児童買春事件の年齢の不知について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
Aさんは、3カ月ほど前に、SNSで知り合った少女に2万円を渡し、四日市市内のホテルでわいせつな行為をしました。
ホテルから出てきたところを警察官に職務質問されて事件が発覚し、児童買春の容疑で三重県四日市警察署で取調べを受けてきました。
そして不拘束のまま事件は津地方検察庁四日市支部に書類送検されました。
Aさんは、今後の処分が不安で、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
◇児童買春◇
児童買春とは、児童に対価を渡し、又は渡すことを約束して、その見返りとして児童と性交渉等を行うことです。
かつては「援助交際」と呼ばれていましたが、最近は「パパ活」と表現されることもあり、SNSやインタ―ネットの掲示板などには「パパ活募集」等と、児童から児童買春を募る書き込みが多くあるようですので注意しなければなりません。
児童買春行為は、児童買春・児童ポルノ処罰法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護に関する法律)によって規制されています。
この法律は、主に児童買春と児童ポルノに関することが規制されていますが、その中でも児童買春に関して規制さ入れているのは以下のとおりです。
(児童買春)
第四条 児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
(児童買春周旋)
第五条 児童買春の周旋をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
(児童買春勧誘)
第六条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
~児童買春~
ここで児童買春について詳しく解説します。
まず「児童買春」の対象となる児童とは、性別に関係なく18歳未満の者を意味します。
「買春」とは、対償を供与し、又は供与の約束をして、児童等に対して性交等を行うことを言います。
性交等とは、性交渉は当然のこと、性交類似行為も含まれますし、自己の性的好奇心を持たす目的であれば、児童の性器等を触ったり、児童に自身の性器等を触らせる行為も「性交等」に該当します。
ちなみに「対償」は、性交等に先立って供与又は供与の約束がなされることが必要で、性交後に初めて児童側から請求があった場合は児童買春に当たりません。
◇年齢の不知◇
「年齢の不知」つまり児童の年齢を知らなかったことによって児童買春の適用を逃れらるか、という点について検討します。
児童買春・児童ポルノ処罰法の9条に「児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第5条~(中略)~処罰を免れることができない。ただし過失がないときは、この限りではない。」と規定されています。
これは児童を使用する者の、児童の年齢の不知の過失を処罰する規定で、年齢の不知を理由に処罰を免れるには、児童の年齢を確認するために考えれる全ての調査をして過失がないことを立証しなければならない旨が規定されているのです。
ただ児童買春行為に関してはこの限りではありません。
つまり買春の相手が児童に該当するかどうかを、行為者ができる限りの範囲内で確認していれば故意を否定することができるので、「年齢の不知」を理由に処分を免れれる可能性があります。