Archive for the ‘少年事件’ Category
少年事件で試験観察
少年事件で試験観察となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県伊勢警察署は、傷害事件の被疑者としてAくん(17歳)ら少年4名を逮捕しました。
Aくんには、同種の前歴があり、Aくんの両親は、今回の事件で少年院送致となるのではないかと心配しています。
Aくんの両親は、すぐに対応してくれる少年事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)
少年事件の流れ
20歳未満の者(以下、「少年」と呼びます。)が、罪を犯したと疑われる場合には、捜査機関が少年の被疑事件として捜査を開始し、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと認められるときや、犯罪の嫌疑は認められないけれども家庭裁判所の審理に付すべき事情があると思料するときは、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、調査官による調査を行った上で、審判を行い、少年に対して処分を言い渡します。
審判で言い渡される処分には、①不処分、②保護処分、③都道府県知事又は児童相談所長送致、④検察官送致、⑤試験観察があります。
試験観察とは
家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に付することができます。
この決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、終局決定前の段階で必要がある場合に行われる中間決定です。
試験観察には、相当の期間、調査官の観察に付することによって、調査官の調査を補強・修正し、要保護性の判断をより一層的確にするという機能と、終局決定をいったん留保することで心理的強制効果を利用して教育的措置を行い、その効果を高めるという教育的処遇の機能とが期待されます。
試験観察の要件は、「保護処分を決定するため必要があると認めるとき」であることで、より細かく言えば、①保護処分に付する蓋然性があること、②直ちに保護処分に付することができないか、相当でない事情があること、③調査官の観察活動の結果により適切な終局決定ができる見込みがあること、④相当の期間内に観察目的を達成する見込みがあること、の4要素を満たす必要があるとされています。
試験観察の方法は、事案の内容や少年の抱える問題によって異なりますが、基本的には、調査官が、少年や保護者を定期的に家庭裁判所に呼び出し面接を行い、その中で教育的措置を行ったり、ボランティア活動へ参加させたりします。
試験観察には、在宅試験観察と補導委託試験観察とがあります。
在宅試験観察は、審判で試験観察決定が言い渡されると、その日に自宅に戻ることができます。
基本的には自宅で過ごし、定期的に家庭裁判所に出頭することになります。
補導委託試験観察は、民間の有志家に少年の補導を委託し、民間の社会資源の長所を生かした教育的な働きかけを行いながら、少年の行動等を観察しようとするものです。
このように、試験観察は、終局処分である保護処分を決めかねる場合にとられるもので、試験観察期間中に、少年の要保護性が解消したと認められる場合には、最終的に不処分が言い渡されることもありますし、少年院送致の可能性が高い事案であっても、保護観察となることもあります。
少年院送致が見込まれる場合には、まずは審判で試験観察となることを目指し、試験観察期間中に環境調整に力を入れ、最終的に審判で保護観察処分となるよう働きかけることが重要です。
そのような活動は、少年事件に精通する弁護士にお任せください。
少年事件は、成人の刑事事件と異なる点も多いため、少年事件については少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件で不処分を獲得
少年事件で不処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県四日市西警察署は、迷惑防止条例違反(盗撮)の容疑で高校生3年生のAくんを逮捕しました。
Aくんは、逮捕当日に釈放されましたが、今後どのような流れとなるのか、いかなる処分を受けることになるのか心配でたまりません。
Aくんは母親とともに少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、調査官による調査を行った上で、審判を開くかどうかを決定します。
少年法では、審判を開始するか否かは調査の結果判断するものとされていますが、観護措置がとられている事件については、家庭裁判所の調査官に対する調査命令と審判開始決定が同時になされ、審判期日が指定されるのが実務上の運営です。
審判では、人定質問、黙秘権の告知、非行事実の告知とそれに対する少年・付添人の陳述の後、非行事実の審理、要保護性の審理が行われ、調査官・付添人の処遇意見の陳述および少年の意見陳述を経て、決定が言い渡されます。
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定とがあります。
終局決定は、少年の最終的な処分を決する決定であり、中間決定は、終局決定の前の中間的な措置としてなされる決定です。
終局決定には、審判不開始、不処分、保護処分、検察官送致、都道府県知事または児童相談所長送致の5種類があります。
また、中間決定には、試験観察決定などがあります。
今回は、終局決定の1つである「不処分」について説明します。
不処分とは
家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、または保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければなりません。
この保護処分に付さないとする決定を不処分決定といいます。
不処分決定には、保護処分に付することができない場合の不処分と保護処分に付する必要がない場合の不処分の2種類があります。
①保護処分に付することができない場合の不処分決定
法律上または事実上、保護処分に付することができない場合の不処分決定で、次の場合になされます。
・非行事実の存在が認められない場合。
・少年に心神喪失、死亡、所在不明、疾病、海外居住といった事情が生じた場合。
・審判が適法であるための条件を欠く場合。
②保護処分に付する必要がない場合の不処分決定
要保護性が存在しない、もしくは小さくなっているために保護処分に付する必要がなく、児童福祉法上の措置や刑事処分の必要もない場合にされる不処分決定です。
調査・審判の過程で、少年の周囲の環境が調整され、要保護性が解消し、再び少年が非行に陥る危険性がなくなった場合、別件で環境調整が行われていたり、保護処分に付されているために本件では特に処分をする必要がないと認められる場合、非行事実がきわめて軽微な場合などがあげられます。
審判で不処分が言い渡されると、観護措置を取られている少年は審判終了後に帰宅することになります。
不処分の場合、保護観察のように審判後も定期的に保護観察所の指導監督を受けることはありません。
不処分を目指す場合には、審判までに要保護性が解消しており保護処分に付する必要がないと裁判官に認められることが必要となります。
要保護性解消に向けて環境調整活動は、家庭裁判所、学校・職場、少年本人や家族と協力しながら行われるもので、少年と保護者のみで行うことは困難です。
弁護士は、捜査段階から弁護人として、家庭裁判所に送致された後は付添人として、関係者らと協力しつつ、少年の更生に適した環境づくりを支援します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件と被害弁償、示談
少年事件と被害弁償、示談といった被害者対応との関係について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県鈴鹿市の書店内で、女子高生のスカート内を盗撮したとして、三重県鈴鹿警察署は、高校生のAくん(16歳)を逮捕しました。
Aくんは、鈴鹿警察署で取調べを受けた後、Aくんの両親が身元引受人となり、釈放されました。
Aくんの両親は、被害者への被害弁償を行い、何とか許してもらえないかと考えており、被害者対応について弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
少年事件の特徴
少年事件は、成人の刑事事件とは異なる点が幾つかあります。
1.全件送致主義
捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所に審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」といいます。
つまり、少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のように捜査機関限りで事件を終了させることは認められていないのです。
成人の刑事事件では、犯罪の内容が軽微であったり、被害者との示談が成立している場合には、被疑者が容疑を認めている場合でも、検察官は起訴猶予という形で不起訴処分で事件を処理することがあります。
しかし、少年事件では、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになっていますので、被害者との示談が成立したことをもって事件が終了することにはなりません。
ただ、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、捜査機関が少年に犯罪の嫌疑がないとはんだんした場合には、嫌疑なしや嫌疑不十分として、事件を家庭裁判所に送致しないこともあります。
2.少年審判
少年法は、「少年の健全な育成に期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする」と規定しており、少年が行った過去の犯罪や非行に対する応報として少年を処罰するのではなく、少年が将来再び犯罪や非行を行わないように、少年の改善教育を行うことを目的としています。
そのため、少年審判では、非行事実(成人の刑事事件でいうところの公訴事実に当たるもの)及び要保護性の2要素が審理されます。
要保護性というのは、多義的に用いられるものですが、一般的には次の3つの要素から成るものと理解されています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を排除できる可能性。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。
少年審判では、非行事実と併せて要保護性が審理された上で、少年に対する処分が言い渡されます。
成人の刑事事件では、犯罪の軽重が量刑にも大きく影響しますが、少年事件では、非行事実が比較的軽いものであっても、少年に反省が見えなかったり、事件を起こした原因が解消されていなかったりする場合には、要保護性が高いと判断され、少年院送致という収容処分が決定されることもあります。
また、成人の刑事事件と異なる点としては、審判は、家庭裁判所が審判手続を主導して、少年に関する調査を行い、その結果に基づいて審理を行い処分を言い渡す手続手法をとっていることや、原則として審判が非公開であるといったことが挙げられます。
少年事件における被害者対応
少年事件は、成人の刑事事件のように捜査段階で被害者への被害弁償、示談が成立したことをもって起訴猶予で事件が処理されることはありません。
しかしながら、少年事件における被害者対応の如何は、最終的な処分にも影響を及ぼすという点では重要です。
少年審判では、非行事実の他に、要保護性という要素が審理の対象となります。
要保護性が高ければ、少年院送致といった厳しい処分が言い渡される可能性があります。
そのため、審判が行われる日までに少年の要保護性を解消しておく必要があります。
要保護性を解消する活動を「環境調整活動」といいます。
簡単に言うと、環境調整活動は、少年が再び非行をしないために少年の周囲の環境を整える活動です。
少年の周囲の環境と言いましても、家族や学校、職場、交際関係など少年と周りの関係の調整だけにとどまらず、少年本人への働きかけは環境調整活動に必要不可欠です。
少年本人への働きかけとは、事件について内省を深め、被害者がいる事件では、被害者に対する謝罪の気持ちと持てるようにすること、事件の背後にある様々な問題と向き合って、それをどのように対処すべきかについて一定の方向性を示すことなど、多岐に渡ります。
被害者への謝罪や被害弁償、示談締結は、その結果自体が重要なのではなく、そのプロセスを通して、少年が被害者の気持ちと向き合い、真摯に謝罪の気持ちを持てるようになること、ひいてはそれが再非行の防止につながるため、少年事件であっても被害者対応は重要となります。
通常、被害者への被害弁償や示談交渉は、弁護士を介して行います。
少年事件であっても、弁護士を介して示談交渉を行うのが一般的ですが、弁護士は、ただ示談を成立させることにこだわるのではなく、少年の行為により苦しんでいる被害者の気持ちを少年が理解し、被害者への謝罪の気持ちが持てるように、少年に働きかけます。
被害者への真摯な謝罪が、少年の更生にも不可欠であるため、調査や少年審判でも、被害者に対してどのような対応を行ったかという点が問われます。
以上のように、少年事件であっても、被害者対応は重要な意味を有しており、決して軽視することはできません。
少年事件で被害者対応にお困りであれば、少年事件に詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件で観護措置回避
少年事件で観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県度会郡玉城町に住むAさん(15歳)は、友人Bさんと共謀して、知人のVさんに対して暴行を加え、財布を盗ったとして、三重県伊勢警察署に逮捕されました。
Aさんは逮捕後に、勾留が決定しましたが、高校受験を控えていることから、早く釈放されることを希望しています。
Aさんの両親は、家庭裁判所に送致された後も観護措置により身体拘束が続く可能性について警察から聞き、なんとか回避できないかと困っています。
(フィクションです。)
観護措置について
捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致することになっています。
事件を受けた家庭裁判所は、調査、審判を経て、少年に対する処分を決定します。
家庭裁判所は、事件が係属している間いつでも、観護措置をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護とがありますが、実務上、在宅観護はほとんど行われておらず、観護措置という場合には、収容観護を指すものとなっています。
観護措置の要件は、「審判を行うため必要があるとき」と少年法に規定されています。
一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。
①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。
④観護措置の必要性については、具体的に次の事由がある場合に認められるとされています。
(ア)調査、審判および決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
観護措置は、法律上、2週間で、特に継続の必要があるときに1回に限り更新が認められるとなっています。
しかし、実務上は、ほとんごの事件で更新がなされており、通常、観護措置の期間は4週間となっています。
観護措置を回避するために
観護措置は、家庭裁判所に事件が係属している間、いつでもとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとるのが通常となっています。
そのため、捜査段階で少年の身柄が拘束されている場合には、弁護士は、捜査機関から家庭裁判所に送致される日を確認し、送致される日に付添人として観護措置を回避するよう裁判官に働きかける必要があります。
家庭裁判所に事件が送致されると、裁判官は送られてきた記録に目を通し、少年と面談を行い、観護措置の決定が告知されます。
裁判官は、捜査機関から送られてきた記録(法律記録)には目を通していますが、付添人である弁護士は、記録に表れていないと思われる少年に有利な事情や少年の反省状況、被害弁償の進捗状況、保護者の監督状況、通学・就労できないことによって少年が被る不利益などの観護措置の弊害について裁判官に説明し、裁判官に対して観護措置をとらないように働きかけます。
裁判官と少年とが面談する前に、観護措置に関する意見書の提出や裁判官との面談を行い、裁判官に観護措置をとる必要がないことを認めてもらうよう活動します。
捜査段階で身体拘束されていない場合でも、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断したときは、観護措置がとれらることもあります。
そのような事態を回避するためにも、家庭裁判所に事件が送致されたタイミングで、観護措置に関する意見書を提出し、観護措置がとられることのないよう働きかけることも重要です。
観護措置が決定した場合には、異議申立てや観護措置取消の職権発動を促す申立の方法で、観護措置の決定を争うことができます。
観護措置の期間は4週間と長く、その間は学校や職場に行くことはできないため、退学や解雇といった不利益が生じることも否定できません。
そのような不利益によって、かえって少年の更生を妨げることにもなりかねず、不必要・不当な観護措置がとられることのないよう適切に対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件で身柄解放
少年事件で身柄解放に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県四日市北警察署は、三重県四日市市に住むAくん(18歳)を傷害の容疑で逮捕しました。
Aくんは、交際相手の女性に暴行を加え、怪我を負わせたとの容疑がかけられており、被害女性からの相談を受けたことで事件が発覚しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの父親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
Aくんは学生でもあるので、早期の身柄解放を望んでいます。
(フィクションです。)
少年事件における身体拘束
被疑者が20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)であっても、その身柄を確保した上で捜査が行われることはあります。
以下、少年事件における身体拘束について、捜査段階と家庭裁判所送致後の2段階に分けて説明します。
1.捜査段階
捜査段階では、通常の刑事事件と同じように、刑事訴訟法の適用を受けるため、少年であっても逮捕・勾留されることがあります。
但し、14歳未満の者については刑事責任が問われませんので、逮捕されることはありません。
勾留の要件も、成人の場合と変わりありませんが、少年を勾留請求したり、勾留する場合は、通常の勾留の要件に加えて、「やむを得ない場合」でなければならないとされています。
勾留決定に際して、接見禁止決定が付されることがありますが、少年の場合、保護者については、その対象から外れることが一般的です。
少年の場合、通常の勾留に代えて、「勾留に代わる観護措置」がとられることがあります。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されますが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求から10日であり、延長できないこと、そして、勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された事件が家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされることが、勾留と異なります。
2.家庭裁判所送致後
捜査が終了し、事件が家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が観護措置をとり、少年が少年鑑別所に収容されることがあります。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判のために、少年の身柄を少年鑑別所に送り、心身の鑑別などを行う処分です。
捜査段階で逮捕・勾留されている場合、家庭裁判所送致日に裁判官による審問手続を経て、その日に観護措置の決定がされます。
観護措置の期間は、法律上は原則として2週間とされていますが、実務上は1回更新されて4週間となるのが通常です。
心身が発展段階にある少年は、身体拘束による精神的・肉体的負担は成人と比べて大きいですし、身体拘束された結果、退学や解雇となれば、少年の将来に大きく影響する可能性も否定できません。
長期の身体拘束による不利益は大きく、不当不要な身体拘束を回避すべく、弁護士は早期の身柄解放を目指した活動を行います。
勾留阻止に向けた活動
勾留が決定する前の段階においては、弁護士は、検察官との面談や意見書の提出などの方法により、検察官が勾留請求をしないように働きかけます。
その際、弁護士は、勾留の要件を満たしていないことを指摘することに加えて、少年を勾留する場合の要件である「やむを得ない場合」には該当しないことを、具体的な事情を指摘しつつ主張します。
検察官が勾留請求をした場合には、速やかに勾留担当の裁判官と面談したり意見書を提出するなどして勾留請求却下を求めます。
勾留が決定した場合には、通常の刑事事件と同様に、勾留に対する準抗告、勾留取消請求や勾留の執行停止の申立てなどを行い、釈放を目指します。
観護措置回避に向けた活動
事件が家庭裁判所に送致される時期を見計らい、付添人選任届の提出とともに、観護措置をとる必要がない旨の意見書の提出を行い、裁判官との面談を申し入れる等し、観護措置をとらないよう裁判官に働きかけます。
観護措置が決定された場合には、不服申立の手段として、観護措置の取消し又は異議申し立てがあります。
観護措置決定の取り消し申立ては、家庭裁判所に対して観護措置の取消しの職権発動を促す申立であるのに対して、観護措置決定に対する異議申立ては、法律によって認められている不服申立権です。
以上のような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件に精通する弁護士
少年事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県松阪警察署は、住居侵入の容疑で三重県松阪市に住む高校生のAくんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、今後どうなるのか何も分からず不安で仕方ありません。
Aくんの母親は、ネットで少年事件に精通する弁護士を探し出し、少年事件の流れや対応について相談することにしました。
(フィクションです。)
20歳に満たない者を「少年」といいますが、家庭裁判所の審判の対象となる少年は、次の3つに分けられます。
①犯罪少年
行為時に14歳以上で、罪を犯した少年。
②触法少年
14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年。
③虞犯少年
次の虞犯事由があって、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年。
(ア)保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
(イ)正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
(ウ)犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
(エ)自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
①~③の少年によって手続は少し異なりますが、ここでは①犯罪少年について事件がどのように処理されるのかを説明します。
1.捜査段階
捜査対象となった少年は、成人の刑事事件とほぼ同じ流れで処理されることになります。
そのため、身体拘束の必要があれば、逮捕・勾留されることもあります。
少年事件では、通常の勾留に代えて、「勾留に代わる観護措置」がとられることがあります。
通常の勾留は、勾留期間が原則10日間ですが、勾留延長が認められれば最大で20日間となりますが、勾留に代わる観護措置の期間は10日間と決められており延長は認められません。
また、通常の勾留の留置場所は、警察署の留置場ですが、勾留に代わる観護措置の収容先は少年鑑別所です。
ほとんどの場合、事件は、警察から検察官に送られ、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと認められるときに、検察官は事件を家庭裁判所に送ります。
ただし、捜査の結果、犯罪の嫌疑が認められない、犯罪の嫌疑を認める証拠が不十分であるときには、家庭裁判所に事件を送らず、不起訴処分として事件を処理することがあります。
2.家庭裁判所送致後
少年事件が家庭裁判所に送られると、家庭裁判所の調査官は少年の要保護性について調査を行います。
調査を終えると、審判を開くかどうかを決定します。
審判を開始しない旨の決定がなされると、審判を開くことなく事件が終了することになります。
調査後に審判の開始・不開始を決定することになっていますが、家庭裁判所送致後に観護措置がとられている事件については、調査官に対する調査命令と審判開始決定が同時になされる運用がとられています。
観護措置というのは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことで、通常は少年鑑別所に収容する形をとります。
観護措置の期間は、法律上は2週間を超えることができず、特に継続の必要がある場合に1回に限り更新することができるとされていますが、実務上は通常4週間とされています。
審判は、家庭裁判所の審判廷で行われます。
審判に出席するのは、裁判所の裁判官、書記官、調査官、そして少年本人、少年の保護者、付添人です。
審判では、非行事実と要保護性について審理されます。
非行事実は、刑事裁判でいう起訴事実で、少年がどういう非行を行ったかということです。
そして、要保護性とは、概して、次の3つの要素から成るものであると考えられています。
①再非行の危険性:少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性:保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性:保護処分による保護が最も有効かつ適切であること。
審判の最後に、裁判官が決定を言い渡します。
決定には、終局決定と中間決定とがあります。
審判で言い渡される終局決定は、少年の最終的な処分を決するもので、不処分、保護処分、検察官送致、都道府県知事又は児童相談所長送致があります。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致があります。
中間決定は、終局決定前の中間的な措置で、試験観察決定などがあります。
先に述べたように、非行事実と要保護性が審理の対象となるため、重い罪に当たる行為をした場合であっても、要保護性が解消されたと認められれば、保護観察といった社会内処遇とされることもありますし、逆に、比較的軽微な罪に当たる行為であっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致といった厳しい処分が決定されることがあります。
少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続や対応が必要となりますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に精通する弁護士にご相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年の児童ポルノ処罰法違反事件
少年の児童ポルノ処罰法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県四日市警察署は、大学生のAくん(18歳)を児童ポルノ処罰法違反の疑いで逮捕しました。
Aくんは、出会い系アプリで知り合った女子中学生に、裸の写真や動画を自分に送らせていた、との疑いがかけられています。
Aくんは、容疑を認めていますが、この先どうなるのか心配でたまりません。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに対応してくれる少年事件に強い弁護士に連絡し、Aくんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
児童ポルノ処罰法違反事件
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童ポルノ処罰法」といいます。)は、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、これらの行為等を処罰する法律です。
児童ポルノ処罰法で規制の対象となる「児童ポルノ」とは、同法第3条によれば、
写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの、
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの、
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの、
をいいます。
「児童」とは、18歳未満の実在する児童のことを意味します。
「電磁的記録に係る記録媒体」というのは、具体的には、CD-ROM、USBメモリ、コンピューターのハードディスク等、デジタル方式で記録される記録媒体のことです。
18歳未満の者の裸の写真や動画は、上の③に当たるでしょう。
児童ポルノ処罰法は、児童ポルノの所持・保管・提供・製造・運搬・輸出入が処罰対象としています。
Aくんの行為、18歳未満の者に自身の裸の写真やビデオをとらせてそのデータを自己の携帯に送らせる行為は、児童ポルノの「製造」に当たります。
児童ポルノ製造罪の法定刑は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっており、成人の刑事事件において同罪で起訴され、有罪となれば、その範囲内での刑罰が科されることになります。
少年事件の場合には、基本的に刑罰ではなく少年の更生を目的とした少年法に基づいた処分が科されることになります。
少年事件の流れ
20歳未満の者であっても、犯行時に14歳以上であれば、被疑者として捜査機関に逮捕されることがあります。
捜査段階では、刑事訴訟法が準用されるため、成人の刑事事件の手続とほとんど同じ手続を踏むことになります。
逮捕された場合、逮捕後に警察署で取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、少年は証拠や関係書類と共に検察庁に送られます。
そうでなければ、釈放となります。
検察庁に送致された少年は、担当検察官からの取調べを受けます。
検察官は、少年の身柄を受けてから24時間以内に少年を釈放するか、裁判官に勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談をした上で、少年を勾留するか否かを判断します。
少年の場合、検察官は「勾留に代わる観護措置」を請求することができ、裁判官は当該措置をとることができます。
勾留は、留置場所が警察署の留置施設であるのに対して、勾留に代わる観護措置の場合は、少年鑑別所に収容されます。
また、勾留の期間は、検察官が勾留請求をした日から10日であり、延長が認められれば最大で20日となりますが、勾留に代わる観護措置の期間は10日で延長は認められません。
捜査機関は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
家庭裁判所に事件が送致されると、事件が係属している間、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査および審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置です。
観護措置がとられると、少年鑑別所に1か月ほど収容されることになります。
捜査段階で逮捕・勾留されていた少年については、家庭裁判所に送致された日に裁判官と面談した上で、観護措置がとられることがほとんどです。
家庭裁判所に送致後は、調査官による調査が行われ、審判において非行事実および要保護性が審理され、少年に対する処分が決定されます。
このように、少年であっても長期的な身体拘束となる可能性はありますので、早期に弁護士に相談し、身体拘束からの解放に向けた活動を行うことが重要です。
また、少年審判では、非行事実だけでなく要保護性も審理対象となりますので、早い段階から要保護性の解消に向けた活動を行う必要があります。
このような活動は、少年事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年の性犯罪には弁護士を
少年の性犯罪には弁護士を
少年の性犯罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県伊勢市に住む高校生のAは、交際経験もなく男子校に通っているため女友達もいない状態でした。
Aは、ネット上でアダルト動画を見るのが好きで、毎日のように視聴しています。
特に、女性に対して痴漢をするアダルト動画を好んで見ており、いつか自分でもしてみたいと考えるようになってしまいました。
そして、あるときついに我慢できなくなったAは通学中の混雑した電車内で、近くにいた女性の臀部を触ってしまいました。
女性の様子がおかしいことに気付いた周囲の乗客がAを取り押さえ、Aは通報で駆け付けた三重県伊勢警察署の警察官に痴漢の疑いで逮捕されることになってしまいました。
取調べを終え、その日のうちに釈放されたAでしたが、今後どのようになってしまうのかを知りたくなり、両親とともに少年事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この事例はフィクションです。)
性的嗜好
思春期にある少年は、性的嗜好が形成されていっている段階であるといえます。
性的嗜好には、さまざまなものがありますが、中には実際に行動に移してしまうと犯罪になってしまう可能性が高いものもあります。
今回の事例にあるような痴漢行為もその一つですし、小児性愛やのぞき、盗撮なども実際に行動に移してしまうと犯罪行為となってしまう可能性が高いでしょう。
もちろん、これらの性的嗜好を持っているからといって必ず犯罪を起こしてしまうというわけではありません。
こういった性的嗜好を自覚しつつ、他人に迷惑をかけないようにうまく発散している方もいるでしょう。
しかし、中には行動に移してしまい、犯罪行為として処罰を受けてしまう人もいます。
こういった性的嗜好に関わる性犯罪事件では、再犯防止のための取り組みがとても重要となります。
少年の性犯罪
性的嗜好に関わる性犯罪事件のうち、成人になってからの場合は、性的嗜好が確立されてしまっている可能性が高いため、再犯防止に向けては犯罪になってしまわないように、治療や代替方法などで、その性的嗜好とうまく付き合っていくことが必要となります。
しかし、性的嗜好の形成段階における少年については、性に関して無知であるというだけの可能性があります。
こういった場合には、正しい性教育によって、犯罪になってしまう可能性の高い性的嗜好を正すことで、再犯防止につながることがあります。
現在の少年たちは、生まれた時からインターネットの充実した世界に生きています。
インターネット上には、さまざまな性的嗜好を持つ者たちの性欲を満たすため、多種多様な動画や画像が散乱しており、少年たちの中に歪んだ性的嗜好が形成されてしまう可能性は高くなっているといえます。
こういった情報量と比較して、学校での性教育は充分であるとはいえませんし、家庭での性教育もなかなか踏み込んだ話ができるものではありません。
そのため、少年の性犯罪事件では弁護士の活動が重要となってきます。
弁護士による適切なアドバイスや指導によって、正しい性知識を身につけていくことができますし、ときには専門機関を紹介することもできます。
さらに、家庭裁判所とも協力して保険指導を行っていくことで、少年の再犯防止、更生に向かっていきます。
少年の更生は、最終的な処分にも関わってきますので、少年の性犯罪には少年事件に強い弁護士を選任しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。
少年の更生を本気で目指していくならば、少年事件の実績のある弁護士の適切な弁護活動を受けるようにしましょう。
少年鑑別所での面会は弁護士へ
少年鑑別所での面会は弁護士へ
少年事件で少年鑑別所に収容される場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
三重県桑名市に住む15歳のAは、自宅近くでひったくり事件を起こしてしまいました。
数日後、三重県桑名警察署の警察官がAの自宅に訪れ、Aは窃盗の疑いで逮捕されてしまい、その後勾留に代わる観護措置が決定され、Aは少年鑑別所に収容されることになってしまいました。
Aの両親は、少年鑑別所に収容となったことに不安を覚え、少年事件に強い弁護士に相談し、Aのもとへ弁護士を派遣させる初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです。)
少年鑑別所
少年鑑別所とは、少年の資質や環境などを専門家が専門的に調査するための施設であり、少年院とは、異なった施設です。
刑事事件を起こしてしまった少年が少年鑑別所に収容される可能性があるのは、まず逮捕されて勾留が決定し、その留置先が少年鑑別所となる場合です。
通常、勾留が決定すると警察署の留置場に収容されることになりますが、留置先が少年鑑別所となることもあるのです。
次に少年鑑別所に収容されるパターンとしては、少年事件特有の制度である、勾留に代わる観護措置が決定された場合です。
少年法では、検察官は「やむを得ない場合」でなければ勾留を請求することはできないとの規定が設けられており、少年の勾留に関して一定の配慮がなされています。
しかし、少年法の規定では、やむを得ない場合でなくとも、請求できる勾留に代わる観護措置というものがあるのです。
この勾留に代わる観護措置となった場合の収容先は、少年鑑別所となります。
勾留に代わる観護措置は、通常の勾留とは異なり、最大10日間となっており延長は認められません。
なお、勾留に代わる観護措置となった場合、自動的に後述の観護措置が取られることになります。
最後に、事件が家庭裁判所に送致された後に、観護措置が決定された場合に少年鑑別所に収容されることになります。
観護措置決定がされると審判に向けて少年の調査が行われます。
この観護措置については、家庭裁判所に送致されるまで身体拘束を受けていなかったとしても、家庭裁判所に送致されてから決定され、身体拘束を受けることになる可能性があります。
少年鑑別所での面会
少年が少年鑑別所に送られてしまった場合、少年とそのご家族が会うためには、面会手続を利用するしかありません。
ただ、弁護士による面会と異なり、一般人による面会にはさまざまな制約があります。
例えば、少年鑑別所での一般面会は、近親者・保護者・その他鑑別所が必要と認める者に限って許可されます。
そのため、友人や交際相手でも通常は、面会が許されないのです。
また、面会が許されるのは、平日の面会時間のうち、わずか15分程度です。
そして面会には、原則として、少年鑑別所の職員が立ち会います。
このように一般面会には、様々な制約があり、たとえ両親であってもお子様と十分にお話をする時間がありません。
しかし、弁護士による面会であれば、こうした制限が一切ありません。
そのため、少年の話を十分に聞いてあげることもできますし、ご家族からのご伝言も丁寧にお伝えすることができます。
こうした対応が少年本人にとって、大きな心の支えになることは間違いないでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、お電話でのご要望で身体拘束を受けている方の下へ弁護士を派遣させる初回接見サービスを行っています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件専門の弁護士事務所です。
少年事件では、少年一人一人に合わせた弁護活動が必要となってきますので、少年事件に強い専門の弁護士に依頼するようにしましょう。
特に、ご家族等が少年鑑別所に収容されてしまったという場合には、一刻も早く弁護士を派遣させる初回接見サービスを利用するようにしましょう。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
少年事件に強い私選弁護人
少年事件と私選弁護人・国選弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務が解説します。
◇事件◇
大学生のAくん(18歳)が、特殊詐欺の受け子をしたとして、三重県名張警察署に窃盗の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、急いですぐに対応してくれる弁護士をネットで探しています。
その過程で、弁護人には私選弁護人と国選弁護人とがあることが分かり、それぞれの長所短所を調べています。
(フィクションです。)
少年事件と弁護人
あなたやあなたの家族が、事件を起こし、刑事事件の被疑者・被告人となってしまった場合、あたなやあなたの家族は、刑事手続に基づいて何らかの処分を受けることになります。
法律では、刑事手続において、被疑者・被告人は、検察官と対等の立場にあることがされています。
しかし、現実では、一般の被疑者・被告人が、法律や刑事手続に精通していることは稀であり、自ら法的に防御することは困難が伴うのです。
そのような状況において、被疑者・被告人と検察官が真に対等な立場にあるとは言えません。
そこで、そのような不均衡を補い、刑事手続における正当な利益を擁護するために、法律に精通した専門家である弁護士を被疑者・被告人の代理人として選任します。
被疑者・被告人の代理人である弁護人は、被害者・被告人に法的支援を行います。
加えて、馴染みのない刑事手続に付されている被疑者・被告人は精神的にも不安定となることが多く、特に、逮捕・勾留されている場合には、社会と切り離された環境に身を置いていますので、より精神的な苦痛を伴うことが多いため、彼らの精神的な支援も行います。
被疑者が少年である場合も同様に、弁護人が担う役割は大きいと言えます。
特に、身体的にも精神的にも発展途上にある少年の場合、被疑者となってしまったことで感じる不安や、逮捕・勾留されたショックは成人が感じる以上に大きいものでしょう。
連日の取り調べにおいて、取調官の誘導に乗って自分に不利な供述をしてしまったり、問われていることの意味をきちんと理解することができなかったりするおそれもあります。
ですので、少年の場合であっても、早期に弁護士に相談し、対応について相談したり、弁護人を選任し、弁護活動を行ってもらうことが重要です。
少年でも成人でも、弁護人を選任することができます。
しかし、弁護人の種類によっては、選任できる要件や時期が異なります。
国選弁護人とは
国選弁護人は、貧困などの理由で自分で弁護人を付けることが出来ない場合に、国が弁護士費用を負担し選任する弁護人のことです。
被告人国選弁護選任の手続は、必要的弁護事件か任意的弁護事件かによって異なります。
必要的弁護事件というのは、法定刑が死刑、無期、長期3年を超える懲役・禁固にあたる事件、公判前整理手続もしくは期日間整理手続に付された事件、または、即決裁判手続による事件のことで、弁護人がいなければ公判を開くことができません。
このような事件において、私選弁護人が選任されていない場合には、裁判所は国選弁護人を選任しなければなりません。
一方、任意的弁護事件とは、上の必要的弁護事件以外の事件のことです。
任意的弁護事件においては、被告人が国選弁護人選任を請求し、資力申告書を提出し、資力が50万円に満たない場合には、そのまま選任請求ができます。
そして、被疑者国選弁護の選任手続については、まず、被疑者に対して勾留状が発せられている場合であって、かつ、被疑者が貧困その他の事由によって私選弁護人を選任することができない場合に、裁判官に対して国選弁護人の選任を請求することができます。
ここで留意しなければならないのは、「勾留状が発せられている場合」という条件が付いていることです。
つまり、逮捕後に勾留されてからでないと、被疑者の段階では国選弁護人を選任することはできないのです。
私選弁護人とは
私選弁護人は、被疑者・被告人、その家族などが自ら選任した弁護人のことです。
もちろん、弁護士費用は、依頼者の負担となります。
経済的負担はあるものの、被疑者・被告人が身体拘束されているか否かは関係ありませんし、どの段階からでも選任することができます。
ですので、事件が起きた直後に弁護人を選任し、例えば、被害者との示談を成立させることによって事件を早期に解決することも可能です。
この点、少年の場合、勾留後であれば国選弁護人の選任を請求することができますが、勾留された後でしか請求できないので、そもそも勾留を回避したい場合には、すでに勾留され身体拘束による不利益が発生していることになります。
また、勝手に弁護士を選ぶことはできませんので、刑事事件や少年事件に詳しい弁護士が弁護人として選任されるとは限りません。
少年事件と付添人
少年の場合、原則として、捜査機関による捜査が終了すると、事件が家庭裁判所に送致されることになります。
家庭裁判所送致後は、捜査段階で付いていた弁護人がそのまま自動的に同じ少年の事件に関われるわけではありません。
家庭裁判所に事件が係属したら、今度は「付添人」として、少年の権利・利益を守りながら、家庭裁判所や少年の家族、関係者と協力しつつ、少年の更生に向けた環境作りをしていきます。
この付添人は、弁護士がすることがほとんどですが、弁護士でない保護者も家庭裁判所の許可を得て付添人となることができます。
捜査段階で少年の弁護人として選任されていた場合であっても、改めて家庭裁判所に付添人として選任された届出をしなければなりません。
付添人にも国選付添人制度というものがあります。
国選付添人は、一定の重大事件で観護措置のとられた少年について、裁判所の裁量により選任されます。
対象となる事件は、
①検察官関与決定事件
②裁量国選付添事件
死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役・禁固にあたる事件を犯した、少年鑑別所収容の観護措置をとられている犯罪少年および触法少年に対して、裁判所の裁量により選任されます。
③被害者による審判傍聴の申出事件
このように、限られた事件にのみ当該制度が利用できます。