名誉棄損が刑事事件に

名誉棄損について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県名張警察署は、SNSや掲示板にVさんに対する誹謗中傷の書き込みを複数回行ったとして、Vさんの元交際相手であるAさんに出頭するよう要請しました。
Aさんは、Vさんと喧嘩別れしたため、その腹いせにVさんを誹謗中傷する内容の書き込みをしていました。
まさか刑事事件に発展するとは思ってもいなかったAさんは、どう対応すべきか分からず、出頭前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

名誉棄損とは

名誉棄損には、民事名誉棄損と刑事名誉棄損の2種類があります。
民事名誉棄損は、主に不法行為の一種として扱われます。
一方、刑事名誉棄損は「名誉毀損罪」として扱われることが多いです。

「名誉」という概念の代表的なものとしては、次の3種類があります。

①外部的名誉
人に対して社会が与える評価のこと。
②名誉感情
自己が自身の価値について有している意識や感情。
③内部的名誉
他人や本人の評価を離れた、客観的に本人に備わっている価値。

民事・刑事ともに、保護される「名誉」について①外部的名誉と理解されています。

名誉毀損罪について

刑法第230条1項は、

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

と規定しています。

名誉毀損罪の構成要件は、
①公然と
②事実の摘示をして、
③人の名誉を毀損する
ことです。

①公然性
「公然と」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態となることです。
そのため、特定かつ少数人に対して対象者の名誉を毀損する表現をしたとしても、原則として名誉毀損罪の構成要件に該当しないことになります。
しかし、判例は、特定かつ少数人に対しての表現であっても、それが不特定又は多数人に伝播し得る形態であれば、公然性が満たされるとの立場をとっています。(最判昭34・5・7)

②事実の摘示
「事実の摘示」とは、人の社会的価値を低下させるに足る具体的な事実の摘示のことをいいます。
単なる価値判断や評価は「事実の摘示」に該当しません。
具体的な事実を摘示することなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断や批判を表現することは、名誉毀損罪ではなく侮辱罪となることがあります。
摘示される事実は、具体的であることが求められますが、その真否は問われず、公知の事実であっても構いません。

③名誉の毀損
「名誉を毀損する」というのは、人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を作ることです。
犯罪の成立には、現実に社会的地位が傷付けられたことまで必要とされません。

名誉毀損罪は、故意犯ですので、表現者に故意がなければ犯罪は成立しません。
名誉毀損罪の故意とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損することの認識・認容です。

以上の要件を全て満たしている場合、名誉毀損罪の構成要件に該当することになります。
しかしながら、構成要件に該当するとしても、違法性があり、かつ、有責であってはじめて犯罪は成立します。
刑法第230条の2において、公共の利害に関する場合の特則規定があり、一定の場合に違法性が阻却されます。

名誉毀損罪は、親告罪といわれる犯罪です。
親告罪というのは、被害者などからの告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪のことです。
そのため、名誉毀損の罪を認める場合には、被害者への謝罪・被害弁償を行い、示談を成立させ、被害者に告訴をしない旨の約束、あるいは既になされた告訴を取消してもらう約束を交わすことが最終的な処分結果に大きく影響することになります。
被害者は、社会的評価を低下させられるようなことをされて加害者に対して強い怒りを抱いていることが多く、示談交渉は当事者同士で行わず、弁護士を介して行うのが一般的です。

名誉棄損刑事事件の被疑者となり対応にお困りであれば、早期に弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉棄損を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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