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公務執行妨害・傷害事件で現行犯逮捕

2021-12-10

公務執行妨害・傷害事件で現行犯逮捕

公務執行妨害傷害事件現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは三重県鈴鹿市にある飲食店で、友人のBさんと食事をしていたところ、些細なことから口論となりました。
AさんとBさんは飲食店前の通りに出て、殴り合いの喧嘩をはじめました。
しばらくすると、その喧嘩を見ていた周辺住民の通報により、三重県鈴鹿警察署のV警察官が駆けつけ、仲裁に入りました。
Aさんは喧嘩を邪魔されてことに立腹し、V警察官の顔面を1発殴りました。
その結果、Aさんは公務執行妨害罪傷害罪の容疑で現行犯逮捕されました。
V警察官は全治5日間の打撲傷を負ったといいます。
また、喧嘩の相手であるBさんも打撲傷や切り傷を負ったといいます。
(2021年2月18日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公務執行妨害罪とは】

刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪の「公務員」とは、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」(刑法7条1項)をいうとされています。
刑事事件例の三重県鈴鹿警察署のV警察官は、「国又は地方公共団体の職員」として、公務執行妨害罪の「公務員」に該当します。

また、公務執行妨害罪の「職務」とは、公務員が取り扱う各種各様の事務をいうと考えられています(最高裁判所判例昭和53年6月29日)。
このとき、公務執行妨害罪の「職務」は適法(合法)な者である必要があると考えられています。
刑事事件例のV警察官による臨場及び仲裁は、警察官としての適法な職務であったとして、公務執行妨害罪の「職務」に当たると考えられます。

さらに、公務執行妨害罪の「暴行」とは、公務員に直接又は間接的に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
刑事事件例のAさんによるV警察官の顔面を1発殴る行為は、公務員に直接向けられた不法な有形力の行使として、公務執行妨害罪の「暴行」に当たると考えられます。

以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

なお、公務執行妨害罪は、公務の執行を保護するために規定された犯罪であり、厳密には被害者は公務員個人ではなく、国家を考えられることになります。

【傷害罪とは】

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の「傷害」とは、人の生理機能の障害をいいます。
傷害罪の「傷害」に当たる具体例は、擦り傷や打撲傷などです。

刑事事件例では、V警察官はAさんに殴られた結果、全治5日間の打撲傷を負っています。
よって、V警察官さんの怪我は、人の生理機能の障害として、傷害罪の「傷害」に当たると考えられます。

以上より、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【喧嘩による傷害罪】

刑事事件例では、Aさんは、口論をきっかけに、殴り合いの喧嘩をはじめています。
そして、この喧嘩により、Bさんも怪我を負っています。
よって、AさんにはBさんに対する傷害罪も成立すると考えられます。

【公務執行妨害罪と傷害罪の関係】

以上のように、Aさんには公務執行妨害罪傷害罪が成立する可能性がありますが、これら犯罪は、AさんのV警察官を暴行するという社会的見解からして1つの行為によって生じたものであるといえます。

このように複数の犯罪が社会的見解からして1つの行為によって生じた場合、複数の犯罪のうち「最も重い刑」で処断されます(刑法54条1項、観念的競合)。

ここで、刑事事件例で成立する公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」であり、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

このとき、法定刑が重いのは傷害罪であるので(刑法10条2項参照)、公務執行妨害罪傷害罪が同時に成立する場合には傷害罪の刑で処断されることになります。

【公務執行妨害・傷害事件の刑事弁護活動】

公務執行妨害事件を起こした場合、被疑者の方は公務という国家的法益を侵したと考えらます。
このとき、公務の保護という観点を強調し、公務員の方が勤務する役所(刑事事件例でいえば三重県鈴鹿警察署)より、公務員の方に対して、示談を受けないように指示が出される可能性があります。

一方、傷害事件を起こした場合、被疑者の方は被害者の方の身体の安全という個人的法益を侵したといえます。
傷害事件は個人的法益の侵害であるという点を強調すれば、傷害事件の被害者の方に対して正式な謝罪と相当な被害弁償をすることにより、示談を締結することができる可能性があります。

刑事弁護士としては、以上を踏まえ、公務執行妨害・傷害事件の被害者の方との示談交渉をしつつ、示談が不成立になる可能性も踏まえ、公判対応などの刑事弁護活動をしていくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
公務執行妨害・傷害事件で現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

建造物等以外放火事件で不起訴処分を得たい

2021-11-30

建造物等以外放火事件で不起訴処分を得たい

建造物等以外放火事件で不起訴処分を得たいという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県四日市市内のアパートの駐車場に止めてあったVさん所有の原付バイクに直接火を放ちました。
原付バイクは全焼しましたが、幸い、駐車場に停めてあった他の車や駐車場に隣接したアパートには燃え移らなかったといいます。
その後、Aさんは、四日市南警察署の警察官により、建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「職場の同僚に叱られストレスを感じていた」と建造物等以外放火罪の容疑を認めています。
Aさんは建造物等以外放火罪での刑事裁判を避け、不起訴処分を得ることはできないかと考えています。
(2020年11月26日に石川テレビNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物等以外放火罪とは】

放火して、前2条(刑法108条、109条)に規定する物以外の物を焼損し、よって公共に危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する(刑法110条1項)。

建造物等以外放火罪の目的物(放火の対象)は、「前2条(刑法108条、109条)に規定する物以外の物」です。
刑法108条(現住建造物等放火罪)では、「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」が目的物であると規定されています。
また、刑法109条(非現住建造物等放火罪)では、「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」が目的物であると規定されています。
まとめれば、建造物等以外放火罪の目的物は、「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑ではないもの」ということができると考えられます。

刑事事件例では、AさんはVさん所有の原付バイクに放火していますが、この原付バイクは「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑ではないもの」、すなわち「前2条(刑法108条、109条)に規定する物以外の物」であるとして、建造物等以外放火罪の目的物に該当すると考えられます。

【建造物等放火罪の各要件】

建造物等以外放火罪の要件である「放火して」とは、目的物(又は媒介物)に放火することをいいます。
また、建造物等以外放火罪の要件である「焼損」とは、目的物が独立に燃焼を継続する状態をいいます。

刑事事件例では、Aさんは原付バイクに直接放火しています。
また、Aさんによる放火の結果、原付バイクは独立して燃焼を継続する状態に達し、全焼するに至っています。
よって、刑事事件例では建造物等以外放火罪の要件である「放火して」、目的物が「焼損」したという要件を満たすといえると考えられます

さらに、建造物等以外放火罪の要件である「公共の危険」とは、不特定又は多数の人の生命、身体又は財産に対する延焼の危険であると考えられています。
すなわち、建造物等以外の物に放火し、その結果、不特定又は多数の人の生命、身体又は財産に燃え移る危険を生じさせた場合、建造物等以外放火罪の「公共の危険」を生じさせたといえることになります。

刑事事件例では、Aさんは、建造物以外の物である原付バイクに放火しています。
そして、原付バイクが停めてあった駐車場には、原付バイク以外の車も駐車されていたようです。
また、犯行現場となった駐車場には不特定又は多数の人が住むアパートも隣接していたようです。
よって、Aさんによる原付バイクへの放火により、その他の車やアパート、その住民などに対する延焼の危険である公共の危険が生じたといえると考えられます。

以上より、Aさんには、建造物等以外放火罪が成立すると考えられます。

【建造物等以外放火罪と刑事弁護】

刑事事件例の建造物等以外放火事件の刑は、「1年以上10年以下の懲役」です。
罰金は規定されていないため、起訴された場合に略式裁判(刑事訴訟法461条以下)のような非公開の手続きが取られることはありません。
建造物等以外放火罪で起訴されるということは、公開の法廷に立って裁判を受けるということになります。
そのため、建造物等以外放火事件の刑事弁護方針として、まずは不起訴処分の獲得を目指すこと、仮に起訴されてしまったとしても執行猶予付き判決の獲得を目指すことが考えられます。

刑事事件例では、Vさんの原付バイクが放火の被害に遭っています。
そこで、刑事弁護士を通し、被害者の方へ正式な謝罪と損害の賠償をする示談交渉ができると考えられます。
示談締結などにより、不起訴処分を求めることや、起訴されてしまった場合でも執行猶予付き判決を求めることができると考えられます。
まずは、早期に弁護士に相談・依頼し、示談交渉などに取りかかってもらうことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物等以外放火罪で不起訴処分を得たいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

公務執行妨害事件で現行犯逮捕されてしまったら

2021-11-19

公務執行妨害事件で現行犯逮捕されてしまったら

公務執行妨害事件現行犯逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県桑名市内の路上において、とある刑事事件の関係者と似ているとして三重県桑名警察署の警察官から職務質問を受けました。
しかし、Aさんは、その職務質問に応じず逃げようとしたため、警察官により制止されました。
その際、AさんはV警察官が手にしていた警棒を奪い、警察官を殴りました。
警察官に怪我はありませんでしたが、Aさんは近くにいた別の警察官に取り押さえられ、公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(2020年11月30日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公務執行妨害罪とは】

公務執行妨害罪は、国家の統治作用を保護するために刑法95条1項に規定された犯罪です。

刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

以下では、公務執行妨害罪の各要件について考えていきたいと思います。

まず、公務執行妨害罪は、その名からも容易に考えられるとおり、「公務員」を対象として規定しています。
この公務執行妨害罪の「公務員」の定義については、刑法7条1項に「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」をいうと規定されています。
刑事事件例の三重県桑名警察署の警察官が公務執行妨害罪の「公務員」に該当することは明らかであるといえます。

次に、公務執行妨害罪の対象である「公務員」は、「職務を執行するに当た」っていた必要があります。
この公務執行妨害罪における「職務」の意義については、「ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる」(最高裁判所判決昭和53年6月29日)と考えられています。
ただ、上述の「公務員」の要件と同じく、刑事事件例の警察官による職務質問が公務執行妨害罪の「職務」に該当することは明らかであると考えられます。

そして、公務執行妨害罪の「職務」は、明文こそないものの、その職務は適法(合法)でなければならないと考えられています。
刑事事件例における警察官による職務質問は、職務質問が規定されている警察官職務執行法2条1項に基づくものであったと考えられます。
また、警察官によるAさんの制止行為も、Aさんを制止する必要性や制止する態様の相当性から、警察官職務執行法2条1項の「停止させ」る行為として許容されると考えられます。
よって、警察官の制止行為に違法な点はなく、公務執行妨害罪の職務の適法性という要件は満たされると考えられます。

さらに、公務執行妨害罪は被疑者が公務員に対して、「暴行又は脅迫」をすることにより成立します。
この公務執行妨害罪の「暴行又は脅迫」については、公務員に向けられた不法な物理力の行使であると考えられています。
定義としてはやや難解ですが、公務員に直接的な物理力を行使する場合や、物や公務員の補助者を通して公務員に間接的な影響を与える場合も含まれると考えられています。
刑事事件例のAさんがV警察官を殴る行為は、直接公務員に向けられた物理力の行使に該当します。
よって、Aさんの行為は公務執行妨害罪の「暴行又は脅迫」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えらえます。

【公務執行妨害罪と現行犯逮捕】

刑事事件例では、Aさんは警察官に対する公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕されています。

現行犯逮捕は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者」(刑事訴訟法212条1項)に対してなされる逮捕です。
警察官に対する公務執行妨害罪では、その性質上、「現に罪を行った者」に該当するとして、現行犯逮捕されてしまうことが多いといえます。

一方、警察官に対する公務執行妨害罪は、逮捕に引き続く勾留の請求・決定を阻止し得る犯罪であるともいえます。
というのは、もちろん各刑事事件の具体的事情にもよりますが、一般に、既に警察官により証拠品を押収されていたり、証人が警察官自身になったりすると考えられるからです。
つまり、公務執行妨害事件に関する証拠隠滅(罪証隠滅)のおそれが低いと主張できる余地があるのです。

警察官に対する公務執行妨害罪の容疑で逮捕された場合、刑事弁護士としては、上記のような主張をし、被疑者の方が不当に勾留されることがないようにしていくことができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
公務執行妨害事件現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県名張市の暴行事件で逮捕から釈放を目指したい

2021-11-16

三重県名張市の暴行事件で逮捕から釈放を目指したい

三重県名張市の暴行事件で逮捕され釈放を目指したいという場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県名張市にある駅で、駅の利用客であるVさんと肩がぶつかったことをきっかけにして口論となりました。
なかなか謝罪しないVさんに業を煮やしたAさんは、Vさんを突き飛ばしてしまいました。
こうした様子を目撃した利用客が通報したことで、Aさんは三重県名張警察署に暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、逮捕されてしまった自分が今後どのようになるのか不安に思い、家族が依頼したことで警察署を訪れた弁護士に、釈放を求める活動はできるのか尋ねました。
(フィクションです。)

【暴行罪とは】

「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」には、暴行罪が成立します(刑法208条)。
暴行罪の法律に定められた刑(法定刑)は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。

暴行罪における「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使をいいます。
そして、暴行罪における「暴行」は「人の身体に対する」有形力の行使とあるように、人の身体に直接的に有形力を加えるものであることが必要です(このような暴行を直接暴行といいます)。

もし物に対する有形力の行使であれば、たとえそれが人の身体に間接的に物理的・心理的に影響を及ぼすものであっても、暴行罪における「暴行」には含まれないことになります(このような暴行を間接暴行といいます)。
反対に、暴行罪における「暴行」は人の身体に対する有形力の行使であればよく、人の反抗を抑圧するか、著しく困難にするに足りる程度のものである必要はないと考えられています。

刑事事件例において、AさんがVさんを突き飛ばした行為は、Vさんの身体に対する有形力の行使であるとといえます。
よって、暴行罪における「暴行」に該当すると考えられます。

また、暴行罪は「人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。
そして、暴行罪に規定された「傷害」とは、人の生理機能に障害を与えること又は人の健康状態を不良に変更することをいうと考えられています。

刑事事件例においてVさんはAさんから暴行を受けましたが、外傷を負ったり圧痛が生じたりはしていないようです。
よって、AさんはVさんを「傷害するに至らなかった」といえます。

以上より、Aさんには暴行罪が成立すると考えられます。

【暴行罪と逮捕・勾留】

Aさんは現在、愛知県警名東警察署の警察官により暴行罪の容疑で逮捕されているところ、引き続き暴行罪の容疑で身体拘束を伴う勾留がなされる可能性があります。

勾留は原則として10日間なされますが、やむをえない事由があると認めるときには最大10日間延長される可能性があります(刑事訴訟法208条)。
したがって、勾留は最大20日間という長期間に及ぶ可能性があります。
勾留されている間は身体拘束をされて通常の社会生活を送ることができませんから、失業や退学を強いられる可能性も生じることになります。

まず考えられる釈放を求める活動としては、暴行罪の容疑での勾留をする理由(刑事訴訟法60条参照)や必要性(刑事訴訟法87条1項参照)がないことを主張し、暴行罪の容疑での勾留の請求・決定自体をしないよう求めていくことが考えられます。
これらの活動は逮捕から最大72時間の間に行う必要があります。
早い段階で弁護士に相談・依頼することで、そもそも勾留請求や勾留決定をしないように訴え、釈放を求める活動が可能となります。

また、Aさんが暴行罪の容疑での勾留に付されてしまった場合には、不服申立てをすることによって釈放を求めていくことも考えられます。
例えば、早期にVさんと示談交渉を開始する、締結するなどの被害者対応を行うことで、不服申立てが認められる可能性を挙げた上で釈放を求めていくことも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
釈放を求める機会を最大限にいかすためには、逮捕から早い段階で活動を開始することが重要です。
暴行事件で逮捕され、釈放を求めたいとお悩みの場合は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまったら

2021-11-02

強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまったら

強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(15歳)は、三重県尾鷲市の路上において、歩いて帰宅途中であったVさん(男性)にけがをさせた上で財物を奪取するつもりで、Vさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどして全治約2週間のけがを負わせ、現金約10万円とキャッシュカードなどが入ったショルダーバッグを奪いました。
三重県尾鷲警察署の警察官は、Aさんを強盗傷人罪の容疑を逮捕しました。
強盗傷人罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後の手続きがどうなるのか、三重県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月13日に埼玉新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【強盗傷人罪とは】

刑法240条は強盗傷人罪を規定しており、強盗が人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処すとされています。

強盗傷人罪の主体である「強盗」とは、強盗犯人を意味し、既遂・未遂を問わないとされています(最高裁判決昭和23年6月12日)。
そして、強盗傷人罪の主体となる強盗犯人には、刑法236条の強盗罪を犯した者のでなく、事後強盗犯人(刑法238条・刑法243条)や昏睡強盗犯人(刑法239条・243条)が含まれます。
したがって、強盗傷人罪の主体となる「強盗」には広い意味での強盗犯人を意味するので読解にあたり注意が必要です。

ここで、刑法236条をみてみると、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪として、5年以上の有期懲役に処する。」(刑法236条1項)と規定されています。
強盗罪が成立するためには、他人の財物が「暴行又は脅迫」により「強取」される必要があります。
そして、強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧するに足りるものである必要があります。
このような「暴行又は脅迫」により被害者の反抗を抑圧して財物を奪取することを強盗罪における「強取」といいます。

刑事事件例において、Aさんは、Vさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどしています。
このAさんの行為は、被害者であるVさんの反抗を抑圧するに足りるものであるといえると考えられます。
よって、Aさんの行為は、強盗罪における「暴行又は脅迫」に該当すると考えられます。
そして、Aさんは、Vさんの反抗を抑圧して、Vさんの現金約10万円とキャッシュカードなどが入ったショルダーバッグを奪取しています。
よって、Aさんは、強盗罪における「強取」をしたと考えられます。
以上より、Aさんには強盗罪が成立する、すなわちAさんは強盗傷人罪の主体となる「強盗」に該当することになると考えられます。

ところで、強盗傷人罪の成立には、強盗傷人罪における「負傷」が強盗による強盗の機会に発生したものである必要があると考えられています(最高裁判決昭和24年5月28日)。
また、強盗傷人罪における「負傷」の程度としても、医師の治療を必要とする程度のものである必要があると考えられています。

刑事事件例では、AさんはVさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどして全治約2週間のけがを負わせています。
そして、このVさんが負った全治2週間のけがは、強盗に機会になされており、負傷の程度としても医師の治療を必要とする程度のものであると考えられます。

以上より、Aさんには強盗傷人罪が成立すると考えられます。

【強盗傷人罪と少年事件】

刑事事件例におけるAさんは、強盗傷人事件を犯した当時15歳です。
そのため、Aさんが少年審判時までに20歳以上に達しない限り、Aさんは少年法における「少年」として扱われることになります(少年法2条1項)。

しかし、強盗傷人事件では、必ずしも少年事件の手続きのみで事件が終局するわけではありません。
というのは、家庭裁判所が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪」を犯した少年について、「その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」は、刑事事件の手続きに戻される可能性があるからです(少年法20条)。
このように少年事件の手続下で処理されていた少年が刑事事件の手続きに戻されることを「逆送」ということがあります。

そして、少年が刑事事件の手続きに戻された場合、捜査段階においては少年鑑別所ではなく拘置所で勾留されたり、刑の執行の段階においては刑務所に収容されたりする可能性があります。
このように、少年にとって、逆送は数多くの大きな不利益があります。
そのため、逆送を回避するような刑事弁護活動(付添人活動)が重要となると考えられます。

例えば、刑事弁護士(付添人)としては、少年事件に関する豊富な経験と知識から、短い審判までの期間で少年の内省を深めるサポートを行ったり、少年の家族と調整し少年をとりまく環境を整えるといった活動が考えられます。
また、家庭裁判所の調査官や裁判官の考える問題点を改善・協議するなどして、少年にとって少年事件の手続き下での処分がふさわしいことを裁判所に対して強く主張することも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗傷人事件を起こした少年のご相談ももちろん受け付けております。
三重県尾鷲市強盗傷人事件(少年事件)で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕

2021-10-08

三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕

三重県鈴鹿市住居侵入・窃盗事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、Bさんと共謀の上、三重県鈴鹿市のVさんの自宅に侵入し、現金200万円が入った金庫や高級車などおよそ4100万円相当の財物を盗みました。
Vさんが三重県鈴鹿警察署に通報した結果、Aさんは三重県鈴鹿警察署の警察官により住居侵入罪窃盗罪の容疑で逮捕されました。
三重県鈴鹿警察署の警察官は、AさんがVさん以外の人の住居に侵入し財物を盗み取っていないか、共犯者の行方を知らないか厳しく追及しています。
住居侵入罪窃盗罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、三重県鈴鹿市刑事事件に対応している法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月24日に東海新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【住居侵入罪とは】

「正当な理由がないのに、人の住居」「に侵入し」「た者」には、住居侵入罪が成立します(刑法130条)。
住居侵入罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

住居侵入罪における「侵入」とは、居住者の「誰の立入り・滞在を許すか」という意思に反して、住居に立ち入ることをいいます。

刑事事件例において、AさんがVさんの自宅に無断で立ち入ることは、Vさんの「誰の立入り・滞在を許すか」という意思に反するものであったと考えられます。
よって、Aさんの立入りは、住居侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪とは】

「他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

窃盗罪における「窃取」とは、財物の占有(事実上の支配)者の意思に反して、財物を自己の占有(事実上の支配)に移すことをいいます。

刑事事件例において、AさんはVさんの意思に反して、現金200万円が入った金庫や高級車などおよそ4100万円相当の財物を自己の占有(事実上の支配)に移しています。
よって、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

【住居侵入罪・窃盗罪と共犯(共同正犯)】

刑事事件例において、Aさんは住居侵入・窃盗行為をBさんと共謀して行っています(共同正犯といいます)。
また、共犯者であるBさんの行方が分からず、当然三重県鈴鹿警察署の警察官によるBさんの住居侵入罪窃盗罪での逮捕も行われていません。

Aさんを住居侵入罪窃盗罪の容疑で捜査する検察官は、このような状況においてAさんが釈放されると、AさんがBさんと口裏合わせをする(住居侵入・窃盗事件に関する罪証を隠滅する)おそれがあると考え、Aさんの勾留を請求する可能性があります。

勾留とは、逮捕に引き続きなされ最大で20日(延長された場合)という長期間に及ぶおそれがある身体拘束を意味します。
勾留期間中は仕事や学校には行くことができなくなるため、失業や退学のおそれが生じてしまいます。

刑事弁護士としては、検察官に対してAさんを住居侵入罪・窃盗罪の容疑での勾留を請求しないよう働きかけることができると考えられます。
また、Aさんの住居侵入罪・窃盗罪の容疑での勾留を決定する裁判官に対しても、勾留の決定をしないよう働きかけることができると考えられます。
住居侵入罪窃盗罪での勾留がなされた場合には、不服申立て(準抗告)をすることもできると考えられます。

【住居侵入罪・窃盗罪と余罪】

逮捕・勾留期間中、Aさんは、三重県鈴鹿警察署の警察官により、Vさん以外の人の住居に侵入し財物を盗み取っていないか、すなわち余罪となる住居侵入罪窃盗罪を犯していないか厳しい追及を受ける可能性があります。

逮捕・勾留期間中はAさんに取調べを受ける義務(取調受忍義務)が生じるため、長期間に及び厳しい追及がなされる可能性もあります。
被疑者の立場からすれば、肉体的にも精神的にも大きな負担となる可能性があります。

刑事弁護士としては、三重県鈴鹿警察署の警察官や検察官による住居侵入罪・窃盗罪の容疑での取調べに対してどのように応じれば良いのか、法的な観点から詳しく助言することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入罪・窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県亀山市の器物損壊事件で示談を目指す

2021-10-05

三重県亀山市の器物損壊事件で示談を目指す

三重県亀山市器物損壊事件示談を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県亀山市において、軽乗用車で道路を走行中、前を走っていたVさんの車がゆっくり走っていたことに腹を立て、信号で乗用車が止まった際にVさんと口論をした後、ハンマーでVさんの乗用車のフロントガラスなどを叩き割りました。
Aさんは、三重県亀山警察署の警察官により、器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、三重県亀山警察署の警察官による器物損壊罪の容疑での取調べに対し、器物損壊罪の容疑を認めているということです。
Aさんが器物損壊罪の容疑で逮捕されたと聞いたAさんの妻は、三重県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月19日にCBCNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【器物損壊罪とは】

刑法261条は、以下のように規定しています。

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する(刑法261条)。

また、刑法264条は、以下のように規定しています。

第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない(刑法264条)。

器物損壊罪は、刑法261条に規定されているとおり、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。

器物損壊罪における「他人の物」とは、公用文書・私用文書・建造物以外の他人の物を指します。
また、器物損壊罪における「損壊」とは、物理的損壊を含む物の効用を滅失させる行為をいいます。

刑事事件例において、AさんがVさんの乗用車のフロントガラスなどを叩き割る行為は、器物損壊罪における「他人の物を損壊する」行為に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには器物損壊罪が成立すると考えられます。

【器物損壊事件と示談】

器物損壊罪は、上述の通り、「第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない」(刑法264条)と規定されています。

告訴とは、器物損壊罪を含む犯罪の被害者の方(及びその他一定の者)が、捜査機関に対して、犯罪事実を申告して、その訴追を求める意思表示をいいます(刑事訴訟法230条)。
器物損壊罪は、この告訴がなければ公訴を提起(刑事裁判へ提訴)することができません。

そこで、刑事弁護士としては、刑事損壊事件の被害者の方と示談交渉をし、告訴を取り消してもらうことができると考えられます。
示談交渉においては、Vさんの乗用車のフロントガラスなどの修理にかかった損害賠償金を支払う被害弁償ができると考えられます。

特に本件器物損壊事件のようなケースでは、被害者の方の情報(氏名や電話番号)が分からない場合が多いです。
そこで、刑事弁護士としては、本件器物損壊事件を捜査する警察官や検察官に対して、弁護士限りで本件器物損壊事件の被害者の方の連絡先を教えてもらえないかと打診することもできると考えられます。

示談締結は、器物損壊事件を起こした場合において寛大な処分を獲得するためには非常に重要な要素となります。
そして、このような示談交渉には刑事事件に関する専門的な知識と豊富な経験が必要であるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
器物損壊事件において示談交渉を含む刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県亀山市の器物損壊事件で示談を目指す場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

他人のペットを傷つけると何罪?

2021-09-14

他人のペットを傷つけると何罪?

他人のペットを傷つけると何罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

三重県桑名市に住んでいるAさんは、隣人であるVさんがペットとして飼っている犬が、AさんがVさん宅前を通りかかるたびに吠えかかってくることに苛立っていました。
そして、ある日、Aさんは我慢の限界を超えてしまい、ついにVさん宅の犬を蹴飛ばして怪我を負わせてしまいました。
ペットの犬が怪我をしていることに気がついたVさんは、防犯カメラの映像などからAさんが暴行を加えて怪我をさせたことを知り、三重県桑名警察署に被害を届け出ました。
被害届を受理した三重県桑名警察署は、Aさんを逮捕
Aさん逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、突然の知らせに驚き、ひとまず弁護士に詳しい話を聞いてきてもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・他人のペットを傷つけると何罪?

今回のAさんは、Vさんのペットである犬に暴行し、怪我を負わせてしまっています。
このケースのように、他人のペットである動物を傷つけたときに成立する可能性のある犯罪としては、まずは刑法の器物損壊罪が挙げられます。

刑法第261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「前3条に規定するもの」とは、文書や建造物等のことで、それ以外のものが器物損壊罪の対象(客体)となります。
生きている動物を「物」と扱うことに違和感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、法律的には動物も「物」として扱われるため、他人にペットとして飼われている動物も器物損壊罪の客体=「他人の物」となります。
器物損壊罪の「他人の物を」「傷害」するという言葉からも、他人が飼っているペットが器物損壊罪の対象として想定されていることが分かります。
なお、「傷害」とは書かれているものの、他人のペットを殺してしまったような場合でも、器物損壊罪の「傷害」に当てはまり、器物損壊罪が成立することにも注意が必要です。

今回の事例では、AさんはVさんの飼っているペットの犬=器物損壊罪でいう「他人の物」に暴行を加え、怪我をさせている=「傷害」しているため、器物損壊罪が成立すると考えられます。

・自分のペットを傷つけたら何罪?

先ほど確認したように、器物損壊罪はあくまで「他人の物」を傷つけた時に成立する犯罪です。
ということは、ペットを傷つけた際、それが他人のペットでなかった場合、自分のペットを傷つけてしまった場合には器物損壊罪とならないのでしょうか。
刑法には、以下のような規定があります。

刑法第262条
自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、前3条の例による。

この条文によると、自分の飼っているペットであっても、差押えを受けていたり、物権を負担していたり、賃貸したりしてているときは、器物損壊罪の対象となることがわかります。
このような場合には、たとえ自分のペットであっても傷つければ器物損壊罪の成立が問題となります。

・器物損壊罪以外の犯罪も成立する?

加えて注意しなければならないのは、ペットを傷つけることによって、器物損壊罪以外の犯罪も成立の可能性があるということです。
ある特定の種の動物を傷つけた場合には、動物愛護法違反が成立する可能性が出てくるためです。

動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)は、主としてペット販売や取引を行う事業者に対して規制を加える法律です。
しかし、一般の飼い主やさらには飼い主でない人もこの法律による取締りを受けることがあります。

動物愛護法第44条第1項
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。

動物愛護法における「愛護動物」とは、牛、馬、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるとその他人が飼育している動物のうち哺乳類、鳥類、爬虫類に属するものを指します。
刑法に対して動物愛護法の処罰規定は特別法に当たりますので、愛護動物をみだりに殺傷したといえる場合には器物損壊罪ではなく動物愛護法違反が適用されます。
そして、動物愛護法では、動物の種類によっては器物損壊罪のように他人の物か自分の物か区別されていないため、他人のペットでも自分のペットでも、「愛護動物」に当たる動物を傷つければ動物愛護法違反となる可能性が出てきます。

今回のAさんは、Vさんのペットである犬=「愛護動物」を傷つけていますから、動物愛護法違反となると考えられます。
動物愛護法違反は、器物損壊罪と異なり親告罪ではないため、告訴がなくとも起訴される可能性があり、さらにその刑罰も重い物となっています。
迅速に刑事事件に対応できる弁護士に相談することが求められるでしょう。

「人を傷つけるわけではないから」と考える方もいるかもしれませんが、ペットを傷つけることも非常に重い犯罪です。
そういったことをしないよう気をつけることはもちろんですが、もしも当事者となってしまったら、弁護士に相談して対応を練っていくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、弁護士の初回接見サービスや初回無料法律相談を受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

器物損壊事件で示談

2021-08-31

器物損壊事件で示談した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、三重県津市の繁華街で酔って、路上に置かれた被害店舗の看板を蹴って壊したところ、店員の通報で駆け付けた三重県津警察署の警察官に器物損壊の容疑で現行犯逮捕されました。
翌日、Aさんは家族が身元引受人となり釈放されましたが、暴行、公務執行妨害の前歴2件があるため、今回はどのような処分となるのか気が気でなりません。
Aさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

器物損壊罪について

器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物を損壊又は傷害させた場合に成立する罪です。
「公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物」には、動産、不動産を広く含みます。
「損壊」とは、物の物理的な損壊のみならず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
判例では、食器に放尿する行為、鯛や海老が描かれた掛け軸に不吉と墨書きする行為、家屋を建設するために地ならしした敷地を掘り起こして畑地とする行為、施設の堀に赤色スプレーで落書きする行為も「損壊」に当たるとしています。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がすなどしてその効用に害する一切の行為を指します。

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪というのは、被害者などの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪のことです。
刑法上の親告罪は、器物損壊罪の他にも、未成年者略取誘拐罪、名誉毀損罪、侮辱罪、過失傷害罪などがあります。

器物損壊事件で示談した場合

器物損壊罪は粗暴犯の一種ですので、Aさんは2件の同種前歴をもっていることになります。
そのため、少なくとも罰金刑となる可能性はあると言えるでしょう。
しかしながら、器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との間で示談を成立させ告訴を取消してもらえれば、同種の前歴があったとしても不起訴となります。

器物損壊事件で不起訴となるには、被害者との示談が重要なポイントとなります。
ただ、示談は、加害者が被害者に対して金銭の支払いをする一方で、被害者が告訴を行わない、あるいは、告訴を取り下げるとする当事者間の約束ですので、決まったルールがあるわけではありません。
また、被害者は加害者に対して嫌悪感や恐怖心を抱いており、加害者との接触を望まない場合も少なくありません。
そのため、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的となっています。
弁護士限りであれば話し合いを承諾してくれる被害者も多いですし、法律の専門家である弁護士を介して交渉を行ることにより、加害者にとって到底受け入れることができない合意内容となったり、法外な示談金となることを避けることが期待できます。

無事に告訴が取下げられれば、起訴されることはありません。
器物損壊事件で被疑事実を争わない場合には、早期に弁護士に相談し、被害者との示談交渉に着手するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
器物損壊事件を起こし対応にお困りであれば、まずはお気軽にお電話ください。

少年事件で試験観察

2021-08-20

少年事件試験観察となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県伊勢警察署は、傷害事件の被疑者としてAくん(17歳)ら少年4名を逮捕しました。
Aくんには、同種の前歴があり、Aくんの両親は、今回の事件で少年院送致となるのではないかと心配しています。
Aくんの両親は、すぐに対応してくれる少年事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」と呼びます。)が、罪を犯したと疑われる場合には、捜査機関が少年の被疑事件として捜査を開始し、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと認められるときや、犯罪の嫌疑は認められないけれども家庭裁判所の審理に付すべき事情があると思料するときは、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、調査官による調査を行った上で、審判を行い、少年に対して処分を言い渡します。
審判で言い渡される処分には、①不処分、②保護処分、③都道府県知事又は児童相談所長送致、④検察官送致、⑤試験観察があります。

試験観察とは

家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に付することができます。
この決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、終局決定前の段階で必要がある場合に行われる中間決定です。
試験観察には、相当の期間、調査官の観察に付することによって、調査官の調査を補強・修正し、要保護性の判断をより一層的確にするという機能と、終局決定をいったん留保することで心理的強制効果を利用して教育的措置を行い、その効果を高めるという教育的処遇の機能とが期待されます。

試験観察の要件は、「保護処分を決定するため必要があると認めるとき」であることで、より細かく言えば、①保護処分に付する蓋然性があること、②直ちに保護処分に付することができないか、相当でない事情があること、③調査官の観察活動の結果により適切な終局決定ができる見込みがあること、④相当の期間内に観察目的を達成する見込みがあること、の4要素を満たす必要があるとされています。

試験観察の方法は、事案の内容や少年の抱える問題によって異なりますが、基本的には、調査官が、少年や保護者を定期的に家庭裁判所に呼び出し面接を行い、その中で教育的措置を行ったり、ボランティア活動へ参加させたりします。
試験観察には、在宅試験観察と補導委託試験観察とがあります。
在宅試験観察は、審判で試験観察決定が言い渡されると、その日に自宅に戻ることができます。
基本的には自宅で過ごし、定期的に家庭裁判所に出頭することになります。
補導委託試験観察は、民間の有志家に少年の補導を委託し、民間の社会資源の長所を生かした教育的な働きかけを行いながら、少年の行動等を観察しようとするものです。

このように、試験観察は、終局処分である保護処分を決めかねる場合にとられるもので、試験観察期間中に、少年の要保護性が解消したと認められる場合には、最終的に不処分が言い渡されることもありますし、少年院送致の可能性が高い事案であっても、保護観察となることもあります。
少年院送致が見込まれる場合には、まずは審判で試験観察となることを目指し、試験観察期間中に環境調整に力を入れ、最終的に審判で保護観察処分となるよう働きかけることが重要です。
そのような活動は、少年事件に精通する弁護士にお任せください。
少年事件は、成人の刑事事件と異なる点も多いため、少年事件については少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

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