待が疑われた場合に、よく主張されるのが「しつけの一環での行為」です。
しかし、児童虐待の該当性については、子供の安全安心を脅かすものであるか否かが基準となるのであり、基準を超した「しつけ」はもはや正当化されるものではありません。

Bさんの行為が、児童虐待防止法上の「児童虐待」に当たるか否かですが、児童の母親の交際相手であるBさんが児童虐待の主体に該当するかがまず問題となります。
Bさんは、児童の親権者ではないものの、児童の親権者(この場合は母親)と内縁関係にあり、子供を現実に監督、保護している場合には保護者に該当することになります。
また、母親であるAさんは、娘に暴力を振るってはいないものの、Bさんのよる暴力を黙認しています。
この場合、子供への暴力行為を放置したとして、③に当たると考えられます。
しかしながら、児童虐待防止法は、児童虐待について規定するものの、児童虐待行為自体についての罰則は規定していません。

児童虐待と刑事責任

児童虐待防止法における児童虐待に該当する場合の多くは、刑法や特別法で規定される犯罪に該当することがあります。
児童虐待防止法では児童虐待自体に対する罰則が規定されていませんが、児童虐待に当たる行為が、法律で犯罪として定められている行為に該当する可能性は大いにあります。
例えば、身体的虐待は、刑法の暴行罪、傷害罪、傷害致死罪などに当たる可能性があります。
そのような場合には、刑事事件として立件され、児童虐待を行った者に対して刑事責任が問われることになります。
つまり、被疑者として捜査を受け、起訴されれば被告人として有罪・無罪の判決が言い渡されるのです。

児童相談所が児童虐待事案を認知したときは、警察に通報し、通報を受けた警察は捜査を開始します。

上の事例において、Bさんについては、傷害の容疑がかけられるものと考えられますが、Aさんに対しても、「不作為の幇助犯」としての刑事責任が問われる可能性があります。
何かすること(作為)だけが犯罪となるのではなく、何かしないこと(不作為)が罪に当たることもあるのです。

事件の内容によって、どのような刑事責任に問われるのかは異なります。
まずは、刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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名誉毀損罪と侮辱罪

2021-08-10

名誉毀損罪と侮辱罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
インターネットの掲示板に、「地元のアイドルとして活躍しているYは、整形をしている。中学の卒アルの写真と比べたらバレバレ。」と書き込み、Yの卒業写真とみられる写真を一緒に投稿したり、「中学時代は男をとっかえひっかえしてた。清純系とかウソ。」などといった内容の書き込みが多数寄せられていることに対して、Yさんは所属事務所に相談した上で、三重県津南警察署に被害届を出しました。
後日、同警察署は、この事件の被疑者としてAさんに話が聞きたいと出頭を要請しました。
Aさんは、どう対応すべきか困っています。
(フィクションです)

他人を誹謗中傷するような内容をインターネットの掲示板やSNSに書き込んだ場合、名誉毀損罪または侮辱罪が成立する可能性があります。
以下、各犯罪について、そして両者の違いについて解説します。

名誉毀損罪

第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

◇客体◇
名誉毀損罪の客体は、「人の名誉」です。
「人」には、自然人の他に、法人、法人格のない団体も含まれます。
「名誉」とは、人に対する社会一般の評価を意味します。
本罪における「名誉」には、人の倫理的価値、政治的・学問的・芸術的能力、容貌、健康、身分、家柄など、およそ社会において価値があるとされるものが含まれますが、人の経済的な支払能力や支払意思に対する社会的評価は含まれません。

◇行為◇
名誉毀損罪の行為は、「公然と事実を適示し」て「人の名誉を毀損」することです。

「公然」とは、不特定または多数人が認識しうる状態のことをいいます。
不特定については、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいい、公道の通行人や公開の広場におけ聴衆などがこれに当たります。
多数人とは、数字によって何人以上と限定することはできませんが、単に数名では足りず、相当の員数である必要があります。
また、名誉侵害表現の相手方が特定少数の場合であっても、伝播して不特定多数の者が認識しうる可能性を含む場合にも公然性が認められます。

指摘される「事実」は、人の社会的評価を害するにたりる事実でなければなりません。
この「事実」は、真実か否か、公知か否か、過去のものが否かは問いません。

「適示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるにたりる事実を告げることをいいます。
事実を適示する方法に制限はなく、口頭、文書、写真などであっても構いません。

「名誉を毀損」するとは、人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を作ることをいい、現実に社会的地位が傷つけられたことまで必要とされません。

◇故意◇
本罪の故意は、公然と事実を適示して人の名誉を毀損することの認識・認容です。

◇違法性の特則◇
刑法第230条の2において、公共の利害に関する場合の特則規定があり、一定の場合に違法性が阻却されます。

 

侮辱罪

刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

◇客体◇
侮辱罪の客体は、名誉毀損罪のそれと同じく「人の名誉」です。

◇行為◇
侮辱罪の行為は、「公然と人を侮辱する」ことです。
侮辱する」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することをいいます。
名誉毀損罪とは異なり、具体的事実を適示することなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断、批判を表現することで足ります。
具体的事実を適示した場合は、名誉毀損罪が成立することになります。

◇故意◇
事実を適示することなく、公然と人を侮辱することの認識・認容です。

以上の様に、名誉毀損罪と侮辱罪は、具体的事実の適示の有無によって区別され、択一関係にあるため、同一人に対する同一行為の場合、名誉毀損罪が成立する場合には侮辱罪は成立しません。

上記ケースの場合、誰でも閲覧可能なインターネットの掲示板に、Yさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みをしています。
ここで問題となるのが、書き込みの内容が「具体的な事実を示し」ているか否かです。
「中学時代は男をとっかえひっかえしてた。清純系とかウソ。」という書き込みについては、具体的な事実ではなく抽象的な評価を示して、Yさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みであるので、これについては侮辱罪にとどまるでしょう。
しかし、整形をしていると指摘し、中学校時代の個人写真も一緒に投稿している場合、具体的な事実を示して、Yさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みをしていると考えられ、名誉毀損罪が成立するでしょう。

名誉毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、侮辱罪は拘留又は科料と、その刑罰においても異なります。
しかし、いずれの罪も、被害者らによる告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪であるため、事件を穏便に解決するためには、被害者との示談を成立させることが重要です。

インターネットで他人を誹謗中傷し、名誉毀損罪・侮辱罪に問われており、対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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傷害事件で逮捕されたら

2021-07-06

傷害事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県鳥羽市の路上で、口論になった相手に対して殴る蹴るの暴行を加え、怪我を負わしたとして、会社員のAさんは三重県鳥羽警察署に現行犯逮捕されました。
Aさんは当時酒に酔っていたようで、事件についてあまり覚えていません。
ただ、会社に事件のことが知られてしまうとクビになってしまうかもしれないと心配しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、何とかすぐに釈放されないかと不安でなりません。
(フィクションです。)

傷害事件で逮捕された後の流れ

傷害事件を起こし、警察に逮捕された場合、被疑者の身柄は警察署に移されます。
警察署では、事件についての取調べが行われます。
警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者を釈放するか、それとも、証拠物や関係書類と一緒に被疑者の身柄を検察庁に送ります。
逮捕後に引き続いて被疑者の身柄を拘束しながら捜査をする必要がないと考える場合には、警察は被疑者を釈放します。
傷害事件では、犯行態様、被害者の被害の程度や、被疑者と被害者との関係性、被疑者が容疑を認めているかいないかによって、逮捕後に釈放となるケースもあります。
一方、警察が検察庁に送致した場合、検察官は、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、それとも、被疑者に対して勾留を請求するかを判断します。
検察官は、警察から送られてきた証拠物や関係書類、被疑者の取調べを行った上で、被疑者の身柄を拘束したまま捜査をする必要があるかどうかを検討します。
検察官が、勾留を請求した場合には、被疑者の身柄は、裁判所に移ります。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官は、被害者と面談を行い、被疑者を勾留すべきかどうかの判断を行います。
勾留すべきではない場合には、検察官の勾留請求を却下し、被疑者を釈放します。
勾留すべきとの判断を下した場合には、被疑者は、検察官が勾留請求をした日から原則10日間拘束されることになります。
勾留は、延長することができるので、10日間の勾留の後に最大で更に10日間の身体拘束となる可能性もあります。
被疑者の身柄を拘束している場合、検察官は、その勾留期限の間に、被疑者を起訴するか、それとも不起訴で事件を処理するかを決めます。
検察官が、不起訴の決定をすると、事件は終了し、被疑者が身柄拘束されている場合には、即時釈放となります。
一方、検察官が起訴すると、被疑者は被告人となり、勾留も起訴後の勾留にかわります。
起訴後の勾留期間は、2カ月で、以降1カ月ごとの更新が認められています。

会社に事件を知られたくない

刑事事件を起こし、逮捕されたときに、本人やその家族が心配することの1つに、会社に事件が知られてしまうのではないか、ということがあります。
会社に事件が知られてしまうと、最悪の場合、懲戒解雇となってしまうおそれがあるからです。
被疑者の収入を頼りに生活をしている場合には、被疑者が長期間勾留されることにより、被疑者本人だけでなく、その家族も、大きな不利益を受けることになってしまいます。
ですので、会社に事件が知られる前に、被疑者の身柄を解放することが、被疑者やその家族にとってとても重要なポイントとなります。
上で述べたように、裁判官が勾留を決定するまでには、警察や検察官、裁判官それぞれが被疑者の身体拘束についての判断する段階があります。
その段階で、被疑者を拘束する必要がないと判断されれば、被疑者の身柄は解放されることになります。
具体的には、逮捕されてから検察官に送致されるまでの間に、警察に被疑者を釈放するよう働きかける、検察に送致された場合には、検察官に対して意見書や面談を行うことにより、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠に基づいて主張し、勾留請求をしないように働きかけます。
検察官が勾留請求をした場合には、勾留の判断をする裁判官に対して、当該被疑者については勾留の要件を満たしていない旨を主張し、勾留の決定をしないよう働きかけます。
このような働きかけにより、被疑者が勾留されずに釈放される可能性を高めることができます。
また、裁判官が勾留の決定をした場合であっても、その決定に対して不服申立を行うことにより、勾留を決定した裁判が取消され、被疑者が釈放となる可能性もあります。

逮捕から勾留の決定までの期間は短いため、勾留を回避するためには、迅速に動かなければなりません。
会社に事件のことが知られるのではと心配されておられるのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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責任能力を争う刑事弁護士

2021-07-02

責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県志摩市で、同居する親族を殺害しようとしたとして、三重県志摩警察署は、Aさんを殺人未遂の容疑で逮捕しました。
Aさんは、精神障害を患っており、事件当時もその影響が大きかったのではないかとAさんの家族は考えています。
Aさんの家族は、事件について刑事事件専門弁護士に相談し、責任能力について質問することにしました。
(フィクションです。)

犯罪の成立

犯罪は、その行為を行った場合には刑罰が科されるべきものだと言えるでしょう。
もう少し細かく言えば、犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」です。
つまり、犯罪というのは、人の行為であって、①構成要件に該当する、②違法で、③責任がある、という3つの要件をすべて備えたもの、となります。

①構成要件該当性

刑法をはじめとするある一定の法律には、「〇〇した者は、△△年以下の懲役又は□□万円以下の罰金に処する。」といった条文が規定されています。
この「〇〇した」のように、法律により犯罪として決められた行為の類型を、構成要件といいます。
殺人罪であれば、「人を殺した」行為が構成要件です。
この構成要件を満たす場合を構成要件該当性といい、犯罪の成立を肯定するためには必要となります。

②違法性

ある行為が、構成要件に該当する場合であっても、それが違法でなければ犯罪は成立しません。
通常、犯罪として法律に規定された行為は、その行為を禁止するために犯罪として規定されていることから、本来は違法であることが想定されています。
しかしながら、ある一定の事情が存在する場合には、違法性がなく、犯罪は成立しない、ということになるのです。
違法性を失わせる特段の事情を「違法性阻却事由」といい、正当行為、正当防衛、緊急避難などがあります。

③有責性

構成要件に該当する行為を行い、その行為は違法である場合であっても、それを行ったことについて責任が認められないのであれば、犯罪の成立を肯定することはできません。
責任は、行為者に対する非難可能性であって、非難することができなければ刑罰を科すことはできない、との考えが基礎にあります。
責任があるかどうかの判断は、「責任能力」、「故意又は過失」、そして、「適法行為の期待可能性」で判断されます。
今回は、上の事例でも問題になっている責任能力について考えてみましょう。

責任能力

犯罪だとされる行為を行ったことについての責任が認められるには、行為者において、責任があるとすることができる能力、つまり、責任能力がなければなりません。
責任能力とは、「事物の是非善悪を弁別し、それに従って行動する能力」のことをいいます。

刑法は、39条で心神喪失・心身耗弱、41条で刑事未成年について規定しています。

第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

第41条 14歳に満たない者の行為は、罰しない。

心神喪失とは、精神の障害により、行為の違法性を弁識し(弁識能力)、その弁識に従って行動を抑制する能力(制御能力)を欠く状態をいいます。
弁識能力又は制御能力いずれかが欠けている場合が心神喪失となり、この場合は、責任能力が欠ける(責任無能力)ため責任が阻却されます。
心身耗弱とは、精神の障害により、弁識能力又は制御能力が欠如するまでには至っていないものの著しく限定されている状態をいいます。
心身耗弱の場合には、責任能力は認められるものの、著しく限定されているため(限定責任能力)、責任減少を認めて刑の必要的減軽が適用されます。

心神喪失・心身耗弱の判断については、病歴、犯行当時の病状、犯行前の生活態度、犯行の動機や態様、犯行後の行動、犯行以後の病状などを総合的に考察して行われます。
責任能力は、あくまでも法律上の概念であり、法律判断であるため、専門家の鑑定を行い、例えその鑑定で心神喪失や心身耗弱の状況にあるとされても、最終的に心神喪失・心身耗弱の判断を行うのは裁判官です。

弁護士は、被疑者・被告人に精神障害が認められ、その精神障害の症状が犯行に影響を与えたこと、そして、被害者・被告人を法的に非難できるかどうか、という点に重点を置き、責任能力がないこと、あるいは限定的であることを客観的証拠に基づいて立証し、責任能力を争います。

刑事事件において、責任能力が争われるケースは少なくありません。
しかし、責任能力がない、あるいは限定的であることを立証することは容易ではありません。
責任能力に疑問のある場合には、できる限り早期に刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

少年事件で観護措置回避

2021-06-29

少年事件観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県度会郡玉城町に住むAさん(15歳)は、友人Bさんと共謀して、知人のVさんに対して暴行を加え、財布を盗ったとして、三重県伊勢警察署に逮捕されました。
Aさんは逮捕後に、勾留が決定しましたが、高校受験を控えていることから、早く釈放されることを希望しています。
Aさんの両親は、家庭裁判所に送致された後も観護措置により身体拘束が続く可能性について警察から聞き、なんとか回避できないかと困っています。
(フィクションです。)

観護措置について

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致することになっています。

事件を受けた家庭裁判所は、調査、審判を経て、少年に対する処分を決定します。
家庭裁判所は、事件が係属している間いつでも、観護措置をとることができます。

観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護とがありますが、実務上、在宅観護はほとんど行われておらず、観護措置という場合には、収容観護を指すものとなっています。

観護措置の要件は、「審判を行うため必要があるとき」と少年法に規定されています。
一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。
①審判条件があること。
少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること。
③審判を行う蓋然性があること。
観護措置の必要性が認められること。

観護措置の必要性については、具体的に次の事由がある場合に認められるとされています。
(ア)調査、審判および決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置は、法律上、2週間で、特に継続の必要があるときに1回に限り更新が認められるとなっています。
しかし、実務上は、ほとんごの事件で更新がなされており、通常、観護措置の期間は4週間となっています。

観護措置を回避するために

観護措置は、家庭裁判所に事件が係属している間、いつでもとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとるのが通常となっています。
そのため、捜査段階で少年の身柄が拘束されている場合には、弁護士は、捜査機関から家庭裁判所に送致される日を確認し、送致される日に付添人として観護措置回避するよう裁判官に働きかける必要があります。
家庭裁判所に事件が送致されると、裁判官は送られてきた記録に目を通し、少年と面談を行い、観護措置の決定が告知されます。
裁判官は、捜査機関から送られてきた記録(法律記録)には目を通していますが、付添人である弁護士は、記録に表れていないと思われる少年に有利な事情や少年の反省状況、被害弁償の進捗状況、保護者の監督状況、通学・就労できないことによって少年が被る不利益などの観護措置の弊害について裁判官に説明し、裁判官に対して観護措置をとらないように働きかけます。
裁判官と少年とが面談する前に、観護措置に関する意見書の提出や裁判官との面談を行い、裁判官に観護措置をとる必要がないことを認めてもらうよう活動します。

捜査段階で身体拘束されていない場合でも、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断したときは、観護措置がとれらることもあります。
そのような事態を回避するためにも、家庭裁判所に事件が送致されたタイミングで、観護措置に関する意見書を提出し、観護措置がとられることのないよう働きかけることも重要です。

観護措置が決定した場合には、異議申立てや観護措置取消の職権発動を促す申立の方法で、観護措置の決定を争うことができます。

観護措置の期間は4週間と長く、その間は学校や職場に行くことはできないため、退学や解雇といった不利益が生じることも否定できません。
そのような不利益によって、かえって少年の更生を妨げることにもなりかねず、不必要・不当な観護措置がとられることのないよう適切に対応することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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少年事件で身柄解放

2021-06-11

少年事件身柄解放に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県四日市北警察署は、三重県四日市市に住むAくん(18歳)を傷害の容疑で逮捕しました。
Aくんは、交際相手の女性に暴行を加え、怪我を負わせたとの容疑がかけられており、被害女性からの相談を受けたことで事件が発覚しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの父親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
Aくんは学生でもあるので、早期の身柄解放を望んでいます。
(フィクションです。)

少年事件における身体拘束

被疑者が20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)であっても、その身柄を確保した上で捜査が行われることはあります。
以下、少年事件における身体拘束について、捜査段階と家庭裁判所送致後の2段階に分けて説明します。

1.捜査段階

捜査段階では、通常の刑事事件と同じように、刑事訴訟法の適用を受けるため、少年であっても逮捕・勾留されることがあります。
但し、14歳未満の者については刑事責任が問われませんので、逮捕されることはありません。
勾留の要件も、成人の場合と変わりありませんが、少年を勾留請求したり、勾留する場合は、通常の勾留の要件に加えて、「やむを得ない場合」でなければならないとされています。
勾留決定に際して、接見禁止決定が付されることがありますが、少年の場合、保護者については、その対象から外れることが一般的です。

少年の場合、通常の勾留に代えて、「勾留に代わる観護措置」がとられることがあります。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されますが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求から10日であり、延長できないこと、そして、勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された事件が家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされることが、勾留と異なります。

2.家庭裁判所送致後

捜査が終了し、事件が家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が観護措置をとり、少年が少年鑑別所に収容されることがあります。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判のために、少年身柄を少年鑑別所に送り、心身の鑑別などを行う処分です。
捜査段階で逮捕・勾留されている場合、家庭裁判所送致日に裁判官による審問手続を経て、その日に観護措置の決定がされます。
観護措置の期間は、法律上は原則として2週間とされていますが、実務上は1回更新されて4週間となるのが通常です。

心身が発展段階にある少年は、身体拘束による精神的・肉体的負担は成人と比べて大きいですし、身体拘束された結果、退学や解雇となれば、少年の将来に大きく影響する可能性も否定できません。
長期の身体拘束による不利益は大きく、不当不要な身体拘束を回避すべく、弁護士は早期の身柄解放を目指した活動を行います。

勾留阻止に向けた活動

勾留が決定する前の段階においては、弁護士は、検察官との面談や意見書の提出などの方法により、検察官が勾留請求をしないように働きかけます。
その際、弁護士は、勾留の要件を満たしていないことを指摘することに加えて、少年を勾留する場合の要件である「やむを得ない場合」には該当しないことを、具体的な事情を指摘しつつ主張します。
検察官が勾留請求をした場合には、速やかに勾留担当の裁判官と面談したり意見書を提出するなどして勾留請求却下を求めます。
勾留が決定した場合には、通常の刑事事件と同様に、勾留に対する準抗告、勾留取消請求や勾留の執行停止の申立てなどを行い、釈放を目指します。

観護措置回避に向けた活動

事件が家庭裁判所に送致される時期を見計らい、付添人選任届の提出とともに、観護措置をとる必要がない旨の意見書の提出を行い、裁判官との面談を申し入れる等し、観護措置をとらないよう裁判官に働きかけます。
観護措置が決定された場合には、不服申立の手段として、観護措置の取消し又は異議申し立てがあります。
観護措置決定の取り消し申立ては、家庭裁判所に対して観護措置の取消しの職権発動を促す申立であるのに対して、観護措置決定に対する異議申立ては、法律によって認められている不服申立権です。

以上のような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

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動物虐待で器物損壊

2021-06-08

動物虐待器物損壊となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県度会郡南伊勢町に住むAさんは、最近、何らかの小動物が敷地内に侵入し、花壇を荒らしたり、糞をする被害に遭っていました。
Aさんは、野良猫による仕業だと思い、敷地内に罠を仕掛け、罠にかかった野良猫を痛めつけて二度とこないようにしてやろうと考えました。
Aさんは、罠にかかった猫を棒で何度も叩き、猫にひどい怪我を負わせました。
後日、三重県伊勢警察署の警察官がAさん宅に訪れ、近所の飼い猫が虐待された事件について話が聞きたいと言い、Aさんが野良猫だと思っていた猫が実は飼い猫だったことが分かりました。
Aさんは、警察沙汰になるとは思っておらず、今後どうなるのか不安です。
(フィクションです。)

動物虐待で器物損壊に問われる場合

器物損壊罪は、

刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

と規定されています。

■客体■

器物損壊罪の客体は、「前3条に規定するもののほか、他人の物」です。
「前3条に規定するもの」とは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊・同致死傷罪の客体となる物以外のすべての物で、動産、不動産を広く含みます。
動産には、動植物も含まれますが、「他人の物」、つまり、人が所有する動植物でなければなりません。

■行為■

器物損壊罪の実行行為は、「損壊」と「傷害」です。
「損壊」は、物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
例えば、食器に放尿する行為や、学校の校庭に杭を打ち込み授業その他の支障を生じさせる行為は、「損壊」に当たるとされています。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がしたりするなどして、その効用を害する一切の行為を含みます。

■故意■

器物損壊罪は故意犯であるため、罪を犯す意思がなければ罪は成立しません。
器物損壊罪の故意は、他人の物を損壊・傷害することの認識・認容です。
「この動物を傷つけてやるんだ!」と確信的な故意がある場合だけでなく、「この動物を傷つけることになるかもしれないけど、ま、いいや。」といった未必的な故意を有していた場合も、故意が認められます。
そして、「他人の物」であることの認識・認容がない場合にも故意は存在しないことになります。
動物虐待のケースで言えば、虐待の対象となる動物が誰かのペットであると知りつつ虐待行為に及んだのであれば、器物損壊の故意が認められますが、誰のペットでもない野良だと思っていたのであれば、器物損壊の故意を欠くことになります。

上のケースでは、Aさんの行為は客観的には器物損壊罪に該当する行為を行っているのですが、近所の飼い猫を野良猫と誤信しており、他人の所有する動物との認識を欠いているため、器物損壊罪の故意を欠くことになり、器物損壊罪は成立しません。

ただ、Aさんは、愛護動物である猫という認識を有していたため、動物愛護法違反に問われることにはなり、Aさんの行為が何らの罪にも問われないわけではありません。

刑事事件として立件されると、刑事手続に基づいて事件が処理されます。
事件を起こしたとされる者は、被疑者として取調べを受けたり、被告人として法廷で審理されたりします。
刑事事件へと発展してしまうと、「そんな大事になるとは思ってもいなかった…。」とその後の流れや最終的な処分について何も分からず不安になられる方がほとんどではないでしょうか。
そんな時は、まず刑事事件専門の弁護士に事件についてご相談ください。
弁護士に、ご自身の抱えている不安や悩みを相談し、適切なアドバイスを受けることで、事件解決の糸口が見つかることもありますし、抱えていた不安や悩みが大いに和らぎます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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