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強要事件で逮捕されてしまった…勾留が不安

2021-12-21

強要事件で逮捕されてしまった…勾留が不安

強要事件逮捕され、勾留が不安な場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県津市に住むAさんは、自分の子どもが小学校でトラブルになったことに腹を立て、自宅に同級生の父親(V1さん)と母親(V2さん)を呼び出し、体に彫られた入れ墨を見せた上、「あんたら家族、全員ぐちゃぐちゃにしたろか」などと大声をあげて脅しました。
そして、AさんはV1さんとV2さんに土下座を要求し、二人に土下座をさせました。
その後、V1さんとV2さんは三重県津南警察署強要事件の被害を訴えました。
その結果、Aさんは三重県津南警察署の警察官により強要罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「警察から『勾留される可能性が高い』と聞いた。自分の身体拘束がいつまで続くのか。」と不安に感じています。
(2021年2月24日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【強要罪とは】

刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

被害者に対して、その①「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対して」、②「害を加える旨を告知」して③「脅迫」し、被害者の方に「義務のないことを行わせ」たとき、上記強要行為を行った者には強要罪が成立します。

【強要罪の各要件について】

以下では、強要罪の各要件について解説した上で、Aさんに強要罪が成立するのかを考えていきます。

強要罪の②「害を加える旨を告知」する行為とは、これから害を加えることを、明示的又は黙示的に、口頭・文書・態度により告げることをいいます。
このとき、告知する害の内容は、告知した者の意思によりその害の実現を左右することができるものでなければならないとされています。

刑事事件例では、AさんはV1さんとV2さんに対して、体に彫られた入れ墨を見せた上、「あんたら家族、全員ぐちゃぐちゃにしたろか」などと言いました。
このAさんの行為は、V1さんとV2さんの生命、身体、財産に対して、これから害を加えることを、口頭により明示的に告げたといえます。
そして、Aさんが告知した害悪は、Aさんの意思次第で実現できるものであったといえます。
よって、Aさんの行為は、強要罪の①「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対して」、②「害を加える旨を告知」する行為に当たると考えられます。

また、強要罪の③「脅迫」とは、一般人が畏怖するような害悪の告知をすることをいいます。
刑事事件例では、AさんはV1さんとV2さんに対して、体に彫られた入れ墨を見せた上、「あんたら家族、全員ぐちゃぐちゃにしたろか」などと言いました。
そして、この際、Aさんは体に彫られた入れ墨を見せたり、大声を出したりしています。
このAさんの行為を一般人から見れば、畏怖するに十分な害悪の告知であったと考えられます。
よって、Aさんの行為は、強要罪の③「脅迫」に当たるの考えられます。

さらに、強要罪の④「義務のないことを行わせ」る行為とは、被害者の方に義務がないことを強制することをいいます。
刑事事件例では、Aさんは上記脅迫行為により、V1さんとV2さんに土下座をさせています。
このとき、V1さんとV2さんによる土下座は法律上義務のないのことであったと考えられ、Aさんは義務のないことを強制したといえると考えられます。
よって、Aさんの行為は、強要罪の④「義務のないことを行わせ」る行為に当たると考えられます。

以上より、Aさんには強要罪が成立すると考えられます。

【強要事件で勾留が不安な場合の身柄解放活動】

強要事件逮捕された場合、強要事件の被疑者の方は逮捕に引き続いて勾留がなされる可能性があります。
勾留は、逮捕による身体拘束が延長されたとも考えることができます。
勾留が決定されると、身体拘束の期間は、逮捕による72時間(刑事訴訟法203条・刑事訴訟法205条)に加えて、さらに最長で(延長された場合で)20日間(刑事訴訟法208条)に延長されることになります。

この長期間の身体拘束の間は、強要事件の被疑者の方は仕事や学校に行くことができなくなったり、ご家族の方に自由に会うことができなくなったりするなど不自由が生じることになってしまいます。

そこで、刑事弁護士は、強要事件の被疑者の方を勾留する理由(刑事訴訟法60条)がない場合や、その勾留の必要性(刑事訴訟法87条)がないと考えられる場合、検察官や裁判官に対して、勾留をしないように求めることができます。
また、一度出されてしまった勾留の決定に対しては、不服を申し立てることができます。

さらに、刑事事件例のような強要事件は被害者が存在する刑事事件です。
そこで、強要事件の被害者に謝罪と被害弁償をするための示談交渉を行うことができます。
もし示談を締結することができれば、示談を締結したことを検察官や裁判官に伝えることにより、早期釈放がなされる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強要事件逮捕され、勾留が不安な場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

株式会社の会社法違反・特別背任事件で逮捕(後編)

2021-12-17

株式会社の会社法違反・特別背任事件で逮捕(後編)

株式会社会社法違反・特別背任事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
株式会社会社法違反・特別背任事件逮捕(前編)の続きとなります。

【特別背任罪と会社法】

ここで、会社法356条1項では、利益相反取引の制限をしています。

会社法356条1項
取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
2 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき

また、会社法365条1項は、会社法356条1項の読み替えについて規定しています。

会社法365条1項
取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

つまり、取締役会設置会社において取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならないとされているのです。

以上を踏まえて刑事事件例を見てみると、AさんはB株式会社の取締役であるため、Aさんが自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、B株式会社の取締役会で承認を得なければなりません。
しかし、Aさんは、B株式会社の取締役会決議での承認を得ることなく、C株式会社を代表して、B株式会社と売買契約を締結し、通常より廉価で商品を買い付けています。
このAさんの行為は会社法356条1項2号違反の利益相反取引に該当します。
したがって、Aさんの行為は、誠実な事務処理者としてなすべきものと法的に期待されているところに反する行為といえます。
よって、Aさんの行為は、会社法960条の特別背任罪の「任務に背く行為」に該当すると考えられます。

なお、任務違背性を実質的に理解する考え方に立ったとしても、このAさんによる利益相反取引により、実質的にB株式会社に不利益が生じていると考えられ、結局は、Aさんの行為は、会社法960条の特別背任罪の「任務に背く行為」に該当すると考えられます。

【特別背任罪の要件(2)】

また、会社法960条の特別背任罪が成立するためには、上記行為が「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的」でなされる必要があります。

刑事事件例では、AさんはC株式会社を代表してB株式会社と売買契約を締結することにより、通常より極めて廉価での買い付けを行おうとしていました。
このAさんの目的はC株式会社の利益を図る目的であると考えられます。
よって、Aさんには、会社法960条の「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的」があったと考えられます。

さらに、会社法960条の特別背任罪が成立するためには、上記行為によって「本人に財産上の損害を加えた」といえなければなりません。
この「財産上の損害」は、経済的見地から会社の財産状態を評価することにより認められます。
刑事事件例では、Aさんは、C株式会社を代表して、B株式会社と売買契約を締結し、通常の販売価格より著しく安い価格でB株式会社の商品の買い付けを行っています。
確かに、上記売買契約により、B株式会社はC株式会社に対する代金支払請求権を有することになりました。
しかし、経済的見地からすれば、株式会社の財産が減少した、又は増加すべきであった財産が増加しなかったと考えられます。
よって、Aさんの利益相反取引により、B株式会社には会社法960条の「財産上の損害」が生じたといえると考えられます。

以上より、Aさんには会社法960条の特別背任罪が成立すると考えられます。

【特別背任罪と保釈】

Aさんは特別背任罪の容疑で逮捕されていますが、このまま身体拘束が続いた状態で起訴されることとなれば、その身柄解放の手段として保釈を請求していくことが考えられます。
刑事訴訟法では、保釈は被告人の「権利」として考えられています(刑事訴訟法89条柱書参照)。
しかし、刑事訴訟法89条には、被告人の権利である保釈を認めなくてもよい場合(権利保釈の除外事由)が規定されています。

そして、現在、権利保釈を却下する理由として最も多いのが、権利保釈の除外事由である「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」(刑事訴訟法89条4号)があることです。

刑事弁護士としては、保釈請求書において説得的な論述をするなどして、罪証隠滅のおそれがないことを裁判官に主張することができると考えられます。

また、刑事訴訟法90条は、職権保釈として以下のように規定しています。

刑事訴訟法90条
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

この職権保釈は、刑事訴訟法89条の権利保釈(被告人の権利として認められる保釈)の除外事由に該当する場合であっても、裁判所の裁量によって保釈を許可できるものとした規定です。

刑事弁護士としては、保釈請求書において、権利保釈とともに裁量保釈も求めていくことができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
株式会社会社法違反・特別背任事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

株式会社の会社法違反・特別背任事件で逮捕されたら(前半)

2021-12-14

株式会社の会社法違反・特別背任事件で逮捕されたら(前半)

株式会社会社法違反・特別背任事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県津市にあるB株式会社の取締役と、同区にあるC株式会社の代表取締役も務めていました。
B株式会社とC株式会社はどちらも取締役会設置会社であり、会社法356条1項1号の競業の関係はありませんでした。
ところが、Aさんは、B株式会社の取締役会決議での承認を得ることなく、C株式会社を代表して、B株式会社と売買契約を締結し、通常の販売価格より著しく安い価格でB株式会社の商品の買い付けを行いました。
Aさんには元々その目的もあったのです。
その後、津地方検察庁は、Aさんを会社法違反特別背任罪の容疑で逮捕しました。
Aさんはなるべく早く社会生活を送れるよう、保釈を認めてほしいと考えています。
(2020年7月28日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【特別背任罪とは】

会社法960条は、取締役等の特別背任罪として、以下のように規定しています。

会社法960条
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 取締役、会計参与、監査役又は執行役

会社法960条の特別背任罪は、刑法247条の背任罪を基にして規定された犯罪です。
すなわち、刑法247条の背任罪が一般条項、会社法960条の特別背任罪が特別条項といえます。

参考として、刑法247条の背任罪を引用します。

刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

会社法960条(特別背任罪)と刑法247条(背任罪)の規定を比較すると、犯罪の行為や目的、結果に当たる要件については、どちらも同じあるといえます。

会社法960条(特別背任罪)と刑法247条(背任罪)の規定の違いは、犯罪の主体(行為者)が限定されているか否かという点にあります。
すなわち、会社法960条の特別背任罪の主体(行為者)は「次に掲げる者」として法定の者に限られるのに対し、刑法247条の背任罪の主体(行為者)は限定されていないといえます。

以上をまとめると、会社法960条の特別背任罪は、例えば取締役のように法律に規定された一定の責任ある者が背任行為を行った場合に、刑法267条の背任罪に規定された刑罰よりも重い刑罰を課すために規定された犯罪であるといえると考えられます。

以下では、会社法960条の特別背任罪の各要件を見ていきます。

【特別背任罪の要件(1)】

まず、会社法960条の特別背任罪の主体(行為者)は、上述の通り、「次に掲げる者」として法定の者に限られています。
そして、会社法960条1項3号には、「取締役」が規定されています。
刑事事件例では、AさんはB株式会社の取締役を務めています。
よって、会社法960条の特別背任罪の「取締役」に該当すると考えられます。

次に、会社法960条の特別背任罪の要件である行為は「任務に背く行為」です。
会社法960条の特別背任罪の本質は信任関係の破壊にあると考えられます。
よって、会社法960条の特別背任罪の「任務に背く行為」とは、誠実な事務処理者としてなすべきものと法的に期待されているところに反する行為をいうと解されます。

そして、事務処理に関し、法令や契約等により手続的規制が加えられている場合、その法定や契約等の手続的制約に反する行為であれば、原則として会社法960条の「任務に背く行為」に該当すると考えられます。
なお、任務違背性は、信任委託の趣旨に則り、実質的に会社に不利益になる行為といえるかという観点から判断されるという考え方もあります。

特別背任罪などは、なかなか聞きなれない犯罪であることから、どういった人がどのような行為をすると特別背任罪に当てはまるのかなど、分からないことも多いでしょう。
だからこそ、刑事事件に詳しい弁護士に説明してもらい、アドバイスをもらうことが重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
株式会社会社法違反・特別背任事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

株式会社の会社法違反・特別背任事件で逮捕(後編)に続きます。

公務執行妨害・傷害事件で現行犯逮捕

2021-12-10

公務執行妨害・傷害事件で現行犯逮捕

公務執行妨害傷害事件現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは三重県鈴鹿市にある飲食店で、友人のBさんと食事をしていたところ、些細なことから口論となりました。
AさんとBさんは飲食店前の通りに出て、殴り合いの喧嘩をはじめました。
しばらくすると、その喧嘩を見ていた周辺住民の通報により、三重県鈴鹿警察署のV警察官が駆けつけ、仲裁に入りました。
Aさんは喧嘩を邪魔されてことに立腹し、V警察官の顔面を1発殴りました。
その結果、Aさんは公務執行妨害罪傷害罪の容疑で現行犯逮捕されました。
V警察官は全治5日間の打撲傷を負ったといいます。
また、喧嘩の相手であるBさんも打撲傷や切り傷を負ったといいます。
(2021年2月18日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公務執行妨害罪とは】

刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪の「公務員」とは、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」(刑法7条1項)をいうとされています。
刑事事件例の三重県鈴鹿警察署のV警察官は、「国又は地方公共団体の職員」として、公務執行妨害罪の「公務員」に該当します。

また、公務執行妨害罪の「職務」とは、公務員が取り扱う各種各様の事務をいうと考えられています(最高裁判所判例昭和53年6月29日)。
このとき、公務執行妨害罪の「職務」は適法(合法)な者である必要があると考えられています。
刑事事件例のV警察官による臨場及び仲裁は、警察官としての適法な職務であったとして、公務執行妨害罪の「職務」に当たると考えられます。

さらに、公務執行妨害罪の「暴行」とは、公務員に直接又は間接的に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
刑事事件例のAさんによるV警察官の顔面を1発殴る行為は、公務員に直接向けられた不法な有形力の行使として、公務執行妨害罪の「暴行」に当たると考えられます。

以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

なお、公務執行妨害罪は、公務の執行を保護するために規定された犯罪であり、厳密には被害者は公務員個人ではなく、国家を考えられることになります。

【傷害罪とは】

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の「傷害」とは、人の生理機能の障害をいいます。
傷害罪の「傷害」に当たる具体例は、擦り傷や打撲傷などです。

刑事事件例では、V警察官はAさんに殴られた結果、全治5日間の打撲傷を負っています。
よって、V警察官さんの怪我は、人の生理機能の障害として、傷害罪の「傷害」に当たると考えられます。

以上より、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【喧嘩による傷害罪】

刑事事件例では、Aさんは、口論をきっかけに、殴り合いの喧嘩をはじめています。
そして、この喧嘩により、Bさんも怪我を負っています。
よって、AさんにはBさんに対する傷害罪も成立すると考えられます。

【公務執行妨害罪と傷害罪の関係】

以上のように、Aさんには公務執行妨害罪傷害罪が成立する可能性がありますが、これら犯罪は、AさんのV警察官を暴行するという社会的見解からして1つの行為によって生じたものであるといえます。

このように複数の犯罪が社会的見解からして1つの行為によって生じた場合、複数の犯罪のうち「最も重い刑」で処断されます(刑法54条1項、観念的競合)。

ここで、刑事事件例で成立する公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」であり、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

このとき、法定刑が重いのは傷害罪であるので(刑法10条2項参照)、公務執行妨害罪傷害罪が同時に成立する場合には傷害罪の刑で処断されることになります。

【公務執行妨害・傷害事件の刑事弁護活動】

公務執行妨害事件を起こした場合、被疑者の方は公務という国家的法益を侵したと考えらます。
このとき、公務の保護という観点を強調し、公務員の方が勤務する役所(刑事事件例でいえば三重県鈴鹿警察署)より、公務員の方に対して、示談を受けないように指示が出される可能性があります。

一方、傷害事件を起こした場合、被疑者の方は被害者の方の身体の安全という個人的法益を侵したといえます。
傷害事件は個人的法益の侵害であるという点を強調すれば、傷害事件の被害者の方に対して正式な謝罪と相当な被害弁償をすることにより、示談を締結することができる可能性があります。

刑事弁護士としては、以上を踏まえ、公務執行妨害・傷害事件の被害者の方との示談交渉をしつつ、示談が不成立になる可能性も踏まえ、公判対応などの刑事弁護活動をしていくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
公務執行妨害・傷害事件で現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県亀山市の背任事件

2021-12-07

三重県亀山市の背任事件

三重県亀山市背任事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県亀山市内にある鋼材加工販売会社(V会社)に勤めるAさんは、原材料の受注・代金の振込みを管理する仕事をしていました。
ある日、V会社が、Aさんの親族が務める会社との間で原材料の売買契約を締結した際、通常の代金が約150万円であるところ、代金約300万円での契約を締結し、現金約300万円をAさんの親族が務める会社へ振り込ませました。
V会社はこの行為を問題視し、V会社が三重県亀山警察署の警察官に被害届を提出しました。
その後、Aさんは三重県亀山警察署の警察官により背任罪の容疑で逮捕されました。
(2020年10月15日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【背任罪とは】

刑法247条は、財産犯罪のひとつとして背任罪を規定しています。

刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

背任罪の要件を分けて考えると、背任罪は、「他人のためにその事務を処理する者」(主体)が、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」(目的)で、「任務に背く行為をし」(行為)、「本人に財産上の損害を加えた」(結果)ときに成立する犯罪といえることになります。

以下では、背任罪の各要件を検討していきます。

【背任罪の各要件】

まず、背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者」です。
「他人固有の事務について、事務処理の委託を受けた者」とも言い換えることができます。
事務処理の委託の原因は、法令や契約、慣習などが考えられるでしょう。

刑事事件例では、V会社の従業員であるAさんは、顧客からの受注・納品・代金の入金を管理する仕事に従事していました。
この顧客からの注文を管理する仕事は、V会社から処理の委託を受けた事務であると考えられます。
よって、Aさんは背任罪の主体である「他人のためにその事務を処理する者」に該当すると考えられます。

次に、背任罪の成立に必要な目的は、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」です。
刑事事件例では、Aさんの親族が代表を務める会社の口座に現金約300万円が振り込まれています。
この客観的事情から「第三者の利益を図」る目的があったと推認されるでしょう。
よって、Aさんには「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」があったと考えられます。

また、背任罪の要件である行為は、「任務に背く行為」です。
この意義については、誠実義務に違反して財産を侵害する行為であると考えられています。
すなわち、背任罪の「任務に背く行為」とは信頼関係を破壊する行為であればよいので、売買、消費貸借、債務負担行為のような法律行為のみならず、秘密の漏洩のような事実行為も含まれると考えられています。

刑事事件例では、Aさんの親族が務める会社との間で原材料の売買契約を締結した際、通常の代金が150万円であるところ、代金約300万円での契約を締結し、現金約300万円をAさんの親族が務める会社へ振り込ませました。
このAさんの行為は、誠実義務に違反して財産を侵害する行為であり、背任罪の「任務に背く行為」に該当します。

さらに、ここに背任罪の結果である「本人に財産上の損害に加えた」結果が生じていると考えられます。
「本人」とは刑事事件例でいうV会社のことを指します。
Aさんの行為によってV会社には財産上の損害が発生していることから、この部分にも当てはまることになるでしょう。

なお、このAさんの行為はAさんの親族である第三者の利益を図った行為です。
また、契約の名義人はV会社であり、また反対債権はV会社に帰属しているため、Aさんの名義(法律的効果が帰属すること)又は計算(経済的利益が帰属すること)で処分したわけではありません。
そのため、自己の利益を図ったり、自己の名義・計算で行ったりした場合とは違い、業務上横領罪ではなく、背任罪が成立すると考えられます。

【背任罪と刑事弁護活動】

刑事事件例では、V会社が三重県亀山警察署の警察官に被害届を提出したことが、本件背任事件についての捜査の端緒となっています。

背任事件のような被害届や告訴が提出されている事件では、被害者の方と示談締結の有無が重要となります。
被害者の方との示談締結ができれば、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる余地が生じると考えられます。

そこで、弁護士としては、背任事件の被害者の方、本件でいえばV会社の担当者の方と連絡を取り、速やかに示談交渉を開始することができると考えられます。
そのためには、背任事件が発覚してからすぐに活動を開始することが求められますから、背任事件にお困りの際はお早めに弁護士に相談・依頼されることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
三重県亀山市背任事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

犯人蔵匿事件で共犯(共謀共同正犯)を疑われている

2021-12-03

犯人蔵匿事件で共犯(共謀共同正犯)を疑われている

犯人蔵匿事件共犯共謀共同正犯)を疑われている場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県三重郡菰野町に住むAさんは、Bさんから「三重県四日市西警察署の警察官に強盗罪の容疑で逮捕された。警察に連行されているときに隙を見て何とか逃げてきたが、他に頼る人もいないので助けてほしい」と言われました。
このBさんからの依頼を受け、Aさんは、Bさんを自宅にかくまいました。
その際、Aさんは、Bさんから対価として現金50万円を受け取っています。
その後、Bさんは捜索していた三重県四日市西警察署の警察官により逮捕されましたが、同じくAさんも犯人蔵匿罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは犯人蔵匿罪の容疑に加え、強盗罪への関与について厳しい追及を受けています。
(2020年11月6日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【犯人蔵匿罪とは】

刑法103条は犯人蔵匿罪について以下のように規定しています。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(刑法103条)。

犯人蔵匿罪は犯人の発見・身柄の拘束を妨げることを禁止しています。
刑法は犯人蔵匿罪を規定することにより、警察・検察による犯罪の捜査、刑事裁判、刑の執行など国の刑事司法作用が阻害されることを防いでいるといえます。

【犯人蔵匿罪の各要件】

以下では、犯人蔵匿罪の各要件を検討します。

上述の通り、犯人蔵匿罪は①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」又は拘禁中に逃走した者を②「蔵匿」し、又は隠避させた者に成立します。
刑事事件例ではAさんは①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」を②「蔵匿」した者に該当することと思われるので、これらの要件について詳しく見ていきます。

まず、犯人蔵匿罪の「罰金以上の刑に当たる罪」とは、刑法の条文に定められた刑(法定刑)に罰金以上の刑が含まれている罪をいいます。
刑事事件例のBさんが犯した罪は強盗罪(刑法236条)ですが、刑法236罪は「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と規定しています。
そして、懲役刑は自由刑として、罰金刑のような財産刑より重い刑であると考えられています。
よって、Bさんが犯した罪は、犯人蔵匿罪の「罰金以上の刑に当たる罪」に該当すると考えられます。

また、犯人蔵匿罪が成立するためには、客観的に罰金以上の刑に当たる罪の被疑者(容疑者)として捜査の対象となっていればよいと考えられています。
刑事事件例のBさんは三重県四日市西警察署の警察官により強盗罪の容疑で逮捕されており、強盗事件の捜査の対象となっているといえます。
よって、Bさんは犯人蔵匿罪の「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」といえると考えられます。

さらに、犯人蔵匿罪が成立するためには、Bさんの犯した犯罪が客観的に罰金以上の刑に当たる罪であれば、AさんはBさんが犯した罪名を認識しているか、又はBさんが漠然と重大犯罪を犯した者であるという認識していればよいと考えられています。
Aさんは、Bさんが強盗罪を犯した者であると認識しています。
ここに、Aさんに犯人蔵匿罪の故意(犯罪に対する認識・認容)があったといえると考えられます。

最後に、犯人蔵匿罪の②「蔵匿」とは、場所を提供してかくまうことをいいます。
刑事事件例では、AさんはBさんを、自宅にかくまっています。
よって、Aさんの行為は、犯人蔵匿罪の「蔵匿」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには犯人蔵匿罪が成立すると考えられます。

【犯人蔵匿罪と共犯】

犯人蔵匿事件は、その犯罪の性質上、刑事事件例のBさんのような(犯人蔵匿事件とは罰の刑事事件の)犯人と何らかの関係があったのではないかと疑われる可能性がある刑事事件であるといえます。
例えば、三重県四日市西警察署の警察官から、実はBさんと強盗事件について共犯(共謀共同正犯)関係にあったからこそ、Bさんをかくまったのではないかと疑われてしまう可能性もあります。

仮に、AさんとBさんに強盗罪の共謀(謀議)が認められ、さらにAさんがBさんから強盗事件の分け前(経済的利益)を受け取っているといった事情があった場合、Aさんに強盗罪を自らの犯罪として犯す意思(正犯意思)もあったと認められてしまうおそれもあります。
この場合、Aさんに強盗罪の共犯(共犯共謀共同正犯)が成立すると扱われてしまいます。

刑事事件例では、AさんはBさんをかくまう対価として現金50万円を受け取っています。
Aさんとしては、このお金が強盗事件の分け前(経済的利益)ではなく、自分はBさんの強盗事件には関与していないと主張していく必要があります。

このような主張には刑事事件や法律(刑法・刑事訴訟法など)に関する専門的な知識を持つ刑事弁護士による助言をもとになすことで、誤った表現や自白となってしまう発言を回避することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
三重県の犯人蔵匿事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

建造物等以外放火事件で不起訴処分を得たい

2021-11-30

建造物等以外放火事件で不起訴処分を得たい

建造物等以外放火事件で不起訴処分を得たいという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県四日市市内のアパートの駐車場に止めてあったVさん所有の原付バイクに直接火を放ちました。
原付バイクは全焼しましたが、幸い、駐車場に停めてあった他の車や駐車場に隣接したアパートには燃え移らなかったといいます。
その後、Aさんは、四日市南警察署の警察官により、建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「職場の同僚に叱られストレスを感じていた」と建造物等以外放火罪の容疑を認めています。
Aさんは建造物等以外放火罪での刑事裁判を避け、不起訴処分を得ることはできないかと考えています。
(2020年11月26日に石川テレビNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物等以外放火罪とは】

放火して、前2条(刑法108条、109条)に規定する物以外の物を焼損し、よって公共に危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する(刑法110条1項)。

建造物等以外放火罪の目的物(放火の対象)は、「前2条(刑法108条、109条)に規定する物以外の物」です。
刑法108条(現住建造物等放火罪)では、「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」が目的物であると規定されています。
また、刑法109条(非現住建造物等放火罪)では、「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」が目的物であると規定されています。
まとめれば、建造物等以外放火罪の目的物は、「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑ではないもの」ということができると考えられます。

刑事事件例では、AさんはVさん所有の原付バイクに放火していますが、この原付バイクは「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑ではないもの」、すなわち「前2条(刑法108条、109条)に規定する物以外の物」であるとして、建造物等以外放火罪の目的物に該当すると考えられます。

【建造物等放火罪の各要件】

建造物等以外放火罪の要件である「放火して」とは、目的物(又は媒介物)に放火することをいいます。
また、建造物等以外放火罪の要件である「焼損」とは、目的物が独立に燃焼を継続する状態をいいます。

刑事事件例では、Aさんは原付バイクに直接放火しています。
また、Aさんによる放火の結果、原付バイクは独立して燃焼を継続する状態に達し、全焼するに至っています。
よって、刑事事件例では建造物等以外放火罪の要件である「放火して」、目的物が「焼損」したという要件を満たすといえると考えられます

さらに、建造物等以外放火罪の要件である「公共の危険」とは、不特定又は多数の人の生命、身体又は財産に対する延焼の危険であると考えられています。
すなわち、建造物等以外の物に放火し、その結果、不特定又は多数の人の生命、身体又は財産に燃え移る危険を生じさせた場合、建造物等以外放火罪の「公共の危険」を生じさせたといえることになります。

刑事事件例では、Aさんは、建造物以外の物である原付バイクに放火しています。
そして、原付バイクが停めてあった駐車場には、原付バイク以外の車も駐車されていたようです。
また、犯行現場となった駐車場には不特定又は多数の人が住むアパートも隣接していたようです。
よって、Aさんによる原付バイクへの放火により、その他の車やアパート、その住民などに対する延焼の危険である公共の危険が生じたといえると考えられます。

以上より、Aさんには、建造物等以外放火罪が成立すると考えられます。

【建造物等以外放火罪と刑事弁護】

刑事事件例の建造物等以外放火事件の刑は、「1年以上10年以下の懲役」です。
罰金は規定されていないため、起訴された場合に略式裁判(刑事訴訟法461条以下)のような非公開の手続きが取られることはありません。
建造物等以外放火罪で起訴されるということは、公開の法廷に立って裁判を受けるということになります。
そのため、建造物等以外放火事件の刑事弁護方針として、まずは不起訴処分の獲得を目指すこと、仮に起訴されてしまったとしても執行猶予付き判決の獲得を目指すことが考えられます。

刑事事件例では、Vさんの原付バイクが放火の被害に遭っています。
そこで、刑事弁護士を通し、被害者の方へ正式な謝罪と損害の賠償をする示談交渉ができると考えられます。
示談締結などにより、不起訴処分を求めることや、起訴されてしまった場合でも執行猶予付き判決を求めることができると考えられます。
まずは、早期に弁護士に相談・依頼し、示談交渉などに取りかかってもらうことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物等以外放火罪で不起訴処分を得たいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

窃盗(万引き)事件で逮捕

2021-11-26

窃盗(万引き)事件で逮捕

窃盗(万引き)逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

三重県四日市市に住むAさんは、同市内にある大型スーパーマーケットV店で、フライパイン2つ(合計して5000円相当)を会計をせずに店舗外に持ち出しました。
Aさんは駐車場に停めてあった自分の車で逃げようとしましたが、その前で警備員に見つかり、取り押さえられました。
その後、三重県四日市北警察署の警察官が駆け付け、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは「お金を使いたくなかった」と話し、窃盗罪の容疑を認めました。
Aさんは、早く家に帰るためにはどうすればよいのか、窃盗(万引き)事件の取調べではどのようなことが聞かれるのかなどと不安に感じています。
また、Aさんは過去にもV店で万引きをしたことがある(但し、発覚はしなかった)といいます。
(2021年2月22日にHBC北海道放送に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【窃盗罪とは】

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪にあたる行為は、他人の財物を「窃取」することです。
この窃盗罪の「窃取」の意味については、他人が事実上支配する財物を、他人の意思に反して、自分の事実上の支配に移転させる行為であると考えられています。

刑事事件例では、Aさんは、V店の商品であるフライパン2点を会計をせずに店舗外に無断で持ち去っています。
このAさんの行為は、V店が事実上支配する財物を、V店の意思に反して、Aさんの事実上の支配に移転させる行為であるので、窃盗罪の「窃取」に当たります。

よって、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

【窃盗(万引き)事件の身柄解放活動について】

窃盗(万引き)事件逮捕されてしまった場合、刑事弁護士は検察官や裁判官に対して、早急に身体拘束を解くように訴えていくことができます。
具体的な方法としては、検察官による勾留請求・裁判官による勾留決定に対して意見書を提出したり、裁判官による勾留決定に対して不服を申し立てたりすることができます。

窃盗(万引き)事件の身柄解放活動においては、刑事弁護士が早期釈放を求める専門的な書面を作成するほか、身元引受人となってくれる方から被疑者の生活状況や今後の監督方法について話を聞き、それを書面として提出するといった方法が考えられます。
また、被疑者の方に逃亡や証拠隠滅をしないことを誓ってもらい、その旨を書面として提出することも考えられます。

【窃盗(万引き)事件の示談について】

窃盗(万引き)事件が発覚し、窃盗罪の容疑で逮捕されてしまった場合、被疑者の方の身体拘束をすみやかに解くための一つの方法として、示談を締結することが挙げられます。

示談を締結したい場合、被害店舗の担当者の方と刑事弁護士を通して連絡を取り、謝罪や被害弁償をしたいと伝えるといった流れが多いでしょう。
その後、刑事弁護士が被害店舗の担当者の方と直接または電話等により交渉し、示談の具体的な内容について決定していくことになります。
そうした示談交渉を経て、示談交渉に従って被害弁償をする旨や宥恕条項などを記載した示談書を作成し、被害店舗の担当者の方と示談を締結することを目指していきます。

示談が締結できた場合には、刑事弁護士はこの示談書を窃盗(万引き)事件を捜査する検察官に提出することにより、被疑者の方の身体拘束の早期解放を目指すことができます。

【窃盗(万引き)事件の取調べ対応について】

窃盗(万引き)事件では、被疑者の方に逮捕された窃盗(万引き)事件の他に、同じような窃盗(万引き)事件を起こしていないか(余罪がないか)と疑われ、捜査をする検察官や警察官から厳しく追及される可能性があります。

そこで、刑事弁護士は、被疑者の方に黙秘権の保障について分かりやすく説明した上、どのように検察官や警察官の取調べに対して対応していけばよいか、何を話すべきで何を話さないべきかなどを詳しく助言することができます。

窃盗(万引き)事件では、刑事弁護士を選任にすることにより、身柄解放活動や示談交渉、取調べに対する法的助言をすることができると考えられ、刑事事件に強い刑事弁護士を選任することが重要であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗(万引き)事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

公務執行妨害事件で現行犯逮捕されてしまったら

2021-11-19

公務執行妨害事件で現行犯逮捕されてしまったら

公務執行妨害事件現行犯逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県桑名市内の路上において、とある刑事事件の関係者と似ているとして三重県桑名警察署の警察官から職務質問を受けました。
しかし、Aさんは、その職務質問に応じず逃げようとしたため、警察官により制止されました。
その際、AさんはV警察官が手にしていた警棒を奪い、警察官を殴りました。
警察官に怪我はありませんでしたが、Aさんは近くにいた別の警察官に取り押さえられ、公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(2020年11月30日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公務執行妨害罪とは】

公務執行妨害罪は、国家の統治作用を保護するために刑法95条1項に規定された犯罪です。

刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

以下では、公務執行妨害罪の各要件について考えていきたいと思います。

まず、公務執行妨害罪は、その名からも容易に考えられるとおり、「公務員」を対象として規定しています。
この公務執行妨害罪の「公務員」の定義については、刑法7条1項に「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」をいうと規定されています。
刑事事件例の三重県桑名警察署の警察官が公務執行妨害罪の「公務員」に該当することは明らかであるといえます。

次に、公務執行妨害罪の対象である「公務員」は、「職務を執行するに当た」っていた必要があります。
この公務執行妨害罪における「職務」の意義については、「ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる」(最高裁判所判決昭和53年6月29日)と考えられています。
ただ、上述の「公務員」の要件と同じく、刑事事件例の警察官による職務質問が公務執行妨害罪の「職務」に該当することは明らかであると考えられます。

そして、公務執行妨害罪の「職務」は、明文こそないものの、その職務は適法(合法)でなければならないと考えられています。
刑事事件例における警察官による職務質問は、職務質問が規定されている警察官職務執行法2条1項に基づくものであったと考えられます。
また、警察官によるAさんの制止行為も、Aさんを制止する必要性や制止する態様の相当性から、警察官職務執行法2条1項の「停止させ」る行為として許容されると考えられます。
よって、警察官の制止行為に違法な点はなく、公務執行妨害罪の職務の適法性という要件は満たされると考えられます。

さらに、公務執行妨害罪は被疑者が公務員に対して、「暴行又は脅迫」をすることにより成立します。
この公務執行妨害罪の「暴行又は脅迫」については、公務員に向けられた不法な物理力の行使であると考えられています。
定義としてはやや難解ですが、公務員に直接的な物理力を行使する場合や、物や公務員の補助者を通して公務員に間接的な影響を与える場合も含まれると考えられています。
刑事事件例のAさんがV警察官を殴る行為は、直接公務員に向けられた物理力の行使に該当します。
よって、Aさんの行為は公務執行妨害罪の「暴行又は脅迫」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えらえます。

【公務執行妨害罪と現行犯逮捕】

刑事事件例では、Aさんは警察官に対する公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕されています。

現行犯逮捕は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者」(刑事訴訟法212条1項)に対してなされる逮捕です。
警察官に対する公務執行妨害罪では、その性質上、「現に罪を行った者」に該当するとして、現行犯逮捕されてしまうことが多いといえます。

一方、警察官に対する公務執行妨害罪は、逮捕に引き続く勾留の請求・決定を阻止し得る犯罪であるともいえます。
というのは、もちろん各刑事事件の具体的事情にもよりますが、一般に、既に警察官により証拠品を押収されていたり、証人が警察官自身になったりすると考えられるからです。
つまり、公務執行妨害事件に関する証拠隠滅(罪証隠滅)のおそれが低いと主張できる余地があるのです。

警察官に対する公務執行妨害罪の容疑で逮捕された場合、刑事弁護士としては、上記のような主張をし、被疑者の方が不当に勾留されることがないようにしていくことができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
公務執行妨害事件現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

三重県名張市の暴行事件で逮捕から釈放を目指したい

2021-11-16

三重県名張市の暴行事件で逮捕から釈放を目指したい

三重県名張市の暴行事件で逮捕され釈放を目指したいという場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、三重県名張市にある駅で、駅の利用客であるVさんと肩がぶつかったことをきっかけにして口論となりました。
なかなか謝罪しないVさんに業を煮やしたAさんは、Vさんを突き飛ばしてしまいました。
こうした様子を目撃した利用客が通報したことで、Aさんは三重県名張警察署に暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、逮捕されてしまった自分が今後どのようになるのか不安に思い、家族が依頼したことで警察署を訪れた弁護士に、釈放を求める活動はできるのか尋ねました。
(フィクションです。)

【暴行罪とは】

「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」には、暴行罪が成立します(刑法208条)。
暴行罪の法律に定められた刑(法定刑)は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。

暴行罪における「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使をいいます。
そして、暴行罪における「暴行」は「人の身体に対する」有形力の行使とあるように、人の身体に直接的に有形力を加えるものであることが必要です(このような暴行を直接暴行といいます)。

もし物に対する有形力の行使であれば、たとえそれが人の身体に間接的に物理的・心理的に影響を及ぼすものであっても、暴行罪における「暴行」には含まれないことになります(このような暴行を間接暴行といいます)。
反対に、暴行罪における「暴行」は人の身体に対する有形力の行使であればよく、人の反抗を抑圧するか、著しく困難にするに足りる程度のものである必要はないと考えられています。

刑事事件例において、AさんがVさんを突き飛ばした行為は、Vさんの身体に対する有形力の行使であるとといえます。
よって、暴行罪における「暴行」に該当すると考えられます。

また、暴行罪は「人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。
そして、暴行罪に規定された「傷害」とは、人の生理機能に障害を与えること又は人の健康状態を不良に変更することをいうと考えられています。

刑事事件例においてVさんはAさんから暴行を受けましたが、外傷を負ったり圧痛が生じたりはしていないようです。
よって、AさんはVさんを「傷害するに至らなかった」といえます。

以上より、Aさんには暴行罪が成立すると考えられます。

【暴行罪と逮捕・勾留】

Aさんは現在、愛知県警名東警察署の警察官により暴行罪の容疑で逮捕されているところ、引き続き暴行罪の容疑で身体拘束を伴う勾留がなされる可能性があります。

勾留は原則として10日間なされますが、やむをえない事由があると認めるときには最大10日間延長される可能性があります(刑事訴訟法208条)。
したがって、勾留は最大20日間という長期間に及ぶ可能性があります。
勾留されている間は身体拘束をされて通常の社会生活を送ることができませんから、失業や退学を強いられる可能性も生じることになります。

まず考えられる釈放を求める活動としては、暴行罪の容疑での勾留をする理由(刑事訴訟法60条参照)や必要性(刑事訴訟法87条1項参照)がないことを主張し、暴行罪の容疑での勾留の請求・決定自体をしないよう求めていくことが考えられます。
これらの活動は逮捕から最大72時間の間に行う必要があります。
早い段階で弁護士に相談・依頼することで、そもそも勾留請求や勾留決定をしないように訴え、釈放を求める活動が可能となります。

また、Aさんが暴行罪の容疑での勾留に付されてしまった場合には、不服申立てをすることによって釈放を求めていくことも考えられます。
例えば、早期にVさんと示談交渉を開始する、締結するなどの被害者対応を行うことで、不服申立てが認められる可能性を挙げた上で釈放を求めていくことも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
釈放を求める機会を最大限にいかすためには、逮捕から早い段階で活動を開始することが重要です。
暴行事件で逮捕され、釈放を求めたいとお悩みの場合は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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