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連続侵入窃盗事件(忍び込み)で逮捕
連続侵入窃盗事件(忍び込み)で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇連続侵入窃盗事件(忍び込み)で逮捕◇
Aさんは、三重県鳥羽市や志摩市を中心に、深夜帯に住民が寝静まった民家に忍び込んで、現金や貴金属を盗み出す、侵入窃盗事件(忍び込み)を繰り返していました。
先日も、鳥羽市内の民家に忍び込んで、居間のタンスの中から、現金や高級腕時計を盗み出し、逃走しようとしたのですが、犯行直後に三重県鳥羽警察署の警察官に見つかってしまい、その場で取り押さえられて現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
◇侵入窃盗事件(忍び込み)◇
忍び込みとは、家人の就寝中を狙って民家などに侵入し、窃盗を行う犯罪です。
家人の不在を狙う「空き巣」と名称は異なりますが、「住居侵入罪」、「窃盗罪」に問われる点では同じです。
以下、住居侵入罪と窃盗罪について解説していきたいと思います。
(住居侵入罪)
住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。
住居侵入罪の「侵入」とは、判例上、管理権者の意思に反する立ち入りを意味します。
住居侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっています。
家人の就寝中に窃盗目的で入るなど居住者は到底認めないでしょうから、管理権者の意思に反する立ち入りとして住居侵入罪が成立するでしょう。
(窃盗罪)
窃盗罪は、他人の占有する財物を窃取する犯罪です(刑法第235条)。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
Aさんは、家人のものである現金と高級腕時計を盗み出しています。
盗んだ現金や高級腕時計は明らかに「財物」にあたり、家人が居間のタンスに保管していたことから、家人の占有も認められるでしょう。
これを自身のものにしようと思い盗み出したことから、Aさんの行為は「他人の占有する財物を窃取した」ものと評価されるでしょう。
◇逮捕されたAさんはどうなる?◇
警察署に引致され、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、弁解を録取されます。
その後に取調べを受けることになります。
捜査段階において、逮捕・勾留されると、最長23日間身体拘束を受けることになります。
警察がAさんについて忍び込み事件の被疑者であると考えていることを考慮すると、勾留がつく可能性が高いと思われます。
また、余罪について順次明らかになれば、再逮捕される可能性も十分あります。
さらに、立証できる忍び込み事件の数によっては、実刑判決を受ける可能性もあります。
そのため、Aさんはできるだけ早期に弁護士を付けるほうが良いでしょう。
◇侵入窃盗事件(忍び込み)の刑事弁護活動◇
~身柄解放活動~
勾留が付いたり、再逮捕が続くなどして、身体拘束が長引くと、Aさんの社会生活や身体にも悪影響を与えます。
弁護士は、身体拘束を続ける必要がない旨を捜査機関や裁判官に訴えかけ、なるべく早期に釈放し、在宅事件で捜査をするよう求めます。
~被害者との示談~
被害者と示談が成立すれば、釈放される可能性、捜査の最終段階において不起訴処分を獲得できる可能性、起訴された場合には、より有利な量刑による判決(執行猶予付き判決、通常よりも軽い刑など)を獲得できる可能性が高まります。
~起訴後の活動~
Aさんが真摯に反省していること、示談が成立している場合には、被害者の損害が賠償される見込みであることなどを主張し、より軽い量刑による判決の獲得に向けて活動します。
◇侵入窃盗事件(忍び込み)に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
弊所では、初回接見サービスを実施しております。
初回接見サービスでは逮捕された方のもとへ弁護士を派遣し、接見室で相談を受けていただくことができます。
また、初回接見の結果は、依頼者の方へ報告させていただくことができます。
ご家族が忍び込み事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
友人と空き巣 見張りなのに逮捕
空き巣の見張り役が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
空き巣事件
無職のAさんは生活に困窮していました。そんな中、かつてのアルバイト仲間であるBから「一緒に空き巣をやらないか。」という話を持ち掛けられました。
最初はBの誘いを断っていましたが、Bから「見張りをしているだけでいい。」と言われたことから犯行に協力することにしたAさんは、三重県いなべ市の一軒家までBと共に行き、Bが住宅に侵入し盗みをはたらいている間、家の前で見張りをしていました。
そしてBから盗んだお金にの半分を受け取りました。
それから2カ月ほどして、Aさんは、窃盗罪と住居侵入罪で三重県いなべ警察署に逮捕されたのですが、Aさんは、見張りをしていただけなのに、Bと同じ罪で逮捕されたことに納得ができません。
(フィクションです)
空き巣
空き巣は、人の家に不法侵入して、家の中から金品を盗み出す侵入窃盗罪の一種で、万引きや置き引き等の窃盗事件よりも悪質性が高いと評価されています。
空き巣は、人の家に不法侵入する「住居侵入罪」と、人の物を盗む「窃盗罪」の二つの罪に抵触します。
それぞれの犯罪は刑法に規定されており、その内容は以下のとおりです。
住居侵入罪
刑法第130条
正当な理由なく、人の住居に不法侵入することで成立する犯罪で、その法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
窃盗罪
刑法第235条
不法領得の意思をもって他人の物を盗むことで成立する犯罪で、その法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
空き巣のように、数個の犯罪が、手段と目的の関係にある場合を「牽連犯」といいます。
牽連犯でいうところの「手段の目的の関係にある」とは、犯罪の性質からして当然に手段と目的の関係にあると認められる場合をいい、目的を達成するためにの手段としてたまたま別の犯罪を行った場合は、牽連犯となりません。
また牽連犯の場合、刑を科す上で一罪として扱われますので、刑事罰は複数の罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されることとなります。
※空き巣の場合は、窃盗罪の法定刑が適用されるので、起訴されて有罪が確定した場合「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられる。
共同共犯
今回の事件では、Bが、他人の家に不法侵入して盗みをはたらいていますが、Aさんは見張りをしていただけです。
しかしAさんとBは共同共犯の関係にあるので、Bと同じようにAさんも罰せられることになります。
共同正犯とは、二人以上の者が共同して犯罪を実行することをいい、その場合は、全員が正犯として処断されるのです。
共同正犯が成立するには
①共謀が行われたこと。
②共謀に基づいて犯行が行われたこと
が要件となります
共謀とは、二人以上の者が特定の犯罪を行うために謀議することで、特定の犯罪を共同で実行する意思があって、それについてお互いの意思を連絡し合っていた場合に共謀が認められます。
今回の事件では、Aさんは、Bが空き巣を実行することを事前に把握しており、その上で、空き巣に入った家の前に見張りをしていますので、今回の事件でAさんがBの共同共犯であることを否定するのは難しいでしょう。
空き巣事件・共同共犯に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族、ご友人が空き巣の共同正犯で逮捕されたことに納得できない方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談・初回接見サービスをご利用ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約は、フリーダイヤル0120-631-881で、24時間受付けております。お気軽にお電話ください。
窃盗罪と占有離脱物横領罪との違い
窃盗罪と占有離脱物横領罪との違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事例内容◇
鈴鹿市に住むAさんは夕涼みに近所の公園に行った際、公園のベンチの上に財布(Vさん所有)が置かれてあるを見つけました。
Aさんは周りを見回しても誰もいなかったことから、「今なら盗れる。」と思い、財布を手に取り、ズボンの右ポケットに入れました。
その後、Vさんから被害届を受けた三重県鈴鹿警察署の警察官が付近の防犯カメラを精査して、Aさんの犯行を裏付けました。
数日後、Aさんは近所を歩いているとき三重県鈴鹿警察署の警察官に職務質問を受け、Vさんの財布を盗ったことを認めました。
Aさんは、財布を売りに出そうと考え持ち歩いていたことから、警察官の所持品検査の結果、Vさんの財布を押収されてしまいました。
(フィクションです。)
◇窃盗罪か遺失物横領罪か◇
Aさんは窃盗罪か占有離脱物横領罪かに問われる可能性があります。
窃盗罪は刑法235条に、占有離脱物横領罪は刑法254条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、占有離脱物横領罪は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と両罪は法定刑に大きな違いがありますから、窃盗罪が成立するか占有離脱物横領罪が成立するかは大きな違いで、区別する実益があります。
◇窃盗罪と占有離脱物横領罪を区別する基準◇
窃盗罪と占有離脱物横領罪を区別する基準となるのは「被害者の財物に対する支配が及んでいるか否か」という点です。
及んでいる場合は窃盗罪、及んでいない場合は占有離脱物横領罪が成立します。
そして、支配が及んでいるか否かは
・財物自体の特性(貴重品か否か、大きさ、重さなど)
・占有者の支配の意思の強弱
・被害者が財物を取り戻すに行くまでの時間、距離
などの具体的事情から判断されます。
過去の判例では、
・バスに乗るために行列していた者が、カメラをその場に置き、行列の移動に連れて改札口近くに進んだ後、カメラを忘れたことに気づいたが、その間、時間にして約5分、距 離にして約19.58メートルに過ぎなかった事例(昭和32年11月28日)
・被害者が公園のベンチから約200メートル離れた駅の改札口付近まで約2分ほど歩いたところで、同ベンチに財布を置き忘れたことに気づいた事例(平成16年8月25日)
などで、被害者に支配が及んでいるとし、カメラ、財布を盗んだ犯人に窃盗罪を適用しています。
なお、被害者の支払が及んでいなくても別の者の支配が及んでいると認められる場合は、やはり窃盗罪が適用される可能性があります。
過去には(大判大8年4月4日)、旅館内に旅客が置き忘れた財布には旅館主の支配が及んでいるとして、財布を盗んだ犯人に窃盗罪を適用しています。
ただし、財物を置き忘れた場所が、一般人の立ち入りが自由な場所であって、管理者の排他的支配が完全でない場合(たとえば、電車内、電車・駅構内のトイレ内など)は、直ちにその場所の管理者の支配に移ることはないとされています。
◇逮捕を回避するには◇
ご自身のしたことを認める場合には、直ちに被害者と示談交渉に入り示談を成立させましょう。
しかし、当事者同士の示談交渉では、感情の縺れなどから示談交渉を円滑に運ぶことができなかったり、仮に示談できたとしてもその内容が不十分で二次的なトラブルに発展しないとも限りません。ですから、刑事事件に発展しかねない示談交渉は刑事事件専門の弁護士に任せた方がよさそうです。
◇刑事事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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金商法違反(無登録営業)で逮捕
金商法違反(無登録営業)の逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
三重県四日市市に住むAさんは、無登録で、三重県内の投資会社の名をかたり、高配当をうたった架空の金融商品で現金を集めました。
しかし、現金をAさんに渡したうちの1人が、配当が滞ったことをきっかけにAさんの話を疑問に思い、三重県内の弁護士に相談したようです。
この弁護士が、Aさんを刑事告発したことから警察が捜査を開始し、その結果、Aさんは無登録で金融商品取引業をしていることが発覚してしまい、Aさんは、金商法違反(無登録営業)の容疑で、警察に逮捕されてしまいました。。
(フィクションです。)
◇金商法違反(無登録営業)◇
金融商品取引法(金商法)では、金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができないと定められています(金商法29条)。
そもそも金融商品取引業とは、有価証券やデリバディブの販売や勧誘、投資運用や顧客資産の管理といった行為を業として行うことを指します。
こういった金融商品取引業に関し、無登録で金融取引を行った場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はその両方が科せられます(金商法197条の2第1項第10の4号)。
Aさんは無登録で金融商品の売買を行っているわけですから、行為は金商法違反(無登録営業)となる可能性が高いです。
なお、Aさんは投資会社の名前をかたって架空の金融商品で現金を集めていることから、金商法違反だけでなく、刑法の詐欺罪にも当たる可能性があります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、こちらも重い法定刑が定められています(刑法246条)。
前述のとおり、金商法違反(無登録営業)は決して軽い罪ではありません。
こうした金商法違反事件は、今回の事例のように配当が滞るなどしたことをきっかけに警察に無登録営業が発覚し、刑事事件化することも多いです。
そして、関係者が多いことなどから、逮捕されて身体拘束をされたうえで捜査されることも珍しくはありません。
さらに、金商法の無登録営業の罪は、無登録で金融商品を販売した場合に直ちに成立するものであり、被害者も存在せず、いわゆる「形式犯」に当たります。
金商法違反(無登録営業)のような形式犯で逮捕され、刑事事件化した場合、警察は、形式犯での逮捕を足掛かりに、より重い罪名の犯罪で再逮捕することを企図していることが考えられます。
例えば、さきほど挙げたような詐欺罪で再逮捕等をして捜査の手を広げる可能性もあるでしょう。
◇弁護士に相談◇
こうしたことから、無登録営業の金商法違反事件では、捜査が長期化することも考えられ、そうした長期戦に自分だけで臨むのは、被疑者本人にとっても、その周囲の方にとっても非常に負担の大きいことであるといえます。
こういった時こそ、刑事事件のプロフェッショナルである弁護士を頼りましょう。
金商法違反(無登録営業)事件の依頼を受けた弁護士は、Aさんに取調べ対応の助言をするとともに、実質的に被害を受けた出資者に連絡を取り、損失を填補する交渉をするといった活動を行うことになるでしょう。
弁護士は、逮捕状に記載された被疑事実だけでなく、取調べの様子などから、事件全体を見て警察の意図を予測し、それに応じた適切な対応します。
難しい事件だからこそ、捜査の早い段階で弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無登録営業による金商法違反などの刑事事件にお困りの方のご相談も受け付けております。
まずはお問い合わせから、0120-631-881までお電話ください。
特殊詐欺事件の受け子に窃盗罪が適用
特殊詐欺事件の受け子に窃盗罪が適用された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
お金に困窮していた無職のAさんは、ネットで知り合った男から、三重県伊勢市の高齢者の家を訪ねて、キャッシュカードを盗ってくるように指示されました。
Aさんは、今流行りの振り込め詐欺などの事件に関わることが分かりましたが、10万円の報酬をもらえるとの約束だったので、指示に従うことにしたのです。
そして後日、男に指定された高齢者の家を訪ねて、老人に対して「口座が犯罪に使用されているので、キャッシュカードを封筒に入れて保管してくれ。」と言って、キャッシュカードを封筒に入れさせました。
そして、老人が目を離した隙に、キャッシュカードの入った封筒を、用意していた別の封筒にすり替えて、老人のキャッシュカードの入った封筒を盗んだのです。
盗んだキャッシュカードは、男の指示に従って、受け取りに来た見ず知らずの女性に渡し、報酬の10万円を受け取りました。
後日、老人が警察に被害届を出したらしく、Aさんは窃盗罪で三重県伊勢警察署に逮捕され、その後、勾留されてしまったのですが、接見禁止の決定がなされたことから、弁護士以外との面会が一切できない状態です。
そこで、Aさんは接見に来た弁護人に、家族との接見を可能とするための接見禁止一部解除の申し立てを依頼しました。
(フィクションです。)
◇キャッシュカードの入った封筒をすり替えて、カードを盗む手口◇
高齢者から直接現金を受け取ったり、振り込みをさせる特殊詐欺は有名ですが、これと似た手口として高齢者に巧みな嘘をついてキャッシュカードを盗る手口も横行しているようです。
手口の詳細は、例えばこうです。
まず、①グループのかけ子が高齢者に「カードが偽造されている可能性があります。」「金融庁の職員を自宅に向かわせます。」と言います。
次に、②受け子が高齢者宅に向かい、金融庁職員を装い、高齢者にもってきた封筒を差し出しながら、「カードの使用を止めるので、封筒に暗証番号を書いたメモとキャッシュカードを入れて持ってきてください。」と言います。
そして、③高齢者がメモとキャッシュカードを封筒に入れて持ってくると、受け子が「それを自宅で保管しておいてください。」「ただ、封筒に割り印をする必要があります。」「印鑑をもってきてください。」といい、高齢者から封筒を預かります。
その後、④高齢者が印鑑を取りに行っている間、受け子は高齢者から預かった封筒と別の無関係なカードが入った封筒をすり替え、無関係な封筒に印鑑を押して高齢者に渡し、自宅を後にします。
そして、⑤高齢者から暗証番号が書かれたメモとキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出すのです。
◇窃盗罪◇
上記の手口は、詐欺罪のように思われがちですが、窃盗罪に該当します。
窃盗罪は以下のように刑法に規定されている犯罪です。
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
なお詐欺罪については
刑法246条(詐欺罪)
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
と刑法に規定されていますが、詐欺罪は財物(本件ではキャッシュカード、暗証番号がかかれたメモ紙)取得に向けてのだます行為があり、それによって被害者がだまされて財物を渡した(交付する)、といった関係が認められなければなりません。
ところが、本件のようなキャッシュカードすり替え手口では、被害者がだまされてキャッシュカードを渡したわけではなく、被害者が知らぬ間にキャッシュカードを取られてしまった形ですので、詐欺罪ではなく窃盗罪に問われる可能性が高いことになります。
◇接見禁止◇
犯罪を犯して逮捕、勾留された場合、留置場に併設された接見室で、外部の者と面会(接見)することができます。
外部の者のうち、弁護士との接見は、裁判に向けての打合せなどにとって重要ですので禁止されることはありませんが、弁護士以外の者との接見は禁止する決定(接見禁止決定)がされることがあります。
特に本件のように共犯者のいる事件では、接見禁止決定を出されることがよくあります。
なぜなら捜査機関は、刑事裁判に向けて証拠を収集する必要がありますが、逮捕された者と、まだ逮捕されていない共犯者に接見させた場合、証拠隠滅の相談をする可能性があると考えられているからです。
~接見禁止の解除~
事件と関係のない家族との面会も禁止されている場合、不服申し立て手続きをすることにより接見禁止の一部解除がなされ、家族との面会は可能になるという場合もあります。
弁護士は接見禁止の(一部)解除に向けた手続きも行いますので、ぜひご相談いただければと思います。
◇刑事事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
背任事件の取調べについて
背任事件の取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇背任事件で取調べ◇
三重県津市に住むAさんは、会社役員を務めていました。
あるとき、懇意にしている取引先から融資のお願いをされましたが、貸金返済の見込みをたてることができませんでした。
しかしAさんは、長年の付き合いがあったことから、金銭の融資を決定しました。
ところが、その取引先はその後に倒産してしまい、経営状況を把握していたということで、Aさんは他の会社役員から背任罪の刑事告訴を受けることになってしまいました。
三重県津警察署から背任罪の疑いで事情聴取の呼び出しを受けたAさんは、取調べに向かう前に、刑事事件に強い弁護士に、取調べ対応について相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
◇背任罪とは◇
会社の貸付担当者や営業担当者が、債権回収の見込みがないにもかかわらず、金銭や有償サービスを無担保で提供した場合等には、背任罪として刑事処罰を受ける可能性があります。
刑法 247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する
背任罪が成立するための要件として、「自己若しくは第三者の利益」を図る目的があったこと、または、「本人に損害を加える目的」があったこと(図利加害目的)が必要とされています。
すなわち、専ら本人のため(例えば、自分の勤務する会社のため)に行った行為であれば、図利加害目的がなかったとして、背任罪は成立しないことになると考えられます。
~弁護士に相談~
背任事件で弁護依頼を受けた弁護士は、容疑者の立場、職務の内容、背任と疑われる行為の態様、容疑者の認識など様々な事情を丁寧に考察することで、背任罪の成立を妨げる事情がないかを検討いたします。
その上で、背任罪の成立を否認する事情があれば、弁護士が、事件の不起訴処分や無罪判決の獲得に向けて、裁判官や検察官へその事情の主張・立証を行います。
また、弁護士の交渉による、被害者との早期の示談成立も、事件の不起訴処分や刑罰の軽減の判断に大きく影響することになります。
刑事事件化する前に示談を成立させることができれば、そもそも刑事事件化することを防げるかもしれません。
◇Aさんの場合◇
なお、Aさんは会社役員ということで、会社法に規定されている特別背任となる可能性もあります。
特別背任は、株式会社で会社法第960条に規定されている地位にある者が背任行為を行った際に成立します。
特別背任には「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」という罰則が規定されています。
◇背任罪に強い弁護士◇
背任罪は必ずしも罪に問われている人が利益を得ているわけではないので、成立するかどうかを判断するためには、専門的な知識が必要となってきます。
そのため、背任罪を疑われている場合には、無料法律相談にお越しいただき刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。
また、ご家族が背任罪やその他の刑事事件で逮捕されてしまった場合には、弁護士を派遣させる初回接見サービスを利用するようにしましょう。
刑事事件では、早期に対応することが後悔のない事件解決へとつながっていきます。
刑事手続きが進んでしまい、あのときに活動していれば、と後悔する前に弁護士にご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件、背任罪に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
執行猶予中に万引き事件を起こしたら
執行猶予期間中に起こした万引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
執行猶予中の万引き事件
Aさんは、令和元年11月30日に、三重県津市内にあるスーパーで万引きし、窃盗罪容疑で三重県津南警察署に逮捕され、10日間の勾留の後に、起訴されました。
裁判は、今年の2月10日に判決が言い渡される予定ですが、Aさんは、窃盗罪の前科(平成29年2月1日確定、懲役1年、3年間の執行猶予)があり、現在は執行猶予中です。
保釈中のAさんは、再び執行猶予を獲得できるかどうか不安であったため、窃盗事件などの刑事事件を専門にしている弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
執行猶予
執行猶予とは、有罪判決をして刑を言い渡すに当たって、情状により、その執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。
つまり、執行猶予期間を何事もなく経過すれば、裁判で言い渡された刑を受けなくて済む、というのが執行猶予の一番の特徴です。
刑の執行猶予には、大きく分けて「刑の全部の執行猶予」と、「刑の一部の執行猶予」の2種類があり、前者はさらに、「(通常の)執行猶予」と「再度の執行猶予」の2種類に分けられます。
このうち、「刑の一部の執行猶予」は「執行猶予」という名称はついていますが、実質は「実刑判決」の一部です。
通常の「執行猶予」は、判決期日に執行猶予期間中ではない場合の執行猶予、「再度の執行猶予」とは、判決期日に執行猶予期間中だった場合の執行猶予です。
この点、Aさんの執行猶予は平成29年2月1日から3年、つまり「令和2年2月1日の午前0時」をもって満了ということになります。
そこで、Aさんは確かに、執行猶予期間中に万引きしていますが、判決期日時(令和2年2月10日)には執行猶予期間は経過しています。
ですから、Aさんは基本的には、通常の「執行猶予」の制度が適用されることになります。
(通常の)執行猶予の制度
(通常の)執行猶予(付き判決)を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり、(通常の)執行猶予(付き判決)を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
執行猶予の猶予期間経過について
執行猶予(付き判決)を受けるための要件はご確認いただけましたでしょうか?
では、Aさんは前に「懲役1年」の判決を受けていることから、刑法25条1項の「前に禁錮以上の刑に処せられたこと」がある者には当たらないのでしょうか?
この点、確認いただきたいのが次の規定です。
刑法27条
刑の全部の執行猶予が取り消されることなくその猶予期間が経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
「刑の言渡しは、効力を失う」とは、刑が消滅するということ(ただし、前科は消えない)を意味します。
そこで、上の執行猶予の要件との関係でいえば、Aさんは「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」(刑法25条1項1号)に該当することになります。ただし、これは執行猶予が取り消されなかった場合の話です。
たとえば、保護観察に付されていた方が執行猶予期間中に万引きをして遵守事項を遵守しなかったとして執行猶予が取り消された場合は刑が消滅することはありません。
以上の話をまとめますと、「刑の全部の執行猶予が取り消されることなくその猶予期間が経過し、かつ、刑法25条1項の要件を満たす場合」は法律上は執行猶予を獲得できることになります。ただし、これはあくまで法律上の話です。
裁判官が、執行猶予期間中に同種犯罪を犯したことなどを重くみて、実刑判決を下す恐れも十分考えられます。
それを避けるには、裁判で、Aさんにとって有利な事情(情状)をしっかり主張していく必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
執行猶予の獲得等、刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスのご予約・お問い合わせを受け付けております。
津市の窃盗事件 窃盗事件の刑事裁判
窃盗事件と刑事裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇窃盗事件◇
Aさんは、津市のホテル働いています。
数年前からAさんは、ホテルの更衣室を利用する際に従業員のロッカーの中にある財布から現金を盗む犯行を繰り返していました。
犯行が発覚しにくいように一回で盗む金額は少額にしていたのですが、従業員の一人が更衣室に監視カメラを設置していたらしく、Aさんの犯行が発覚しました。
すでに被害を受けた従業員が警察署に被害届を出していたらしく、Aさんは、これまで何度も警察署に呼び出されて取調べを受けています。
10年ほど前に、近所のコンビニで万引きをして罰金を支払った前科のあるAさんは、今回の事件で起訴されて刑事裁判になるのではないかと不安です。
そこでAさんは窃盗事件の刑事裁判に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)
本日は、窃盗事件で起訴された場合の手続きと刑事裁判について解説します。
◇略式起訴(罰金)◇
窃盗事件の略式手続とは、公判手続きを開くことなく、100万円以下の罰金を言い渡す手続きです。
窃盗事件の略式手続は、簡易裁判所で行われる窃盗事件の裁判で、窃盗事件の容疑者に略式手続を行うことに異議がない場合に行うことができます。
窃盗事件の略式手続は、罰金刑が科せられるものの、窃盗事件が早期に終結することによる身体拘束からの解放という利点があります。
つまり、窃盗事件で逮捕・勾留されたとしても、略式手続がおこなわれることで、早期に社会に復帰しこれまでと同じように生活することが可能になります。
◇即決裁判◇
窃盗事件の即決裁判手続きは、公判における判決の言い渡しまでの手続きを一日で行う裁判手続きです。
窃盗事件の即決裁判手続きは、窃盗事件の事案が明白であり、軽微で争いがないこと、証拠調べが速やかに終わると見込まれること等の事情から相当と認められるときに行われることになります。
窃盗事件の即決裁判手続きの最大の特徴は、裁判所が判決で懲役刑の言い渡しをする際、必ず執行猶予付の判決を言い渡さなければならないことです。
また、公判期日1日で終了することから勾留中の場合は、通常の公判手続きに比して、早期に身体拘束から解放されることになります。
一方で、窃盗事件で即決裁判手続きによる審理でなされた判決の場合、事実誤認を上訴の理由とできなくなりますので注意が必要です。
◇通常の刑事裁判◇
窃盗事件での通常の訴訟手続きは、冒頭手続き、証拠調べを経て、論告・最終弁論、判決の言い渡しという流れで行われます。
窃盗事件で通常の訴訟手続きが行われた場合、約1~2か月の期間で判決の言い渡しがおこなわれることになります。
起訴後も勾留され、保釈も認められない場合はこの期間も容疑者の身体は拘束され続けることになります。
◇刑事事件に強い弁護士を選任するメリット◇
身体拘束期間の観点からみると、窃盗事件における訴訟手続きは即決裁判手続き、略式手続の方がはるかにその期間が短いといえます。
とはいえ、窃盗事件の即決裁判手続き、略式手続のいずれも検察官が請求することで行われます。
刑事事件に強い弁護士に依頼することで、検察官に即決裁判手続き、略式手続の請求をするように交渉することが可能になります。
◇窃盗事件の刑事裁判に関するご相談は◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで数多くの窃盗事件の弁護活動を行ってきた実績がございます。
こういった窃盗事件に詳しい弁護士に依頼することにより、検察官に即決裁判手続き、略式手続の請求をするように交渉した際の成功率も上がる可能性もあります。
窃盗事件でお困りの際は、窃盗事件に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や、初回接見のお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間、年中無休で受け付けております。
自首で減刑を求める
自首で減軽を求める手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
三重県尾鷲市で飲食店を営むAさんは、店の売り上げが悪化し、数年前から赤字が続いています。
すでに銀行など金融機関からの融資は打ち切られてしまい、Aさんは、仕入れの支払いができずにいました。そんな中Aさんは、高校時代の友人に対して「母親が入院して手術をしないといけない。来月になれば保険料が振り込まれるから一括で返済する。」と嘘の約束をし、借用書まで作成して、300万円を借り入れました。
そしてAさんは、友人から借りた300万円をこれまでの借金の返済に費消しました。
翌月になると友人から借金の返済を迫られたAさんは、あれこれ言い訳をして返済を先延ばしにしていたのですが、ついに嘘をついてお金を借りていたことがばれてしまいました。
そして友人から「詐欺罪で警察に訴える。」というメールが送られてきたAさんは、このままだと警察に逮捕されてしまうのではないかと不安で、警察に自首することを考えています。
(フィクションです。)
◇詐欺罪◇
人を騙して財物の交付を受ければ詐欺罪となります。
お金の貸し借りは民事事件だと思われがちですが、お金を借りる際に、目的や返済等について嘘をついて相手を騙してお金を借りると詐欺罪に抵触する可能性があります。
今回の事件でAさんは、実際は借金の返済に充てるお金を、母親の入院や手術費用と、借金の目的を偽っています。更に、借金の返済についても「来月になれば保険料が振り込まれるから一括で返済する。」と嘘をついているので、友人がこの嘘を信じてAさんに300万円を貸していたのであれば、Aさんの行為は詐欺罪に抵触する可能性は非常に高いでしょう。
~量刑~
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
詐欺罪で起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内の刑事罰が言い渡されるのですが、その量刑は、騙し取った金品の額に比例すると言われています。(被害弁償や被害者との示談が成立している場合は、軽減される可能性が非常に高い。)
初犯であっても、騙し取った金品の額が100万円を超える場合は、実刑判決になる可能性があるので注意しなければなりません。
また詐欺罪の中でも、振込め詐欺等の特殊詐欺事件に関して、最近は、裁判所が非常に厳しい刑事罰を言い渡す傾向にあるます。
◇自首◇
自首とは「自らの犯罪行為を警察等の捜査機関に申告する」ことで、自首が成立すれば、刑が軽減される可能性があります。
ただ、自らの犯罪行為を捜査機関に申告したからといって必ず自首が成立するわけではありません。
自首が成立するには
①警察等の捜査機関が認知していない事件
②警察等の捜査機関が認知し捜査を開始しているが、犯人の特定には至っていない事件
の何れかの事件について、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めなければなりません。
つまり、既に警察が捜査を開始している事件で、かつその事件の犯人が判明している場合は、警察署に自ら出頭しても、それは自首には該当せず、単なる出頭にすぎません。
Aさんの事件で、Aさんが自ら警察署に出頭したとして、自首が成立する可能性があるのは
①未だ友人が、警察署に被害を申告していない場合
②すでに友人が警察署に被害を申告したが、Aさんが犯人だと判明していない場合
でしょうが、事件の被害者がAさんの友人であることから、②のケースはおよそ考えられないでしょう。
三重県尾鷲市の刑事事件でお困りの方、詐欺事件で警察に訴えられた方で自首を検討しておられる場合は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
刑事処分について解説
刑事処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
無職のAさん(前科、前歴なし)は、4カ月ほど前に三重県伊勢市の民家に忍び込んで、現金や高級腕時計を盗み出しましたが、高級腕時計を買取りに出したことから犯行が発覚し、事件から1週間後に三重県伊勢警察署に、窃盗罪と住居侵入罪で逮捕されました。
その後、20日間の勾留を経て、これらの罪で起訴されたAさんは、現在保釈中で、刑事裁判の真最中です。
逮捕当時から選任している国選弁護人が被害者と示談を試みましたが叶っていません。
Aさんは、自分の刑事処分がどのようになるのか不安で、三重県の刑事事件を専門に扱っている弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
◇刑罰の種類◇
刑事処分、いわゆる刑罰には、重いものから順番に「死刑」「懲役」「罰金」「拘留」「科料」の5種類があります。
ここでいう「拘留」は、逮捕や起訴後の「勾留」とは異なります。
刑法を含めた刑罰法令は、「この罪名で有罪となった場合には、この範囲内で刑罰を科すことができる」と定めており、この法律に記載のある刑罰を「法定刑」と呼んでいます。
Aさんが起訴されている二つの罪名でいいますと
①窃盗罪(刑法第235条)・・・10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
②住居侵入罪(刑法第130条)・・・3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
と、それぞれに異なる法定刑が定められています。
法定刑は「有罪が確定すればこの範囲内で刑事処分を科せれます。」というものなので、実際に言い渡される刑事処分は、具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当かは異なります。
◇複数の事件で起訴されたら?◇
続いて気になるのが、複数の事件で起訴された場合、どのような刑事処分が言い渡されるのかという点です。
Aさんの場合ですと、窃盗罪と住居侵入罪の二つの罪で起訴されていますが、この場合の刑事処分はどうなるのでしょうか?
法律では、具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲が定められており、この範囲を「処断刑」といいます。
処断刑の定め方は、いろいろありますが、今回は複数の事件がある場合の刑の定め方についてみていきます。
~併合罪加重~
原則として、複数の事件が発生した場合、以下のような形で処罰します。
・最も重い法定刑が定められている罪で処罰する。
・刑の範囲は、法定刑を基準に、懲役であれば1.5倍、罰金であれば複数の罪の合計額を限度とします。
ただし、懲役の場合には、元の罪の懲役の合計を超えてはなりません。
このような処罰の形を「併合罪加重」といいます。
上記した「併合罪加重」が原則となりますが、以下のような例外もあります。
~牽連犯~
2つの行為が目的と手段の関係にある場合には、併合罪加重はせず、重い方の罪の法定刑を遮断刑とするとされています。
これを「牽連犯」といいます。
例えば、Aさんの事件のように家に入って盗みをした場合には、住居侵入罪と窃盗罪が成立しますが、目的(窃盗)と手段(住居侵入)の関係にあるので、処断刑は、窃盗の罪の法定刑がそのまま用いられることになります。
~包括一罪~
法律に定めはありませんが、同じ目的をもって、時間的場所的に近接している状況で、同じ事件を反復継続して起こしている場合には、まとめて1罪として処罰します。