Archive for the ‘財産犯事件’ Category
詐欺未遂事件の逮捕を相談
詐欺未遂事件の逮捕を相談
詐欺未遂事件の逮捕を弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、三重県熊野市に住む男性Vさんに対して電話をかけると、銀行員を名乗り、「Vさんの通帳とキャッシュカードはもう使えなくなったため、新しいものを作り直す必要がある」などと全くの嘘を話し、Vさんから暗証番号を聞き出したうえで通帳とキャッシュカードを騙し取ろうとしました。
しかし、Vさんが電話の内容を不審に思ったことから三重県熊野警察署に通報。
通報を受けて付近を巡回していた三重県熊野警察署の警察官が不審な様子のAさんを発見し、職務質問をしたことからAさんの犯行が発覚し、Aさんは詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんが詐欺未遂罪の容疑で逮捕されたことを知ると、すぐに弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
【詐欺未遂罪とは】
「人を欺いて財物を交付させた者」には、詐欺罪が成立します(刑法246条)。
詐欺罪で有罪となった場合、10年以下の懲役に処せられます。
そして、今回のAさんが詐欺未遂罪の容疑で逮捕されているように、詐欺罪には未遂罪の規定があるため、詐欺罪を完全になし得なかったとしても、詐欺未遂罪で罰せられることとなります(刑法250条)。
詐欺罪は、①詐欺行為者の欺く行為、②被害者の錯誤、③被害者の交付行為、④詐欺行為者の財物の取得という一連の行為により成立します。
そして、詐欺未遂罪は、①欺く行為を行ったものの、結果として財物を取得することができなかった場合に成立します。
詐欺罪・詐欺未遂罪における欺く行為とは、相手が真実を知っていれば財物の交付行為を行わないといえるような重要な事実を偽ることをいいます。
例えば、刑事事件例において、Aさんは「Vさんの通帳とキャッシュカードはもう使えなくなったため、新しいものを作り直す必要がある」とVさんに伝えていますが、これは全くの偽りの情報です。
Vさんが自身の通帳とキャッシュカードが使用できなくなったという話が嘘であると知っていれば、刑事事件例でそうであったように、VさんがAさんに対して通帳とキャッシュカードを交付することはないでしょう。
ですから、Aさんの偽った事実は、相手が真実を知っていれば財物の交付行為を行わないといえるような重要な事実であったといえ、詐欺罪・詐欺未遂罪における「欺く行為」があったと考えられます。
そして、Aさんは詐欺罪・詐欺未遂罪における「欺く行為」を行ったものの、Vさんから通帳とキャッシュカードを受け取る前に、三重県熊野警察署の警察官により逮捕されています。
つまり、Aさんは「欺く行為」をしたものの、結果として財物の交付まで至らなかったということになり、Aさんには詐欺未遂罪が成立すると考えられるのです。
【詐欺未遂罪と執行猶予】
平成30年の検察統計を見てみると、詐欺罪や詐欺未遂罪は他の刑法犯と比較して起訴される確率が高いといえます。
もしAさんが詐欺未遂罪により起訴された場合、無罪判決を獲得する場合を除いて、10年以下の懲役を宣告されることになります。
ただし、裁判所の量刑判断により、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
ある詐欺未遂罪の刑事事件例において、懲役1年6か月・執行猶予3年というような執行猶予付き判決を獲得した事例もあります。
執行猶予付き判決を獲得するためには、執行猶予付き判決を得るに値する事実を裁判所に主張していく必要があります。
例えば、詐欺未遂罪に該当する行為の態様や詐欺未遂事件を起こした動機が悪質でないことや詐欺未遂行為によって発生した被害が甚大とはいえないことなどが挙げられると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
詐欺未遂罪のような財産犯を犯した方の刑事弁護活動を行った実績のある経験豊富な刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県熊野市の詐欺未遂事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまったら
強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまったら
強盗傷人罪の少年事件で逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(15歳)は、三重県尾鷲市の路上において、歩いて帰宅途中であったVさん(男性)にけがをさせた上で財物を奪取するつもりで、Vさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどして全治約2週間のけがを負わせ、現金約10万円とキャッシュカードなどが入ったショルダーバッグを奪いました。
三重県尾鷲警察署の警察官は、Aさんを強盗傷人罪の容疑を逮捕しました。
強盗傷人罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後の手続きがどうなるのか、三重県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月13日に埼玉新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【強盗傷人罪とは】
刑法240条は強盗傷人罪を規定しており、強盗が人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処すとされています。
強盗傷人罪の主体である「強盗」とは、強盗犯人を意味し、既遂・未遂を問わないとされています(最高裁判決昭和23年6月12日)。
そして、強盗傷人罪の主体となる強盗犯人には、刑法236条の強盗罪を犯した者のでなく、事後強盗犯人(刑法238条・刑法243条)や昏睡強盗犯人(刑法239条・243条)が含まれます。
したがって、強盗傷人罪の主体となる「強盗」には広い意味での強盗犯人を意味するので読解にあたり注意が必要です。
ここで、刑法236条をみてみると、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪として、5年以上の有期懲役に処する。」(刑法236条1項)と規定されています。
強盗罪が成立するためには、他人の財物が「暴行又は脅迫」により「強取」される必要があります。
そして、強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧するに足りるものである必要があります。
このような「暴行又は脅迫」により被害者の反抗を抑圧して財物を奪取することを強盗罪における「強取」といいます。
刑事事件例において、Aさんは、Vさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどしています。
このAさんの行為は、被害者であるVさんの反抗を抑圧するに足りるものであるといえると考えられます。
よって、Aさんの行為は、強盗罪における「暴行又は脅迫」に該当すると考えられます。
そして、Aさんは、Vさんの反抗を抑圧して、Vさんの現金約10万円とキャッシュカードなどが入ったショルダーバッグを奪取しています。
よって、Aさんは、強盗罪における「強取」をしたと考えられます。
以上より、Aさんには強盗罪が成立する、すなわちAさんは強盗傷人罪の主体となる「強盗」に該当することになると考えられます。
ところで、強盗傷人罪の成立には、強盗傷人罪における「負傷」が強盗による強盗の機会に発生したものである必要があると考えられています(最高裁判決昭和24年5月28日)。
また、強盗傷人罪における「負傷」の程度としても、医師の治療を必要とする程度のものである必要があると考えられています。
刑事事件例では、AさんはVさんを羽交い絞めにして倒し、顔を殴るなどして全治約2週間のけがを負わせています。
そして、このVさんが負った全治2週間のけがは、強盗に機会になされており、負傷の程度としても医師の治療を必要とする程度のものであると考えられます。
以上より、Aさんには強盗傷人罪が成立すると考えられます。
【強盗傷人罪と少年事件】
刑事事件例におけるAさんは、強盗傷人事件を犯した当時15歳です。
そのため、Aさんが少年審判時までに20歳以上に達しない限り、Aさんは少年法における「少年」として扱われることになります(少年法2条1項)。
しかし、強盗傷人事件では、必ずしも少年事件の手続きのみで事件が終局するわけではありません。
というのは、家庭裁判所が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪」を犯した少年について、「その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」は、刑事事件の手続きに戻される可能性があるからです(少年法20条)。
このように少年事件の手続下で処理されていた少年が刑事事件の手続きに戻されることを「逆送」ということがあります。
そして、少年が刑事事件の手続きに戻された場合、捜査段階においては少年鑑別所ではなく拘置所で勾留されたり、刑の執行の段階においては刑務所に収容されたりする可能性があります。
このように、少年にとって、逆送は数多くの大きな不利益があります。
そのため、逆送を回避するような刑事弁護活動(付添人活動)が重要となると考えられます。
例えば、刑事弁護士(付添人)としては、少年事件に関する豊富な経験と知識から、短い審判までの期間で少年の内省を深めるサポートを行ったり、少年の家族と調整し少年をとりまく環境を整えるといった活動が考えられます。
また、家庭裁判所の調査官や裁判官の考える問題点を改善・協議するなどして、少年にとって少年事件の手続き下での処分がふさわしいことを裁判所に対して強く主張することも考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗傷人事件を起こした少年のご相談ももちろん受け付けております。
三重県尾鷲市の強盗傷人事件(少年事件)で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕されたら
三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕されたら
三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
三重県伊勢市に住むAさんは、同じく三重県伊勢市内にあるV建設会社の工事現場の敷地内で、V建設会社が管理する電線約50メートル(約2万円相当)を切断して盗み取りました。
V建設会社からの被害届を受けた三重県伊勢警察署の警察官はAさんを窃盗罪の容疑で逮捕しました。
三重県伊勢警察署の警察官によると、三重県伊勢市内では同様の手段による電線の盗難が5件発生しており、三重県伊勢警察署の警察官はAさんに余罪があるとみてAさんを厳しく追及する姿勢を見せています。
窃盗罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、三重県伊勢市にも対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月29日に佐賀新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【窃盗罪とは】
「他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪が成立すると10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
窃盗罪における「窃取」とは、他人が事実上支配(占有)する財物を、その事実上の支配(占有)者の意思に反して自己の事実上の支配(占有)に移転させる行為をいいます。
刑事事件例では、AさんはV建設会社が事実上支配(占有)する電線を、事実上の支配(占有)者たるV建設会社の意思に反して、Aさんの事実上の支配(占有)に移転させています。
よって、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪と余罪(詐欺罪・窃盗罪)】
ところで、刑事事件例においては、Aさんは窃盗した電線を中古品買取業者などに買い取ってもらい、その売買代金を領得した可能性が考えられます。
その際、例えばAさんが、電線が盗品であることを隠し、中古品買取業者を騙して電線を買い取らせたというような状況も考えられます。
とすると、Aさんには新たに(余罪として)詐欺罪が成立すると考えられますが、Aさんには窃盗罪のみならず、それに関連する詐欺罪は成立するのでしょうか。
なお、ここでは余罪とは、現に逮捕されている罪以外の犯罪を意味します。
結論から言えば、窃盗罪とは別個に新たに犯罪が成立すると考えられます。
その理由は、端的に言えば、窃盗罪では処罰しきれていない違法性があるからです。
このことをより詳細に検討するには、先に成立する窃盗罪と新たに成立するように思われる詐欺罪はいかなる関係を持つことになるのか、窃盗罪で処罰しきれていない違法性とは何か(反対に窃盗罪で処罰しきれている違法性とは何か)を考える必要があります。
まず、窃盗罪は、一旦犯罪が成立すると以後違法な状態が継続すると考えられています。
これは、例えば窃盗した財物を保持し続ければ違法状態は継続することを想起すれば、「一旦窃盗罪が成立すると以後違法な状態が継続する」と理解できると思います。
そして、窃盗行為に引き続き犯された犯罪行為が、窃盗罪の成立により予定される違法状態の範囲内といえる場合、新たな犯罪行為は既に窃盗罪の成立により評価されていると考えられます(なぜなら、上述のように、窃盗罪は、一旦犯罪が成立すると以後違法な状態が継続することを前提に刑を定めているからです)。
例えば、窃盗行為により領得した財物を損壊する行為は、窃盗罪の成立後も継続する違法状態の範囲内にあると考えられています。
そのため、窃盗行為により領得した財物を損壊しても、器物損壊罪(刑法261条)は成立することなく、窃盗罪のみが成立することになります。
一方、窃盗罪に引き続き犯された犯罪行為が、窃盗罪の成立により予定されている違法状態の範囲外にある場合、換言すれば新たに法益(刑法を定めることにより守られる利益)を侵害する行為であるといえる場合、新たな犯罪行為は窃盗罪の成立により評価されているとは考えられないことになります。
そのため、窃盗罪とは別個に新たに犯罪が成立することになります。
刑事事件例において、Aさんが、電線が盗品であることを隠し、中古品買取業者を騙して電線を買い取らせたというような場合、新たに中古品買取業者の財産(売買代金)が詐取されることになります。
ここに新たな法益の侵害があると考えられ、この法益侵害は窃盗罪では評価され尽くしていないものであるといえます。
よって、Aさんには窃盗罪とは別個に、詐欺罪が成立すると考えられます。
また、刑事事件例において、三重県伊勢市内では同様の手段による電線の盗難が5件発生しています。
Aさんが上記窃盗事件を起こしていた場合、Aさんにはそれぞれの窃盗事件に応じて窃盗罪(余罪)が成立すると考えられます。
以上のようにAさんには詐欺罪や窃盗罪などの余罪が成立する可能性があります。
刑事弁護士としては、三重県伊勢警察署の警察官による厳しい余罪取調べへの対応について専門的な観点から助言したり、窃盗事件(余罪となる窃盗事件も含む)や詐欺事件の被害者との示談を進めたりすることができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県伊勢市の窃盗事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕
三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕
三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、Bさんと共謀の上、三重県鈴鹿市のVさんの自宅に侵入し、現金200万円が入った金庫や高級車などおよそ4100万円相当の財物を盗みました。
Vさんが三重県鈴鹿警察署に通報した結果、Aさんは三重県鈴鹿警察署の警察官により住居侵入罪・窃盗罪の容疑で逮捕されました。
三重県鈴鹿警察署の警察官は、AさんがVさん以外の人の住居に侵入し財物を盗み取っていないか、共犯者の行方を知らないか厳しく追及しています。
住居侵入罪・窃盗罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、三重県鈴鹿市の刑事事件に対応している法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月24日に東海新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【住居侵入罪とは】
「正当な理由がないのに、人の住居」「に侵入し」「た者」には、住居侵入罪が成立します(刑法130条)。
住居侵入罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
住居侵入罪における「侵入」とは、居住者の「誰の立入り・滞在を許すか」という意思に反して、住居に立ち入ることをいいます。
刑事事件例において、AさんがVさんの自宅に無断で立ち入ることは、Vさんの「誰の立入り・滞在を許すか」という意思に反するものであったと考えられます。
よって、Aさんの立入りは、住居侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪とは】
「他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗罪における「窃取」とは、財物の占有(事実上の支配)者の意思に反して、財物を自己の占有(事実上の支配)に移すことをいいます。
刑事事件例において、AさんはVさんの意思に反して、現金200万円が入った金庫や高級車などおよそ4100万円相当の財物を自己の占有(事実上の支配)に移しています。
よって、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
【住居侵入罪・窃盗罪と共犯(共同正犯)】
刑事事件例において、Aさんは住居侵入・窃盗行為をBさんと共謀して行っています(共同正犯といいます)。
また、共犯者であるBさんの行方が分からず、当然三重県鈴鹿警察署の警察官によるBさんの住居侵入罪・窃盗罪での逮捕も行われていません。
Aさんを住居侵入罪・窃盗罪の容疑で捜査する検察官は、このような状況においてAさんが釈放されると、AさんがBさんと口裏合わせをする(住居侵入・窃盗事件に関する罪証を隠滅する)おそれがあると考え、Aさんの勾留を請求する可能性があります。
勾留とは、逮捕に引き続きなされ最大で20日(延長された場合)という長期間に及ぶおそれがある身体拘束を意味します。
勾留期間中は仕事や学校には行くことができなくなるため、失業や退学のおそれが生じてしまいます。
刑事弁護士としては、検察官に対してAさんを住居侵入罪・窃盗罪の容疑での勾留を請求しないよう働きかけることができると考えられます。
また、Aさんの住居侵入罪・窃盗罪の容疑での勾留を決定する裁判官に対しても、勾留の決定をしないよう働きかけることができると考えられます。
住居侵入罪・窃盗罪での勾留がなされた場合には、不服申立て(準抗告)をすることもできると考えられます。
【住居侵入罪・窃盗罪と余罪】
逮捕・勾留期間中、Aさんは、三重県鈴鹿警察署の警察官により、Vさん以外の人の住居に侵入し財物を盗み取っていないか、すなわち余罪となる住居侵入罪・窃盗罪を犯していないか厳しい追及を受ける可能性があります。
逮捕・勾留期間中はAさんに取調べを受ける義務(取調受忍義務)が生じるため、長期間に及び厳しい追及がなされる可能性もあります。
被疑者の立場からすれば、肉体的にも精神的にも大きな負担となる可能性があります。
刑事弁護士としては、三重県鈴鹿警察署の警察官や検察官による住居侵入罪・窃盗罪の容疑での取調べに対してどのように応じれば良いのか、法的な観点から詳しく助言することができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入罪・窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
三重県鈴鹿市の住居侵入・窃盗事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
クレプトマニアの万引き事件
クレプトマニアの万引き事件
クレプトマニアの万引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
〜事例〜
会社員のAさんは、三重県四日市市のコンビニで、お菓子など合わせて3000円相当のものを万引きしました。
しかし、Aさんの万引き現場は警備員に目撃されており、Aさんは通報を受けた三重県四日市北警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんはお金に困っていたわけではなく、欲しいと思ったわけでもないのに万引きをしてしまったと接見にきた弁護士に相談しました。
Aさんは過去にも何度か万引きで捕まっており、弁護士はクレプトマニア(窃盗癖)の可能性もあるのではないかと話しました。
Aさんは、クレプトマニアであるならそれを治して再犯しないようにしたいと考えています。
(※この事例はフィクションです。)
・クレプトマニア(窃盗癖)とは?
クレプトマニア(窃盗癖)とは、窃盗をする衝動が抑えられず、窃盗をすること自体を目的として窃盗を繰り返してしまう精神障害の一つです。
クレプトマニアの特徴としては、窃盗したものを利用する目的(=利益目的)で窃盗をするわけではないこと(例えば、窃盗行為をしてもその盗んだものを使う予定はないなど)、窃盗行為自体に依存しているため窃盗行為の常習性があることなどがあげられます。
また、クレプトマニアと摂食障害などを合わせて発症していることも少なくありません。
・クレプトマニアと万引きの再犯
万引き行為は、当然窃盗罪に当てはまる行為です。
刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
先ほど触れた通り、クレプトマニアは窃盗行為自体に依存しているために窃盗行為を繰り返してしまう病気ですから、何度も窃盗罪を繰り返し犯してしまい、窃盗罪の再犯として逮捕されてしまうケースが多いです。
万引きなどの窃盗行為を繰り返してしまうと、常習累犯窃盗罪という、窃盗罪よりもさらに重い犯罪が成立する可能性も出てくることにも注意が必要です。
しかし、ただ単に万引きの常習犯であるという点だけに着目されてしまうと、クレプトマニアは治らずにただ重い処罰をくだされてしまい、根本的な解決にはならずにまた再犯を繰り返してしまうというおそれもあります。
しかし、クレプトマニアであるのか、もしもクレプトマニアだとしたらどのような治療をしなければいけないのかは、専門家に診療・治療してもらわなければわからないことです。
それは今回のAさんのように逮捕されたままでは叶わないことですから、まずは弁護士に釈放を求める活動をしてもらい、そこから再犯防止に向けて具体的・効果的な対策を立てていくことが求められるでしょう。
もちろん、クレプトマニアだったからといって万引きなどの窃盗行為が無罪になるわけではありません。
ですが、同じことを繰り返さないための具体的・効果的な再犯防止策を講じていることは、起訴・不起訴の判断や刑罰の重さを決める上でも考慮されます。
まずは弁護士に相談しながら、クレプトマニアの治療を受けるための環境を整えていくことが重要です。
クレプトマニアを治していくために必要なものには、本人の努力はもちろんのこと、ご家族の支えや専門機関での治療などがあげられますが、早期にそれらを受けるには、釈放を実現して在宅捜査で掲示手続きを進めることや、被害者の方への謝罪。示談交渉交渉を速やかに行うことが必要不可欠なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門の弁護士は、被疑者の方の事情をじっくりとお聞きし、今後の方針などをご提案します。
万引き事件で逮捕されてお困りの方、万引きを繰り返してしまいもしかしたらクレプトマニアかもしれないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
置き引きで不起訴を目指す
置き引き事件で不起訴を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県名張市にあるコンビニに立ち寄り、コンビニ内のトイレを利用したAさんは、トイレの個室内に誰かの置き忘れた財布を発見しました。
Aさんは、その財布を持ったままコンビニを後にし、現場を離れてから財布の中身を確認したところ、現金約3万円、免許証、キャッシュカード1点、クレジットカード1点が入っていたため、現金のみを抜き、他を財布ごと草むらに投げ捨てました。
後日、三重県名張警察署の警察官がAさん宅を訪れ、事件のことで話が聞きたいと言われました。
Aさんは容疑を認めており、警察署で取調べを受けた後に、帰宅しました。
(フィクションです。)
置き引きで問われる罪は?
「置き引き」とは、一般的に、置いてある他人の物を持ち去る行為のことをいいます。
お店のトイレや電車などで誰かがカバンや財布などを置き忘れてしまったものを勝手に持ち去ってしまうのが典型例です。
置き引き行為は、被害者(持ち去られた物の所有者)の占有が認定できるかどうかで窃盗罪又は遺失物横領罪となります。
窃盗罪は、「他人の財物を窃取する」罪です。
ここで言う「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」のことを意味します。
窃盗罪における「占有」は、人が物を実力的に支配する関係のことを指し、物を握持することがその典型例ですが、それ以外にも、物に対する「事実上の支配」があれば、刑法で保護する必要が高く、窃盗における「占有」が認められます。
刑法で保護される必要がある「事実上の支配」とは、物を客観的に支配している場合はもちろんのこと、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含みます。
そして、物を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態であるか否かについては、支配の事実や占有の意思という2つの要素から判断されます。
支配の事実については、持ち主が物を置き忘れてから気が付くまでの時間的、場所的接近性などが重要な要素となります。
また、占有の意思については、持ち主が物の存在していた場所をどの程度認識していたかなどについて検討されます。
通常、バッグや財布を置き忘れたようなケースでは、持ち主がすぐに気が付くことが多く、当該バッグや財布は、「他人の占有する財物」と言え、窃盗となることが多いです。
しかし、物に持ち主の占有が認められるか否かが微妙なケースでは、窃盗ではなく占有離脱物横領罪が成立する余地があるでしょう。
置き引き事件で不起訴を目指す場合
置き引きは、窃盗事犯の中でも比較的軽微な部類に属するため、被害額が少なく、被害が既に回復されており、再犯のおそれもない場合には、微罪処分となることがあります。
しかし、被害額がある程度大きく、被害回復ができていない場合には、事件は警察から検察に送られ、検察官が最終的な処分を決定します。
上記事例では、被害額から言って、検察に送致されるものと考えられます。
ですので、検察官が最終的な処分を決定するときに、不起訴処分となるよう被害の回復と再犯防止措置を講じておくことが必要です。
置き引きは財産犯であるため、被害の回復、つまり、被害者への被害弁償を行うことが重要です。
通常、被害者への被害弁償や示談交渉は、弁護士を介して行います。
捜査機関は、加害者が被害者に供述の変更を求めるなどの罪証隠滅を行うおそれがあると認め被害者の連絡先を加害者に教えることはあまりありませんし、被害者も加害者に対してよい感情はありませんので、自分の連絡先を教えたがらないことがあります。
ですが、被害者も盗まれた物の弁償を希望することがほとんどであり、弁護士を介して被害弁償や示談交渉を申し込んだ場合には、話し合いに応じてもらえることが多いです。
無論、処罰感情が高い方は、被害弁償を受けないと話し合いも断る方もいらっしゃいますので、一概に全ての被害者の方が話し合いに応じられるとは限りません。
弁護士は、被害者の方の気持ちを考慮しつつ、被害弁償や示談に応じることのメリット・デメリットを丁寧に説明し、粘り強く話し合いを続け、当事者双方が納得することができる内容となるよう尽力します。
検察官が終局処分を下すまでに、被害弁償や示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性を高めることができます。
ですので、早期に弁護士に相談し、被害の回復に努めることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件で対応にお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
強盗殺人で逮捕
強盗殺人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県四日市北警察署は、三重県四日市市の駐車場で、男性に暴行を加え、財布などを奪い、男性を死亡させたとして、市内に住むAさんを強盗殺人の疑いで逮捕しました。
調べに対し、Aさんは、「口論になり男性を殴ったが、殺すつもりはなかった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、事件について詳しいことが分からず不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)
強盗殺人罪とは
まず、強盗罪とはどのような犯罪であるのかについてみていきましょう。
1.強盗罪
刑法第236条は、強盗罪について次のように規定しています。
1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪は、
①暴行または脅迫を用いて、
②他人の財物を強取したこと、あるいは、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
を構成要件とする罪です。
■客体■
強盗罪の客体は、「他人の財物」と「財産上の利益」です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物を意味し、自分の財物でも、他人が占有している、もしくは公務所の命令により他人が看守しているときは他人の財物とみなされます。
不動産については、「財産上の利益」の客体となります。
「財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益の一切のことをいいます。
■実行行為■
1項強盗については、「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取する」ことが強盗の実行行為となり、2項強盗に関しては、「暴行または脅迫を用いて、財産上不法の利益を得、またはこれを他人に得させる」ことが実行行為です。
ここでいう「暴行・脅迫」は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものでなければなりません。
暴行・脅迫が相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであるかどうかの判断は、暴行・脅迫の態様、行為者と被害者の性別・年齢・体格・人数、犯行の時刻や場所、犯行時の被害者と行為者の態度、被害者の心理状況や被害状況、行為者の意図などの事情を総合的に考慮して行われます。
「強取」とは、暴行・脅迫を用いて相手方の反抗を抑圧し、その意思によらず財物を自己または第三者の占有に移す行為のことをいいます。
強盗罪は、暴行・脅迫を手段とする財産罪であるため、暴行・脅迫と財物奪取との間に因果関係がなければなりません。
相手方の反抗が抑圧されている状況で、被害者が知らないうちに財物の占有を移す場合であっても、知らなかったことが暴行・脅迫に基づく限り、「強取」に当たります。
また、強盗罪は、強盗の手段として暴行・脅迫がなされていることが要件となりますので、単なる暴行・脅迫の意思で暴行・脅迫をおこない、その結果相手方が犯行抑圧状態となった後に、財物奪取の意思を生じて財物を奪った場合には、暴行罪または脅迫罪と窃盗罪の併合罪となると考えられます。
ただし、暴行・脅迫の意思で暴行・脅迫を相手方に加え、相手方が反抗抑圧状態となり、その後に財物奪取の意思を生じて、その反抗抑圧状態を継続させる程度の暴行・脅迫を更に加えて財物を奪った場合には、強盗罪の成立が認められます。
「財産上不法な利益を得」とは、「不法」な利益を得ることを意味するものではなく、利益を不法に得ることをいいます。
■主観的要件■
強盗罪の故意は、暴行・脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧し、財物を強取すること、あるいは暴行脅迫を加えて相手方の反抗を抑圧し、財産上不法の利益を得、または第三者にこれを得させることの認識です。
これに加えて、不法領得の意思も必要だとされています。
不法領得の意思とは、「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い、利用・処分する意思」のことです。
以上の要件を充たす場合に、強盗罪が成立することになります。
2.強盗致死傷罪
強盗の機会に犯人が致傷の結果を生じさせた場合には、強盗罪よりも更に重い「強盗致死傷罪」が成立する可能性があります。
強盗致死傷罪は、刑法第240条で次のように規定されています。
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
■主体■
強盗致死傷罪の主体は「強盗」であり、強盗犯人のことを指します。
既遂・未遂は問いません。
■行為■
強盗致死傷罪の実行行為は、「人を負傷させ」、または「死亡させ」ることです。
「人を負傷させた」とは、他人に傷害を加えることをいい、強盗の手段として暴行・脅迫を相手方に加えた結果、相手方に傷害を生じさせた場合には、強盗致傷罪が成立します。
相手方を負傷させた場合には、結果的加重犯である致傷と、故意に傷害させた場合(強盗傷人罪)を含みます。
また、「人を死亡させた」とは、他人を死亡させたことをいい、強盗の手段としての暴行・脅迫の結果、人を死亡させた場合に強盗致死罪(強盗殺人罪)が成立し、故意に人を殺した場合(強盗殺人罪)も含まれます。
死傷の結果は、強盗の機会におこなわれた行為から生じたものでなければなりません。
強盗の機会に行われた行為から人の死傷の結果が生じたかどうかは、犯意の継続性、強盗行為との時間的・場所的接着性、強盗行為との密接な関連性等を考慮して判断されます。
人の致死傷の結果と、強盗の手段である暴行・脅迫および強盗の機会になされる強盗行為と密接な関連性を有する行為との間には因果関係が必要となります。
■故意■
強盗の機会に人を負傷させた場合には、強盗致傷罪が成立しますが、これは、強盗犯人が人を負傷させる意思はないが、結果的に負傷してしまった場合に成立するものです。
他方、人を負傷させる認識で、負傷させた場合には、強盗傷人罪という罪が成立します。
ただ、強盗傷人罪について刑法第240条前段以外に規定があるわけではないので、当該条項が強盗傷人罪の根拠規定となっています。
また、強盗の機会に人を殺した場合には、強盗致死罪が成立しますが、これについても、強盗犯人が人を殺害する意思はないが、結果的に殺してしまった場合に成立する罪です。
強盗犯人が、人を殺す意思(殺意)をもって人を殺した場合には、強盗殺人罪という罪が成立します。
通常、故意に犯罪を犯した罪のほうが法定刑が重くなるよう定められています。
例えば、同じ人の死という結果を生じさせる殺人罪と傷害致死罪とでは、故意犯である殺人罪のほうが傷害致死罪の法定刑よりも重くなっています。
この点、強盗殺人罪と強盗致死傷罪は、その根拠規定が刑法第240条後段と同じくしており、法定刑も死刑・無期懲役となります。
ただ、両者は、量刑で大きな差を生じさせるものであり、刑事裁判では殺意の有無が争われるケースが少なくありません。
強盗致死や強盗殺人は起訴されると、通常の刑事裁判ではなく裁判員裁判となります。
そのため、早期に刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼し、対応していく必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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少年事件で観護措置回避
少年事件で観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県度会郡玉城町に住むAさん(15歳)は、友人Bさんと共謀して、知人のVさんに対して暴行を加え、財布を盗ったとして、三重県伊勢警察署に逮捕されました。
Aさんは逮捕後に、勾留が決定しましたが、高校受験を控えていることから、早く釈放されることを希望しています。
Aさんの両親は、家庭裁判所に送致された後も観護措置により身体拘束が続く可能性について警察から聞き、なんとか回避できないかと困っています。
(フィクションです。)
観護措置について
捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致することになっています。
事件を受けた家庭裁判所は、調査、審判を経て、少年に対する処分を決定します。
家庭裁判所は、事件が係属している間いつでも、観護措置をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護とがありますが、実務上、在宅観護はほとんど行われておらず、観護措置という場合には、収容観護を指すものとなっています。
観護措置の要件は、「審判を行うため必要があるとき」と少年法に規定されています。
一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。
①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。
④観護措置の必要性については、具体的に次の事由がある場合に認められるとされています。
(ア)調査、審判および決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
観護措置は、法律上、2週間で、特に継続の必要があるときに1回に限り更新が認められるとなっています。
しかし、実務上は、ほとんごの事件で更新がなされており、通常、観護措置の期間は4週間となっています。
観護措置を回避するために
観護措置は、家庭裁判所に事件が係属している間、いつでもとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとるのが通常となっています。
そのため、捜査段階で少年の身柄が拘束されている場合には、弁護士は、捜査機関から家庭裁判所に送致される日を確認し、送致される日に付添人として観護措置を回避するよう裁判官に働きかける必要があります。
家庭裁判所に事件が送致されると、裁判官は送られてきた記録に目を通し、少年と面談を行い、観護措置の決定が告知されます。
裁判官は、捜査機関から送られてきた記録(法律記録)には目を通していますが、付添人である弁護士は、記録に表れていないと思われる少年に有利な事情や少年の反省状況、被害弁償の進捗状況、保護者の監督状況、通学・就労できないことによって少年が被る不利益などの観護措置の弊害について裁判官に説明し、裁判官に対して観護措置をとらないように働きかけます。
裁判官と少年とが面談する前に、観護措置に関する意見書の提出や裁判官との面談を行い、裁判官に観護措置をとる必要がないことを認めてもらうよう活動します。
捜査段階で身体拘束されていない場合でも、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断したときは、観護措置がとれらることもあります。
そのような事態を回避するためにも、家庭裁判所に事件が送致されたタイミングで、観護措置に関する意見書を提出し、観護措置がとられることのないよう働きかけることも重要です。
観護措置が決定した場合には、異議申立てや観護措置取消の職権発動を促す申立の方法で、観護措置の決定を争うことができます。
観護措置の期間は4週間と長く、その間は学校や職場に行くことはできないため、退学や解雇といった不利益が生じることも否定できません。
そのような不利益によって、かえって少年の更生を妨げることにもなりかねず、不必要・不当な観護措置がとられることのないよう適切に対応することが重要です。
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お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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詐欺事件で逮捕
詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
アイドルのライブチケットを用意するとうそをつき、現金をだまし取ったとして、三重県亀山警察署は、Aさんを詐欺などの疑いで逮捕しました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後の流れや被害者への対応などわからないことだらけで不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合、詐欺罪に問われることになります。
詐欺事件には、無銭飲食、無銭宿泊、無賃乗車、寸借詐欺といった被害額が比較的少額な事案から、組織的に行われる振り込め詐欺などの特殊詐欺といった被害額が高額となる事案まであり、その犯行態様は様々です。
詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役となっており、決して軽い犯罪とは言えません。
今回は、詐欺罪で逮捕された場合に弁護人が担う主な弁護活動について説明します。
1.捜査段階
捜査機関による捜査が開始され、検察官が起訴・不起訴を決定するまでを捜査段階と呼びます。
詐欺事件では、主の次のような弁護活動を行います。
①被害弁償・示談交渉
詐欺罪は、財産犯ですので、被害を被った方に対して被害弁償を行わなければなりません。
被害が回復しているか否かは、検察官が終局処分を決定する際にも考慮される要素となります。
容疑を認めており、被疑者やその家族に金銭的な余裕がある場合には、弁護人は、被疑者の代理人として、被害者に対して被害弁償を行い、示談に向けて交渉します。
示談とは、被疑者が被害者に対して慰謝料を含めた被害弁償をし、被害者からの許しを得、当事者間で今回の事件は解決したとする合意のことです。
被害者のいる事件では、被害が金銭面で回復されたか、被害者が被疑者に対してどのような感情を抱いているのかといった点が、処分を決するにあたり重要なポイントとなります。
そのため、被疑事実について特に争いのない場合には、弁護人は、早期に捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手し、示談交渉を行います。
②取調べ対応
取調べで、自己に不利な供述がとられることのないよう、弁護人は被疑者に取調べ対応についてのアドバイスを行います。
特に、容疑を否認している場合、例えば、故意を争うケースでは、取調官の誘導にのって、当初から騙すつもりだったという内容の虚偽の自白をしないように注意しなければなりません。
③身柄解放活動
詐欺事件は、逮捕・勾留されるケースが多く、長期の身体拘束を強いられる傾向にあります。
しかしながら、長期の身体拘束により被疑者やその家族が被る不利益は計り知れません。
不要・不当な身体拘束から解放するため、弁護人は、早期の釈放を目指し、検察官に勾留請求しないよう、裁判官に勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留が決定した場合には、その決定に対する不服申し立てを行います。
2.公判段階
詐欺罪の法定刑は懲役刑のみなので、検察官が起訴処分とした場合には、公開の法廷で審理されることになります。
①保釈請求
捜査段階では困難であった身柄解放も、起訴後であれば保釈制度を利用して釈放される可能性があります。
そのため、起訴されたタイミングですぐに保釈請求ができるように、弁護人は事前に保釈の準備をしておき、起訴された直後に保釈請求を行います。
②公判準備
起訴事実を認めている場合には、できる限り刑が軽くなるよう、示談が成立している場合には示談書を証拠として提出し、被告人が反省していること、再犯可能性がないことを客観的な証拠に基づいて立証していきます。
起訴事実を争う場合、特に故意を争う場合には、被告人や関係者の供述だけでなく、故意がないことを立証するために客観的な証拠を収集し検討する必要があります。
詐欺事件で逮捕された場合、容疑を認めるケースであれ争うケースであれ、早期に弁護士に相談し、寛大な処分となるよう、無罪となるよう適切な活動をすることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が詐欺事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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保釈で釈放
保釈で釈放を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
特殊詐欺に関与したとして、三重県尾鷲警察署は県外に住むAさん(22歳)を逮捕しました。
Aさんは、その後10日間の勾留に付され、いつ釈放になるのか気が気でなりません。
Aさんの両親は、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
特殊詐欺事件における身体拘束
特殊詐欺事件では、逮捕後に勾留される可能性は非常に高いです。
勾留は、逮捕後引き続き比較的長期間の身体拘束の必要があるときに、被疑者の身柄を拘束する裁判とその執行のことをいいます。
この勾留には、起訴される前の「被疑者勾留」と起訴された後の「被告人勾留」とがあります。
被疑者勾留は、先に逮捕されていなければならないこと、検察官の請求によること、保釈が認められないこと、勾留期間が原則10日間(延長が認められれば最大で20日間)という点で、被告人勾留とは異なります。
勾留の要件は、①勾留の理由があること、及び、②勾留の必要性があること、の2つです。
①勾留の理由とは、(a)被疑者・被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ、(b)住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、の少なくとも1つに該当することです。
特殊詐欺事件は、組織的に行われることが多く、釈放すれば、組織の人間と口裏を合わせたり、証拠を隠したりする可能性が考えられるため、罪証隠滅のおそれが認められる傾向にあります。
②勾留の必要性についてですが、これは、勾留の理由はあるけれども、勾留によって得られる利益と、勾留によって被疑者・被告人が被る不利益とを比べたとき、不利益がより大きい場合には、勾留の必要性に欠けるとして、勾留請求を却下することとされています。
以上の要件を満たす場合に、被疑者・被告人は勾留されることになります。
保釈について
特殊詐欺事件では、勾留される可能性が高く、捜査段階で釈放されることはそう多くはありません。
しかしながら、起訴された後であれば、保釈を利用して釈放される可能性はあります。
保釈は、保釈保証金の納付を条件として、被告人の身柄を解放する決定とその執行のことをいいます。
保釈には、①必要的保釈、②任意的保釈、③義務的保釈の3種類があります。
①必要的保釈
裁判所は、保釈の請求があったときは、次の場合を除いては、保釈を許可しなければなりません。
(a)被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
(b)被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣言を受けたことがあるとき。
(c)被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
(d)被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(e)被告人が、被害者その他事件の審理に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(f)被告人の氏名又は住居が分からないとき。
特殊詐欺事件では、窃盗罪や詐欺罪で起訴されることが多く、これらの罪の法定刑は(a)に該当しますし、(d)も該当すると判断される可能性があります。
そのような場合でも、②の任意的保釈により保釈が認められることがあります。
②任意的保釈
保釈の請求が上の(a)~(f)に該当し、必要的保釈が許されないときであっても、適当と認めるときには、裁判所は職権で保釈を許すことができます。
任意的保釈が認められるためには、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれがないこと、そして、身体拘束が続くことによって被告人が被り得る健康上、経済上、社会生活上の不利益や公判に向けた準備が十分にできないことを客観的証拠に基づいて主張し、裁判所に認めてもらわなければなりません。
③義務的保釈
勾留による拘禁が不当に長くなったとき、裁判所は、保釈請求権者からの請求、または職権によって、決定で勾留を取消し、または保釈を許可しなければなりません。
捜査段階での身柄解放が困難な特殊詐欺事件であっても、起訴後であれば保釈により釈放される可能性は十分あります。
身体拘束による不利益を最小限に抑えるためにも、起訴後すぐに保釈請求をし、早期に釈放となるよう動くことが重要です。
そのような活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が特殊詐欺事件で逮捕・勾留されお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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