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刑事事件専門弁護士が商標法を解説

2019-12-08

商標法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

◇商標法違反事件◇

四日市市に住むAさんは、有名高級ブランドの模造品をインターネット等で販売していました。
ネット販売する際は、詐欺罪に問われないように注意し、「●●(有名ブランド名)本物そっくり」等と、購入者がブランドの模造品であることが分かるような書き込みをしていました。
そして販売を初めて年ほどで週百万円の利益を得ていたのですが、先日、三重県警の捜査員に自宅を捜索されて、有名高級ブランドの模造品数百点が押収されると共に、Aさんは商標法違反で逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)

◇商標法◇

「商標法」とは、事業者が、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマークである商標を保護する法律です。
商標法は、商標を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的にしています。
商標を使用する者の業務上の信用の維持するという目的は、不正競争防止法も共通していますが、商標法が商標権を設定するという国家の行政処分を媒介としているのに対して、不正競争防止法が事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保し、もって国民経済の健全な発展に寄与することとしているのと異なります。

◇商標とは◇

商標法にいう「商標」とは、人の知覚によって認識できるもののうち、文字、図形、記号、立体形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものであって

①業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品にして使用するもの
②業として役務を提供し、又は証明する者がその役務についてしようするもの

をいいます。
簡単にいうと「商標」とは、事業者が自己の取り扱う商品やサービスを、他人のものと区別するために使用するマーク、ロゴのことです。

◇商標権侵害◇

~直接侵害~
何ら使用権限のない者が、指定商品又は指定役務について商標登録を受けている商標である登録商標を同一の商標を使用したときは、商標権の直接侵害行為となります。
商標権の直接侵害行為については「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は併科」の法定刑が定められています。

~間接侵害~
商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為(みなし侵害)を行うと、商標権の間接侵害となり、それについては「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科」の法定刑が定められています。

◇みなし侵害◇

商標権のみなし侵害行為については以下のとおりです。

①指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用または指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録標章若しくはこれに類似する商標を使用
②指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品でであって、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出するために所持する行為
③指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供にあたりその提供を受ける者の利用に供するものに登録標章又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為。
④指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供にあたりその提供を受ける者の利用に供するものに登録標章又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために譲渡し、引渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為。
⑤指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録標章又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為。
⑥指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録標章又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為。
⑦指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用させるために登録標章又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為。
⑧登録標章又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為。

四日市市の刑事事件でお困りの方、商標法違反事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

職場の商品をネットで転売 業務上横領事件と弁護活動

2019-11-26

業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、三重県いなべ市にあるディスカウントショップで店長をしています。
Aさんが働いているお店は全国にチェーン展開するディスカウントショップで、5年前にアルバイトとして働き始めたAさんは、その真面目な勤務態度が評価されて3年前に正社員として任用されて、半年前からは、いなべ店の店長を任されていました。
店長になってから、接客は当然のこと、お店の在庫管理から、注文、本部への売り上げの報告等に至るまで、これまでよりも業務量が格段に増え、残業が多くなったにも関わらず、給料があまり上がりませんでした。
そのことに不安を抱くようになったAさんは、お店の商品をインターネットのオークションサイト等で転売して小遣い稼ぎすることを思いつき、お店の倉庫に保管している在庫の数を少なく本部に報告して、倉庫に保管している商品をネットで転売しました。
数か月間のネット転売で数百万円の利益を得ていたのですが、本部が不正に気付いたようで、先日、お店に本部の査察が入って、これまでの帳簿等が回収されてしまいました。
Aさんは、今後のことが不安で刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

◇Aさんの不正が刑事事件化されると◇

Aさんの行為が何の犯罪に当たるのかについて検討します。

~業務上横領罪~

刑法第253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

今回の事件で、店長であるAさんは、お店の在庫商品を管理する立場にあります。Aさんのお店の在庫商品は、当然お店の物であってAさんの物ではありませんので、業務上横領罪でいうところの、Aさんが「業務上自己の占有する他人の物」となります。
また「横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に取得することですので、Aさんの行為は業務上横領罪に当たるでしょう。
上記のとおり業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
罰金刑の規定ないため、起訴された場合は、無罪を得るか、執行猶予付きの判決が言い渡されない限りは刑務所に服役しなければなりません。

~窃盗罪では?~

窃盗罪は、他人の占有する財物を不法に領得する犯罪です。
今回の事件でAさんが転売した商品は、自己の占有する他人の物ですので、窃盗罪には該当しないでしょう。
店長のようにお店の在庫商品を管理する立場にない、アルバイトや社員が、Aさんのような行為に及んだ場合は窃盗罪が成立する可能性があるでしょうが、今回の事件では窃盗罪が成立する余地はないと考えられます。

◇弁護活動◇

上記したように、業務上横領罪の法定刑には、罰金刑の規定がありません。
そのため、起訴された場合は、無罪を得るか、執行猶予付きの判決が言い渡されない限りは刑務所に服役しなければなりませんので、まずは不起訴を目指す刑事弁護活動となります。
つまり、検察官が起訴を決定するまでに一刻も早く被害者に被害弁償し、示談を締結する必要があるのです。
これまでの業務上横領罪で起訴された刑事裁判の判決をみてみると、横領額が100万円を超えた場合は、初犯であっても起訴される可能性があるようですので、Aさんの刑事処分の軽減を望むのであれば、起訴を回避するために、早急に示談を締結することが必要不可欠となります。

いなべ市の刑事事件でお困りの方、業務上横領罪などの刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)まで、お気軽にお電話ください。

万引きを繰り返すと(常習累犯窃盗罪)

2019-11-16

常習累犯窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

無職のAさんは、鈴鹿市のスーパーで食料品を万引きした窃盗事件で警察の取り調べを受けています。
Aさんは、これまで何度も同様の万引き事件を繰り返しており、刑務所にも複数回服役しているのですが、先日の取り調べで警察官から「今回は窃盗罪ではなく、常習累犯窃盗罪で起訴される可能性が高い。」と言われました。
初めて耳にする罪名に不安を覚えたAさんは、今後の刑事処分が不安で、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

◇窃盗罪◇

お店の商品を盗めば「万引き」となり、これは「窃盗罪」に当たります。
窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する犯罪です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物です。つまり、他人が事実上支配し管理している他人のものをいいます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
窃盗罪が成立するには、これらの要件に加えて、次の主観的要件を満たす必要があります。

●故意
財物が他人の占有に属していること、及び、その占有を排除して財物を自己又は第三者の占有に移すことを認識すること。
●不法領得の意思
不法領得の意思の要否については争いがありますが、判例では、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として経済的用法に従い利用処分する意思」をいうと解されています。
つまり、窃盗罪の成立要件には、故意に加えて、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用意思)から構成される「不法領得の意思」が求められます。

~窃盗罪の量刑~

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
あなたが万引きで捕まり、検察官に窃盗罪で起訴され、有罪判決を言い渡された場合には、10年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金の範囲内での刑事罰が科されることになります。

万引きの場合、初犯であり、被害金額も少額で、被害弁償が済んでいれば、微罪処分として事件が処理されるケースも多く、検察官によって起訴されずに事件終了となることが多いでしょう。

◇常習累犯窃盗罪◇

窃盗罪は再犯が多い犯罪です。
窃盗罪を常習的に繰り返す常習累犯窃盗罪」が特別法(「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」)で規定されています。

第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

この条文では、常習累犯窃盗および常習累犯強盗について規定しており、常習としての窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前野一定の前科を考慮し、その習癖のない者より重く処罰することとしています。

常習累犯窃盗とは、
①過去10年間に、窃盗罪等で6月以上の懲役刑を3回以上受けた者が
②常習として窃盗を行うこと
です。

①について、過去10年の内に、窃盗罪等で実刑判決を3回受けていれば当てはまるのですが、例えば、一回目が懲役6月の執行猶予判決、二回目が懲役1年の保護観察付執行猶予判決、三回目が懲役2年の実刑判決であった場合、一回目と二回目の執行猶予が取り消され、三回目の懲役2年の刑の執行後に、引き続き一回目と二回目の刑の執行を受けた場合においても、それらは合計3回の刑の執行を受けたことになる点に留意が必要です。
①の要件に加えて、「反復して犯罪行為を行う習癖」があるか否かという②の要件を満たして初めて常習累犯窃盗が成立するというわけです。

常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。刑法で規定されている窃盗罪の法定刑に比べると非常に厳しいものとなっているので注意しなければなりません。

鈴鹿市万引き事件でお困りの方、常習累犯窃盗罪で起訴される可能性のある方は、三重県の刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律にご相談ください。
フリーダイヤル0120-631-881で24時間365日、初回接見サービス、無料法律相談のご予約を承っておりますのでお気軽に電話ください。

不起訴処分の獲得を目指す

2019-10-17

不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、4カ月ほど前に、当時アルバイトをしていた津市内の飲食店において、更衣室に放置されていた同僚の財布の中から現金2万円を盗みました。
同僚が、三重県津警察署に被害届を出したことから、Aさんは警察署に呼び出されて取調べを受け、そこで犯行を自供しました。
その後、同僚に謝罪し、盗んだお金を弁償しましたが、先日、津地方検察庁の検察官から呼び出しがあり、検察庁に行きました。
そこで検察官の取調べを受けましたが、取調べの最後に、検察官から「今回の事件は不起訴処分にするので、今後は気を付けてください。」と言われました。
初めて刑事事件を起こしたAさんは不起訴処分の意味が分かりません。
(フィクションです)

◇検察庁◇

まず、警察の捜査を終えた事件が送致される検察庁について説明します。
三重県内に検察庁はいくつかありますが、津市内の刑事事件に関しては基本的に

〒514-8512
三重県津市中央3番12号 津法務総合庁舎内
津地方検察庁 津区検察庁

送致されます。

◇不起訴処分◇

不起訴処分とは、刑事手続きにおいて、検察官が決定する終局処分(その事件について起訴・不起訴を終局的に決める処分)の一種で、その意味は文字通り、起訴されないということです。

不起訴処分は、検察官が決定する終局処分の一種ですから、当然「検察官」の判断で決定します。
検察官は、警察や検察の捜査で収集した証拠や、被疑者を取り調べた内容を総合的に判断して、事件を起訴するか、不起訴処分にするか判断します。

このことは、以下の通り刑事訴訟法に定められています。

●刑事訴訟法第247条(国家訴追主義)
公訴は、検察官がこれを行う。

●刑事訴訟法第248条(起訴裁量(便宜)主義)
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴をしないことができる。

ちなみに不起訴の決定時期については、法的な制限がありませんので、全て検察官の裁量に委ねられています。
検察官は、捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますし、証拠の収集には一定程度時間を要しますから、終局処分の判断までにも一定の時間を要します。
ただし、身柄事件の場合は時間的制約がありますから、在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり、その分、終局処分を下す時期も早くなります。

◇不起訴処分の判断基準◇

検察官が収集した証拠に基づき判断するものなので、法律的に具体的な判断基準があるものではありません。
検察官は、起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極め、証拠が集まっていないと判断した場合、あるいは集まっているが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴を必要としないとき(刑事訴訟法248条)は不起訴を決定するといわれています。

◇不起訴処分の種類◇

検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを裁定主文といいます。
よく目にするのが、「嫌疑不十分」と「起訴猶予」です。

~嫌疑不十分~
検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。
~起訴猶予~
検察官が、証拠から犯罪であることは明らかであるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。

「嫌疑不十分」「起訴猶予」の他にも不起訴の理由には様々なものがあり、例えば、そもそも被疑者が死亡している場合は「被疑者死亡」により不起訴となりますし、訴訟条件が欠けている場合も不起訴となります。

◇不起訴になったらどうなるの◇

刑事裁判にかけられること・刑罰を受けること・前科が付くことがなくなります。
したがって、裁判所や検察庁からの呼び出しに応じる負担もなくなります。
また、不起訴処分の獲得によって職場の雇用や資格取得の場面でもよい影響が出るでしょう。

津市で刑事事件を起こしてしまい検察庁に送致された方、不起訴を望んでおられる方は、不起訴処分の獲得に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談、初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

鈴鹿市の背任事件

2019-09-09

鈴鹿市の背任事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、鈴鹿市内にある信用金庫で、融資担当課長として働いています。
Aさんは、鈴鹿市内で生まれ育っていることから、信用金庫の顧客には、鈴鹿市内で自営業を営んでいる知り合いがたくさんいますが、その中で、工務店を営んでいる幼馴染にも、数年前から融資をしています。
融資を開始した当初は毎月利息が返済されていましたが、幼馴染の工務店の業績が悪化し始めた5年ほど前からは、返済が滞っていました。
しかし幼馴染に懇願されて断ることができなかったAさんは、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目(救済融資)で、その後も約50回にわたって合計5000万円を無担保で貸し付けました。
その後、幼馴染の工務店が倒産し、救済融資を含めて全ての貸付金の回収ができなくなったことによって、Aさんの不正融資が信用金庫で問題視されたのです。
Aさんは、これまで何度も信用金庫から聞取り調査を受けており、信用金庫は、Aさんを背任罪で刑事告訴することを検討しているようです。
不安を感じたAさんは、鈴鹿市で刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用しました。
(フィクションです)

◇背任罪~刑法第247条~◇

背任罪は、他人のためその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立する犯罪です。
背任罪で起訴されて有罪が確定すれば「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。

~背任罪の主体~

背任罪の主体は「他人のためにその事務を処理する者」ですが、株式会社の発起人、取締役、会計参与、監査役、執行役等の役職員は背任行為に及べば、刑法第247条に定められた背任罪ではなく、会社法第960条に定められた「特別背任罪」の適用を受けます。
特別背任罪の法定刑は「10年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその併科」と、背任罪に比べると非常に厳しいものです。
Aさんの身分は、信用金庫の融資担当課長ですので、特別背任罪の主体にはなり得ず、背任罪が適用されます。

~図利加害目的~

背任罪が成立するには、その背任行為に「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要となります。
これを「図利加害目的」といいます。
背任罪が財産犯であることを考えると、ここでいう「利益」「損害」は、財産上のものに限るという説もありますが、判例では、自己の社会的地位、信用、面目、経営権等を保全、維持することなどの身分上の「利益」、これらを失墜させる「損害」など、財産上に限られず身分上の「利益」「損害」も含むとされています。

◇救済融資◇

救済融資とは、すでに多額の融資を受けている者が、業績の悪化等で経営上の屈強に陥った際に、そういった状況から救うために更に追加融資する等、一般的に倒産に瀕した企業の経営改善のための資金として貸し付けられる融資を総称する金融上の実務用語です。

◇救済融資による背任罪の成否◇

救済融資の性質上、それを実行するに際しては、融資先から十分な担保を徴することが困難で、かつ貸し倒れの危険が大きいと言えるでしょう。
しかし、融資する金融機関とすれば、救済融資によって融資先企業が経営を持ち直して業績が回復する見込みが望める場合には、むしろ若干のリスクを冒してでも救済融資を続けることによって、焦げ付いた既存の貸付金の回収が可能となり、最終的には金融機関の損失を防ぐことになります。
このような観点から、融資先である企業の業績が回復する見込みがあり、融資する金融機関自体も、融資先企業の業績回復に応じて既存の貸付金の回収のために必要な措置を講じていたとすれば、任務に違背したとはいえないので、背任罪は成立しないでしょう。
逆に、融資先企業の業績が回復する見込みがない状況で、新たな担保物件を徴する等の措置を講じずに漫然と救済融資したのであれば、背任罪が成立する可能性が高くなります。

◇Aさんの事件を検討◇

上記のように、背任罪の成立には図利加害目的が必要となります。
つまり、本人の利益を図る目的で行為に及んだ場合は背任罪を構成しない場合もあるのです。
本来、信用金庫の業務における「融資」は、融資先と信用金庫の利益を図る目的で行われるものですが、同時に、それまでの融資の焦げ付きを防ぐなどの本人の利益を図る目的が、自己又は第三者の利益を図る目的と併せて認められることがあります。
このような場合には、目的の主従により背任罪の成否が決定することになるのです。
その目的がなければ当該行為に出なかったようなものが主たる目的と認められますが、本人の利益を図る目的が決定的な動機ではない場合には、背任罪の図利加害目的が認められてしまうでしょう。
また救済融資の観点からも、Aさんは、工務店を経営する幼馴染から新たな担保物件を徴することもせずに、幼馴染に懇請されるまま、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目で、友人の利益を図るため漫然と救済融資に応じているので、Aさんの行為は、背任罪に当たる可能性が高いでしょう。

鈴鹿市の刑事事件でお困りの方、勤務先から背任罪で刑事告訴されるおそれのある方、三重県鈴鹿警察署に、ご家族、ご友人が逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

万引きで三重県桑名警察署に逮捕

2019-07-21

万引き事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

三重県桑名市で印刷業を営むAさんは、2ヵ月前に近所のコンビニのカウンターに置き忘れていた財布を盗みました。
財布の中から現金だけを抜き取り、他は近所の用水路に投棄して証拠隠滅を図っていました。
この事件で、Aさんは一週間前から三重県桑名警察署に呼び出されて刑事から取調べを受けていますが、Aさんは、これまで「身に覚えがない。」と言って容疑を否認し続けています。
そして3日前に警察署に出頭する約束になっていましたが、否認を続ける自身をなくしたAさんは、出頭の約束を無視し、その後、警察署からの架電は着信拒否にしました。
すると今朝、三重県桑名警察署の捜査員が数名、自宅を訪ねてきて、Aさんは窃盗罪で逮捕されてしまったのです。
(フィクションです)

◇三重県桑名警察署◇

【所在地】〒511-0836 三重県桑名市大字江場626-2

【電話番号】0594-24-0110

三重県桑名警察署は、三重県の最北端に位置する桑名市と桑名郡木曽岬町を管轄する警察署です。
管内には、非常に交通量が多いことで有名な国道一号線と東名高速道路、伊勢湾岸自動車道がはしっていることから犯罪発生件数だけでなく、交通事故も多く発生しています。
三重県警のホームページによりますと、平成30年度の刑法犯検挙人数は124人で、そのうち86人が窃盗犯人であるようです。
また少年事件に関しては、平成30年度中、24人の少年を刑事事件で検挙しているようです。 
(三重県警察のホームページを参考)

◇事件を検討◇

~窃盗罪~
財産犯事件の代表ともいえる窃盗罪は、刑法第235条に定められている法律です。

≪刑法第235条≫
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第235条抜粋)

窃盗罪の客体となるのは「他人の占有する他人の物」です。
また、窃盗罪が成立するためには「不法領得の意思」が主観的な要件となりますが、この不法領得の意思は、窃盗の「故意」ともいわれています。
今回の事件で、Aさんが盗んだ、他人が置き忘れた財布は、まさに他人の占有する他人の物となるので窃盗罪の客体となるでしょう。

~証拠隠滅行為~
現金を抜き取った財布を遺棄する行為は、不可罰的事後行為となり、新たな犯罪を成立しませんが、この行為は証拠隠滅行為となります。
刑事手続きにおいて「証拠隠滅行為」は悪質な行為と捉えられています。
もし警察に捜査を受けている段階で証拠隠滅のおそれがある場合は、逮捕や勾留といった身体拘束を受ける原因にもなりかねないので注意しなければなりません。

~なぜAさんが犯人だとわかったのか?~
今回の事件はコンビニの店内で起こっています。
最近のコンビニでは万引きの防止だけでなく、アルバイト、従業員の不正防止の観点から、死角がないくらいに防犯カメラが設置されています。
おそらく、今回の事件においてもAさんが財布を盗む状況が防犯カメラに映っていたのでしょう。
そしてその映像を基に、捜査員は、コンビニ店員に対する聞き込み捜査や、周辺の防犯カメラの精査などを行ってAさんの身元を割り出しと考えられます。

~任意の出頭を拒否する危険性~
犯罪捜査規範第99条では「捜査は、なるべく任意捜査の方法によって行わなければならない(犯罪捜査規範抜粋)」と任意捜査の原則を定めています。
つまり逮捕の必要性と要件がなければ、基本的には、逮捕して強制的に取調べを行うのではなく、任意の取調べを行うべきだと法律では定められているのです。
しかし任意の取調べに応じなければ、当然、警察等の捜査当局は逮捕状を請求し、犯人を逮捕してから強制的に取調べを行うでしょう。
つまり、任意の取調べを拒否するということは、逮捕されるリスクが高まるのです。

ご家族、ご友人が三重県桑名警察署逮捕されてしまった方、三重県桑名市の刑事事件でお困りの方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。

会社のお金を横領(業務上横領事件)

2019-07-19

業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

三重県亀山市にある電子機器製造メーカーの経理課で働いているAさんは、その立場を利用して、長年にわたって会社をお金を横領しています。
その手口は、架空の取引伝票を作成し、経理課長に対し、この架空の取引伝票を見せて、会社の口座から現金を引き落とすための決裁を受けます。そして自身が管理している会社の預金通帳や取引印を使用して、銀行から現金を引き落としていたのです。
今春の人事異動で、経理課長が代わり、新任の課長が過去の帳簿を確認していて、Aさんの犯行が発覚しました。
現在、会社で内部調査会社が行われ、Aさんは自宅謹慎を命じられています。
Aさんは、事件化されることなく穏便に解決したいと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

詐欺罪か?業務上横領罪か?

Aさんは会社のお金を扱う経理担当者ですが、Aさんの上司である経理課長の決済がなければ、会社の口座から現金を引き出すことができません。
この場合、Aさんは経理課長を騙して会社の現金を引き出しており、詐欺的手段を用いて横領しているので、この行為は詐欺罪となるのか、それとも横領罪になるのか、という問題が生じます。

それでは、まず詐欺罪と業務上横領罪がどのような罪であるのかみていきましょう。

~詐欺罪~
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、①人を欺いて財物を交付させた場合(1項詐欺)、および②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合(2項詐欺)に成立する罪です。
詐欺罪が成立するためには、「人を欺く行為」をし、それにより「相手方が錯誤に陥り」、「物や財産上の利益が交付され」、「物や財産上の利益が移転する」といった一連の流れがあることが必要となります。

~業務上横領罪~
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、業務上の委託に基づき自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する罪です。
業務上横領罪における「業務」とは、委託を受けて物を管理することを内容とする事務のことをいいます。
典型例は、経理など会社のお金の出し入れを担当している人が、会社のお金をくすねた場合には、業務上横領罪となります。
一方、そのような地位にない社員が会社の金庫に保管していたお金を勝手にとった場合には、業務上横領罪ではなく窃盗罪となります。

事件を検証

詐欺罪と横領罪は、客体の「占有が行為者にあるか否か」が分かれ目のポイントです。
詐欺罪が、「他人の占有する他人の財物」を欺く行為により取得する罪であるのに対して、横領罪は、「自己の占有する他人の財物」を自分の物とする罪です。
よって、両者の違いは、「目的となる財物の占有が行為者にあるか他人にあるか」という点です。
ですので、財物を自己の物とするに当たり、詐欺的手法が用いられていたのであっても、当該財物の占有が行為者にあれば横領罪となり、その財物の占有が他人にあり、自己の者とするに当たり詐欺的手法が用いられたのであれば、欺く行為により財物の占有を取得したものとして詐欺罪となる、というわけです。

Aさんは、会社の経理担当で、普段から会社の預金通帳や取引印を保管しています。
預金から引き出した現金はAさん自ら保管、占有していました。
Aさんは、その現金を自分の物とするために、会社にルールに従い架空の取引伝票を上司に見せて決裁を得たにすぎず、Aさんに対しては業務上横領罪が成立すると考えられます。

業務上横領事件では、会社も横領した額を回収したいと考えているので、ちきんと被害弁償をすれば、刑事事件として警察に相談しないケースも少なくありません。
事件化する前に、被害者に被害弁償を行い示談をすることが、事件を早期に解決する有効な手段です。

三重県亀山市の会社にお勤めの方で、業務上横領事件が会社に発覚し対応にお困りの方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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三重県鳥羽警察署に自首を検討

2019-06-29

自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

Aさんは、志摩市にある観光ホテルでアルバイトをしています。
先日、ベッドメイキングで客室に入った際に、お客さんのカバンが室内に置きっ放しになっていたので、Aさんは、このカバンの中から財布を盗んでしまいました。
盗んだ財布から現金だけを抜き取り、財布は、ホテルの近くにある川に投棄して証拠隠滅したのですが、その日の夜に、お客さんが被害に気付き110番通報したようで、三重県鳥羽警察署の警察官がホテルを訪ねてきました。
まだ警察はAさんが犯人だと割り出せていないようですが、発覚するのも時間の問題だと諦めたAさんは、警察に自首することを考えています。
(フィクションです)

◇三重県鳥羽警察署◇

【所在地】〒517-0042 三重県鳥羽市松尾町74-4
【電話番号】0599-25-0110

三重県鳥羽警察署は、鳥羽市志摩市の2市を管轄する警察署で、その管内人口は、約7万人です。
鳥羽市と志摩市は共に観光都市として栄えており、比較的治安は平穏で、平成30年度の刑法犯認知件数は350件、検挙人数は約50人です。
(三重県警察のホームページを参考)

◇Aさんの行為◇

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

客室にあったカバンの中から客の財布を盗むAさんの行為は窃盗罪に該当するでしょう。
現金を抜いた財布を川に投棄した行為は、器物損壊行為に当たりますが、今回は投棄したのは窃盗によって得た被害品ですので、不可罰的事後行為となって、新たな罪(器物損壊罪)に問われることはないでしょう。

◇自首◇

自らの犯罪行為を捜査機関に申告すれば「自首」となることは広く知られていますが、この様な行為の全てが自首として認められるわけではありません。

刑法第42条(自首)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減刑することができる

この条文のとおり、自首が成立すると、裁判官の裁量により刑が減刑されることがあります。これを、任意的減刑といいます。
この様な、任意減軽の規定を設けている主な理由は
①犯人の悔い改めによる非難の減少
②犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にして訴訟手続きの円滑な運用に寄与
です。
そもそも自首とは、犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対して自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求めた者を意味します。
犯罪事実が発覚していても、犯人が発覚していなければ自首は成立しますが、単に所在不明であった場合には自首は成立しません。

◇「自首」と「出頭」は違う◇

「出頭」とは、犯罪事実や容疑者がすでに発覚している状態で、犯人自ら警察に出向くことをいい、法律的な手続きが存在するわけではありませんし、自首のような減軽措置が定められているわけでもありません。
ただし、出頭することで反省があるとして情状面で考慮される結果、刑が軽くなる可能性はありえます。

◇自首が成立するには◇

①捜査機関に発覚前の事件を申告すること
自首が成立するのは
・犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合
・すでに犯罪事実が発覚していても犯人が割り出されていない場合
です。
②自己の犯罪事実を告げること
捜査機関の自己の処分に委ねることを意味します。
このことから、申告の内容が犯行の一部を殊更に隠すものであったり、自己の責任を否定するものであったりするときは、自首とはいえません。
③自発的に行われること
捜査機関の取調べを受けて自白することは自首にはなりません。
ただし、ある犯罪について取調べをされている際に、捜査機関に発覚していない他の犯罪事実を申告することは自首に当たります。
④捜査機関に対する申告であること
ここでの捜査機関というのは、検察官や司法警察員を意味します。
自主の方法は、口頭でも書面などによる場合でも構いませんし、直ちに捜査機関の支配下に入る状況にある時は、電話による自首も有効であると考えられています。

自首を検討しておられる方は、刑事事件に強い弁護士に事前に相談することをお勧めします。
せっかく警察署に自ら出頭しても、状況によっては自首と認められない場合もあるので注意しなければなりませんし、絶対的に逮捕を免れるとも限りません。
三重県鳥羽警察署への自首を検討しておられる方は、警察署に出頭する前に刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料

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