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自殺幇助事件で逮捕
自殺幇助事件で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件法律事務所が解説します。
◇自殺幇助罪で逮捕◇
自殺願望を持っていたAさんは、ある日、SNSで知り合った、Aさん同様に自殺願望を持っていたVさんと意気投合し、「一緒に自殺しよう」という話になりました。
Aさんは、2人で自殺するための練炭を準備すると、三重県桑名市にある林道にVさんが借りてきたレンタカーを停めると、2人でその中に入って練炭を焚きました。
しかし、Aさんは途中で自殺するのが怖くなり、車から脱出すると110番しました。
三重県桑名警察署の警察官と救急隊員が駆けつけ、Aさんは病院に搬送され助かりましたが、Vさんはそのまま死亡してしまいました。
その後、Aさんは三重県桑名警察署の警察官に、自殺幇助罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和2年4月8日産経WEST配信記事を基にしたフィクションです。)
◇自殺関与罪と自殺幇助罪◇
日本の法律には、自殺すること自体を罰する法律はありません。
自殺自体が犯罪として処罰されない根拠については諸説分かれています。
例えば、自殺自体は違法な行為であるが自殺するような状況では自殺した人を非難したり責任を問うたりすることはできないために処罰できないという考え方や、そもそも自殺は違法性がない、もしくは処罰するほど遺法性が大きくないという考え方があります。
今回問題となる自殺関与罪は、自殺した本人ではなく、その自殺に関わっている人を処罰する犯罪です。
自殺した本人は処罰しないにも関わらず、自殺に関わった他人は処罰するということを不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど例に挙げたような自殺した本人を処罰しないという考え方でも、自殺に関与した他人を処罰することには説明がつきます。
例えば、そもそも自殺は違法であるとする立場であれば自殺に関与するのはその違法な行為に関わる共犯者となるのだから違法であると解されており、自殺自体は違法ではないという立場の場合には、本人のみができる生命に関する意思決定に他人が影響を及ぼして生命を害する行為が違法になるのだと解されています。
今回のAさんの逮捕容疑である自殺幇助罪は、自殺関与罪と呼ばれる自殺に関連した犯罪のうちの1つです。
刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
この条文のうち、「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ」たという部分に当たるのが自殺関与罪であり、自殺を「教唆」した場合には自殺教唆罪、自殺を「幇助」した場合には自殺幇助罪と呼ばれます。
なお、刑法第202条後段の「人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した」という部分にあたる場合には、嘱託殺人罪または同意殺人罪に問われることになります。
自殺幇助罪の「幇助」とは、難しい言葉に感じるかもしれませんが、大まかに言えば手助けをすることを指しています。
つまり、自殺をしようと思っている人に対して自殺をすることを容易にする手助けをすると、自殺幇助罪が成立しうるということになります。
ここで重要なのは、自殺幇助罪はあくまですでに自殺を決意した人に対して自殺をする手助けをした際に成立する犯罪であるということです。
自殺を考えていない人に自殺をする意思を持たせたような場合には、自殺幇助罪ではなく、自殺教唆罪や、状況によっては殺人罪が成立する可能性が出てきます。
さらに、自殺幇助罪は自殺の手助けをした場合に成立するといっても、自殺をしたいという人に対して直接手を下すようなことをすれば、自殺幇助罪ではなく嘱託殺人罪が成立する可能性が出てくることになるでしょう。
今回のAさんは、自分とVさんが自殺するための練炭を用意しています。
Aさん自身は結果的に自殺を遂げなかったものの、その行為はVさんの自殺を容易にしたと言えます。
Vさんは元々自殺をする決意を持っていたところにAさんがそういった手助けをしているわけですから、今回Aさんには自殺幇助罪が成立すると考えられるのです。
今回のような集団自殺事件や、心中事件から自殺幇助事件となることもあります。
人の生命に関わる犯罪であることもあり、刑罰も重く、そして捜査も厳しいものになることが予想されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、逮捕直後から丁寧にフォローを行います。
まずはお気軽にご相談ください。
器物損壊事件 告訴の取消しで不起訴を目指す
器物損壊罪での告訴取消し、不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇器物損壊事件◇
三重県志摩市に住むAさんは、自宅近くのVさん方駐車場に停めてあったVさんの車のボンネット等を金づちで数回叩き、Vさんの車を損壊(損害額約30万円)させました。
これを見たVさんは三重県志摩警察署に告訴状を提出し、捜査の結果、Aさんが犯人であることが特定され、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
Vさんがここ数か月間、同様の被害を受けていたことから、駐車場に防犯カメラを設置していたところ、Aさんの犯行の姿が撮影されており犯人の特定につながったようです。
逮捕の通知を受けたAさんの両親は対応に困り、まずは刑事事件の実績、経験が豊富な弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
◇器物損壊罪とは?◇
器物損壊罪は、刑法261条に規定されています。
刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
「前三条に規定するもの」とは、公用文書等(刑法258条)、私用文書等(刑法259条)、建造物等(刑法260条)を指しますから、器物損壊罪の対象(客体=「他人の物」)とは、これら以外の有体物ということになります。
ちなみに、動物も「物」に含まれます。
ここでの「損壊」とは動物以外への毀棄、「傷害」とは動物に対する毀棄をいいます。
毀棄とは、物理的な毀損・破壊行為のみならず、ひろく物の本来の効用を失わせる行為を含むと解されています。
器物損壊罪の罰則は、上記のとおり「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
科料(1万円未満)も定められていますが、器物損壊罪において科料が科されるケースは稀だと思います。
◇器物損壊事件で逮捕されるケース◇
事例のような器物損壊罪はどうして発覚するのでしょうか?
まず、一番多いのは、警察官や被害者らによる現認事案です。
被害者が繰り返し被害に遭っていたところ、現場に張り込んでいた警察官らが犯行を現認して発覚するというパターンです。
その他にも、目撃者の供述、現場及びその付近の防犯ビデオ映像等から後日発覚するというパターンもあります。
◇告訴取消しと不起訴処分◇
器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない罪で、これを「親告罪」と言います。
ですから、Aさんが公訴を提起されず、裁判を受けずに済むため(不起訴を獲得するため)には、Vさんに告訴を取消してもらう必要があります。
刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ控訴を提起することができない。
Vさんに告訴を取り消してもらうためには、まずはVさんに対し真摯に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉はに弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な内容で示談を成立させることが可能であり、その結果、Vさんに告訴を取消していただき、不起訴という刑事処分を獲得できる可能性も上がります。
また、この場合、Aさんに前科も付きません。
◇器物損壊事件に強い弁護士◇
接見、告訴取消し、不起訴処分獲得なら刑事事件の実績、経験豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士へご依頼ください。
被疑者として逮捕された方がいる場合には、初回接見サービスのご依頼を受けた後、速やかに逮捕された方との接見をいたします。
その後、正式なご契約をいただいた後に告訴取消し、不起訴処分獲得へ向けて弁護活動を開始します。
まずはお問い合わせを、0120-631-881までお電話ください。
傷害行為が正当防衛になるのか
傷害行為が正当防衛になるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇傷害事件◇
中古車販売店で働いているAさんは、仕事終わりに販売店の店長の家に招かれ、二人で酒を飲んでいました。
そこで酒に酔った店長から勤務態度を注意されたことに腹を立てたAさんは、店長に反抗する態度をとってしまいました。
するとAさんは、急に店長から胸倉を掴まれて壁に身体を叩きつけられたのです。
恐怖を感じたAさんは思わず、テーブルの上にあったコップで、店長の頭を殴りつけてしまいました。
この行為で、店長が頭部を裂傷し出血する傷害を負ったので、Aさんは救急車を呼んで病院まで付き添いました。
店長を診察した医師が三重県亀山警察署に通報したことから、Aさんは傷害罪で警察の取調べを受けています。
Aさんは、自分の行為が「正当防衛」に当たるのではないかと考えています。
(フィクションです)
◇傷害罪◇
傷害罪とは、刑法第204条に定められている法律で、暴行等によって人の身体に傷害を負わせることで成立します。
今回の事件でAさんは、被害者である店長の頭部をコップで殴打しているので、暴行行為が認められますが、相手を傷害させる方法は、必ずしも暴行行為だけに限られません。
無形的な方法や、不作為による傷害もあり得るのです。
性行為の相手に対して、故意的に性病を感染させたり、人を恐怖に陥れて精神障害を引き起こしたりする行為であっても傷害罪が適用されることがあります。
~傷害罪の量刑~
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すれば、行為の悪質性や、被害者の傷害の程度、加害者の反省、更生の見込みなどによって、法定刑内の刑事罰が科せられることになりますが、暴行の程度が軽く、被害者が軽傷である軽微な傷害事件の場合は、略式起訴によって罰金刑になることが大半です。
ただ再犯であったり、反省の情が認められない場合は、そのような軽微な傷害事件であっても起訴されて、正式裁判で刑事罰が決定することもあります。
~傷害事件の減軽~
傷害事件を起こしてしまって刑事罰の減軽を望むのであれば、被害者との示談を最優先することをお勧めします。
被害者に謝罪し、怪我の治療費や慰謝料を支払うなどの賠償をして示談していれば、刑事罰の減軽が望めます。
◇正当防衛◇
正当防衛とは
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為
のことで、刑法第36条に明記されているとおり、正当防衛が認められると違法性が阻却されて、犯罪は成立せず、刑事罰が科せられることはありません。
今回の事件で、確かにAさんは、酒に酔った店長から、急に胸倉を掴まれて壁に身体を叩きつけられる暴行を受けています。
これは、正当防衛でいうところの「急迫不正の侵害」に該当するでしょう。
ただ、店長の頭をコップで殴りつける行為が「やむを得ずにした行為」に該当するかどうかは、当時の状況や、店長とAさんの対格差、普段からの人間関係などに左右されるでしょう。
◇過剰防衛◇
正当防衛を規定した刑法第36条の2項に過剰防衛が規定されています。
過剰防衛は、防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除するといった内容で、正当防衛の要件を満たしていることを前提にして、防衛行為が行き過ぎた場合に適用されます。
◇傷害事件の正当防衛に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、これまで数多くの傷害事件を扱い、正当防衛を主張してきた実績があります。
自身の起こした傷害事件で不安のある方、傷害事件で正当防衛を主張したい方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
家族が傷害罪で逮捕 弁護士にできること
家族が傷害事件で逮捕された時に、弁護士に何ができるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇傷害罪で家族が逮捕された◇
三重県四日市市に住むAさんには、昨年の4月に就職したばかりの23歳になる息子がいます。
昨夜、この息子が傷害事件を起こして、三重県四日市警察署に逮捕された旨の連絡が、Aさんの携帯電話にありました。
電話をかけてきた警察官曰く「飲み屋でトラブルになった男性を殴って全治2週間の傷害を負わせた。」との事で、逮捕時息子さんは相当酔払っていたようです。
Aさんは、息子のことが心配で、警察官に「弁護士が付いているのか?」と聞きましたが、答えてもらうことができませんでした。
(フィクションです)
◇傷害事件◇
傷害事件は、暴行等によって相手に傷害を負わせることにで成立する犯罪です。
医師が傷害を認定して診断書を作成すれば、骨折等の重傷であっても、打撲やかすり傷等のような軽傷の場合であっても、同じ傷害事件と扱われます。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
被害者の傷害の程度が軽ければ不起訴処分となる可能性がありますが、不起訴処分を確実にするには、被害者と示談することが必至となるでしょう。
◇弁護士を選任するタイミング◇
傷害事件で逮捕された方の弁護士をどのタイミングで選任するべきか?と悩んでいる方が多いかと思いますが、警察に逮捕されている事件においては、早急に弁護士を選任することをお勧めします。
◇弁護士にできること◇
①まずは事件の詳細を把握することが大切。
警察から、家族が逮捕された知らせを受けても、ほとんどの場合で逮捕罪名くらいしか教えてもらうことができず、事件の詳細までは教えてもらうことができません。
そのため、逮捕の知らせを聞いたご家族は事件の詳細がわからず、弁護士に相談しても、今後の手続きや処分の見通しが全く分かりません。
そこでまず、弁護士に逮捕されている方の接見を依頼し、「何をして警察に逮捕されたのか。」を把握することが大切です。
②刑事手続きを検討し、取調べに対するアドバイスを行う。
警察に逮捕されたからといって有罪が確定するわけではありませんし、それまでの刑事手続きが適法になされているのかも分かりません。
弁護士は逮捕された方から、逮捕されるまでの話を聞いた上で、それまでの刑事手続きが適法になされているかを検討します。
また逮捕された方に対しては、取調べに対するアドバイスを行い、必要以上の不利益を被ることがないようにします。
逮捕されている方が、不利益な方向に手続きが進んでいることに気付かないことはよくあることですが、弁護士のアドバイスによって、軌道を修正することができ、不利益を必要最小限にとどめることができます。
③早期の釈放を実現する。
逮捕によって身体拘束を受ける事は、刑事手続き上に、法律で認められていることです。そのため、警察等の捜査当局は身体拘束を継続することを好みますが、身体拘束を継続できるかどうかの判断は、法律で厳正に定められており、逮捕後72時間を超えての身体拘束(勾留)には、裁判官の許可が必要となります。
弁護士を選任していなければ、裁判官は、警察や、検察官の意見だけを聞いて、勾留の判断を下しますが、弁護士が選任されていれば、逮捕されている方にとって有利な情報を裁判官に届けることができるので、身体拘束(勾留)を回避できる可能性があります。
④刑事処分の軽減を望める。
刑事弁護人の主な役割は、逮捕されている方の刑事処分を軽減することです。
刑事事件を犯して警察に逮捕された方に下される刑事処分については、逮捕された犯罪によって異なり、刑事処分の内容は法定刑によって定められています。(傷害罪の場合は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。)
法定刑は、起訴されて刑事罰が科せられる場合に適用される処分であって、起訴までに適切な弁護活動を受けることができれば、「起訴されない(不起訴)」という選択肢があり、不起訴になった場合は、刑事罰が科せられることはなく、前科にもなりません。
弁護士が活動することによって、逮捕や勾留といった身体拘束をされた場合であっても、不起訴となる可能性があります。
◇傷害事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族、ご友人が傷害事件を起こして警察に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
初回接見サービスや、無料法律相談のご予約は0120-631-881(24時間受付け中)にて承っております。
【刑事裁判】現住建造物等放火事件の裁判員裁判
現住建造物放火事件の裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇現住建造物等放火事件◇
大学生のAさん(22歳)は、三重県津市に住む女子大生と交際していますが、先日、この交際相手の妊娠が発覚しました。
Aさんは、彼女と結婚しようと、津市内にある彼女の両親を訪ねましたが、結婚どころか交際すら許してもらうことができず追い返されてしまいました。
その後、彼女と連絡が取れなくなったAさんは、彼女の両親を恨むようになってしまいました。
そしてついに、津市の彼女の実家を放火してしまったのです。
さいわい両親は外出しており怪我人は出ませんでしたが、後日、Aさんは現住建造物等放火罪で、三重県警に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
◇放火の罪◇
刑法では放火の罪がいくつか定められています。
一番厳しい罰則が定められている「現住建造物等放火罪」をはじめ「非現住建造物等放火罪」や「建造物等以外放火罪」更には「失火」についての規定がなされていますが、本日のコラムでは「現住建造物等放火罪」について解説します。
◇現住建造物等放火罪◇
刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し、又は現に人がいる建造物(中略)を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
現住建造物等放火罪でいう「現に人が住居に使用」とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用している建物を意味します。
放火当時に、建物内に人が現存する必要はなく、必ずしも特定の人が居住している必要もありませんので、夜間や、休日だけ人が起臥寝食に利用しているような建物であっても「現に人が住居に使用」と言える可能性があります。
次に「現に人がいる」についてですが、これは犯人以外の人が現在することで、その場所に現在する権利の有無は問題となりません。極端な例ですと、空き家にホームレスが住み着いている場合でも、その空き家に放火すれば現住建造物等放火罪が適用される可能性があるのです。
◇現住建造物等放火罪は裁判員裁判の対象事件◇
~裁判員裁判~
裁判員裁判とは、平成21年に導入された刑事裁判の制度です。それまでの刑事裁判は、被告人(犯人)を起訴した検察官と、被告人(犯人)を弁護する弁護人が、それぞれの意見を主張しあって、その意見を聞いた裁判官が刑事処分(判決)を言い渡すものでした。しかし裁判員裁判は、有権者から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加し、裁判官と共に被告人(犯人)の刑事処分(判決)を審査します。
それまでは、被告人(犯人)や被害者等の事件当事者を除くと、法律家(裁判官や検察官、弁護士)しか参加しなかった刑事裁判に、専門的な法律知識を有しない一般人が参加するようになったことで、偏った判断がされず、国民目線で刑事裁判が行われるようになりました。
~裁判員裁判の対象事件~
全ての刑事裁判が、裁判員裁判の対象になるわけではありません。
裁判員裁判の対象となる事件については、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律によって定められており、この法律の第2条第1項によると、裁判員裁判の対象事件は
(1)死刑又は無期の懲役若しくは禁錮にあたる罪にかかる事件
(2)法定合議事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪にかかる事件
です。
法廷合議事件とは、強盗罪等を除く、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪にかかる事件のように、裁判所の合議体で取り扱わなければならない事件です。
裁判員裁判の対象事件の例としては、殺人罪や傷害致死罪、強盗殺人罪や強盗致死罪、強制性交等致死傷罪や通貨偽造・同行使、危険運転致死罪などで、現住建造物等放火罪も対象となります。
これまで多くの裁判員裁判が行われていますが、刑事裁判全体の数に比べると、その数はごく一部に限られます。
裁判員裁判の刑事弁護活動は、通常の刑事裁判とは違い、法律的な専門知識だけでなく、刑事事件に特化した能力と経験が必要となってきますので、現住建造物等放火罪などの裁判員裁判の対象事件に関する弁護活動については、刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、裁判員裁判の経験豊富な弁護士が所属する刑事弁護専門の法律事務所です。
現住建造物等放火罪のような裁判員裁判の対象事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約や、費用のご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
夫婦喧嘩が刑事事件に!処分保留で釈放
夫婦喧嘩が刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
Aさんは、三重県度会郡玉城町に同い年の妻と住んでいますが、夫婦関係は非常に悪く、1年ほど前から夫婦喧嘩が絶えません。
これまで何度か、大声で夫婦口論していたことから、近所の人が110番通報して、警察官が自宅に臨場する騒ぎを何度か起こしているぐらいです。
先日も、些細なことから妻と口喧嘩をしたAさんは、思わず妻の体を突き飛ばしてしまいました。
そして転倒した妻は、机の角に頭を打ちつけ、後頭部から出血するケガを負いました。
翌日、妻が診察を受けた病院から警察に事件が報告され、Aさんは、傷害罪で警察に逮捕されてしまいましたが、妻はAさんの刑事罰を望んでいませんでした。
そしてAさんは逮捕後に10日間の勾留を受けましたが、その後に、処分保留で釈放されました。
(フィクションです。)
◇夫婦喧嘩でも刑事事件に発展◇
かつては民事不介入を理由に、警察が家庭内のトラブルに介入することはありませんでしたが、平成13年にDV防止法が施行されてからは、家庭内のトラブルであっても積極的に警察が介入するようになり、最近ではAさんのように逮捕されるケースも珍しくありません。
警察等の捜査当局は、たとえ被害者に被害申告の意思がなくても、再発の防止や、更なる重要事件へ発展する可能性があることを考慮して、被害者を保護したり、加害者を逮捕しているようです。
◇暴行・傷害事件◇
配偶者に対する暴力(DV・ドメスティックバイオレンス)については、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)で規制されている部分もありますが、この法律は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的にしており、暴行、傷害の行為そのものを取り締まったり、暴行、傷害した行為者に刑事罰を科すことを目的にしているものではありません。
そのため、家庭内暴力事件は、刑事手続き上「暴行罪(刑法第208条)」が適用され、それによって相手が怪我をすれば「傷害罪(刑法第204条)」が適用されます。
※行為態様によっては、暴力行為等処罰に関する法律違反や、逮捕、監禁罪など別の法律が適用される場合もありますので、不安のある方は刑事事件に強い弁護士に相談してください。
~暴行罪(刑法第208条)~
人を暴行すれば「暴行罪」の適用を受けます。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
躾(しつけ)のつもりでも、刑事事件化されて暴行罪の適用を受けた場合は、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることとなり、前科が付いてしまいます。
~傷害罪(刑法第204条)~
暴行によって相手に傷害を負わせてしまえば「傷害罪」の適用を受けます。
「怪我をさせるつもりはなかった。」と言いましても、故意的な暴行行為がある場合は傷害罪に抵触する可能性が非常に高いでしょう。
なお、傷害罪の法定刑は「15年以下の罰金又は50万円以下の罰金」ですので、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることとなり、前科が付いてしまいます。
◇処分保留とは◇
警察等の捜査機関から事件(被疑者)の送致を受けた検察官は、起訴するかどうかを判断します。
~起訴~
起訴された場合は、公開される裁判(公判)で刑事処分が決定する場合と、罰金を支払えば裁判は行われずに、全ての刑事手続きが終了する略式起訴(罰金)の場合があります。
~不起訴~
検察官が起訴しないことを「不起訴」といいます。
不起訴の理由は様々ですが、不起訴は、刑事罰が科せられないことを意味しますので前科は付きません。
~「処分保留」とは?~
被疑者が、勾留によって身体拘束を受けている場合、その勾留期間は10日~20日と法律で決まっています。
そして検察官は、この勾留の満期時に起訴するか否かを決定しなければなりません。
しかし、様々な事情(主に起訴するだけの証拠が揃っていない)があって検察官が勾留の期間内に、起訴するかどうかの決定ができない場合に「処分保留」となって、勾留されていた被疑者は釈放されます。
「処分保留」となった場合は、その後も引き続き捜査が継続されて、新たな証拠が出てきた場合には、起訴されることもありますが、既に被疑者が釈放されていることもあり、捜査を尽くしても、新たな証拠が出てくる可能性は低く、最終的には不起訴処分になるケースがほとんどのようです。
三重県度会郡玉城町の刑事事件や、家庭内の暴力事件でお困りの方は、三重県内の刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、警察に逮捕された方の早期釈放を実現する事務所です。
三重県でお正月から対応している私選弁護人
お正月に起こった刑事事件に対応している私選弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事件~
三重県四日市に住むAさんの息子は、昨年末に傷害事件を起こしてしまい、現在は三重県四日市警察署に勾留されています。
年末の出来事だったため、Aさんは刑事事件に強い弁護士を探すことができず、勾留後に国選弁護人が選任されていますが、お正月休みであることから、その国選弁護人からAさんのもとに連絡がありません。
事件の内容や、息子の状況が全く分からないことに不安を感じたAさんは、国選弁護人から刑事事件に強い私選の弁護士に切り替えることを検討しています。
(フィクションです。)
~国選弁護人~
国選弁護人という言葉はみなさんも耳にしたことがあるかと思います。
かつては、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮」の罰則が規定されている罪を犯して、被疑者段階で勾留された場合には、国選弁護人を選任することができるとされていました。
しかし、現在では「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に該当する事件」から「勾留される全ての事件」に、被疑者国選弁護人制度の範囲が拡大されています。
今回は国選弁護人と私選弁護人の違いについてみていきましょう。
~国選弁護人のメリット~
・費用がかからない。
(示談金等の被害者に支払うお金や、保釈金等は必要となる。)
~国選弁護人のデメリット~
・自分で弁護人を選ぶことができず、基本的には、自分の意思で解任できない。(改めて私選弁護人を選任する場合は除く)
・刑事事件、少年事件の弁護活動の経験の浅い弁護士が選任される場合がある。
・選任された弁護士によって、弁護士接見の回数や、被害者との示談交渉等の弁護活動の内容に差がある。
・家族等への報告が必要最小限になるため、被疑者、被告人の家族が状況を把握しづらい。
等
このように国選弁護人は弁護費用がかからないというメリットはありますが、その分、デメリットも多くあります。
特に担当弁護士を選べないということが、弁護活動を受ける側にとって大きなストレスとなる可能性があります。
弁護活動を行うにあたっては信頼関係が一つ重要になってきますので、本人が信頼できる人が弁護活動を行うことが大切です。
実際に、最初は国選弁護人を選任していたが、途中で私選弁護人に変更される方もたくさんおられます。
国選弁護人から私選弁護人への切り替え
刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、国選弁護人から私選弁護人に切り替えにも対応しています。
刑事手続きは、限られた時間で進むため、弁護活動はスピードが非常に重要となります。
そのため、国選弁護人から、私選弁護人へ切り替える場合でも、できるだけ早く弁護活動をスタートし、被疑者、被告人との連携を密に行い、弁護人との信頼関係を構築することで、よりよい結果を生み出すことができるのです。
ただ、起訴されてしまった後でも最終的な判決や保釈などの関係で私選に切り替えるメリットはありますので、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
身体拘束を受けている方のもとへ弁護士を派遣し、今後の見通しや取調べのアドバイス等をお伝えします。
三重県内で刑事事件を起こして警察に逮捕、勾留されている方がおられましたら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。
刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
無料法律相談、初回接見のご予約は0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
※弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、お正月休みの期間中も休まず営業しております。※
未成年者誘拐罪での勾留を回避
未成年者誘拐罪での勾留を回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇◆事件◆◇
会社員Aさんは、3年前に離婚した元妻との間に4歳の息子がいますが、親権は元妻にあり、離婚後は、元妻が実家で養育しています。
Aさんは、離婚後、何度か元妻の実家に行き、息子に会おうとしましたが、義父母がそれを了承せずに、Aさんは離婚後、一度も息子に会っていません。
どうしても息子の成長を見たいAさんは、昨日、息子が通っている幼稚園に行き、幼稚園の先生に「元妻に頼まれて迎えに来た。」と嘘を吐いて息子を幼稚園から連れ去りました。
Aさんは、夕方までに息子を元妻の実家に送り届けるつもりで、息子とレストランで食事をした後に、デパートに行きました。
そしてデパートで買い物をして駐車場に戻ったところ、元妻からの通報を受けてAさん等の行方を捜していた三重県鈴鹿警察署の捜査員に発見され、Aさんは未成年者誘拐罪で現行犯逮捕されました。
逮捕後、Aさんに選任された刑事弁護人は、同居するAさんの両親が監視監督することを約束してAさんの勾留を阻止するのに成功しました。
(フィクションです。)
Aさんは自分の子供と一緒に、食事や買い物をしただけで、その後は親権を持つ元妻のもとに連れて行く予定でした。
それならば罪にあたらないのではないかと考えられる方もいるのではないでしょうか。
しかし、実子であっても親権を持たない親が、親権のある親元から子供を連れ去る行為は未成年者略取罪や誘拐罪にあたる可能性が大です。
◇未成年者略取及び誘拐罪~刑法第224条~◇
未成年者を略取及び誘拐すると、未成年者略取罪や誘拐罪となります。
この犯罪は、未成年者を本来の生活環境から離脱させて、自己又は第三者の実力支配下に移すことで成立する、自由に対する罪の一種です。
その手段として暴行や脅迫が用いられた場合は「略取」となり、欺罔や誘惑が用いられた場合は「誘拐」となります。
誘拐の手段とされる欺罔行為は、被拐取者に直接加えられる必要はなく、被拐取者が未成年である場合は、その保護者や監督者に対するものであってもよいとされています。
今回の事件でAさんは、幼稚園の先生に対して「元妻に頼まれて迎えに来た。」と嘘を吐いているので、その場合も未成年者誘拐罪が成立するということです。
未成年者誘拐罪で起訴された場合は、3月以上7年以下の懲役が科せられます。
◇勾留の却下◇
~勾留~
警察に逮捕されると、逮捕から48時間は逮捕に付随する行為として留置が認められています。
そして警察は逮捕から48時間以内に検察庁に送致しなければなりません。
更に送致を受けた検察官は24時間以内に釈放するか、裁判官に勾留を請求しなければならないのです。
裁判官が勾留を決定すれば勾留が決定した日から10日~20日間は身体拘束を受けることになります。
~勾留の回避~
事前に弁護士を選任することによって勾留を回避することが可能になります。
①検察官が勾留請求をしない
検察官は、送致までに作成された書類と、被疑者を取調べた結果によって勾留請求するか否かを決定します。
それらの書類は主に「勾留の必要性がある」といった内容になっています。
弁護士が、警察等の捜査機関が知り得ない情報を書類にして「勾留の必要性はない」ことを訴えれば検察官が勾留請求をしないことがあります。
②裁判官が勾留請求を却下する
検察官の勾留請求を阻止できなかった場合でも、次は、勾留を決定する立場にある裁判官に対して勾留の回避を働きかけることができます。
主に勾留は、釈放すれば刑事手続き上の支障が生じる場合(証拠隠滅や逃走のおそれがある場合)に決定されますが、そのような虞がないことを訴えることで、裁判官が、検察官の勾留請求を却下することがあります。
③勾留決定に対する異議申し立て(準抗告)
一度、裁判官が勾留を決定した場合でも、この決定に対して異議を申し立てることができます。
これを準抗告といいます。
勾留は一人の裁判官の判断によって決定しますが、その決定に対して準抗告した場合は、最初に勾留を決定した裁判官以外の3人の裁判官によって審議されます。
先入観のない複数の裁判官が、捜査側(警察官や検察官)の作成した書類と、弁護側の作成した書類を見比べて、勾留の必要があるか否かを改めて判断するのが準抗告です。
準抗告が認容されると、最初に決定した勾留はその効力を失います。
三重県鈴鹿市で、未成年者誘拐事件で逮捕された方の勾留を阻止したい方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律にご相談ください。
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凶器準備集合罪で逮捕
凶器準備集合罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
Aさんは、津市内を中心として活動している旧車会のメンバーです。
最近、Aさんの所属している旧車会と、地元の暴走族グループとの間で些細な諍いが絶えず、2日前には、旧車会のメンバーが、暴走族グループに集団暴行を受ける事件が発生しました。
そして、この集団暴行事件に報復するために、Aさん等旧車会のメンバーは、凶器となる木刀や、金属バット、ゴルフクラブ等を所持して河川敷に集合したのです。
しかし事前にこの情報を得ていた三重県警によって、Aさん等は凶器準備集合罪で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
◇凶器準備集合罪◇
刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集)
二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
上記のように刑法には「凶器準備集合罪」が規定されています。
この法律が施行された昭和30年代は、日本各地で暴力団による抗争事件が頻発していました。そのような社会情勢の中で、凶器を用いて行われる集団暴力犯罪を未然に防止することを目的に施行されたのが「凶器準備集合罪」です。
ですから、この法律は、個人の生命、身体、財産の安全を第一次的な保護法益としていますが、公共的な社会生活の平穏も二次的な法益とされています。
~共同して害を加える目的~
この法律が成立するには「二人以上の者の共同加害目的」つまり、 他人の生命、身体又は財産に対し 、共同して害を加える目的で集合した ことが必至となります。
ここでいう「共同して害を加える目的」とは、必ずしも集合前にこのような目的を有する必要はなく、集合後にその目的が生じた場合でもよいとされています。
またこの目的に、積極的な加害意思までは必要とされておらず、もし相手が攻撃してきた時に応戦しようという受動的な加害意思でも足りるとされています。
~「凶器」とは~
この法律でいう「凶器」とは、性質上の凶器だけでなく、用法上の凶器も含まれます。
性質上の凶器とは、けん銃などの銃砲刀剣類等のように、その器具本来の性質上、人を殺傷する用に供されるために作られたものです。
用法上の凶器とは、性質上の凶器ではないが、使い方によっては、人を殺傷する用に供することのできるものを意味します。
バットやゴルフクラブ等が代表的な用法上の凶器に該当しますが、この法律で、用法上の凶器に該当するかどうかは、その物の大きさ、数量、形状、性質、用途、準備した集団の人数、その目的等から総合的に判断されますが、今回の事件の場合、金属バット、ゴルフクラブについては「凶器」に該当するでしょう。
◇首謀者には加罰規定が◇
凶器準備集合罪の首謀者には加罰規定があります。
そのことは、刑法第208条の3 第2項に明記されており、ここに「前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、3年以下の懲役に処する。」とあります。
凶器準備集合罪の法定刑には、罰金の処罰規定があるために、有罪でも略式起訴による罰金刑の可能性がありますが、首謀者には罰金刑の規定がないため、略式起訴はなく、起訴されると公開の刑事裁判によって刑事罰が言い渡されることとなります。
津市の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が凶器準備集合罪で警察に逮捕されてしまった方は、三重県内の刑事事件に関する法律相談を無料で承っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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あおり運転で傷害罪が適用された男に実刑判決
傷害罪で実刑判決が言い渡された、名阪国道で起こったあおり運転によるひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇事件◇
今年6月、三重県亀山市の名阪国道で、大型トラックを運転していた男性被告人は、前方を走行する乗用車に幅寄せした上、乗用車にトラックを接触させて、運転手に軽傷を負わせて逃げたとして、傷害罪と道路交通法違反の罪に問われていました。
この事件の裁判で、津地方裁判所は、男性被告人に懲役1年8カ月の実刑判決を言い渡しました。
(本日配信の三重テレビ放送を参考にしています。)
社会問題となっている「あおり運転」に対して傷害罪が適用されて、実刑判決が言い渡された実際の事件です。
当初、警察は、危険運転致傷罪の疑いで男性被告人を逮捕していましたが、津地方検察庁は「トラックを凶器とした暴行と認められる」と判断し、あおり運転による接触事故を、故意的な暴行行為と判断して、傷害罪で起訴したようです。
警察は、あおり運転の取締りを強化しており、悪質なあおり運転に対しては道路交通法だけでなく、あらゆる法令を適用して厳罰化が図られている最中の判決ですので、今後の同様の事件に大きく影響する判決ではないでしょうか。
◇道路交通法違反◇
① 車間距離を必要以上に詰める行為(車間距離所持義務違反)
道路交通法第26条で、運転手には、急ブレーキ等の不測の事態にも対応できるだけの十分な車間距離をとって車を走行させることが義務付けられています。
これに違反して、車間距離を十分に開けずに車両を走行させると、車間距離所持義務違反となります。
罰則規定は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。
② 隣の車線に車を幅寄せする行為(進路変更禁止違反)
道路交通法第26条の2で、車線変更の方法等について規定されています。
この規定に違反して、危険な車線変更や進路変更をした場合は、進路変更禁止違反となり、その罰則は、5万円以下の罰金です。
③ 急ブレーキをかける行為(急ブレーキ禁止違反)
道路交通法第24条で、走行中の急ブレーキや、急な減速が禁止されています。これに違反して、急ブレーキや急な減速をした場合、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。。
このように、あおり運転は、上記したような道路交通法違反が適用されることとなります。
◇道路交通法違反以外の適用例◇
~暴行罪・傷害罪~
あおり運転が社会問題化されて、警察庁は、全国の警察に対して、道路交通法違反だけでなくあらゆる法令を適用して、あおり運転の取締りを強化するよう指示しました。
そんな中、あおり運転が刑事事件化された際に適用される可能性が最も高いのが「暴行罪」です。
暴行罪は、刑法第208条に定められた犯罪で、その法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
こういった暴行行為の結果、相手に傷害を負わせた場合は傷害罪の適用を受けます。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
~危険運転致死傷罪~
あおり運転が社会問題化される原因となった「東名高速道夫婦死亡事故」は、危険運転致死傷罪が適用され、第一審では有罪判決(懲役18年)が言い渡されています。※被告人の控訴中
危険運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条に規定されている犯罪です。
通常の交通(人身)事故は、過失運転致死傷罪が適用されますが、故意の危険運転によって交通事故を起こし、被害者を死傷させた場合は罰則規定の厳しい危険運転致死傷罪が適用されることとなります。
危険運転致死傷罪の法定刑は、被害者が死亡した場合「1年以上の有期懲役」で、被害者が傷害の場合「15年以下の懲役」です。
~殺人罪~
昨年7月に大阪府堺市で起こった、あおり運転による交通死亡事故には「殺人罪」が適用されています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。
~強要罪~
最近では、今年の夏ごろに世間を騒がせた常磐自動車道におけるあおり運転事件が、みなさんの記憶に新しいのではないでしょうか。
この事件では、走行中の車の前で急停車した車の運転手が「強要罪」で逮捕されています。
強要罪とは、刑法第223条に規定された犯罪です。
その内容は「 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する」ことで、法定刑は「3年以下の懲役」です。