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盗品等無償譲受け事件で取調べを受けたら

2021-11-12

盗品等無償譲受け事件で取調べを受けたら

盗品等無償譲受け事件で取調べを受けた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県伊賀市に住むAさんは、友人のBさんから「高級ブランドバッグが欲しいか」と連絡を受けました。
Bさんはかねてから生活に困窮し、到底高級ブランドバッグなど購入することができない生活状況でありました。
上記事情を知っていたAさんは、「高級ブランドバッグは盗品であるかもしれない。しかし、そんなことは私の知ったことではない。」との意思を抱き、Bさんから高級ブランドバッグを無償で譲り受けました。
その後、Aさんは三重県伊賀警察署の警察官により盗品等無償譲受け罪の容疑で取調べを受けました。
三重県伊賀警察署の警察官によると、実はAさんが譲り受けた高級ブランドバッグは、Bさんが三重県伊賀市のVさんの自宅に侵入し、窃取したものだったといいます。
Aさんは三重県伊賀警察署の警察官からBさんとの関係について詳しく話すよう追及を受けました。
(フィクションです。)

【盗品等無償譲受け罪とは】

刑法256条1項は盗品等無償譲受け罪について以下のように規定しています。

(刑法256条1項)
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。

盗品等を無償で譲り受けてしまうと、窃盗罪を含む財産犯罪の被害者の方が、被害品を取り戻す(回復する)ことを困難になってしまいます。
盗品等無償譲受け罪は、窃盗罪を含む財産犯罪の被害者の方が被害品を取り戻す(回復する)ための返還請求権(追求権)を保護するために規定された犯罪であるといえます。

【盗品等無償譲受け罪の成立要件】

盗品等無償譲受け罪が成立するためには、原則として無償譲受けの時点で盗品等であるという事情を知っていること(知情)が必要です。
ただ、この知情は、財物がなんらかの財産犯罪により領得されたものであることを未必的に認識していればよいとされています。
刑事事件例でいえば、高級バッグがなんらかの財産犯罪により領得されたものであることを認識していればよく、必ずしも窃盗罪と罪名を把握している必要はありません。
また、窃盗犯人が誰であるか、被害者の方が誰であるかについては知る必要はないとされています。

刑事事件例のAさんは、「高級ブランドバッグは盗品であるかもしれない。」と認識しています。
そのため、Aさんは、高級ブランドバッグが窃盗罪を含む財産犯罪により領得されたものであることを未必的に認識しているといえると考えられます。
Aさんは、高級ブランドバッグの本来の所有者や窃盗犯人を必ずしも正確に認識しているわけではありませんが、盗品等無償譲受け罪が成立することになります。

そして、Aさんは盗品を「無償で譲り受け」ています。
以上より、Aさんには盗品等無償譲受け罪が成立すると考えられます。

【盗品等無償譲受け罪と共犯、取調べ】

盗品等無償譲受け事件は、その犯罪の性質上、窃盗犯人との共犯関係があったのではないかと疑われる可能性がある刑事事件であるといえます。
たとえば、Aさんが実はBさんの窃盗行為を促したのではないか(Aさんに窃盗罪の教唆犯が成立するのではないか)と疑われる可能性もあるでしょう。
また、Aさんが実はBさんの窃盗行為を手助けしたのではないか(Aさんに窃盗罪の幇助犯が成立するのではないか)と厳しく追及されるおそれも考えられるでしょう。

刑事弁護士としては、刑事事件に関する専門的な知識と経験をもとに、Aさんに、盗品等無償譲受け事件の被疑事実について認めてよい部分・反対に認めてはいけない部分があることなどを詳しく助言した上、警察官や検察官による取調べへの対応方法を助言することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
盗品等無償譲受け罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も在籍しております。
盗品等無償譲受け事件で取調べを受けた場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県南牟婁郡紀宝町の建造物侵入・窃盗事件で現行犯逮捕

2021-11-09

三重県南牟婁郡紀宝町の建造物侵入・窃盗事件で現行犯逮捕

三重県南牟婁郡紀宝町建造物侵入・窃盗事件現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、深夜、三重県南牟婁郡紀宝町にある理容室(V店)に正面入り口のガラスを割って侵入し、レジなどで保管されていた現金およそ4万円を盗みました。
三重県紀宝警察署の警察官は、Aさんを建造物侵入罪・窃盗罪の容疑で現行犯逮捕しました。
Aさんは、建造物侵入罪・窃盗罪の容疑での取調べに対し「生活費としてお金が欲しくてやった」と建造物侵入罪・窃盗罪の容疑を認めています。
Aさんが建造物侵入罪・窃盗罪の容疑で現行犯逮捕されたと知ったAさんの両親は、三重県刑事事件に対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月12日にSTVニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物侵入罪とは】

「正当な理由がないのに」「人の看守する」「建造物」「に侵入し」「た者」には、建造物侵入罪が成立します(刑法130条)。
建造物侵入罪を犯した者は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

建造物侵入罪における「建造物」とは、官公庁や学校、工場、倉庫のような、住居・邸宅以外の建造物をいいます。
住居・邸宅を除くのは、建造物侵入罪とは名称を区別してに、住居侵入罪・邸宅侵入罪が規定されているためです。

刑事事件例におけるV店は建造物侵入罪における「建造物」に該当すると考えられます。

そして、建造物侵入罪が成立するためには、上記建造物侵入罪における「建造物」が「人の看守する」ものである必要があります。
「人の看守する」ものであるとは、監視人を置いたり施錠したりすることによって、事実上管理・支配するための人的・物的設備を施すことをいいます。

刑事事件例におけるV店は、施錠により物的設備が施されていたといえるため、建造物侵入罪における「人の看守する」「建造物」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには建造物侵入罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪とは】

「他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪を犯した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

窃盗罪における「窃取」とは、他人の支配する財物を、支配者の意思に反して、自己の支配に移転させる行為を指します。

刑事事件例では、AさんはV店の支配する現金を、V店に意思に反して、Aさんの支配に移転させています。
よって、Aさんの行為は、窃盗罪における「窃盗」に該当すると考えられます。

【器物損壊罪とは】

刑事事件例では、Aさんは建造物侵入罪・窃盗罪現行犯逮捕されていますが、Aさんには建造物侵入罪・窃盗罪以外に、器物損壊罪も成立すると考えられます。

「他人の物を損壊し」「た者」には、器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪を犯した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。

器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を減失させることをいいます。
そして、刑事事件例のガラスを破壊するという行為のように物を物理的に破壊することは、器物損壊罪における「損壊」に該当します。

以上より、Aさんには建造物侵入罪・窃盗罪とは別に、器物損壊罪が成立すると考えられるのです。

【建造物侵入・窃盗・器物損壊事件の刑事弁護活動】

刑事事件例のような建造物侵入・窃盗・器物損壊事件において、刑事弁護士を選任することによる利点のひとつには、建造物侵入・窃盗・器物損壊事件の被害者との示談交渉を円滑に行うことができることにあります。

示談交渉では、Aさんが破壊した正面入り口のガラスの修繕費用を支払ったり、Aさんが窃盗した現金4万円の被害弁償をしたりすることを提案することができると考えられます。
さらに、示談交渉の結果次第では、Aさんの刑事処罰を求めない旨の条項(宥恕条項)を規定した示談を締結することができると考えられます。

示談締結の有無は、検察官や裁判官が建造物侵入・窃盗・器物損壊事件に係る処分を決定する際に重要視される事項です。
そのため、刑事事件に強い刑事弁護士を選任することが大切になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物侵入罪・窃盗罪・器物損壊罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県南牟婁郡建造物侵入・窃盗事件現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

詐欺未遂事件の逮捕を相談

2021-11-05

詐欺未遂事件の逮捕を相談

詐欺未遂事件逮捕を弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県熊野市に住む男性Vさんに対して電話をかけると、銀行員を名乗り、「Vさんの通帳とキャッシュカードはもう使えなくなったため、新しいものを作り直す必要がある」などと全くの嘘を話し、Vさんから暗証番号を聞き出したうえで通帳とキャッシュカードを騙し取ろうとしました。
しかし、Vさんが電話の内容を不審に思ったことから三重県熊野警察署に通報。
通報を受けて付近を巡回していた三重県熊野警察署の警察官が不審な様子のAさんを発見し、職務質問をしたことからAさんの犯行が発覚し、Aさんは詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんが詐欺未遂罪の容疑で逮捕されたことを知ると、すぐに弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【詐欺未遂罪とは】

「人を欺いて財物を交付させた者」には、詐欺罪が成立します(刑法246条)。
詐欺罪で有罪となった場合、10年以下の懲役に処せられます。
そして、今回のAさんが詐欺未遂罪の容疑で逮捕されているように、詐欺罪には未遂罪の規定があるため、詐欺罪を完全になし得なかったとしても、詐欺未遂罪で罰せられることとなります(刑法250条)。

詐欺罪は、①詐欺行為者の欺く行為、②被害者の錯誤、③被害者の交付行為、④詐欺行為者の財物の取得という一連の行為により成立します。
そして、詐欺未遂罪は、①欺く行為を行ったものの、結果として財物を取得することができなかった場合に成立します。

詐欺罪詐欺未遂罪における欺く行為とは、相手が真実を知っていれば財物の交付行為を行わないといえるような重要な事実を偽ることをいいます。
例えば、刑事事件例において、Aさんは「Vさんの通帳とキャッシュカードはもう使えなくなったため、新しいものを作り直す必要がある」とVさんに伝えていますが、これは全くの偽りの情報です。
Vさんが自身の通帳とキャッシュカードが使用できなくなったという話が嘘であると知っていれば、刑事事件例でそうであったように、VさんがAさんに対して通帳とキャッシュカードを交付することはないでしょう。
ですから、Aさんの偽った事実は、相手が真実を知っていれば財物の交付行為を行わないといえるような重要な事実であったといえ、詐欺罪詐欺未遂罪における「欺く行為」があったと考えられます。

そして、Aさんは詐欺罪詐欺未遂罪における「欺く行為」を行ったものの、Vさんから通帳とキャッシュカードを受け取る前に、三重県熊野警察署の警察官により逮捕されています。
つまり、Aさんは「欺く行為」をしたものの、結果として財物の交付まで至らなかったということになり、Aさんには詐欺未遂罪が成立すると考えられるのです。

【詐欺未遂罪と執行猶予】

平成30年の検察統計を見てみると、詐欺罪詐欺未遂罪は他の刑法犯と比較して起訴される確率が高いといえます。
もしAさんが詐欺未遂罪により起訴された場合、無罪判決を獲得する場合を除いて、10年以下の懲役を宣告されることになります。

ただし、裁判所の量刑判断により、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
ある詐欺未遂罪の刑事事件例において、懲役1年6か月・執行猶予3年というような執行猶予付き判決を獲得した事例もあります。

執行猶予付き判決を獲得するためには、執行猶予付き判決を得るに値する事実を裁判所に主張していく必要があります。
例えば、詐欺未遂罪に該当する行為の態様や詐欺未遂事件を起こした動機が悪質でないことや詐欺未遂行為によって発生した被害が甚大とはいえないことなどが挙げられると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
詐欺未遂罪のような財産犯を犯した方の刑事弁護活動を行った実績のある経験豊富な刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県熊野市の詐欺未遂事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまったら

2021-11-02

強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまったら

強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(15歳)は、三重県尾鷲市の路上において、歩いて帰宅途中であったVさん(男性)にけがをさせた上で財物を奪取するつもりで、Vさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどして全治約2週間のけがを負わせ、現金約10万円とキャッシュカードなどが入ったショルダーバッグを奪いました。
三重県尾鷲警察署の警察官は、Aさんを強盗傷人罪の容疑を逮捕しました。
強盗傷人罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後の手続きがどうなるのか、三重県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月13日に埼玉新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【強盗傷人罪とは】

刑法240条は強盗傷人罪を規定しており、強盗が人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処すとされています。

強盗傷人罪の主体である「強盗」とは、強盗犯人を意味し、既遂・未遂を問わないとされています(最高裁判決昭和23年6月12日)。
そして、強盗傷人罪の主体となる強盗犯人には、刑法236条の強盗罪を犯した者のでなく、事後強盗犯人(刑法238条・刑法243条)や昏睡強盗犯人(刑法239条・243条)が含まれます。
したがって、強盗傷人罪の主体となる「強盗」には広い意味での強盗犯人を意味するので読解にあたり注意が必要です。

ここで、刑法236条をみてみると、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪として、5年以上の有期懲役に処する。」(刑法236条1項)と規定されています。
強盗罪が成立するためには、他人の財物が「暴行又は脅迫」により「強取」される必要があります。
そして、強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧するに足りるものである必要があります。
このような「暴行又は脅迫」により被害者の反抗を抑圧して財物を奪取することを強盗罪における「強取」といいます。

刑事事件例において、Aさんは、Vさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどしています。
このAさんの行為は、被害者であるVさんの反抗を抑圧するに足りるものであるといえると考えられます。
よって、Aさんの行為は、強盗罪における「暴行又は脅迫」に該当すると考えられます。
そして、Aさんは、Vさんの反抗を抑圧して、Vさんの現金約10万円とキャッシュカードなどが入ったショルダーバッグを奪取しています。
よって、Aさんは、強盗罪における「強取」をしたと考えられます。
以上より、Aさんには強盗罪が成立する、すなわちAさんは強盗傷人罪の主体となる「強盗」に該当することになると考えられます。

ところで、強盗傷人罪の成立には、強盗傷人罪における「負傷」が強盗による強盗の機会に発生したものである必要があると考えられています(最高裁判決昭和24年5月28日)。
また、強盗傷人罪における「負傷」の程度としても、医師の治療を必要とする程度のものである必要があると考えられています。

刑事事件例では、AさんはVさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどして全治約2週間のけがを負わせています。
そして、このVさんが負った全治2週間のけがは、強盗に機会になされており、負傷の程度としても医師の治療を必要とする程度のものであると考えられます。

以上より、Aさんには強盗傷人罪が成立すると考えられます。

【強盗傷人罪と少年事件】

刑事事件例におけるAさんは、強盗傷人事件を犯した当時15歳です。
そのため、Aさんが少年審判時までに20歳以上に達しない限り、Aさんは少年法における「少年」として扱われることになります(少年法2条1項)。

しかし、強盗傷人事件では、必ずしも少年事件の手続きのみで事件が終局するわけではありません。
というのは、家庭裁判所が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪」を犯した少年について、「その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」は、刑事事件の手続きに戻される可能性があるからです(少年法20条)。
このように少年事件の手続下で処理されていた少年が刑事事件の手続きに戻されることを「逆送」ということがあります。

そして、少年が刑事事件の手続きに戻された場合、捜査段階においては少年鑑別所ではなく拘置所で勾留されたり、刑の執行の段階においては刑務所に収容されたりする可能性があります。
このように、少年にとって、逆送は数多くの大きな不利益があります。
そのため、逆送を回避するような刑事弁護活動(付添人活動)が重要となると考えられます。

例えば、刑事弁護士(付添人)としては、少年事件に関する豊富な経験と知識から、短い審判までの期間で少年の内省を深めるサポートを行ったり、少年の家族と調整し少年をとりまく環境を整えるといった活動が考えられます。
また、家庭裁判所の調査官や裁判官の考える問題点を改善・協議するなどして、少年にとって少年事件の手続き下での処分がふさわしいことを裁判所に対して強く主張することも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗傷人事件を起こした少年のご相談ももちろん受け付けております。
三重県尾鷲市強盗傷人事件(少年事件)で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県鳥羽市の特別公務員暴行陵虐事件で書類送検

2021-10-30

三重県鳥羽市の特別公務員暴行陵虐事件で書類送検

三重県鳥羽市特別公務員暴行陵虐事件で書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県鳥羽警察署の警察官であったところ、三重県鳥羽市内を巡回中、Vさんに職務質問をした上、DNA採取が必要だと偽り、Vさんの口の中に綿棒をこすり付けたり指でVさんの口の中を触ったりしました。
三重県鳥羽警察署は、Aさんを懲戒免職した上、特別公務員暴行陵虐罪の容疑で書類送検(検察官送致)しました。
Aさんは、特別公務員暴行陵虐罪の容疑を求めており、「女性の口の中を見たい、触りたいという性癖から犯行に及んだ。」と供述しています。
Aさんは、刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年1月31日に千葉日報に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【特別公務員暴行陵虐罪とは】

裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたとき」には特別公務員暴行陵虐罪が成立します(刑法195条)。
特別公務員暴行陵虐罪の法律に定められた刑(法定刑)は、7年以下の懲役です。

まず、刑事事件例におけるAさんは三重県鳥羽警察署の警察官であり、特別公務員暴行陵虐罪の主体に当たる「裁判、検察若しくは検察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者」に該当します。

次に、特別公務員暴行陵虐罪における「職務を行うに当たり」とは、「職務を行う機会に」ということを意味します。
そして、特別公務員暴行陵虐罪に該当する行為は「職務を行う機会に」されれば、その目的が何であるかは問わず(すなわち職務遂行の達成を目的としてされることを必要とせず)、個人的欲望を満たす目的で行われた場合であっても、特別公務員暴行陵虐罪における「職務を行うに当たり」に該当すると考えられます。

刑事事件例における職務質問は、行政警察としての「職務を行う機会」に該当し、特別公務員暴行陵虐罪における「職務を行うに当たり」という要件を満たすと考えられます。

また、特別公務員暴行陵虐罪の客体に当たる「被告人、被疑者その他の者」には、刑法195条の条文に例示された被告人・被疑者のみならず、行政警察作用の対象となる者も含まれると考えられています。
刑事事件例における職務質問を受けたVさんは、行政警察の対象となる者として、特別公務員暴行陵虐罪における「被告人、被疑者その他の者」に該当すると考えられます。

さらに、特別公務員暴行陵虐罪における「暴行」とは身体に対する不法な有形力の行使を、「陵辱」とは被害者をはずかしめる行為など精神的な苦痛を与える行為を、「加虐」とは「暴行」以外の方法で肉体的な苦痛を与える行為を指します。
すなわち、特別公務員暴行陵虐罪における「陵辱」・「加虐」とは、「暴行」以外の方法で精神的又は身体的に苦痛を与える行為を指すといえます。

刑事事件例において、AさんはVさんの口の中に綿棒をこすり付けたり指で口内を触ったりしているところ、この行為ははVさんに精神的な苦痛を与える行為であるとして特別公務員暴行陵虐罪における「陵辱」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには特別公務員暴行陵虐罪が成立すると考えられます。

【特別公務員暴行陵虐罪と示談】

Aさんは現在、特別公務員暴行陵虐罪の容疑で書類送検(検察官送致)されていますが、Aさんを特別公務員暴行陵虐罪の容疑で捜査する検察官は、Aさんを特別公務員暴行陵虐罪で起訴する可能性があります。

刑事弁護士としては、特別公務員暴行陵虐事件の被害者であるVさんと示談交渉をし、示談交渉の結果次第では、Aさんを特別公務員暴行陵虐罪の容疑で捜査する検察官に対して、寛大な処分をするよう求めることができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
三重県鳥羽市の特別公務員暴行陵虐事件で書類送検された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕されたら

2021-10-26

三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕されたら

三重県伊勢市窃盗事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県伊勢市に住むAさんは、同じく三重県伊勢市内にあるV建設会社の工事現場の敷地内で、V建設会社が管理する電線約50メートル(約2万円相当)を切断して盗み取りました。
V建設会社からの被害届を受けた三重県伊勢警察署の警察官はAさんを窃盗罪の容疑で逮捕しました。
三重県伊勢警察署の警察官によると、三重県伊勢市内では同様の手段による電線の盗難が5件発生しており、三重県伊勢警察署の警察官はAさんに余罪があるとみてAさんを厳しく追及する姿勢を見せています。
窃盗罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、三重県伊勢市にも対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月29日に佐賀新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【窃盗罪とは】

他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪が成立すると10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

窃盗罪における「窃取」とは、他人が事実上支配(占有)する財物を、その事実上の支配(占有)者の意思に反して自己の事実上の支配(占有)に移転させる行為をいいます。

刑事事件例では、AさんはV建設会社が事実上支配(占有)する電線を、事実上の支配(占有)者たるV建設会社の意思に反して、Aさんの事実上の支配(占有)に移転させています。
よって、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪と余罪(詐欺罪・窃盗罪)】

ところで、刑事事件例においては、Aさんは窃盗した電線を中古品買取業者などに買い取ってもらい、その売買代金を領得した可能性が考えられます。
その際、例えばAさんが、電線が盗品であることを隠し、中古品買取業者を騙して電線を買い取らせたというような状況も考えられます。

とすると、Aさんには新たに(余罪として)詐欺罪が成立すると考えられますが、Aさんには窃盗罪のみならず、それに関連する詐欺罪は成立するのでしょうか。
なお、ここでは余罪とは、現に逮捕されている罪以外の犯罪を意味します。

結論から言えば、窃盗罪とは別個に新たに犯罪が成立すると考えられます。
その理由は、端的に言えば、窃盗罪では処罰しきれていない違法性があるからです。

このことをより詳細に検討するには、先に成立する窃盗罪と新たに成立するように思われる詐欺罪はいかなる関係を持つことになるのか、窃盗罪で処罰しきれていない違法性とは何か(反対に窃盗罪で処罰しきれている違法性とは何か)を考える必要があります。

まず、窃盗罪は、一旦犯罪が成立すると以後違法な状態が継続すると考えられています。
これは、例えば窃盗した財物を保持し続ければ違法状態は継続することを想起すれば、「一旦窃盗罪が成立すると以後違法な状態が継続する」と理解できると思います。

そして、窃盗行為に引き続き犯された犯罪行為が、窃盗罪の成立により予定される違法状態の範囲内といえる場合、新たな犯罪行為は既に窃盗罪の成立により評価されていると考えられます(なぜなら、上述のように、窃盗罪は、一旦犯罪が成立すると以後違法な状態が継続することを前提に刑を定めているからです)。

例えば、窃盗行為により領得した財物を損壊する行為は、窃盗罪の成立後も継続する違法状態の範囲内にあると考えられています。
そのため、窃盗行為により領得した財物を損壊しても、器物損壊罪(刑法261条)は成立することなく、窃盗罪のみが成立することになります。

一方、窃盗罪に引き続き犯された犯罪行為が、窃盗罪の成立により予定されている違法状態の範囲外にある場合、換言すれば新たに法益(刑法を定めることにより守られる利益)を侵害する行為であるといえる場合、新たな犯罪行為は窃盗罪の成立により評価されているとは考えられないことになります。
そのため、窃盗罪とは別個に新たに犯罪が成立することになります。

刑事事件例において、Aさんが、電線が盗品であることを隠し、中古品買取業者を騙して電線を買い取らせたというような場合、新たに中古品買取業者の財産(売買代金)が詐取されることになります。
ここに新たな法益の侵害があると考えられ、この法益侵害は窃盗罪では評価され尽くしていないものであるといえます。
よって、Aさんには窃盗罪とは別個に、詐欺罪が成立すると考えられます。

また、刑事事件例において、三重県伊勢市内では同様の手段による電線の盗難が5件発生しています。
Aさんが上記窃盗事件を起こしていた場合、Aさんにはそれぞれの窃盗事件に応じて窃盗罪(余罪)が成立すると考えられます。

以上のようにAさんには詐欺罪や窃盗罪などの余罪が成立する可能性があります。
刑事弁護士としては、三重県伊勢警察署の警察官による厳しい余罪取調べへの対応について専門的な観点から助言したり、窃盗事件(余罪となる窃盗事件も含む)や詐欺事件の被害者との示談を進めたりすることができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県伊勢市窃盗事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

重過失致死事件で書類送検された

2021-10-22

重過失致死事件で書類送検された

重過失致死事件で書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県多気郡大台町に住むAさんは、息子であるVさん(2歳)を自宅駐車場に停めた車の中に置き忘れ、約10時間放置し、熱中症により死亡させました。
その後、Aさんは、三重県大台警察署の警察官により、重過失致死罪の容疑で取調べを受けました。
重過失致死事件発生当時、Aさんは、仕事が忙しかったあまり、Vさんを車内に置き忘れたことに気が付かなかったといいます。
その後、Aさんは重過失致死罪の容疑で書類送検されました。
(2021年1月19日に共同通信に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【重過失致死罪とは】

刑法211条2項は、重過失致死罪を規定しています。
この刑法211条2項の重過失致死罪は、刑法211条1項の業務上過失致死傷罪の規定を一部引用しています。

刑法211条1項
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。

刑法211条2項
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

すなわち、重大な過失により人を死傷させた者には重過失致死罪が成立し、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科されることになります。

刑法211条2項の重過失致死罪の「重過失」とは、注意義務を著しく怠って死亡結果を発生させることをいいます。
具体的には、重過失致死罪の「重過失」とは、容易に死亡結果の発生を予見することができ、かつ容易に死亡結果の発生を回避し得るのに、その注意義務(結果予見義務・結果回避義務)を怠って死亡結果を発生させた場合をいいます。

刑事事件例においては、AさんはVさん(2歳)を自宅駐車場に停めた車の中に置き忘れ、約10時間放置し、熱中署により死亡させています。
ここで、2歳の子ども(Vさん)を約10時間に車の中に放置した場合、熱中症等により死亡が発生するおそれがあることは、容易に予見できたと考えられます。
また、Vさんを車から連れ出せば容易に死亡結果の発生を回避し得たと考えられます。
それにも関わらず、Aさんはこれらの注意を怠ってVさんを死亡させています。
よって、Aさんには重過失致死罪の「重過失」があり、この重過失によってVさんを「死傷させた」といえると考えられ、Aさんには重過失致死罪が成立すると判断されたのでしょう。

【重過失致死事件と書類送検】

刑事事件例では、Aさんは三重県大台警察署の警察官により重過失致死罪の容疑で取調べを受けました。
その後、Aさんは重過失致死罪の容疑で書類送検されました。

書類送検とは、刑事訴訟法における用語では「送致」といいます。

刑事訴訟法246条
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

書類送検(送致)とは、事件自体を検察官に引き継ぐことをいいます。
具体的には、書類送検(送致)により事件の記録や証拠品が検察官に引き継がれることになります。

そして、事件を引き継いだ検察官は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況」(刑事訴訟法248条)などを考慮して起訴するかどうかを決定します。
この際、被疑者の方を検察庁まで呼び出し、事件の経緯などの取調べを受けることになります。

刑事事件例でも同様に、重過失致死事件の書類送検(送致)がなされた後、Aさんは検察官による呼出し・取調べを受けることになります。
取調べでは、重過失致死事件を起こした経緯、重過失致死事件を起こした当時の心情、今後の更生についてなど様々な事柄が聞かれる可能性があります。

刑事弁護士としては、法律の専門的な見地と様々な刑事事件を取り扱った豊富な経験をもとに、このような重過失致死事件に関する取調べに対してどのように対応すればよいか助言することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
重過失致死事件で書類送検された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

過失運転致傷事件で執行猶予を得たい

2021-10-19

過失運転致傷事件で執行猶予を得たい

過失運転致傷事件執行猶予を得たい場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(25歳)は、三重県松阪市内を自動車で走行してましたが、考え事をしていたり仕事の疲れが溜まっていたりしたため運転に注意することができていませんでした。
そして、信号が赤になったことに気が付かず、そのまま交差点に進入し、Vさん(80歳)をはねました。
Vさんは病院に運ばれ、死亡するには至らなかったものの、意識不明の重体となりました。
Aさんは、三重県松阪警察署の警察官により過失運転致傷罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは何とか刑務所に行かずに済むようにしてほしいと考えています。
(2021年1月29日に九州朝日放送に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【過失運転致傷罪とは】

過失運転致傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条に規定されています。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致傷罪の「運転上必要な注意」とは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要な注意義務をいいます。
ここで、道路交通法では自動車の運転者が守るべき義務が定められています。
過失運転致傷罪の「運転上必要な注意」を怠ったか否かは、この道路交通法の規定を参酌して判断されます。
ただし、道路交通法の規定を遵守していなかったからといって直ちに過失運転致傷罪の「運転上必要な注意」を怠ったと認められるわけではありません。

刑事事件例では、Aさんは、信号が赤になったことに気が付かず、そのまま交差点に進入し、Vさんをはねています。
周知のとおり、自動車の運転者は安全確認をしながら走行する義務を負います(道路交通法70条参照)。
それにもかかわらずAさんは漫然運転をしており、Aさんは過失運転致傷罪の「運転上必要な注意」としての安全運転義務を怠ったと認められることになります。

そして、Vさんを意識不明の重体となっており、ここに過失運転致傷罪の傷害が生じていると考えられます。

以上より、Vさんは過失運転致傷罪の容疑で逮捕されることになったのだと考えられます。

【過失運転致傷事件で逮捕された後の流れ】

過失運転致傷罪の容疑で逮捕された場合、検察官の処分としては、Aさんには①不起訴、②略式起訴、③正式起訴のいずれかがなされます。

このうちいずれの処分が下されるかは、過失運転致傷事件によって生じた被害の程度、犯罪行為の悪質性、注意義務違反の態様、示談の有無など、様々な事情によって決定されます。

特に、刑事事件例では、過失運転致傷事件の被害者の方が意識不明の重体となっており、過失運転致傷事件によって生じた結果としては大きいと考えられ、Aさんが正式起訴をされる可能性もあります。

【過失運転致傷事件で執行猶予を得るには】

もしAさんが過失運転致傷事件で正式起訴されてしまった場合、執行猶予判決を得るためには、裁判において、真摯に謝罪していることや二度と犯罪を犯さないこと、正式な被害弁償をしたことなどを裁判所に示していくことが重要です。

そこで、刑事弁護士としては、ご家族などの情状証人への尋問、過失運転致傷事件の被告人の方への質問などを通して、これらのことを裁判所に示していくことができると考えられます。
例えば、情状証人としてAさんのご両親に裁判所に出廷してもらい、被告人の方の性格や生活状況、今後の監督方法などについて話してもらうことができます。
また、示談が成立していれば、過失運転致傷事件の被告人の方には真摯に謝罪しており、相当な被害弁償をしたことを話してもらうことができます。

刑事弁護士は、情状証人の方・被告人の方が不安なく裁判所において話ができるよう、事前に入念に打ち合わせをしたり、助言をしたりすることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
過失運転致傷事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

侮辱事件で告訴を取り消してほしい

2021-10-15

侮辱事件で告訴を取り消してほしい

侮辱事件告訴を取り消してほしい場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、当時中学生だった三重県津市に住んでいるVさんが平和を訴えるイベントに参加した旨を伝える記事を見たことをきっかけに、Aさん自身が作成する外国人の排除を求めるブログに、Vさんの出自などを誹謗中傷する文章を投稿しました。
その後、Vさんは通信業者に発信者情報の開示を請求し、開示されたAさんの氏名をもとに、Aさんを侮辱罪三重県津南警察署に告訴しました。
その後、Aさんは三重県津南警察署の警察官による取調べを受けました。
Aさんは何とか刑事裁判を逃れられるようにしてほしいと考えています。
(2019年1月16日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【侮辱罪とは】

近年、インターネット上での誹謗中傷が大きな社会問題となっています。
刑事事件例におけるAさんの投稿もその一つといえます。
以下では、インターネット上での誹謗中傷と刑事事件の関係を見ていきます。

刑法231条は、侮辱罪を規定しています。
侮辱罪の具体的な内容(要件)は以下の通りです。

刑法231条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

侮辱罪は人を「公然と」「侮辱」した場合に成立する犯罪です。

侮辱罪の「公然と」(公然性)とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいうと考えられています。
そして、侮辱罪の「公然と」(公然性)における不特定とは、相手方が限定されていないことをいいます。
また、侮辱罪の「公然と」(公然性)における多数人とは、相手方が特定されているがその数が多数であることをいいます。

刑事事件例では、AさんのVさんを誹謗中傷した投稿(ブログ)は、不特定または多数人が閲覧することができたものであったと考えられます。
よって、Aさんの投稿は、侮辱罪の「公然と」(公然性)の要件を満たすと考えられます。

また、侮辱罪の「侮辱」とは、人に対する侮辱的価値判断(軽蔑)の表示をいうと考えられています。
そして、侮辱罪の「侮辱」は、具体的な事実の摘示することなく行われる必要があります。
例えば、「バカ」「アホ」といった発言には具体的な事実の摘示が含まれていません。
したがって、この発言は侮辱罪の「侮辱」に該当しうることになります。

これに対して、例えば、「あいつは隣の奥さんと浮気していた」という発言には具体的な事実の摘示がされています。
したがって、この発言については侮辱罪ではなく、名誉毀損罪(刑法230条1項)が成立しうることになります。

刑事事件例では、AさんはVさんの出自について誹謗中傷する投稿をしています。
そして、この誹謗中傷は、具体的な事実を摘示することなく、Vさんに対する侮辱的価値判断(軽蔑)の表示であったと考えられます。
よって、Aさんの投稿は侮辱罪の「侮辱」に該当すると考えられます。

【侮辱罪と親告罪、告訴取消し】

侮辱罪は親告罪であるとされています。
侮辱罪が親告罪であることは刑法232条に規定されています。

刑法232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

親告罪とは、被害者の方(厳密には、被害者の方に加えて法定の者を含みます)による告訴(処罰を求める意思表示)がなければ刑事裁判に提訴(起訴)することができない犯罪のことをいいます。

刑事事件例では、侮辱罪は親告罪であるため、Vさんによる告訴がなければ刑事裁判に提訴(起訴)することができません。

ですから、侮辱罪を含む親告罪についての刑事弁護士の主たる弁護活動の1つとしては、被害者の方と示談をして告訴を取り消してもらえないか交渉することが考えられます。
親告罪であるということは、告訴の取消し(刑事訴訟法237条1項)をしてもらうことができれば、Aさんは刑事裁判にかけられることがなくなるためです。
侮辱罪のような親告罪を犯した場合には、刑事事件に強い弁護士を選任し、いち早く示談交渉を開始することが重要です。

侮辱罪は、厳罰化の方針が取られている犯罪であり、インターネットやSNSが発達した現在では、注目の集まる犯罪の1つです。
その一方、どういったことが侮辱罪にあたるのか、どのような犯罪なのかご存知でない方も多いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
侮辱罪のような親告罪を犯した方の刑事弁護活動を行い、告訴を取り消してもらう内容の示談を締結したことのある刑事弁護士も在籍しております。
侮辱事件で告訴を取り消してほしいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

強制わいせつ事件の示談交渉

2021-10-12

強制わいせつ事件の示談交渉

強制わいせつ事件示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、午後8時頃、三重県津市の路上において、スマホを操作しながら歩いていた20代の女子学生(Vさん)に後ろから抱き付き、上半身を触りました。
Vさんがバランスを崩して路上に倒れ悲鳴を上げたため、Aさんは走って逃走しました。
その後、Vさんが近くの交番に駆け込んだため、強制わいせつ事件が発覚しました。
三重県津警察署の警察官は、Aさんを強制わいせつ罪の容疑で逮捕しました。
強制わいせつ罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、三重県刑事事件にも対応している法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月3日に北海道ニュースUHBに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【強制わいせつ罪とは】

刑法176条は「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する」とし、強制わいせつ罪を規定しています。

強制わいせつ罪における「わいせつな行為」は、性欲を刺激し、興奮又は満足させ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいうと考えれています。
そして、刑事事件例においてAさんが行ったVさんの背後から抱き付き、上半身を触る行為は、争いなく、強制わいせつ罪における「わいせつな行為」に該当すると考えられます。

また、強制わいせつ罪の成立には、「暴行又は脅迫」を手段として、上記わいせつな行為を行うことが必要です。
この強制わいせつ罪における「暴行」とは、身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
強制わいせつ罪における「暴行」には、殴る・蹴る等の行為が含まれるのは当然ですが、不意に股間に手を差し入れる行為のように、暴行自体がわいせつな行為に該当する場合であってもよいと考えられています。

刑事事件例において、上述の通り、AさんはVさんの背後から抱き付き、上半身を触っています。
このAさんの行為は、上述の通り強制わいせつ罪における「わいせつな行為」にも該当しますが、強制わいせつ罪における「暴行」にも該当すると考えられます。

以上より、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられます。

【強制わいせつ罪と示談】

強制わいせつ事件のように被害者の方がおり、被害者の方の処罰感情が加害者(Aさん)に対する処分にあたり重要視される刑事事件の場合、被害者の方と示談をすることが重要となります。
被害者の方との示談交渉の結果次第では、仮にAさんが強制わいせつ罪で刑事裁判に起訴されてしまったとしても、執行猶予付き判決を獲得することができる可能性があります。
示談締結によって不起訴処分となることもありますから、示談の有無、示談交渉の有無は事件の処分に大きく影響するといえます。

また、被害者の方との示談交渉が円滑に行われ、Aさんが強制わいせつ罪で刑事裁判に起訴されてしまう前の身体拘束期間中に示談締結をすることができた場合、示談の存在を考慮し、早期にAさんに対する身体拘束が解かれる可能性もあります。
先ほど触れたような事件の結果自体だけでなく、逮捕・勾留からの釈放という面でも、示談交渉は重要な活動の1つなのです。

このような大きなメリットが得られる示談交渉を円滑に進めるためには、刑事事件に強い刑事弁護士を選ぶことが重要であるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強制わいせつ罪を犯した方の刑事弁護活動、示談交渉を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県津市強制わいせつ事件示談を目指す場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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