嫌がらせの注文が偽計業務妨害事件に

偽計業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇ 偽計業務妨害事件の概要 ◇

数ヶ月前にAさんは、桑名市にあるお弁当屋で弁当を購入しましたが、帰宅して食べようと弁当を開けると、注文した弁当と違う種類の弁当でした。
お店に苦情の電話をしたのですが、店側は間違いを認めず、何の対処もしてもらえませんでした。
その事を根に持ったAさんは、お店を困らせてやろうと考え、これまで何度かお店に電話して、お弁当を10個ほど注文し、その弁当を取りに行かないという嫌がらせをしました。
お店にばれないように、注文の電話を掛ける時は携帯電話を非通知にしたり、公衆電話から電話していたのですが、先日、三重県桑名警察署の警察官が自宅を訪ねてきて「弁当屋に嫌がらせした件で話が聞きたい。」と言われて、警察署に連行されてしまいました。
(フィクションです。)

◇ 業務妨害罪 ◇

購入する気のないお弁当を、購入するかのように装ってお店に注文し店員を騙し、お店に損害を与えています。
一見すると人を騙しているので「詐欺罪」が成立するのではないかと考える方もいるかもしれませんが、詐欺罪は、人を騙して財物の交付を受けることによって成立する犯罪です。
今回の事件でAさんは何ら財産的な利益を得ていないので詐欺罪は成立しません。
例えばAさんが「後から代金支払います。」と言って弁当を受け取った上、その支払いをしなかった場合は詐欺罪が成立する可能性があるでしょうが、今回はそうではないので詐欺罪は成立しないのです。

そこでAさんの行為が何の犯罪に抵触するのかを検討すると業務妨害罪に該当するでしょう。
詐欺罪が、人の財産を保護することを目的にしている法律であるのに対して、業務妨害罪は人の業務を保護することを目的にしています。

それでは業務妨害罪について詳しく見ていきたいと思います。
業務妨害罪には刑法第233条の「偽計業務妨害罪」と、刑法第234条の「威力業務妨害罪」の2種類があります。
どちらも、人の業務を妨害することで成立する犯罪ですが、その手段、方法によって「偽計」か「威力」かに分類されます。

~偽計業務妨害罪~

「虚偽の風説を流布」又は「偽計」によって、人の業務を妨害すれば「偽計業務妨害」となります。
「虚偽の風説を流布」とは、簡単に言えば「嘘を言いふらす」ことです。
つまり、お店の不利益となるような、事実と異なることを言いふらして、信用を貶めることによって、人の業務に影響が及べば、偽計業務妨害罪が成立する可能性があるということです。
続いて「偽計」とは、人を騙したり、人の錯誤、不知を利用したり、人を誘惑したりする他、計略や策略を講じることです。
今回の事件のように、弁当を購入する気はないのに、弁当を購入するかのように装って弁当を注文する行為は、店員を騙しているので、偽計業務妨害罪でいうところの「偽計」に当たると考えて間違いないでしょう。

~威力業務妨害罪~

「威力」を用いて、人の業務を妨害すれば「威力業務妨害罪」となります。
威力業務妨害罪でいうところの「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力を意味します。暴行や脅迫はもちろんのこと、それに至らないものであっても、社会的、経済的地位・権勢を利用した威迫、多衆・団体の力の誇示、騒音喧騒、物の損壊等およそ人の意思を制圧する勢力一切を含むとされています。

◇ 業務妨害の刑事処分 ◇

業務妨害罪は、偽計業務妨害罪であっても、威力業務妨害罪であっても共に法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
初犯であれば略式起訴による罰金刑になる可能性が非常に高い事件ですが、再犯の場合や、同じ被害者に対して何度も嫌がらせ行為をして悪質性が高いと認められると起訴される可能性も十分に考えられます。
またAさんのような事件ですと、お店側から損害賠償を請求されるおそれもあります。

桑名市の刑事事件でお困りの方、業務妨害罪で警察の捜査を受けておられる方で、刑事処分の軽減を望んでおられる方は、三重県の刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談及び初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話下さい。

 

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